魔法少女リリカルなのは ~その拳で護る者~   作:不知火 丙

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本編 第四十六話

― 斎藤一樹 ―

 

ガバ!

 

 意識が急速に浮上して身体を瞬時に起こす。体中に痛みが走るがそんなのは無視して直ぐに立ち上がり構えをとる。

 が、そこには驚いた顔のシャマル先生と、その傍に寝かされているシグナム、ヴィータ、ザッフィーがいて、俺の正面にクロノが立っていた。

 

「落ち着け一樹、模擬戦は終了だ」

 

「ん? ……あれ? ……?」

 

 クロノがいることが理解できずにしきりに首をかしげる。

 

「あ、まだ動いちゃ駄目ですよ!! かなりの重傷なんですから!!」

 

 シャマル先生が心配してくる。

 

「模擬戦は一樹の勝ちだ。安心しろ。それとなのは、フェイト、亜夜が模擬戦中だ。いい加減プランを思い出せたか?」

 

「ん、あ~~、ちょっと待ってくれ」

 

 混乱している頭を整理する。

 え~っとまず俺とヴォルケンリッターとで模擬戦を始めて、クライドさんと亜夜にゼストさん、クイントさん、メガーヌさんを送って、援軍としてなのちゃん、フェイトちゃん、ユーノを送って……あ、そうだ切り札を切ったんだっけか。

 

「スサノオ、状況は?」

 

《龍門(チャクラ)を開放し、気を失って五分ほどです。身体の方は両手両足の筋を痛めてます。内臓器官にもまだダメージが残っています。今は騎士シャマルの治癒魔法でごまかしてはいますが、これ以上の戦闘行為は推奨できません》

 

「わかった。まあ、とりあえず終わりだしな。とりあえず今からなのちゃんの方に向かわないと。まだ戦ってるみたいだし」

 

《戦闘は推奨できないと言いましたが?》

 

「大丈夫だ。ちょっと終了宣言してくるだけだから」

 

《了解》

 

「クロノ、悪いけど俺んちまでヴォルケンリッターを運んでもらえるか? 向こうを見てくる」

 

「分かった。くれぐれも無理はするな」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 そう言って俺は地面を蹴って空に飛び立つ。

 下でシャマル先生が何か言っているけど今はとりあえずなのちゃん達が優先だ。万が一何かあったらまずいしな。

 若干ふらふらしながらも何とか飛ぶ。少し飛ぶと衝突するような音が聞こえ、魔力光が見えてきた。

 衝突するような音は、剣と剣がぶつかるような音だ。これはゼストさんとフェイトちゃんか? クライドさんは……クイントさんとか。メガーヌさんと亜夜で、なのちゃんが収束砲をチャージ中か……。

 まあ、原作と似たような展開か? あ、フェイトちゃんが吹っ飛ばされた。

 ん~、そろそろなのちゃんのチャージも終わるな。

 

「キャーーー!!」

 

 あ、今度は亜夜が落された。バリアジャケットまで解除された。完全にノックアウトか、まああの三人相手によくここまで持ったもんだ。

 とりあえず、亜夜のところまで行き、小脇に抱える。

 

「スターライトブレイカーーーーー!!」

 

 ようやくなのちゃんの収束砲が完成し、空を覆う結界に向かって放たれる。

 すさまじい威力と速度で結界にあたり、いともたやすく貫いた。鈍い虹色をした空が砕け散っる。

 直ぐには戻らないようでゆっくりと通常の空に戻っていく。頃合だな。そして俺は全員に念話で呼びかける。

 

「状況終了! 状況終了! 現時点をもって模擬戦を終了する。全員速やかに斎藤家に集合せよ! 繰り返す! 現時点をもって模擬戦を終了する。全員速やかに斎藤家に集合せよ!」

 

「「「「「へ?」」」」」

 

 声を上げたのはなのちゃん、フェイトちゃん、ユーノにアルフ、クライドさんだ。亜夜を抱えて空に浮かぶ。

 

「ど、どどどう言う事なの?!」

 

 なのちゃんが混乱しながら聞いてくる。

 

「言った通りだよ。模擬戦は終了したからいったん俺んちに集合、あ、亜夜お願い」

 

 そう言ってなのちゃんに亜夜を渡す。

 いきなり渡されたので、重さに耐え切れずその場にペタンと尻餅をついてしまう。

 亜夜をなのちゃんに任せてフェイトのところに向かう。そこにはマンションの壁に突っ込んだ状態で呻いていた。

 

「フェイトちゃん大丈夫か?」

 

「え? あ、はい大丈夫ですけど……さっきのは一体?」

 

「あ~、すまんそれは集合してから話す。一旦降りるぞ。」

 

 そう言って俺はフェイトちゃんに肩を貸してなのちゃんのいるところに降りる。クライドさんも降りてきた。

 

「一樹……」

 

 クライドさんから無言の圧力を受ける。

 

「すいません事情は後で」

 

「良いだろう」

 

 流石に今回のことを起こっているみたいだった。

 

「なのは、大丈夫?」

 

「うん、へーき。でも亜夜ちゃんが……」

 

「うん」

 

 そう言って二人は今にも泣きそうな顔をして亜夜を見る。

 

「私達が弱かったから……」

 

「うん」

 

「もっと強くならないと、大事な人を守れないよ……」

 

「そうだね」

 

 自分の力のなさを嘆くなのちゃんに、それに頷くフェイトちゃん。

 

「一樹」

 

 名前を呼ばれたのでそっちを向くと覆面をした三人が立っていた。

 ビクッとなのちゃんとフェイトちゃんが警戒する。

 

「ああ、ゼストさん。色々とすいませんでした。覆面もう外していいっすよ」

 

「分かった」

 

 そう言って三人は覆面を外す。

 

「ゼストさん達は大丈夫っすか?」

 

「私達はいい。他は大丈夫か?」

 

「はい、一応は」

 

「そうか……。色々すまなかったな。怪我はないか?」

 

 そう言ってゼストさんはフェイトちゃんに謝る。

 

「あ、いえ大丈夫です」

 

 おどおどしながら答えるフェイトちゃん。そして、クイントさんはなのちゃんをほめていた。

 

「貴方達強いわね! ついつい熱くなっちゃったわ!」

 

「本当ね。ガリューまで出してしまったわ」

 

 と満面の笑みで話をしているクイントさんにメガーヌさん。しかも隣にはまだガリューがいる。

 

「貴方も、変な覆面してる割には強いわね。ミッド出身?」

 

「みっど? 私はネオ・ドイツ出身だが?」

 

 すっとぼけるクライドさん。っていうか地球にネオ・ドイツ無いですから!

 

「そうなのですか? でも、魔法使ってませんでしたか? あまり見かけない物でしたけど?」

 

「魔法? あれはゲルマン忍術だ」

 

「げるまんにんじゅつ?」

 

 首をかしげるメガーヌさん。二人が地球のことをよく知らなくて本当によかったと思う。

 

「とりあえず、家に行くぞ。ヴォルケンリッターも待ってると思うし」

 

 そう言って会話を切り上げる。さっさと移動しないと俺も辛い。

 

「…………ふう」

 

 俺の様子を見てゼストさんがため息をつく。あ~、気づかれたっぽいな。

 

「よし、我々も行くぞ。一樹、案内を頼む」

 

「はい、付いてきてください」

 

 そう言って全員で俺の家に向かうのだった。

 

― 八神はやて ―

 

 今私の目の前には正座したヴォルケンリッターの四人がおる。

 時折足をもじもじと動かしとるけどしばらくはそのままや。

 

「主はやて、その、そろそろ足を崩してもいいでしょうか?」

 

 代表としてシグナムが私に聞いてくる。今、ヴォルケンリッターは斎藤家のリビングで全員正座しとる。

 

「駄目や」

 

「そ、そんな~」

 

「はやて~」

 

「………………」

 

 上からシャマル、ヴィータ、ザフィーラの順や。ザフィーラは我慢こそしとるけど辛そうな表情になってきとるな。シャマルとヴィータは既に涙目や。

 

「ほんなら質問や。シグナム、私の願いは何やったっけ?」

 

「は、「主はやてと共に過ごす」です」

 

「そやね、シャマル、私は蒐集はせんでええよって言わへんかった?」

 

「い、言いました」

 

「ヴィータ、私達の関係はなんなんや?」

 

「か、家族です」

 

「ザフィーラ、お手」

 

「ワン……ハッ! あ、主!!」

 

 ザフィーラが犬形態になって見事に答える。反射的に最後でオチをつけてもーた。

 ここにおるんは普通のザフィーラやない。訓練されたザフィーラや。主に一樹兄ちゃんと私とで。

 ザフィーラもタイムラグ無しで答えてくるとはやりおるな。

 

「あ~、ゴホン。じゃあ、何で蒐集を始めたんか聞かせてもらおか」

 

「「「「そ、それは……」」」」

 

 四人が答えずらそうにしとる。

 

「私のことやから答えられへんの?」

 

『!?』

 

 四人がいっせいに顔をかげて私を見てくる。はあ、とため息をつき続ける。

 

「知っとるよ、全部一樹兄ちゃんから聞いとるし、さっきの戦いも見とった」

 

『!!!?』

 

 全員が驚いた顔をして、口をパクパクさせとる。

 

「みんなが私のことをすごく大事に思ってくれてるんやって思うとな、すごく嬉しかったんよ。でもその反面で、何で話してくれへんかったんかなって思うんよ。私達家族やろ? だから四人だけで悩まんでええんよ。一緒に悩んで、一緒に辛い思いして、一緒に笑って、一緒に幸せにならんと嫌や」

 

「主……」

 

 シグナムが呟く。

 

「それにな、無理やりなのはちゃん達から蒐集するのなんか真っ平や。大事な友達なんよ。もし、闇の書がもう一個あって、私が無理やり蒐集されたらみんなやって嫌やろ? それと同じなんよ。だったら、きちんと説明して協力してもらった方がええ。その後しっかり恩返ししたらええ」

 

「はやてちゃん……」

 

 シャマルが呟く。

 

「私やってまだ死にたくないんよ。みんなともっと遊びたいし、魔法だってつこうてみたいし、色んな所に行ってみたい。まだまだやりたいことが沢山あるんよ。まだ九年しか生きてへんのや。満足なんか出来へん」

 

「はやて……」

 

 ヴィータが呟く。

 

「だからみんな、一樹兄ちゃんに協力したってや。一樹兄ちゃんならきっと何とかしてくれる筈や。なのはちゃんの時も、フェイトちゃんの時も一樹兄ちゃんが何とかしてくれたんや。私の時もきっと何とかしてくれるはずや」

 

「……主」

 

 ザフィーラが呟く。

 

「だから力を貸したってや」

 

「「「「了解です。わが主」」」」

 

「でも良かったわ~。なのちゃん達から蒐集せんで。しとったらああなってた所や」

 

 そう言って横を見る。そこには一樹兄ちゃんがおるんやけど、

 

「士郎さん?! これ以上はもたないっすよ?! プレシアさんもそれはしゃれになってない!! リニス! その大きさは不味いって!! アリシアも足の裏をくすぐるのやめれ! 地味に効くから!!」

 

 そこには畳半分くらいの大きさの洗濯板みたいなギザギザの付いた板の上に正座して、腿の上に重石を乗せられている一樹兄ちゃんがおった。あの板どっから持ってきたんやろ?

 

「私の可愛いフェイトになんて事をしてくれたの?」

 

 一際大きな重石を空中に浮かせているプレシアさんに、

 

「プレシアそれじゃ足りません」

 

 と、それ以上に大きい重石を浮かせてるリニス、

 

「一樹君、戦闘は許可したけどあそこまでやる必要があったのかい?」

 

 程よい大きさの重石を少しずつ載せていく士郎さん。

 

「らめ~~! これ以上は何かに目覚めちゃうって!! つうかイタタタタタ!!! ヤバイやばいヤバイ!!」

 

 涙目になって痛がる一樹兄ちゃん。そんな所になのはちゃん達が戻ってきた。

 亜夜ちゃんも歩いてきとる。目がさめたみたいや。

 

「一樹お兄ちゃん戻ったよおおお?!!!!!」

 

 なのはちゃんが一樹兄ちゃんの姿を見て驚きの声を上げる。フェイトちゃんと亜夜ちゃんは目を丸くして驚いている。

 

「お父さん何してるの?!」

 

「か、母さん、リニス何を……?」

 

「自業自得だけどあれはやりすぎじゃないかな~? うわ、いたそ~」

 

 驚くなのはちゃんに、フェイトちゃん、亜夜ちゃんは目を光らせて怪しく笑っとる。その顔怖いで亜夜ちゃん。

 

「「「ちょっとO☆HA☆NA☆SHIをしてるだけだよ(ですよ)」」」

 

 そう言って「フフフフフフ」と三人が怪しく笑う。

 それを見てシグナム達が震える。なのはちゃんが止めに入ってやっと一樹兄ちゃんが解放されてビクンビクンと痙攣している。

 

「何やこのカオス」

 

 そう言わずにはいられへんかった。

 

「一樹準備はでき…………はあ」

 

 最後に入ってきたクロノ君が頭を抱えてため息をつくのも仕方あらへんな。

 

― 斎藤一樹 ―

 

 白い悪魔(なのは)式O☆HA☆NA☆SHIから開放され、ぐったりしているとクロノに襟をつかまれ無理やり立たされる。

 

「一樹、準備ができたぞ。さっさと来い」

 

「なあ、クロノ。まず他に言う事なくね?」

 

「……馬鹿やってる暇はないんだ。さっさと来い。これでいいか?」

 

「それ追い討ちだよね? ……ま、いっか。よしそれじゃあみんな集まって~。アースラに転移するよ~」

 

 俺は全員に集合をかける。全員が集まったのを確認してクロノを見る。クロノは軽く頷き、

 

「エイミィ、OKだ」

 

 とウィンドウを開きエイミィに連絡を入れる。

 

『は~い、それじゃあ転移するからみんな動かないでね~』

 

 エイミィが答え足元に魔方陣が展開される。次の瞬間、斎藤家にいた全員がアースラに転移した。

 

「やっと来たわね。一樹君、準備はできてるの?」

 

 アースラに転送されるとリンディさんが聞いてきた。

 

「ん~、最後の仕上げが残ってるのでちょっと待ってください。あ、なのちゃんちょっと手伝ってくれるか?」

 

「?、いいよ」

 

 首を傾げながらも了解してくれるなのちゃん。

 

「じゃあ、クロノみんなを会議室に案内してくれ」

 

「それはいいが最後の仕上げって何だ? 準備はできてたんじゃないのか?」

 

「ん~、まだちょっとやることが残ってんだよね」

 

「……嫌な予感がしないわけじゃないが調子に乗るなよ?」

 

「分かってるよ」

 

「いや、お前の場合分かってても実行するだろ? ほらアレだ、分かってるだけで実行しないとは言ってないとか言うだろ」

 

「………………」

 

 クロノに図星をつかれて目をそらしてしまう。

 

「目をそらすな!」

 

「じゃ、じゃあ俺準備があるから!! 行くぞなのちゃん!!」

 

「え? え?」

 

 そう言って俺はなのちゃんを小脇抱えその場から離れる。後ろからクロノの声が聞こえるが気にしないことにしよう。

 去り際にチラッとヴォルケンズを見てみると、ヴォルケンズは若干警戒しているだろうか? 目つきが鋭くなって気を張っていた。もうめんどくさいので注意はしない。

 そして俺はとある部屋に入った。そこには撮影するための機材などがそろっていて先客がいた。

 

「あら、早かったわね」

 

「お、お母さん?! どうしてここに!?」

 

「そんなことよりなのは、これを着て頂戴」

 

 桃子さんがなのちゃんにピンク色の着ぐるみを渡す。

 

「?、兎の着ぐるみ?」

 

「はい、じゃああっちで着替えてきてね?」

 

「う、うん……???」

 

 頭にはてなマークを浮かべながら更衣室に入っていくなのちゃん。

 よ~しよし、着々と準備が進んでいく。俺ももう一つの更衣室に入って衣装に着替える。

 その衣装は某子供向けテレビ番組の作って、遊んで、wkwkな人と同じ感じの衣装だ。

 

「お母さん、一樹お兄ちゃんこれでいいの?」

 

 なのちゃんが着替えて出てくる。その着ぐるみはずんぐりむっくりで体型が完全に隠れる感じで、顔の部分だけ出ている。頭の上でゆれている長い耳が中々似合っている。

 

「お~し! じゃあ、始めるか! はい、なのちゃん。これ台本」

 

「だ、台本?」

 

「見ながらで構わないから、それから……も、桃子さん!? 鼻血でてるっすよ?!」

 

「あらいけない」

 

 そう言って鼻血を拭く桃子さん。

 どうやらなのちゃんの着ぐるみ姿を見てあふれ出る「愛力」が押さえ切れなかったようだ。

 

「お、お母さん大丈夫?」

 

 心配そうに、上目遣いで桃子さんに聞くなのちゃん。ピコピコと長い耳が動く。

 

「い、イカン! なのちゃんそれは逆効果だ!」

 

 と注意するが遅かったようだ。

 

なのは の うわめづかい!

 

こうか は ばつぐんだ!

 

 盛大に鼻血を噴出してぶっ倒れる桃子さん。その顔はものすごく満足そうな顔だった。

 とりあえず部屋にあった長いすに桃子さんを寝かせて桃子さんの代わりを呼ぶ。

 

「で、私は何をすればいいの?」

 

「エイミィはそのカメラで俺達を撮ってくれればいいから」

 

「ん、了解」

 

「よし、なのちゃん。今度こそ始めるぞ!」

 

 桃子さんの傍で看病しているなのちゃんに声をかける。

 

「う、うん」

 

 桃子さんをチラチラと振り返りながらこっちに来る。俺は手元に出したウィンドウを操作してクロノに連絡を入れる。

 

「クロノ準備できたからよろしく」

 

『……はあ、どうなっても知らないからな』

 

 ため息をつきつつ諦めモードのクロノだった。

 

― クロノ・ハラオウン ―

 

 また一樹が何かをやらかしそうな感じではあったが、放って置く。何だかんだいって止められたためしが無いからだ。

 とりあえず、一樹の連れてきた協力者を全員会議室に案内する。会議室に入ると、

 

「遅かったわね」

 

 と、事前に連れてきていた協力者、アリサ・バニングスが腕を組んで立っていた。

 

「「「「アリサちゃん!?」」」」

 

 と、当然テスタロッサ達が驚く。

 

「私もいるよ~」

 

 申し訳なさそうにアリサの後ろから小さく手を振るすずか・月村。

 

「「「「すずかちゃんまで?!」」」」

 

「私達もいるわよ」

 

「え? 忍さん!? それに恭也さん美由希さん!! お父さんに晃お兄ちゃんまで!?」

 

 斎藤家、高町家、月村家はほぼ全員集合している。

 

「ん? なのははどうしたのよ?」

 

「なんや、一樹兄ちゃんの準備を手伝いに行ったで?」

 

「……何する気なのよ」

 

「ホントだよね」

 

 どうやら全員が全員一樹がまとも何かを準備すとは思ってないようだ。

 

「とりあえず席についてく……何だこれは?」

 

 席に着くように促そうとして、机の上においてある物に目が留まる。

 

「……駄菓子だね」

 

「ほんまや、あ、「うめぇ棒」のポタージュ味や」

 

 八神が手にとって見ている。どうやら地球製のお菓子みたいだった。

 

「なあ、はやてこれ食っていいのか?」

 

「ん~、まあ、ええと思うで? どうせ用意したの一樹兄ちゃんやと思うし」

 

「正解、一樹にこれ配っといてって渡されたわよ」

 

「全員に配っとるアリサちゃん……律儀やね」

 

「う、うるさいわね!」

 

「と、とりあえず席に着いてくれ。説明の前に紹介しておく人物がいる」

 

 全員が席に移動する。大人組みは大人組みで固まって話をして、子供組みも同じく固まって話している。

 フェイトとアリシアも実際にバニングスや、月村、八神と会うのは今日が初めてで自己紹介をしている。

 

「よし、みんな席に着いたな? じゃあ、紹介する。地上本部のレジアス・ゲイズ少将だ」

 

 僕は手元の機械を操作して、正面に設置されているスクリーンの横に大きくウィンドウを開く。

 更に、操作してとある場所をコールする。しばらくしてそのウィンドウに現れたのは強面の男性だった。

 

「レジアス少将準備がまもなく完了します」

 

 敬礼して応える。

 

『クロノ執務官ご苦労、連絡をよこしたというのは第一段階が無事に終わったということか?』

 

「はい、一樹が何とか上手くやりました」

 

『ほう、上手くやったか』

 

 そう言ってレジアス少将はニヤリと笑う

 

「まもなく一樹の準備も整いますので少々お待ちください」

 

『わかった』

 

 僕はレジアス少将の死角の位置でため息をつく。

 流石にこの階級の人物を相手にするのはいつでも緊張するものだ。それから少し経って一樹から連絡が来た。

 

『クロノ準備できたからよろしく』

 

 一樹は何か変な格好をしていた。案の定またなんかやる気だ。

 

「……はあ、どうなっても知らないからな」

 

 そう言って一樹に言われた通りに操作をする。

 

「レジアス少将準備完了しました。始めます」

 

『分かった』

 

 暗くなった会議室のメインスクリーンに映像が映し出される。

 まだ真っ暗だが右上にLIVE、左上に艦内放送と文字が入っている。そして一分ほどそれが続いただろうか、唐突にそれが始まった。

 

『あーすら放送』

 

『3』

 

『2』

 

『1』

 

『ドカ~~~ン』

 

『わ~』

 

 子供がクレヨンで書いたような文字と数字の絵のカウントダウンが終わり、爆発があったと思ったら、上からタイトルが落ちてきた。

 

『なぜなになのは「闇の書編」』

 

 タイトルコールが終わると、軽快なBGMが流れ始め、兎の着ぐるみを着たなのはと、さっきの変な格好の一樹が出てきた。

 

『み、みんな~集まれ~!』

 

『集まれ~!!』

 

『な、なぜなになのはが始まるよ~!』

 

『始まるよ~!』

 

 一樹はノリノリだがなのはは顔が真っ赤だ。手に「台本」と書かれている本を持っているあたり、なのはも被害者のようだ。

 

「「「か、可愛い」」」

 

 高町家の面々が呟く。

 

『今日はあーすらから放送してるよ! 司会進行役は一樹お兄さんと!』

 

『う、うさぎなのはが担当するよ~。とところで一樹お兄さん!』

 

『なんだいうさぎなのはちゃん!』

 

『何でこんな風に説明するの?』

 

『それはね、アースラにいる小さなお友達から大きなお友達にも分かりやすく説明するためだよ』

 

『ふ、普通に説明すればいいんじゃ……』

 

『普通に説明すると面白くないんだもん。はい、それよりうさぎなのはちゃん! 台詞、台詞!』

 

 やっぱりか。

 

『え、え~っと、このタイトルにもある「闇の書」って何なの?』

 

『うん、いい質問だね。じゃあ、まずこの「闇の書」から説明していこうか』

 

『分かったの!』

 

 なのはが台本を読みながら一樹に聞いていく。

 

『まずこの「闇の書」を説明する前に「ロストロギア」って知ってるかな?』

 

『ロストロギア? この前のジュエルシードみたいな?』

 

 これまたクレヨンで書かれたジュエルシードの絵が出てきた。

 

『そう、すごい高い技術力を持った世界が作り出した物のことだね。危ない物が多くて管理局の技術でも制御できないんだ。もし暴走したりしたら星が一つなくなっちゃうほどなんだよ』

 

『そんなに危ない物なんだ』

 

『うん、でこの「闇の書」もロストロギアに分類されているんだ』

 

『え!? そうなの』

 

『うん、過去に何度も被害を出しているんだ。でも、元々は「夜天の書」っていうストレージデバイスだったんだよ』

 

『すとれーじでばいす?』

 

『デバイスにも種類があってね、うさぎなのはちゃんが持ってるのはレイハさんはインテリジェンスデバイスでしょ?』

 

『うん』

 

『インテリジェンスデバイスは意思を持ってるけど、ストレージデバイスって言うのは意思を持っていないデバイスのことなんだ』

 

『へ~、デバイスにも色んな種類があるんだね~』

 

『まあ、普通のストレージデバイスとは違って、色んな世界の色んな魔法技術を集めるために作られたから物だから、容量がものすごく大きいんだよ』

 

『へ~、でも何でその「夜天の書」が「闇の書」になっちゃったの?』

 

『それはね、今も昔も力が欲しい人は沢山いるんだよ。戦争に勝つためだったり、純粋に力を欲しがったりして「夜天の書」を改造し始めちゃったんだ』

 

『え? でもすごい高い技術で作られてるんだよね? 改造なんかできるの?』

 

『そうなんだ。案の定改造は失敗して「夜天の書」は「闇の書」になっちゃったんだ。元は魔法技術を収集するだけのデバイスが、世界を滅ぼしちゃうほどの危険物になっちゃったわけだ。無茶な改造は駄目! 絶対! まあ、魔改造はいいと思うけど』

 

『だ、駄目だよ一樹お兄ちゃん!』

 

 なのはが慌てて突っ込む。既に台本は見ておらず、素の反応だった。

 

『でだ、「闇の書」になってからは、新しく付いちゃった転生機能で色んな持ち主を転々として、今はやてちゃんが新しい持ち主なんだ』

 

『ふ~ん、でもはやてちゃんなら悪い事に使わないから大丈夫だね!』

 

『そう、うさぎなのはちゃんのお友達のはやてちゃんなら悪い事には使わないね! 変な事には使いそうだけど』

 

「使わへんわ!」

 

 八神が突っ込みを入れるが、本人達は聞こえていないのかスルーされた。

 

『でもね、「闇の書」には厄介な機能が付いちゃってるんだ』

 

『どんな?』

 

『一定期間「蒐集」っていう能力、これは魔力を集める能力だね。それが使われないと持ち主のリンカーコアを侵食していって持ち主を殺しちゃうんだぞ~~~!!』

 

 一樹が両手を挙げて驚かせるようなポーズをとる。

 

『え!? それじゃあはやてちゃんは……』

 

 なのはが本気で驚いている。今知ったようだ。

 

『はやてちゃんは今足が動かせないでしょ? それも「闇の書」のせいなんだ』

 

『じゃ、じゃあ助けないと!!』

 

『そうだね。で、これからみんなで協力して「闇の書」を直すんだよ』

 

『そ、そうなの? よ、良かったよ~』

 

『だから今日はみんなに集まってもらったんだ。全員に重要な役割があるから良く聞いてね? まず「闇の書」のプログラムの修復は、プレシアお母さん、リニスお姉さん、一馬お父さん、忍お姉さんがするよ。お手伝いとして、アリシアちゃんと、すずかちゃんも一緒だよ!』

 

『みんな頑張ってね! ……ってすずかちゃんもいるの!?』

 

『うん、後今回の闇の書修復のスポンサーとしてアリサちゃんもいるからね』

 

『え~~~~!!』

 

 驚くうさぎなのはをスルーして説明を続けていく一樹。

 

『後、はやてちゃんとシャマル先生もこのグループと一緒だよ。はやてちゃんは「闇の書」と一緒にいてもらってアクセスが必要なときはその許可を出してもらわないといけないからね。シャマル先生ははやてちゃんの健康状態を見てもらうためだよ。もしかしたらはやてちゃんが中二病を発症するかもしれないからね。そういう事も含めてみてもらいたいんだ』

 

「それ、報告してどうするんですか……」

 

 シャマルが呟く。確かにその通りである。

 

『へ~』

 

『で、そのグループの護衛として、士郎お父さん、恭也お兄さん、美由希お姉さんが頑張ってくれるよ!』

 

『お父さん! お兄ちゃん! お姉ちゃん! 頑張って!!』

 

「「「任せとけ!!!」」」

 

 声をそろえて言う高町家。三人とも鼻血を噴出している。って拭いて下さい!!

 

『次に、蒐集するグループは八神戦隊ヴォルケンズのみんなと、なのはちゃん、フェイトちゃん、亜夜ちゃん、クロノお兄さん、晃お兄さん、シュバルツお兄さんで行くよ。もちろんみんなの一樹お兄さんも一緒だから気をつけてね!』

 

『それ、自分で言っちゃうんだ……』

 

『目標としてまず四百ページ蒐集するよ! そうすれば「闇の書」の管制人格が起きるからね』

 

『一樹お兄さん、「管制人格」って?』

 

『う~ん、簡単に言うともう一人のヴォルケンリッターかな? 正確には違うけど今はそれで十分だと思うし。まあ、四百ページ蒐集しないと起きて来ない寝ぼすけさんだね』

 

『じゃあ、早く起こしてあげようね!』

 

『うん、そうだね。一人ぼっちは寂しいもんな! あ! そろそろ時間だ! じゃあ、今回のなぜなになのははここまでだよ! みんなこれで「闇の書」の事は大丈夫だね! それじゃあ、みんなで頑張って「闇の書」を直そうね! それじゃあ、またね~!』

 

『それじゃあみんな頑張ろうね!』

 

 僕はそう言って手を振る二人を呆然と見ていた。

 

 

 

 

 

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