幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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求めた未来に進む為に。

知り得る事を口に紡ぐ。

それが開示すら許されるもので無くても。

真実を追い求める事を止める事は出来ない。

それが山羊の宿命ならば。


第三十二話 『大地《アースクレイドル》後編』

私達は目的地である研究施設があるエリアへ移動しながら話を続けた。

 

 

「それが真実だと言うのか?」

「その通りです、ここに隠された闇はそれだけ深いのです。」

「コーディネーターの遺伝子研究が別の組織でも広がっていたとは…」

「数十年前に起こったバイオハザードで壊滅したコロニーメンデルの生き残りが様々な機関にその情報を売り渡したのが事の発端でした。」

 

 

過去にアカシックレコードで調べた事件がある。

 

キラとカガリの生まれ故郷であるスペースコロニー・メンデルで大規模バイオハザードが発生。

 

今世では住民の多くが避難出来ずに死滅。

 

生き残ったのは赤子だったキラ達と数名の人々だけだったそうだ。

 

その生き残りの中にメンデルで遺伝子研究を行っていた科学者達も含まれていた。

 

問題はその生き残りの中に木原マサキが居た事だ。

 

元々、木原マサキはアイドネウス島の研究機関で次元連結システムと遺伝子研究に携わっていた。

 

だが、彼の研究には犠牲が伴った為に研究機関内で徐々に孤立していった。

 

後に木原マサキはEOTの研究機関を去り、鉄甲龍で秋津マサトを含めた八卦衆と幽羅帝のクローン受精卵と八卦ロボを造り出した。

 

最終的に自らが殺された後も含めて幾つかのトリガーを残して。

 

そのトリガーが今回の問題点で厄介な一件であるが、私が助言する事は出来ないので止めて置く。

 

 

「その情報がこの先の研究施設に眠っていると?」

「はい、木原マサキの研究に手を貸していた人物がここでも暗躍している事を知った私はその情報を求めてここに来ました。」

「その者の名は?」

「アルテウル…アルテウル・シュタインベックです。」

「アルテウル?」

「確か、グライエン・グラスマン氏の補佐官をしている者だったな。」

「今は…ですかね。」

「今は?」

「奴の正体はユーゼス・ゴッツォ、L5戦役でマイやカーウァイお義父さん達を操っていた存在です。」

 

「「!?」」

 

「あの時、ホワイトスターで倒したのは奴の複製でした。」

「では、奴はL5戦役後も地球に潜んでいたと言う事か?」

「そうです…私も危うくアラスカ基地で消されそうになりましたよ。(半分は黒のカリスマのお遊びだけど。」

「ハスミ少尉、もしや木原マサキの次元連結システムとは…」

「はい、ユーゼスが話していたクロスゲートパラダイムシステムの副産物です。」

「やはりか…」

「私も最初は目を疑いましたが…奴が生きている以上、可能性はあると思いました。」

 

 

ユーゼスは地球に潜伏し自らの研究を完成させる為にその分野の優秀な科学者に情報の一端をばら撒いた。

 

そして自身にとって有益な情報が出るのを待っていた。

 

撒いた種をから作物を収穫する様に撒いた種を手に入れた研究員からその命と研究結果を刈り取ったのだ。

 

 

「その様な絡繰りが…」

「ちなみに奴はニブハル・ムブハル大統領特別補佐官とも繋がっています。」

「…私はもう何も驚かんぞ。」

「ハスミ少尉、その件に関しては…」

「記憶を持つキョウスケ中尉達なら仲間内で話していると思いますが、今の話はこの場に居るテンペスト少佐、ギリアム少佐、ロサにしか話していません。」

「…そうか。」

「どの道、この事は後に判明する事なので先取り情報と思ってください。」

 

 

後の封印戦争で嫌と言う程、奴らと関わる事になる。

 

マサキ経由でビアン博士にもこの事は伝わっていると思うし、悪い様にはならないと思いたい。

 

でなけれはODEシステムの開発中止がされる筈もないので。

 

私は何処までも中途しか出来ない。

 

 

「続きは後程、今は旋風寺社長と勇者特急隊所属の特機二機の奪還が最優先です。」

「解っている、彼も記憶を持つ者なら早々救い出さなければならない。」

 

 

だが、私はこの先に眠る闇が途方もなく深い事を知る筈もなかった。

 

そこに闇がある、それだけをアカシックレコードで調べただけだ。

 

その先の闇の深さを自ら判断する事と指示された様に…

 

 

*****

 

 

地上でダイゼンガーとスレードゲルミルがアースクレイドル頂上で斬り合う中。

 

地上に残った仲間達はAnti・DC、鉄甲龍、アマルガムの連合部隊に応戦していた。

 

アフリカの砂漠にAWの残骸が墜落しASの爆散した欠片が散らばる。

 

戦闘は太陽が地平線に沈むまで続いた。

 

更なる追撃で現れた敵幹部クラスの機体と交戦を始めた頃。

 

潜入部隊はアースクレイドルの最深部へと到着した。

 

 

「ここが最深部の様だな。」

 

 

アウゼンザイダーを筆頭に最深部へ到達する潜入部隊。

 

潜入した各機は巨大なホールの様な場所へと降り立った。

 

 

「随分と変わってしまった様ね。」

「オウカ君、ここに居た事があるのか?」

「はい、私やアラド、ゼオラ、ラトゥーニも以前ここに居た事があります。」

「L5戦役前よりもずっと昔の話っすけどね。」

「アラド、敬語!」

「で、あります!」

「そうか…」

 

 

オウカの話を皮切りに質問するエルザム少佐。

 

かつてスクールに居た頃、ここに居た事をオウカは説明した。

 

ロドニアに移され、戦技教導隊に救出して貰わなければラトゥーニに会えず、もっと酷い事になっていたかもしれないと話した。

 

それに対しゼオラ、アラドも肯定した。

 

 

「ラトと別れた私達はロドニアのラボで調整を受けていましたが、あの時ロドニアでラトに助けて貰わなければどうなっていたか…」

「オウカ姉様。」

「もっと酷い事になっていたと思うぜ、姉さん。」

「アラド?」

「ラトや他の皆をあっさり捨てた連中だ、もっと悪い事になっていたと思う。」

「アラドの言う通りよ、姉様。」

「ゼオラ。」

「だから俺達がここにいるのもそう言う事なのかもしれない。」

「ええ、私達でスクールの因縁を断ち切りましょう。」

「姉様、私達も一緒に戦う。」

「私もラトゥーニ達のお手伝いさせてくださいませ。」

「判ったわ、アラド、ゼオラ、ラトゥーニ、シャイン王女、私達でアギラとの決着を付けましょう。」

 

 

オウカ達スクール組とシャイン王女の決意は固まった直後。

 

 

「ふん、人形共め…余計な知恵を付けおって。」

「その声は!」

「間違いねぇ、その声はアギラ・セトメ!」

 

 

アースクレイドル最深部でグラビリオンを筆頭とした部隊を展開するアギラとその護衛の兵士達。

 

その中にアマルガムのASや二機のベルゲルミルの姿も含まれていた。

 

アーチボルト機の姿は無いようなので、恐らくリクセント公国で死亡したのは確実だろう。

 

 

「ふん、ブロンゾ28か…少しは使える様になったようじゃの。」

「アラド・バランガだ!番号で呼ぶんじゃねえ!」

 

 

何処までもアラド達を人形と番号呼ばわりするのは変わっていない。

 

その様子にオウカ達も反論する。

 

 

「セロめ、名前なぞ余計なモノを与え追って…」

「セロ博士は貴方よりも出来た人と言う事です、アギラ・セトメ!」

「アウルム1、お前はもっと利口だと思ったが…ワシの見当違いか。」

「アウルム1の名は捨てました、今の私の名はオウカ・ナギサです。」

「そんな事はどうでもいい、…その様子だとブロンゾ27も居るようじゃの。」

「私にはゼオラと言う名前があるわ……貴方がラトを捨てた!その怨みは忘れたりしない!」

「ラト?もしやラトゥーニ11か…死にぞこないがまだ生きて居ったか。」

「アギラ・セトメ…!」

「まあ良い、貴様らなぞ不要じゃ…ワシももう少し利口な子達を手に入れたのでのう。」

「まさか…その周囲の機体に乗っているのは!?」

「そうじゃ、お前達のデータを元にゲイムシステムに適応させたワシの可愛い子達よ。」

 

 

真の意味で人形の様な状態でエルアインスに搭乗する兵士達。

 

搭載されたゲイムシステムによって既に戦うだけの兵士に成り下がっているのだろう。

 

自我を無くし、ただ命尽きるまで戦い続けさせられるとも知らずに。

 

 

「酷い。」

「…何と言う事を!」

「出来そこないのお前達のデータは有効に活用させて貰ったぞ。」

「ふざけんな、俺達を物扱いしやがって!」

「アラド…!」

「ああ、ゼオラ、ラト、シャイン王女、姉さん、俺達でアギラの奴を止める!」

 

 

荒ぶる百舌の咆哮と共に姉妹達もその後に続いた。

 

 

♱ ♱ ♱ ♱ ♱ ♱

 

 

同時刻、研究施設内通路にて。

 

 

「バイオネットのサイボーグに量産型Wシリーズの配置でも…やれなくはないです。」

 

 

量産型Wシリーズの兵の一体を一刀両断し突き進むハスミと道中で拾ったサブマシンガンで援護するギリアム。

 

その後ろにテンペスト、ロサの順の配置である。

 

 

「しかし、君達の鎧にあの様な機能が備わっていたとは。」

「まあ限度があるのですが。」

「もう私は何があっても驚かんぞ。」

「ですよね…」

 

 

例の鎧に搭乗していた機体を収納する事が出来た事を話しつつ。

 

同じ様に味方への援護射撃を行いながら目的の研究施設へと向かっていた。

 

相手はEFで嫌と言う程に相手をした量産型Wシリーズ、初期型の戦闘特化タイプではないとは言え油断は出来ない。

 

そして通路の先の扉の前に陣取る二体の人影。

 

 

「ちっ…(最後の最後でアラストルまで持ち出すとなると…この先で間違いないようね。」

「ハスミ!」

「ええ、二人でなら何とか倒せる!」

 

 

私とロサがアラストル二機の相手をする為に前に出た。

 

アラストルには機銃とボール・ベアリング、おまけに自爆装置付きである。

 

だが、奴らにも決定的な隙がある。

 

 

「…どんな輩にも弱点がある事に変わりはない!」

「ハスミ、相手の自爆装置は私に任せて。」

「ロサ、頼んだわ。」

 

 

この手の機銃掃射は過去の九十九事件からEFでも嫌と言う程に慣れている。

 

慣れが原因でこの位避ける事は出来るのだ。

 

私はアラストルの一体に接近し関節部分を切り裂く。

 

どうやら関節部分の装甲強化を行っていなかったのかあっさりと切断する事が出来た。

 

アラストルの動きの鈍さは原作と変わりない様子である。

 

 

「…伊達に九十九事件で本物の恐竜やらゾンビやらとバトルを繰り広げていた訳ではないので。」

 

 

戦闘中に不謹慎だが、ふと思い出した九十九事件の黒歴史。

 

ジャングルでアロサウルスと死ぬ気で鬼ごっこしたり。

 

妙な豪華客船でゾンビの脳天を斬り裂いたり。

 

B級ホラー映画のセットっぽい村で悪魔とバトルしたり。

 

生身でカタパルト射出を経験したり。

 

急に話す言葉が駄洒落になったり。

 

もう何か生きているのが不思議な位の騒動でした。

 

どこのスパロボマジック?

 

いや、この場合はナムカプマジックと言うべきか?

 

非常に空しくなりました。

 

 

「ハスミ少尉、どうかしたのか?」

「いえ、ちょっと…複雑な思い出がフラッシュバッグしたもので。」

 

 

ロサが切り伏せたアラストルともう一体のアラストルの自爆プログラムを削除し無力化した後。

 

私達はその先の扉を潜り、目的地へと向かった。

 

 

「義娘が…」

 

 

道中でお義父さんが物凄く落ち込んでいる様だがそっとして置こう。

 

いや、本当に私にも責任はありますが今後の活動に必要な事なので…

 

その…御免なさい。

 

 

「ハスミ、そろそろ目的地よ。」

「判ったわ。」

 

 

ロサの発言で私は現状に意識を戻した。

 

その先の光景を眼にし、私の意志は怒りへと変貌した。

 

 

「ロサ、ギリアム少佐とテンペスト少佐も下がっていてください。」

「少尉、一体…」

「少しばかり修練が足りなかった様です、私はこの怒りを抑えられそうにありません。」

 

 

アースクレイドル内部の研究施設。

 

そこは非人道的行為の巣窟と化していた。

 

打ち捨てられた人の形をしたナニカ。

 

培養槽に浮かぶ人だった欠片。

 

牢獄に押し込められた虚ろな眼をした子供達。

 

そんな中で慌てて逃げようとする研究員達の姿。

 

他者の命を踏みにじる行為をしておいて、そんなに自分の命が大切か?

 

 

「貴様達全員明日の日を拝めると思うな…!」

 

 

私は突進し研究施設の破壊を始めた。

 

囚われた嵐を呼ぶ勇者達を救う為に。

 

 

******

 

 

先程から数時間後、アースクレイドル内部・最深部。

 

激戦を繰り広げていた突入部隊だったが、不測の事態が起こっていた。

 

戦いの折にマシンセルの制御コアを何者かが奪取したのだ。

 

それによりマシンセルの恩威を受けていたAnti・DCの機体から搭乗者までが変異を起こしたのだ。

 

そう、かつてのDG細胞の様に暴走を始めてしまった。

 

マシンセルの自己増殖、自己再生により何度倒しても復活する不死身の兵士を相手にする突入部隊。

 

何の因果か自己進化の能力を与えられていなかったのは幸いだっただろう。

 

今世のマシンセルはデータ更新が無ければ進化の過程を行えない。

 

だが、脅威である事は間違いなかった。

 

 

「兄さん…!」

「ああ、各機!残りの弾数並びに離脱のエネルギーに注意し行動せよ!」

 

 

DG事件の教訓が生かされ、それ相応の対応を取るブランシュタイン兄弟。

 

 

「ゼオラ、ラト、王女さん、姉さん…!」

「ええ、アギラ・セトメ…マシンセルに取り付かれた憐れな人。」

「これで…!」

「終わりになさいましょう!」

「これが私達の最後の別れの挨拶です!」

 

 

マシンセルの暴走で変異したグラビリオン改。

 

その搭乗者であるアギラ・セトメもその意識を失い、ただ戦う為の兵器に成り下がった。

 

今はアラド達の攻撃によって物言わぬ残骸へと変貌した。

 

 

「姉様、ゲイムシステムに取り込まれた子達は…」

「残念ですが、この状況では。」

 

 

マシンセルの暴走でゲイムシステムにリンクしていた周囲の敵機もその変異の脅威に晒された。

 

それにより救う事は出来ないと判断し一人残らず撃墜したのだ。

 

もう少し早ければ救えたかもしれないが、後の祭りである。

 

そしてアースクレイドルから脱出を目論んでいたイーグレット・フェフ博士とマシンナリーチルドレン達を一掃したウォーダン・ユミルもまた新たな道へ進もうとしていた。

 

 

「ウォーダン・ユミル!」

「行け、ゼンガー…己の道を。」

「いや、お前もだ!」

「!?」

「勝者にその権利があるのだろう?」

「だが、俺は…」

「お前はウォーダン・ユミルだ…新たな剣の道を探すのも悪くないだろう?」

「…」

 

 

片腕の失ったダイゼンガーはソフィア・ネート博士が眠っているポットを回収。

 

同じ様に追従する形でスレードゲルミルも脱出を始めた。

 

今回は制御コアからソフィア博士が切り離されていた事が救いだった。

 

私達も囚われていた勇者特急隊の三人を救出しエルザム少佐からの通信を受けてアースクレイドルから脱出した。

 

 

******

 

半壊するアースクレイドルを背に私達は無事奪取する事が出来た。

 

今回の戦闘で正史を捻じ曲げた事によりアラド達の姉であるオウカは死なず、クエルボ博士も生き残った。

 

そしてウォーダン・ユミルもこちら側に投降する事となった。

 

自らの意思に決着が着いたからだろう。

 

地上では最後の最後で追撃して来た存在が居た。

 

あの木原マサキ本人が生き残っていたのだ。

 

彼は秋津マサトを自身のスペアにしたのではなく『影武者』にしたらしい。

 

そして一度死した木原マサキ本人はこのアースクレイドルの中でひっそりの息を潜めていた。

 

自身のクローン受精卵を『限定促進』によって僅か数時間で受精卵から大人へと成長を遂げさせ、『真の冥王』としてマサト達の前に現れたのだ。

 

交戦中だった幽羅帝も木原マサキの出現を受けて共闘を申し出た。

 

混戦の中で秋津マサトは木原マサキの隙を突いて彼の登場するもう一つの天のゼオライマーを破壊した。

 

彼が自らの肉体に施した『限定促進』が仇となったのだ。

 

自らを再び生み出す際に使用した細胞が原因でテロメア異常を起こしたのだ。

 

急激な老化によって戦闘に耐えうる肉体を制御する為にマシンセルのコアを利用したが、マシンセルに自己進化のプロセスが組み込まれていなかった為に情報の混濁が起きたらしい。

 

旨く演算処理が出来なくなったマシンセルの暴走の隙を突いて機体ごと木原マサキを葬ったのである。

 

平和を願った冥王の光はマシンセルと傲慢な冥王を滅ぼしたのである。

 

史実を捻じ曲げた結果であったとは言え、危うく全滅も考えられた戦闘だった。

 

この事で秋津マサトはゼオライマー全損を覚悟で木原マサキとの決着を付けたが同時に戦う力を失った。

 

そんな絶望の淵に希望もまた存在した。

 

鉄甲龍の幽羅帝以下八卦衆が投降を申し出た件である。

 

彼女達も木原マサキの思惑に流されない為に自らの意思で選んだとの事。

 

彼女達は自らの機体の一部をゼオライマーに移植する事を提案したのだ。

 

 

「我らが互いに戦う事が木原の思惑と言うのなら戦う力を一つに纏めてしまえばいい。」

 

 

自分達には既に必要のない物と幽羅帝は語った。

 

知らなかったとは言え、彼女達も木原マサキの掌の上で踊らされていたのだ。

 

幽羅帝の最後の指示の下で彼ら八卦衆は戦う事を放棄した。

 

OVA版の彼らの中で一人意外だなと思ったが、まあバタフライエフェクトの一つと捉えている。

 

鉄甲龍との戦いも私自身の介入無く終わりを告げ、アースクレイドル奪還作戦も終わりを告げた。

 

だが、私の意識は次の戦いへと矛先を向けていた。

 

ハガネのブリッジではセフィーロのクレフより緊急の連絡が入っていた。

 

ちなみに前回の滞在で直接回線を繋げる様にセフィーロ流で調節してあるので支障はない筈である。

 

 

「急な申し出で申し訳ない、セフィーロのクレフだ。」

「導師クレフ、申し出とは一体?」

「ダイテツ艦長、クジョウ・ハスミとロサ・ニュムパの両名をこちらへ援軍に向かわせて貰いたい。」

「援軍とは?」

「我々の宿敵デボネアが現れた、現在も魔法騎士達やエオニアの一行が応戦しているが苦戦している。」

 

 

クレフの話に寄るとデボネアは旧第三エリアで倒された邪神ドラコ、皇帝ワルーサ、魔王ゴクアーク、魔王レツアーク、魔王サイアーク、機械神、邪竜族皇帝、妖神ゴブーリキ、アマンダラ・カマンダラ、ラルヴァの悪意を吸収しデボネアが降臨してしまったとの事だ。

 

念話で同様の内容を聞いている私にもこれがどう言う事が理解出来る。

 

途方もなく危険な状況であると言う事が。

 

恐らくあの子達……魔法騎士達だけでは抑えられないだろう。

 

正史を捻じ曲げれば、それ相応の災難が待ち受ける。

 

これは数々の捻じ曲げの代償の一つだ。

 

だからこそ私は識る者として止めなければならない。

 

同じ魔法騎士の宿命であるのならば…

 

 

=続=

 




澱み出る恐怖。

真の敵は自分自身。

己の心に打ち勝て。

次回、幻影のエトランゼ・第三十三話 『光柱《ヒカルハシラ》前編』

願うのは少女達の心の復活。
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