幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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蒼き海に希望を捨てずに進む者達。

これも奇跡。

互いの蟠りを拭い去る。

今はただ…

互いの手を取り合うのだ。


第二十三話 『魔海《マカイ》後編』

救難信号の反応に接近するに連れて襲撃を受けている大隊の所属先は判明した。

 

オーブ所属のオーブ海軍と負傷し同じく救難信号を発し続けていたザフトや連合と言った例の大地震に巻き込まれてしまった…はぐれ部隊の一つだった。

 

オーブ側が人命救助と言う名目で救援に出た様だが、運悪くこのエリアを支配する魔族に眼を付けられたのだろう。

 

こちらは進行ルート上に存在する無人島群へ敵を誘い込む戦闘を展開する事となった。

 

理由は水中と空中で活動出来る機体が限られてしまっている為である。

 

特機でオーブ艦隊の艦橋を利用した因幡の白兎な事は出来ないので…

 

 

******

 

 

大分説明が遅れてしまったが、あの第二エリアに転移した後。

 

私達が地球を留守にしている間に上層部の判断でノードゥスが再編され、元所属や新規配属された者達が今回の事態終息に向けて組み込まれる事となった。

 

現在、部隊は分割して行動しているがノードゥスに変わりはないので現場では総称してノードゥスと名乗っているのである。

 

 

「こちら地球連合軍所属・独立遊撃部隊ノードゥス。」

 

 

ダイテツ艦長がオーブ艦隊の司令と交渉した所…

 

何とかこちら側の救援活動を受け入れて貰えた。

 

国連事務総長の管轄である地球防衛軍の主力部隊や一部の赤袖のザフト兵君達が居た事や…

 

カガリ・ユラ改め、カガリ・ユラ・アスハがバイパス役として乗船していた事もあり話はスムーズに終えたのもある。

 

カガリの跳ねっかえり姫も私達と行動を共にする事で考えを改めた為だ。

 

シャイン王女や同世代の子や年下の子達と一緒に行動した結果が出た事もある。

 

良かったね、あの状態でアスカに出会ったら確実にダメ出しにされてただろうし。

 

俗に言う年下に言い包められるって感じで、アスカの場合だと毒舌三割増しだが…

 

お付きのキサカさんも陰ながらでホッとしていた表情を見る限り出会う前からも相当荒れてた様だ。

 

 

「ダイテツ艦長、こちらは各艦隊の防衛をしつつ救援活動に入ります。」

「判った、戦闘はこちらに任せて貰おう。」

「了解しました。」

 

 

地球防衛軍側の戦艦箱舟の艦長である愛美はダイテツ艦長に救援活動の進言をした後、各勇者達に負傷した混合艦隊の支援に向かわせた。

 

殆どが人命救助のスペシャリストだ、一時戦線離脱中のGGGが欠けているがその効力を失った訳ではない。

 

しかし、油断出来ないのは確かだ。

 

相手は水中を高速で移動する事が出来る闘飛魚と呼ばれる魔族の手下。

 

オマケに高水圧を利用した攻撃でMSなどの装甲を斬り裂く事も可能。

 

今回の戦場が海である事も災いしてか地の利は彼らにある。

 

そしてオーブ海軍、ザフトと連合の水中部隊が大打撃を受けたのもこれが原因だ。

 

かつての勇者の物語ではガオガイガーのディバイディングドライバーで奴らを海中から引きずり出す一種の漁っぽい戦法で勝敗を上げていた。

 

ガオガイガー不在の為にその戦法が使えない以上は別の方法を模索するか同じ状況を再現するしかない。

 

悪報ばかりだったが良き朗報もある。

 

オーブ艦隊には護衛として新たな仲間と共にノードゥスのメンバーも組み込まれていた。

 

新たな出会いと奇跡の再会と言う状況でもあるが…

 

不運な状況下での出会いでも受け入れるしかないだろう。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

戦闘開始からしばらく経った後。

 

ブレードとエビルは先行しこちらへ侵攻してきた闘飛魚の群れを追っていた。

 

その中でオーブ艦隊に紛れて戦闘を続けていた同じ鎧を身に纏った存在を発見したのだ。

 

 

「あれは!」

「まさか…オーガン、トモルなのか?」

 

 

同じ様にその姿を発見し声を発したオーガン。

 

しかし、前世で戦う事となってしまった存在を目にしたのか一瞬の驚きを隠せないでいた。

 

 

「やっぱり、Dボゥイさん。」

「トモル、お前にも記憶があるのか?」

「はい、思い出したのは最近ですけど…あの。」

「ああ、僕の事か…今回は初めましてかな。」

「シンヤは味方だ、安心してくれ。」

「そう言う事、前は色々とあったけどよろしく。」

「聞きたい事は山ほどありますけど…今は。」

「ああ、奴らを叩くぞ!」

 

 

今は目処前の敵を退ける事に専念した。

 

話さなければならない事。

 

どうしても話したい事。

 

それを胸の内に収め、今は仲間と共に己の槍を奮うのだ。

 

 

「…(Jルートにも似た展開でオーブ艦隊と来ればwルートのオーガンと接触するのは必然か。」

「ハスミ、凱さんの方法が使えない以上は水の魔族を退けるのに時間が掛かるよ?」

「まあ、方法はない訳じゃないんだけど…」

「どう言う事?」

「それを可能にするにはロサの協力が必要になる。」

「?」

 

 

ここに地の属性のエザフォス、光と闇の属性のエクリプス。

 

双方共に原動力は違うがセフィーロで授かった魔法は使えるのだ。

 

そこで私が発案したのが以下の通りである。

 

先ずは私の拘束魔法の一つ『鋼月の縛糸』で敵を捕縛し一定の場所に集める。

 

そしてロサの局地変化魔法の一つ『大地の変動』で敵を海から引き揚げる。

 

そして皆で袋叩きと言う余りにも判りやすい作戦である。

 

伊達に前世で失恋の痛みを忘れる為に色んなRPGに勤しんでいた訳ではない。

 

方向性と転用の可能範囲を考えた上で判断してやった事だ。

 

ちなみにこれにはある理由が存在する。

 

それは光達がセフィーロで覚えた魔法が極端すぎた事が原因だ。

 

原作と同様、光と海は攻撃系の魔法、風は補助支援よりの攻撃系の魔法になっている。

 

体力回復が風頼みになってしまうし毒等への治癒魔法が全く使えないとなると厄介だ。

 

そこで私とロサの介入の件もあり、これを克服する為に私達の属性魔法の成長方向を変異させた。

 

ロサは解毒などの治癒魔法、他者への攻防特化や補助支援。

 

私は精神汚染などの複数の治療魔法を可能とした某魔剣士の様なスタイルへと魔法を伸ばす方向に変異させた。

 

考えようでは光は炎系統なので熱を応用した魔法。

 

海なら水系統の魔法を使いこなせるから水質変化や霧とかの魔法。

 

風も大気元素の変異させて攻撃する魔法を使えそうなものと思っていた。

 

やはり、セフィーロの魔法は当人の心によって作用するモノが多いのか結局は発現しなかった。

 

ただ剣で斬り裂き銃を撃つだけが戦いではないし様々な方法がある。

 

ここに黒の騎士団の統括が居れば、もっと効率のいい方法を思いつくだろうが…

 

今は出来得る限りの方法で戦局を乗り切るしかない。

 

 

******

 

 

同時刻、同じ戦場で戦闘を続けるSRXチーム。

 

今は二手に分かれて行動している。

 

海の中から出現しては潜航し姿を消す相手にリュウセイとライは苛立ちを覚えていた。

 

 

「ちっきしょう、アイツら海の中に潜りながら攻撃してきやがる。」

「こちらの戦術を制限するつもりだろう。」

「…奴らの親玉は今まで戦って来た魔族の連中よりも頭が切れるって奴か?」

「かもしれんな、特に第一エリアから第三エリアの魔族は力押しの連中が多かった。」

「まあ、その内の一人はハスミがタイマン張って倒しやすくしたけどよ。」

「兎も角、奴らにとってこの戦場は最も効率のいい場所である事は確かだ。」

「こっちで使えそうな手は本人不在で使えねえ、打つ手なしか?」

「…気持ちは解るが、今は手を動かせ。」

「解ってるって。」

 

 

海と言う戦場は彼らにとって不都合な戦場である事は確かだ。

 

水の中ではビーム兵装は全くと言って使用できない。

 

その為、攻撃方法は実弾系や近接武装に限られてしまう。

 

この理由によりテッカマン達も切り札であるボルテッカを使用する事が出来ない。

 

原因はボルデッカのエネルギー源であるフェルミオンは水の中では複雑な水の分子に反応し暴発してしまうからである。

 

もしもボルテッカを水の中で撃てば判るだろう。

 

私は今でもあのシーンが脳裏に焼き付いている。

 

それはブレードの物語での話であるが…

 

あるデータを採取する為にブレードと仲間達は水中の施設へと向かったがボルテッカを封じられた状態での水中戦を強いられたシーンである。

 

敵はこちら側の戦術を把握している様で一向に水の中から潜航し纏まって行動する事がないのだ。

 

そして深手を負った相手を助けに行く人間の行動心理を利用しているのも含まれている。

 

余りにも計算づくされた戦いだ。

 

 

「海での戦場でやられたら厄介な戦術をほぼやられていると…本当に腹が立つわ。」

「相手に色々やっちゃったもんね。」

「でもね…」

「?」

「あの魔族達はそれぞれ独自のプライドが強すぎて互いに干渉する事は全くもって皆無な筈なのに…」

「変わったって事は?」

「どうかな?切羽詰まっているなら解るけどね。」

 

 

情報が少なすぎるので確実とは言えないのだが、彼らは互いに干渉する事はない。

 

寧ろ互いに捨て駒扱いするや出し抜くなどの意識が強いからだ。

 

ネタバレになってしまうが、後々赴く事になるアマゾンエリアを支配した闇の属性を持つネクロは己の時間稼ぎの為に他の魔族達を復活させ足止めに利用していた。

 

その力さえも他の魔族を凌駕していたのは主君であるバルドーと同じ属性の為に能力の恩威でも受けていたのだろうと今更ながら推測した。

 

推測に過ぎないし情報自体が少ない作品だったので有耶無耶である。

 

話を戻すが、敵が焦っているのは理解出来る。

 

この戦いから介入をし続けた事で彼らの活動は余りにもねじ曲がってしまっているのだ。

 

不完全な復活を遂げた彼らが次に狙うとすれば…奪い損ねたアフェタの回収とシズマの抹殺だろう。

 

それだけは避けなければならない。

 

シズマの死は完全なる『最後の剣』の復活を意味する。

 

それと同時に魔族側の『暗黒剣』の復活をも意味する。

 

今回の一件への介入はこの結末を変える為に起こした事だ。

 

もしもそれが崩れたら『あの悲劇』の再現が起こってしまう。

 

それはバアルの思うつぼだ。

 

バアルは命ある者達に対して絶望的未来へ向かう様に逝くべき道を仕向ける。

 

それを防ぐ為に真化した者達が存在するが、如何言う訳か真化に至る者が出現しなくなった。

 

それも原因かは不明だが例の輪廻を繰り返し今世における数億年前からもそれが停滞しバアルは予想以上の力を付けてしまったのである。

 

そこで世界の意思は真化の可能性を持つ者達に前世の記憶を所持させ再生させたのだが…

 

どれも失敗に終わってしまったのだ。

 

理由は聞かされていない。

 

ここで世界の意思は最終手段として異世界から素質のある人間を転生させようと決めた。

 

これも失敗に終わった。

 

この理由は言わずとも異世界転生モノ書籍にアリがちなネタが披露されてしまったのである。

 

それはその人間が持つ知識などの暴露や暴走が原因であるのだが…

 

最初に転生させられたAはヒロインとイチャイチャしたいと言う事で即刻に元の世界で赤子に転生させられ戻された。

 

続いてのBは見事なまでの戦争オタクで根っからのhappyトリガーだった為に転生してからしばらくした後に戦死した。

 

Cは私と同じく女性だったが求めていた恋愛小説の世界ではなく戦争モノへの転生と言う余りの結末に発狂し自害を果たして退場。

 

Cの次のDは初老の男性で真面目な政治家と言うスキルで何とか戦争終結へと導いたがロゴスの様な戦争商人に暗殺されてしまった。

 

そしてEは子供だったが所持した能力が原因で研究所へ拉致後、人体実験の餌食となり退場した。

 

その後も何度も異世界からの転生者を募り世界を変えようとしたが失敗に終わってしまったのである。

 

と、言うより人選が一部間違っている様な気もしなくもない。

 

私はその何人目かの転生者に選ばれた。

 

今の所は順調とは言えないが世界の望んた通りに対バアルに向けて動けていると思う。

 

 

「兎も角、連中にこれ以上好き勝手される訳にはいかない。」

「始めるの?」

「いや、キョウスケ中尉達に案件を持ち込んでからにしよう。」

「今回は慎重だね。」

「どうもさっきから嫌な気配を感じる…この気配は警戒しない訳には行かない。」

「気配?魔物の気配はエザフォスを通して私にも感知出来るけど…他に気配なんてあったの?」

「…(ロサにも感じ取れない気配って…まさかスフィアの影響?」

「でも、ハスミが言うなら私は信じるよ。」

「ありがとう、ロサ。」

 

 

今回の戦場、このスフィアが教えてくれているのなら相当ヤバいのが来るって事か…

 

アカシックレコードから何も音沙汰が無かったら失念していた。

 

一体何が来る?

 

良く思い出せ、魔族の他にあり得る襲来は…

 

アインスト、マシンナリーチルドレン、インスペクター、新たな転移者か?

 

海で遭遇する事象に関係する事。

 

っ!?

 

さっきのビジョンは…?

 

海に影。

 

あの影はまさか!?

 

 

******

 

 

同時刻、同海域内にて。

 

 

「ブリット君、今のは?」

「ああ、俺も感じた。」

「あの感じは前に戦った妖機人よね?」

「恐らくは…」

「でも、どうして二つも気配が?」

「判らない。」

『クスハ、ブリット、すぐに海から離れて!!』

「は、ハスミ?」

「何が…!?」

 

 

異質な気配を感じていたクスハ達超機人操者。

 

しかし、行動が遅かった故に海から延びる魔の手から逃れる事が出来なかった。

 

そのまま海中に引きずり込まれていった。

 

 

『遅かったか…』

「ハスミちゃん、アレは一体。」

『気配から察するに超機人に似ていますけど気配は真逆の存在です。』

「以前、クスハ達を襲った妖機人か?」

『恐らくは、気配を感じたのは今回が初めてなので正確性はありませんが…』

「キョウスケ、どうするの?」

「ハスミ、その念神は水の中でも動けるか?」

『可能ですが、今回ばかりは手を出す事は出来ません。』

「どういう事だ?」

『龍王機と虎王機がこの戦いに手を出すなって威嚇しているんです。』

「ええっ!?」

「訳アリか?」

『可能性はありますね、若しくはクスハ達に試練でも与えるつもりかもしれません。』

「試練だと?」

『そうです、自分達の操者として資格があるのか改めて行おうとしています。』

「全く、いい迷惑だな…これがな。」

『同意見です。(原作と同様に相っ変わらず頭か堅いですからあの二頭は。』

「それじゃあ、おとなしくクスハちゃん達が上がってくるのを待っているしかないわけ!?」

「それもだが、俺達は例の魚共を片付ける作業が残っている。」

『キョウスケ中尉、その件ですが…私に案があります。』

「それは確実か?」

『この手段を確実にするには皆さんの協力が必要です。』

「判った、内容を聞こう。」

 

 

クスハ、ブリット、今が正念場。

 

確実に龍王機と虎王機を認めさせる為には貴方達が覚悟を決めなさい。

 

相手は過去の亡霊。

 

海に沈みし烏賊と蛸の妖機人。

 

烏賊八帯なんかに負けないで。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

「ブリット君。」

「ああ、こいつは厄介だ。」

 

 

海中に引きずり込まれた龍虎王。

 

その相手は十の脚と八の脚を持つ異形。

 

乗り手の意思はない。

 

其処にあるのは憎悪だけ…

 

 

「何なのこれ…」

「奴は俺達じゃない、龍虎王を憎んでいる?」

「でも、どうして?」

「恐らくオーダーファイルに記載されていた妖機人。」

「オーダーファイルの?」

 

 

オーダーファイル。

 

それは新西暦が始まる前の旧西暦に遡る。

 

始まりは一度目の世界規模の大戦が行われた頃。

 

オーダーファイルとはトウゴウ家、ブランシュタイン家、グリムズ家、コウトク家、クジョウ家。

 

この五つの家系がバラルと対峙していた時の記録である。

 

それぞれの家系ごとにオーダーファイルの記述を分けて管理している。

 

それはバラルの手を逃れる為の措置である。

 

だが、コウトク家は二回目の世界大戦前のバラルとの一戦で当主の少女が姿を消した為に記録は消失。

 

今代のグリムズ家は敵の為に閲覧は不可。

 

クジョウ家は代々当主より次代当主へ口伝される為、ハスミは母親の口伝を聞く事が無かったので不明とだけ答えている。

 

現在閲覧が可能なのはトウゴウ家、ブランシュタイン家の記録のみである。

 

 

「記述にあったどれかは不明だが間違いない。」

「水の中を自由に行き来する妖機人でも!」

「俺達は負けられないんだ!」

 

 

過去の因縁を断ち切れ。

 

それが新たな操者となった二人に課せられた試練。

 

竜と虎は二人の意思を汲み取る。

 

自らの操者に相応しいと。

 

 

「スケイル・バルカン!」

 

 

龍王の鱗が自らを絡め取る十八の腕をはじき返す。

 

 

「龍王破山剣!」

 

 

龍王の剣を構える。

 

 

「クスハ、落ち着いて奴の姿を捕えるんだ。」

「ありがとう、ブリッド君。」

 

 

相手の動きをよく見る。

 

 

“周囲の気配を感じて相手の動きを予測するの、そして大事なのは…”

 

 

ハスミ、判っているわ。

 

 

「必要なのは折れない剣じゃない、折れない心!!」

 

 

“そう心の在り方、それが念の力に作用する”

 

 

クスハの思いとブリッドの激励により龍の一撃は過去の亡霊を斬り裂いたのである。

 

 

******

 

 

『どうやらクスハ達の決着が着いたようです。』

「そうか。」

『お膳立てはこちらで準備しました…後は煮るなり焼くなりお願いします!』

『魚料理の大盤振る舞いです!』

 

 

鋼月の縛糸で敵を拘束し指定エリアまで下がらせる。

 

次に大地の変動で指定エリアごと海底から連中を押し出す荒行だ。

 

その後はお分かりで在ろう。

 

 

「クレイモア!」

「玄武甲弾!」

「ヴァイスちゃんのスナイピング舐めないでね、ラミアちゃんもよろしく♪」

「了解でありんす!」

 

 

ATXチームの銃撃。

 

 

「水を得た魚の時間は終わりだ。」

「僕らにボルテッカを一度も撃たせなかったのは残念だったね!」

「その分のフェルミオンを受けて貰う!!」

 

 

飛び交う三色の閃光。

 

 

「お前達、一斉射撃だ。」

「了解。」

「アラド、外さないでよね。」

「解ってるって!」

「こちらも援護を開始します。」

 

 

戦技教導隊もそれに続く。

 

 

「アンタ達、あの子達が良い位置に打ち上げたんだ!外すんじゃないよ!」

「肯定だ。」

「本当にいい位置だぜ!」

 

 

ミスリルが…

 

アークエンジェル組が…

 

シャッフル同盟が…

 

マサキが…

 

打ち上げられた闘飛魚の群れを打ち取った。

 

そして今回の戦闘は終わりを告げた。

 

 

******

 

 

「さてと…どうするかね?」

 

 

その戦場を見物する一機の影があった。

 

 

「ウェンドロに報告すべきだろうが…今の奴は。」

 

 

言葉を言いかけたが口を閉じた。

 

 

「…本当に過去の記憶があるって困るよな。」

 

 

=続=

 




暁の国で戦士達は一時の休息を得る。

それは早い出会いと再会が待っていた。

次回、幻影のエトランゼ・第二十四話 『宝珠《オーブ》』。

新たなる奇跡を刮目せよ。

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