幻影のエトランゼ   作:宵月颯

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賽は投げられた。

巡り巡って。

その縁を辿って。

集結する運命へ。


賽の付箋

二度目のホワイトスター戦が開始される前。

 

各々のノードゥスのパイロット勢が休憩を取っている最中。

 

その頃、態勢を立て直す為にGGGの拠点基地であるオービットベースにて最終決戦に備えていた。

 

オービットベース内の一室にて。

 

 

「では、定例の会議を始めたいと思う。」

 

 

ギリアムの声と共に始まった記憶保持者達並びにそれを知る関係者のみで構成されたメンバーでの会議。

 

表向きはギリアム少佐が今回の戦いに置ける情報収集の為に開いている会議になっている。

 

メンバーは前回のL5戦役で記憶保持者達に続き、今回の戦いで新たに判明したメンバーが集結している。

 

尚、L5戦役後に退役した者や今回の戦いに参加していない者は除外する。

 

事情が事情なので記憶保持者達の事を事前に説明された数名も在席している。

 

今回の戦いで記憶保持者と判明したメンバーは以下の通り。

 

 

GGGより獅子王凱、J、天海護、戒道幾巳。

 

その協力者であるヨウタ・ヒイラギ、ユキ・ヒイラギ、ファルセイバー、ブルーヴィクター。

 

VAREより芹沢瞬兵、坂下洋、バーン、スペリオン。

 

セフィーロより光。

 

プリベンターよりヒイロ。

 

ミスリルより相良宗介。

 

ラストガーディアンより秋津マサト。

 

 

同じく記憶保持者であるが、今回の戦いでベルターヌ化した世界に招かれた人々。

 

 

AT組よりキリコ・キュービィー。

 

TERRAより神名綾人。

 

ファクトリーより桂木桂、オルソン・D・ヴェルヌ。

 

パラダイムシティよりロジャー・スミス。

 

 

他にも存在するが、何分収容人数に限りがあるので割合する。

 

 

「それにしても俺達が宇宙で戦っている間に随分と人数が増えているな。」

「今回の戦いにしても黒のカリスマが関わって居る以上、変化が起きたと言うしかないだろう。」

「この場に居る全員で間違いないのか?」

「現時点で今回の記憶保持者と確認できたのはこの場にいる全員で間違いはない。」

「私の様に事情を知る者が在席している事を忘れて貰っては困る。」

「テンペスト少佐、貴方の義娘…ハスミ少尉の事は万丈君から伺っている。」

「申し訳ない…今回の本人不在の件はこの後説明させて貰う。」

 

 

記憶保持者代表でアムロとクワトロが会話を始め、ギリアムとテンペストがそれに続き今回の件についてまとめを話した。

 

今回のベルターヌ事件を皮切りにZ事変のブレイク・ザ・ワールドが発生。

 

他世界でも同様の事件が発生、これにより今の世界…多元世界が構築された。

 

今までの互いの戦いを整理したが、予想を超えた結果に誰しも驚いていた。

 

あの孫光龍がバラル所属ではなくホルトゥスに身を置いていると言う件。

 

セフィーロの戦いでクストースらしき三体が出現し脅威を祓った事。

 

問題は一部の記憶保持者の記憶に新たな記憶が出て来た事である。

 

これも幾つかの戦いの予兆を知らせる様な警告の様に…

 

ドモンからL5戦役時のDG事件でヴァンと遭遇した事。

 

光から朧げにゲシュペンストとVTX社と言う聞き慣れない社名を聞かされた事。

 

キラとアスランからL5戦役時に各地で行動していたホルトゥスのメンバーの一部に前世上で面識がある事。

 

ここまでの情報でホルトゥスは並行世界から渡って来た自分達の様な独立部隊の集まりではないかと言う結論に至った。

 

だが、結論は結論。

 

立証出来る様な情報がない為、一先ずこの話題は置いておく事となった。

 

目先の議題では木星での決戦でベルターヌ事件が終息したものの、未だ多元世界は不安定のまま続いている事。

 

そして先のアインスト戦の前に黒のカリスマによって奪取されたフィフス・ルナの事も説明された。

 

恐らく、ユニウスセブンの代用として使用されるだろうと推測されている。

 

 

「では、黒のカリスマ…ジ・エーデル・ベルナルによって今回の戦いは引き起こされたと?」

「元を辿れば間違いはないだろう、だが…他にも何者かの思惑が関わっている可能性も否定できない。」

「一体何が目的で…」

「今回の奴は…ある意味で言えば質の悪い愉快犯とでも言った方が正しい。」

「何だよ、その黒のカラスミって奴は!あっちこっち引っ掻き回しやがって!」

「銀河、黒のカリスマ…カラスミじゃないって…。」

「アハハ…」

「北斗も大変だな。」

 

 

凱の質問に対し応対するクワトロ。

 

それを聞いていた子供達の反応は辛口であるが、銀河の言い間違いで場が和んでいた。

 

逆に舞人はセフィーロで起こった戦闘に対してアムロとギリアムの質問に答えていた。

 

 

「では、舞人君…その三体はセフィーロの城を守ったと?」

「はい、間違いはありません…それでも何故あの三体が城を守ってくれたのか判らないままで…」

「情報画像にあった三体の姿を見たが、あれは間違いなくクストースで間違いないだろう。」

「そのクストースと言うのは?」

「クストースと言うのは我々側の名称でガンエデンを守護する三体の機動兵器の総称として付けられている。」

「俺達が出会ったのはナシムとゲベルがそれぞれ使役するカナフ、ケレン、ザナヴの三体。」

「その三体と同じ形状を受け継いでいる、関わりはあるだろう。」

 

 

アムロ達の説明によりそれぞれの座席に設けられたプレート状の端末からその映像を見ていた。

 

 

「この画像からであるとこのクストース達は恐らくバビル若しくはアシュラヤーのどちらかが使役しているものと考えられる。」

 

 

アムロの説明に対しドモンは発言しその発言にシュバルツや万丈が反応した。

 

 

「…アシュラヤーの間違いじゃないのか?」

「ドモン、如何言う事だ?」

「万丈、恐らくバビル・ガンエデンとはBF団首領…ビッグファイア本人、なら…奴を護る三体の護衛とこの映像の三体は形状が異なる。」

「そこまで察しがついているのなら隠す必要は無いか…君の推測通りだよ。」

「バビルがビッグファイアと推測しナシムとゲベルの動きは不明、差し向けたのが最後のアシュラヤーと推測するのが妥当だと思っただけだ。」

「ドモン…」

「今回の議題で三体のガンエデンの正体が判明したか。」

「だが、アシュラヤーの正体は…」

「孫光龍の言葉が正しければ既に僕らはその存在に出会っている。」

「出会っているって…?」

「常に僕らを護ろうとして遠回しの助言を送っていた人物。」

 

 

遠回しの助言で一同が察した。

 

 

「まさか…!」

「勿論、彼女からも話を聞いたが…呼び声らしき声は聞こえていないそうだ。」

「以前のイルイと同様に覚醒前と言う事か…」

「今は良くとも…いずれ彼女はアシュラヤーとして目覚めてしまうだろう。」

 

 

敵か味方か?

 

アシュラヤーはどちらに着くのか不明のまま。

 

 

「しっかし、あのわがままボディっ子がトンでもない事を抱え込んでいたとはね。」

「桂、親御さんの前でセクハラ発言は止めて置け。」

「はいはい、俺にはミムジィがいるからそんなつもりはないよ。」

 

 

余り会話に入った事のない桂とオルソンも見た感じの意見を話した。

 

 

「話していない事や抱えている事は多いと見ているがどう思う?」

「あるだろうね、あのアシュラヤーの事も余り話したがらないと見えた。」

 

 

ハスミノ正体を知っているロジャーと万丈は大人の対応で意見を話していたが…

 

話を聞いていたシンジとカヲル、銀河と北斗はそれぞれの感想を述べた。

 

 

「僕が彼女を見た時に懐かしい感じがしたのはそう言う事だったのか…」

「ハスミさんがアシュラヤーの巫女と言われるとそんな気もしなくもないね。」

「でも、ハスミさんはまだその巫女になっていないんですよね?」

「…まさかと思うけどもうなってたりして?」

「銀河、それは…」

「いや、銀河君の考えも当たっているかもしれない。」

「えっ?」

「その考えも視野に入れるとすれば…恐らく彼女は僕らの行動を見守っているのだろう。」

「…それは僕らが共に手を取り合うに値するがどうかですか?」

「だろうね、かつてのナシムがそうであった様に。」

 

 

L5戦役以前に関わりを持っていたリュウセイやその戦いで知り合ったマサキもまた何処か腑に落ちない表情で答えた。

 

 

「アイツ、昔っから自分で抱え込み過ぎなんだよ。」

「幼馴染としてどう思うんだ?」

「どうせなら話して欲しかったって言いてえ所だが、ユーゼスの野郎が生きている以上は話さないって選択は正しいだろうよ。」

「確かにな、奴のせいで大分俺達も後手に回されたもんな。」

「とにかく今はアインストにインスペクターと黒のカリスマって奴を倒さねえ事には始まらねえ!」

 

 

アクセルの手前、シャドウミラーの事を言わなかったのはリュウセイも成長していたのだろう。

 

 

「アクセル、恐らくホワイトスターには…」

「解っている…自分のケジメは着けるさ、これがな。」

 

 

キョウスケの問い掛けに対し覚悟を決めたアクセルの発言。

 

逆にアクセルもキョウスケに問い掛けた。

 

 

「キョウスケ、お前はどうする?」

「可能性があるのなら救い出すさ、アルフィミィを。」

「どうやら要らぬ心配だった様だな。」

 

 

飛び交う会話の中でアムロはギリアムに伝えた。

 

 

「ギリアム少佐、あの子にちゃんとぬいぐるみは届けておいた。」

「そうか…」

「次の作戦で無茶をする様なら…前と同じくお前を全力で止めるぞ。」

「…覚悟して置こう。」

 

 

それぞれの決意を胸に話はお開きとなった。

 

 

=続=


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