幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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各地で始まる庭師達の活動。

白き鬼、蒼穹、地獄はその猛威を振るう。

戦いは最終決戦へと近づくのだ。


第十一話 『竜虎《リュウコ》前編』

前回から更に時間が過ぎた。

 

地球降下後、部隊を三つに編成し状況対応を行う事となった。

 

火星ルート組はボソンジャンプによって転移し、北米エリアのバイストン・ウェル軍に対応。

 

月ルート組は欧州エリアのザンスカール軍に対応する事となった。

 

私達の部隊は伊豆基地へ移動しリュウセイ達を降ろした後に恐竜帝国の進撃を止める事となった。

 

道中で艦隊の編成も行われ、ザンスカール軍にはリガ・ミリティア、バイストン・ウェル軍にはオーラバトラー隊、恐竜帝国にはゲッターチームが中心となって動く算段となった。

 

また火星ルート組は木連と一部異星人連合との決着を終え、道中でガンバスターに乗り換えたトップレスのチーム、グラドス人と地球人のハーフであるエイジらSPT隊、イルボラが参戦した。

 

ここまでは良かったのだが、度重なる戦いが原因で一部の搭乗機体の限界が超えたのだ。

 

主に前線を張っている主力機である。

 

一部は集中メンテナンスを受ければ稼働は可能であるが、他はそうはいかない。

 

特に部品交換がしにくい機体が多い為、補給が途絶えると活動もままならない。

 

今回はマジンガーZやゲッタードラゴンなどの特機や一部のMSが対象である。

 

シャイニングガンダムに至ってはパイロットであるドモンの成長速度に追い着いていない。

 

冥王星へ転移した頃から、その兆しは出始めており…

 

騙し騙し運用の結果、今回の最終決戦が運用可能限界点と推定された。

 

ヒュッケバインmk-Ⅱやグルンガスト弐式もクスハとブリットの念への対応不全が見えている。

 

タスクはジガンスクードへの乗り換えもあったので支障はないが、リョウトやユウ達の機体も乗り換えの時期だろう。

 

例の如く、第三の凶鳥と参式の出番なのか竜虎の目覚めかは不明だ。

 

その先の物語の開示はまだされていない。

 

読み違えれば、多大な被害が出てしまう。

 

だからこそ手は抜けない。

 

予定されている梁山泊へのBF団介入の件なら尚更だ。

 

原作通りならあの忍者と指ぱっちん、台詞無しとお供が出てくる予定だ。

 

あ、相手にしたくない。

 

特に忍者。

 

冥王星にも引っ付いて着たみたいだけど、隠れて女性陣の着替えシーンと女性用浴場を覗き見しおって!!

 

一瞬漫画版か!って思ったわ!

 

『役得』と呟いたのは絶対に許さない…

 

あの時、エクセレン少尉に胸揉まれたの絶対見られてる。

 

ううっ、泣きたい。

 

いっその事、ビッグファイアにチクってやりたいわ。

 

いや、機会があったら厭味ったらしく遠回しにチクろう。

 

ん?

 

どうやら『庭師』達が動き出した様だ。

 

蒼い睡蓮も相変わらず仕事が早いですな。

 

まあ、出し惜しみは無しの方向性の介入だ。

 

精々、震えあがって貰おうか?

 

 

******

 

 

同時刻、欧州エリアにて。

 

 

地表を抉り、粉塵を上げながら進行するモドラット艦隊のアドラステア級戦艦。

 

しかし、その大部分が炎上し侵攻不能状態に陥っていた。

 

 

「正義の味方、参上!!」

 

 

前衛に立つ白い機体。

 

東洋で言えば白い二本角の鬼だろう。

 

名はラインバレル。

 

現在の『加藤機関』に置ける旗機の一つだ。

 

周辺にはイダテン、迅雷と呼ばれるアルマの部隊。

 

部隊長はそれぞれラインバレルと同じマキナが務める。

 

上空にはシャングリラと呼ばれる戦艦が待機し、モドラット艦隊の侵攻を拒んでいた。

 

 

『シャングリラは上空で待機、各員はアドラステア級艦隊を制圧し無力化に専念しろ。』

「要は殲滅だろ?」

『ああ、奴らに慈悲は不要だ。』

「了解!」

 

 

ラインバレルの両腕に搭載された二本の刀が引き抜かれるのと同時にMS部隊の追撃が始まった。

 

本当の暴力を知る『蒼』。

 

山々を震え上がらせる『黄』。

 

魔獣を従えさせる『紫』。

 

蜃気楼の如く姿を消す『緑』。

 

騎士を思わせる『銀』。

 

無数の線を操る『桜』。

 

空を駆ける『灰』。

 

巨大な光を操る『朱』。

 

 

真の意味で戦慄の時が始まった。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

同時刻、北米エリアでは。

 

 

『各員、オーラバトラー部隊の迎撃と同時に艦隊の都市部への侵攻を阻止する。』

「全く、ブルーロータスも無茶な作戦を押し付けてくれたもんだな。」

「道生さん、愚痴は後です。」

「一騎こそ、体の方は大丈夫なのか?」

「ええ、ホルトゥスの治療で以前よりも調子が良くなりました。」

「一騎君、術後の慣らしとは言っても無理は禁物だよ。」

「真矢ちゃんの言う通りだ、雑魚は俺達に任せて大将首を頼む。」

「解りました。」

 

 

バイストン・ウェル軍による北米侵攻作戦。

 

こちらで参入した地上人達も加わり、その戦いは苛烈さを増した。

 

その為、チーム戦を得意とする竜宮島のアルヴィスメンバーを向かわせたのだ。

 

主戦力はマークザインを始めとしたファフナー部隊。

 

それぞれの特性を生かしたチーム戦を得意とし、その連携力は侮れない。

 

何度(・・)も戦った事のある相手である、苦戦を強いられた事もあるが油断する気もないだろう。

 

 

さあ、蒼穹を駆け抜ける時だ。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

同時刻、極東エリア。

 

こちらは説明するまでもないだろう。

 

たった一言で表せるのだ。

 

まさに『地獄』であると…

 

 

「貴様らは一体…!?」

 

 

進撃を開始した恐竜帝国のバッド将軍はボロボロになった自機から爆炎と共にこちらへ向かってくる『魔神』を目撃した。

 

そして、たった一機によって最終決戦に挑む筈の戦力を半数も失ったのだ。

 

明らかに『マジンガーZ』や『グレートマジンガー』ではない事は確かである。

 

地獄の使者?

 

いや、地獄そのものと言った方が相応しいだろう。

 

 

「んな事は関係ねぇ、ただてめえらがムカつく奴らだって事だけだ。」

「貴様らをこの先へ絶対通すなと依頼されているのでな?」

 

 

パイロット達は口々に言う。

 

正義なんてものは関係ない。

 

自分達が良ければそれでいい。

 

バッドや無敵艦隊ダイからその惨状を見た帝王ゴールとガレリィ長官はその意味を理解した。

 

『狂っている』と…

 

人でありながらその思考は逸脱し彼らの思うがままに動いている。

 

最早人ではないのだろうか?

 

そう思えてしまうのだ。

 

 

「さてと、とっとと仕上げに行くか!」

「ああ!」

 

 

そして恐竜帝国は更なる地獄を眼にするのだ。

 

 

「神に会うては神を斬り!」

「悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ!」

「戦いたいから戦い!」

「潰したいから潰す!」

 

「「俺達に大義名分など無いのさ!」」

 

 

大義名分など無い。

 

これが彼らの行動原理である。

 

恐竜帝国が地上を欲すると言う行動原理であると同時に彼らの行動原理は大義名分そっちのけの戦いこそが行動原理なのである。

 

失うものがない以上、彼らに太刀打ちする事は出来ないだろう。

 

この日を持って恐竜帝国は完全な敗北を受けたのである。

 

地獄は目処前にあると言う惨状を見せつけられたのだ。

 

まさに『神が恐れ、悪魔すら慄く』と言った所だろうか?

 

だが、恐竜帝国は知る由もなかった。

 

彼らが本気の半分程度しか出してない事に…

 

その程度の相手と認識されたのも知らぬまま、マグマの滾る地の底へと沈んでいった。

 

 

******

 

 

火星ルート組と月ルート組の追撃により、ザンスカールの地上作戦は失敗に終わりバイストン・ウェル軍は内部分裂の末に事の始まりを造った者達の処刑と共にドレイクがその罪を背負って自害した事で終わりを告げた。

 

ザンスカール軍は残存兵力を集めると宇宙へと引き返した。

 

これで奴らの切り札は『天使の輪』のみである。

 

バイストン・ウェル軍は主な司令官と旗頭であるドレイクを失った事で瓦解、シーラ女王とエレ王女が彼らを纏め上げバイストン・ウェルへと送り返した。

 

向こう側の友軍に一時預け、戦いが終わった後にその処遇を決めるとの事だ。

 

ドレイクの娘であるリムルと黒騎士ことバーンは彼らの処遇を決めるのと同時に起こしてしまった争いを終結させる為にこちらに参入した。

 

すんなりと言った事に正直驚いている。

 

そして私達極東ルート組は恐竜帝国の壊滅を受けて、一時伊豆基地で待機だったが…

 

それに参じてエアロゲイターの襲撃を受けた。

 

察しの通り、アタッド、ガルイン、そしてレビの再来である。

 

例の一件でアタッドから怨みを買われていたが、私はガルイン…

 

カーウァイお義父さんを取り戻す為に奮闘した。

 

若干ながらその意思に揺らぎを見せていたが、後一歩の所で撤退してしまった。

 

R-GUNリヴァーレを駆るイングラムの出現によって…

 

それにより、リュウセイ達が参戦。

 

新しい武装を携えたRシリーズによる新合体技でイングラムを撤退させた。

 

レビもリュウセイとひと悶着あったが、撤退してしまい助ける事は出来なかった。

 

リュウセイ達の処遇は戦力不足の事もあり、戦線復帰する事となった。

 

今後予測されるホワイトスターとの最終決戦に控える為にスーパーロボット組は各地の研究所で緊急メンテナンスの実施。

 

そしてリアルロボット組もMSの乗り換えや改造などが徹底された。

 

私達ATXチームは部隊を離れて梁山泊へと向かう事となった。

 

全ては龍虎の目覚めの為に…

 

 

=続=

 

 




変異は気紛れ。

誰しもが気が付く事ではない。

突発的に起こるのだ。

次回、幻影のエトランゼ・第十話『竜虎《リュウコ》後編』

竜虎の目覚めは混乱の目覚め。

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