幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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次なる大地は不毛の世界。

閉じ込められし者達の攻防は続く。

そして悲劇的戦いの連鎖は続く。


第二十一話 『影鏡《シャドウミラー》前編』

前回の戦いから更に二週間位が経過。

 

ガープの死を持って第二エリアが解放され、第二エリアにおける宇宙や第一エリアとの通信が完全に回復してしばらくしてから事だ。

 

攻撃を控えていたザフト軍が再び侵攻を開始、同時に地球降下時に戦闘を続けていた例のザフトの四人組も紛れ込んでいた。

 

どうやら彼らもこの侵攻作戦に参加するらしい。

 

こ奴らは…人間同士で争い合っている場合ではないと言う事を理解出来ないのか?

 

もう次の戦闘で出会ったら…とっ捕まえて締め上げよう、うんそうしよう。

 

それに、この前一緒に近くの街の様子を見に行ったキラとカガリ達も様子も余り良くない。

 

理由はあのバルトフェルドとの出逢いだ。

 

察して頂く様にドネルケバブのヨーグルトソースとチリソース討論ネタである。

 

あんまりにもうるさいので私は半分に切って両方のソースを片方ずつかけて食べました。

 

いい年した大人が何をしているのやら、そもそも人の好みにとやかく言われる筋合いはない。

 

と、言うよりも食事位は騒がずに食べて欲しいものである。

 

で、物資欲しさに紛れ込んできたウドの荒くれ者達と遭遇し一先ずはテーブルを盾に避難したが例の如くカガリがソース塗れとなった。

 

連中については食事の邪魔をされたので私が軽く捻っておきました。

 

キラからは「…凄いですね。」とドン引きされてしまった。

 

うん、御免ね…怖がらせちゃって。

 

EF帰りはこうなる事が多いから、もうね…銃を持った兵士の動きが止まっている様にしか見えなくなっちゃってね。

 

アハハ…笑えない冗談。

 

ちなみにバルトフェルドさんからは「君、まさか…コーディネーター?」な発言をされました。

 

違います、れっきとしたナチュラルでEF帰りの念動力者なだけです。

 

その後、そちら側から服の弁償をして頂けるとの事でキラ達と共にザフト軍所属地上戦艦レセップスが守護する駐留基地へと連れて行かれる事となった。

 

正直、争う理由も無かったしこちらも別に正体を明かしたわけではない。

 

例の如く銃を向けられ、あの問い掛けに入った。

 

 

『ただ護るだけじゃ駄目だと…護られる人も前を向いて貰いたいと思っています。』

 

 

キラが伊達に転生を果たしている訳ではないみたいで良かったわ。

 

キラに続いてそこでの問いに私も答えて欲しいとの事で、私はこう伝えて置いた。

 

 

『君は何の為に戦う?』

『戦いは思惑で引き起こされる、私はその思惑と戦うと決めました。』

『思惑?』

『戦うと言う事はそこに何か理由があるからと考えています。』

『理由…ね。』

『その理由によって判断し戦う事を決めます。』

『あくまで限定的な交戦すると言うのか?』

『戦いは単に銃を取るだけではありません、様々な事で決着が着けられると思います。』

『人類全てが君と同じ考えと思えんがな。』

『そうかもしれません、けれどもいつか人は解り合える時が来ると信じています。』

『その物言い、君は絶望かもしれない未来を信じるのか?』

『未来を信じる事は誰でも出来ます、私にとっての未来は一人一人が自分で考え自分の手で掴み取るものと理解しています。』

『成程な、それが君の行動原理か…ハスミ・クジョウ少尉。』

『!?』

『地球連合軍極東方面伊豆基地所属ATXチームの一員、若しくは国際警察機構所属エージェント候補かな?』

『知っていて接触したのですか?』

『知っているも何も君達有名だからね、L5戦役の立役者であるノードゥスは?』

『…』

『それに君も二つ名持ちのエースパイロットだと言う事もね。』

『ハスミさんが?』

『お前、そんなすごい奴だったのか?』

『余り実感してなかったわ。(やっぱり名が売れると不味いような…』

『まあ、君達と次に会うのは戦場だ…その時は正々堂々と戦おう。』

 

 

そんな事で私達は解放されトリントン基地に戻る事となった。

 

だが、私は失念していた。

 

それがバルトフェルドさんとの別れになると言う事を…

 

 

******

 

 

それから数日後。

 

ついに侵攻を再開したザフト地上降下部隊を抑える為に出撃を開始する私達。

 

勇者チームは前回の戦いの負傷が残っている為、動ける者を中心に基地防衛に呈して貰っている。

 

出来る事なら子供達の手を血で染めさせる訳には行かない。

 

割り切っている子達もいるが、本心でない事は確かだ。

 

そこら辺の配慮をしっかりしなければ彼らは潰れてしまうだろう。

 

乱戦が続く中で再びアインストが出現。

 

三つ巴戦となるが、一部のザフト兵達がこれを好機と捉えてこちら側に攻撃を仕掛けて来たのだ。

 

命令を下し、戦場を混乱させぬ様に制止させようとするバルトフェルド。

 

しかし、部下達に声は届かなかった。

 

まるで誰かに操られている様に。

 

 

「…(これじゃあEFの時と同じ!」

 

 

戦場の至る所に出現したアインスト原石により、戦場に居た兵士の精神に異常をきたし敵味方関係なく耐性の無い兵士はその意思を操られてしまったのだ。

 

戦場が混乱し収拾が付かなくなった以上、アインスト原石を一刻も早く破壊しなければならなかった。

 

 

「キラ、一時休戦だ…悪いがお前の力を借りたい。」

「判りました、バルトフェルドさん。」

「キラ、あの一番大きなアインスト原石を破壊すれば他の人達の精神操作は止まる筈よ。」

「了解です、ハスミさん。」

「君、判るのかい?」

「同じものを見た事があるので。」

「道は私達が開きます、キラとバルトフェルドさんはあの原石の破壊に専念してください。」

「了解した、アイシャ…行けるか?」

「大丈夫よ、アンディ。」

 

 

暴走するザフト兵と連合兵の両者と容赦なしに襲い掛かるアインストを相手に私達は動いた。

 

だが、この選択が間違いだった。

 

私もキラ達と共に向かっていれば良かったのだ。

 

アインスト原石を守る為にゲミュートタイプが網を張っていたのだ。

 

それらを掻い潜り、何とかアインスト原石を破壊する事に成功するが…

 

バルトフェルドとアイシャが搭乗するラゴゥが大破したのだ。

 

パイロットの生死は不明、コックピットブロックは破壊され生存は絶望的だった。

 

これに対しアカシックレコードの返答は無限力の介入であると教えてくれた。

 

また、私は選択肢を誤ってしまったのだ。

 

アインスト原石の破壊、ザフト地上降下部隊の司令官の死亡と共にアフリカ戦線の戦いは終息へと向かって行った。

 

捕虜として捕えた例の四人組の内、三人組はこちら側で預かる事となった。

 

名前はイザーク、ディアッカ、ニコルである。

 

これにアスランと言う少年が居たが、戦場の混乱で行方が分からなくなったそうだ。

 

無事で居てくれる事を願いたい。

 

ついでに悪態付いていたイザークはちょっと梁山泊式お仕置きしたら、部屋の隅っこから出て来なくなったけど知~らないっと。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

第二エリア解放後のアフリカ戦線終息から更に二週間後。

 

第一エリアのゾンダーの動きが活発化した事によりGGGは一時帰還する事となった。

 

代わりに協力体制を取っていたランド一行やTERRAが参戦する事が決定。

 

トリントン基地の防衛は引き続きアルビオン隊ら駐留部隊が引き受ける事となった。

 

そして、私達は第三エリアに向かう事となったが…

 

そこでの戦いもまた熾烈な思惑の真っ只中にあったのだ。

 

 

******

 

 

第三エリアは惑星アーストの一角、そしてセフィーロの一角、アースティアの一角、北米大陸がくっ付いた状態のエリアだった。

 

運良くセフィーロとコンタクトを取っていたキョウスケ中尉らハガネクルー、イオニア一行と合流する事が出来た私達はセフィーロの城を拠点にセフィーロ城を狙うドン・ハルマゲの軍勢、エルンスト機関、邪竜一族、偶然にもペンタゴナワールドのポセイダル軍やドラゴ帝国の軍勢も入り込んでいたのでこれも排除する形で戦闘を続けていた。

 

そしてこのエリアの支配者ドーザの介入もあり、戦線は一向に収まりを見せる事が無かった。

 

しかし、兆しと言うモノは現れるモノである。

 

惑星アースト側の支配者マーダルの提案により第三エリアの支配者であるドーザ討伐までの間、共同戦線を張る事が決定した。

 

同じ様な提案をするもののエルンスト機関は沈黙、他は徹底抗戦の構えを見せており、結局提案を受けたのはセフィーロ側や白い谷のレジスタンスを始めとしたペンタゴナワールドのレジスタンス連合である。

 

最も母親を奪われたジョジョことジョルディ王子は悟ったかの様にマーダルの提案を受けていた。

 

この混乱した戦況を良く見ての判断だろう。

 

記憶を所持している以上は色々と葛藤があっただろうが、彼なりに考えた末の判断だ。

 

私はキョウスケ中尉達との再会とエメロード姫への謁見などで右往左往していた。

 

エメロード姫との謁見で危険視していた事例が発覚した。

 

今回の転移事件を切っ掛けにセフィーロを狙う闇の女王が出現したとの事だ。

 

その者の名はデボネア。

 

エメロード姫曰く、人々の恐怖を拭い去らない限り何度も復活するらしい。

 

うん、知っていました。

 

それに地球をベルターヌから解放しないと恐怖の感情を糧に何度も復活するって事も知ってます。

 

唯一の救いは向こう側にノヴァとアルシオーネが居ない事が幸いである。

 

ノヴァはずっと光の傍で霊体?の姿で引っ付いたままだし、アルシオーネはザガートとの恋を割り切ったのかスッキリしていた。

 

その代わり、姫の守護精獣であるイノーバが悲惨な眼に遭っている事は眼を瞑ろう。

 

クレフを始めとした魔導士達も無事であったし、今はこの戦線をどうするかに集中しよう。

 

光と風にも恋人の元で少し休んで貰いたい。

 

海はアルシオーネ達と一緒にお茶会をしているし、彼女達の精神安定に繋がって欲しいと思う。

 

私はエメロード姫に呼び出され、例の事について問い掛けをされた。

 

例の事に関しては今はまだ話す事が出来ない。

 

エメロード姫は同じ境遇だからこそ、間違った選択をして欲しくないと心配されてしまった。

 

以前出遭った少女の姿ではなく大人びた女性の姿で語る姫はとても凛とした立ち振る舞いで女王を務めていた。

 

今は夫婦の間柄となったザガートと共に国を治めている。

 

本来なら手に入れる事の出来なかった未来だ、出来る限り幸せになって欲しいものだ。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

第三エリアに到着してから三日後。

 

例の地震発生前までイオニア一行と行動していたドモンさんが発見された。

 

それも最悪な結果で…

 

 

「ドモンさんがDG細胞に感染した!?」

「ああ、エルンスト機関と言う組織がこちら側に潜入してDG細胞の欠片を奪取していたらしい。」

 

 

エルンスト機関に所属していたシャーリィと言う少女の話によると邪竜一族やモンスカーの脅威からアースティアを守る為にとある人物の介入を経てDG細胞を手に入れたとの事だ。

 

しかもコアとして精霊石を使用したものの暴走、エルンスト機関は瞬く間に占拠されてしまったのだ。

 

それを聞きつけたドモンさん達が止める為に先行したものの精霊石と言う半永久的エネルギー精製プラントを手に入れたDG細胞は止まる事を知らず、暴走を続けた。

 

そして最悪な事に生体コアとしてレインさんが捕らえられてしまったのだ。

 

レインさんを救おうとしたドモンさんも精霊石によって強化されたDG細胞に感染。

 

現在もDG細胞の感染が進行しつづげ、生死の境を彷徨っている始末である。

 

イオニアの治療室でキョウジさん達が必死に除去作業を続けているが、以前安定しない。

 

…無限力、ここまで性根の腐った事をし続ける気か!

 

そして先程、エルンスト機関本拠地である空中施設ウルタリアはDG細胞によってデビルウルタリアへと変貌。

 

第三エリアを喰いつくそうと現在も増殖を続けている。

 

話を戻すが、エルンスト機関に接触しDG細胞を提供した人物達の名前が判明した。

 

行方を眩ませていたウルベ、そしてシャドウミラーのヴィンテルの名が出たのだ。

 

ホルトゥスでも行方を追っていたが、最悪な事にシャドウミラーと接触を果たしていたらしい。

 

これも無限力の介入か…

 

 

******

 

 

デビルウルタリア出現から半日が過ぎた頃。

 

イオニア一行が先行してデビルウルタリアから出現したデスアーミーの軍隊に対応。

 

それに参じて現れたドーザに対しマーダル軍の協力もあり勇者チームとセフィーロの魔術師達が応戦。

 

私達の部隊はデビルウルタリアへの突入を検討していた。

 

 

「では、これよりデビルウルタリア攻略作戦の説明を行う。」

 

 

ハガネ艦内のグリーフィングルームにて説明会が行われた。

 

判りやすくすると二つの部隊に分けられる。

 

デビルウルタリア内部に侵入する部隊と外部から侵食を防ぐ部隊だ。

 

なお、ドモンさんはDG細胞の除去作業が難航している為に今回の作戦から外されている。

 

侵入部隊はドモンさんを除いたシャッフルの人達を中心としたMS、MF、PTの混合部隊。

 

外部への攻撃は大火力のスーパー系と言う事でクスハ達と私、ロサなどの特機乗りである。

 

ちなみに今回はセフィーロのエリアがある為に念神への負担は軽減されている。

 

つまりは大火力の満漢全席は可能である。

 

デビルウルタリア、まさかと思ったけど中二病化アマネ君も出て来ている以上は注意しなければならない。

 

ホルトゥスのメンバーも動ける者をこちらに回して貰っているが、救援が間に合うのかは不明だ。

 

現在、同時刻において第一エリアでゾンダーが東京エリアを中心に例の事件を引き起こしていた。

 

第三エリアでデビルウルタリアの出現。

 

第一エリアでゾンダーの人類ゾンダー化作戦の発動。

 

危険視している中でもヤバい大規模事件がダブルで起こっていたのだ。

 

正直、自分の不甲斐無さに落ち込みそうだ。

 

何の為の念動力者だ?サイコドライバーだ?アカシックレコードへのアクセスだ?

 

使えなければ何の役にも立たない。

 

ただの知識の垂れ流しだ。

 

私は悪魔になっても構わない、自分の中の記憶と知識で誰かを救えるのなら…

 

私は闇に飲まれる事を拒絶しない。

 

 

=続=

 




それは何の為の知恵?

それは何の為の力?

それを知る事は闇を知る事である。

次回、幻影のエトランゼ・第二十一話 『影鏡《シャドウミラー》後編』

知り過ぎる事になっても闇に飲まれる覚悟を決めろ。
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