この作者がシリアスなfateを書くのが不思議過ぎると思う方は……いるんだろうねww
では、第一話…お楽しみ下さい。
歴史上最も有名な物語、武器、主人公。
それら全てを併せ持つ人物は誰だろうか?
それはきっと『アーサー王』と呼ばれるブリテン最期の王、その人だろう。
彼の人生は波乱に満ちていた。
王の選定の剣を抜き、ブリテンの王になる。
円卓の騎士と呼ばれる最強の戦闘集団を作り上げる。
臣下の騎士の不義に怒り、彼を殺す。
そして……最後には自分の息子と、カムランの丘で戦い……相打ちとなる。
その後、ブリテンは滅びを迎える事になる。
アーサー王の物語はこんな単純な物ではなく、更に過酷で残酷な人生を彼は送っている。
しかし、その結末を変えられる者が現れたら…彼は幸せな『死』を迎えられたのかもしれない。
ーーーそして『死』を越えた先に、彼は本当の居場所を見つけられるのだろう。
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ーーーーここはどこだ?
ーーー俺は……誰だっけ?
ーーーー思い出せない。
ーーー何も、分からない。
ーーーーただ、一つだけハッキリしている。
ーーー俺は……死んだんだっけ?
暗い空間を落ちていく、どんな死に方だったのかすら思い出せないが、とにかく俺は死んだ………それだけは、何故か鮮明に覚えている。
このまま俺は落ち続けるんだろうか?
底にはきっと、地獄があるんだろうな……
これも何となくだが、合っている気がする。
男は落ち続け、そしてその先に小さな光が見えた。
何だろう……そう思い見つめ続けていると、その光が徐々に大きくなっている気がする。
暫くすると、男はその光に飲まれていった。
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「おぎゃー! おぎゃーーー!」
「ウーサー様! 元気なお子様でごさいますよ!」
「おおっ! 遂に産まれたか、我が息子よ!」
ここは、ブリテンという国を統治している『ペンドラゴン』の家系、つまりは王族の住まう城『キャメロット城』
ウーサーと呼ばれた男こそ、このブリテンの大地を統べる王だった。
そんな男が喜んでいるのには訳があった……そう、念願だった後継の出産だ。
「あ、あぁっ! ウ、ウーサー様! もう一人、もう一人出てきましたよ!」
「本当か!? あぁ…本当に、本当に…よく頑張ったな……イグレイン」
寝台で大きな玉の汗を書いている女性の名は『イグレイン』彼女は、このウーサー王の妻であり、後にアーサーと呼ばれる者の母になる女性だ。
「はぁ……はぁ……いいのよ、ウーサー……頑張ったのは、私だけじゃ…ないんだから」
「私は、幸せ者だな……」
夫婦揃って涙を流す。
それもそうだろう。念願が叶ったどころか、2人も愛する子が誕生したのだから。
「ウーサー様、イグレイン様、この子達の名はどう致しますか? 男の子と女の子です、どうかお名前を付けて、可愛がって下さい」
「う、うぅむ……女の名前しか考えておらんかったからな、どうするイグレインよ」
「『アルトリア』という名を考えたのは私。
なら、男の子の名前を考えるのは、あなたの役目でしょ?」
「そう言われても……」
俯き考え込んでしまったウーサーだったが、突然ひらめいたのか、顔をバッと上げると
とても良い笑顔で息子の名前を呼んだ。
「『オブサベル』……なんて、どうだろう?」
特に何かを考えた訳ではないが、突然降ってくるように思いついた名前だ。
ウーサーは、その自分の考えを信じてイグレインに聞いてみた。
「オブサベル……オブサベル・ペンドラゴン…うん、良い名前だと思うわ」
イグレインも、ウーサーが唐突に思いついた名前だと分かっていたのだろうが、愛する夫の付けた名前。
受け入れることはあっても、否定するつもりは元々なかった……もっとも、酷い名前だったら考えものだったかもしれないが。
「ではウーサー様、イグレイン様もお疲れだと思うので…夫婦の語らいはまた後日、という事でもよろしいでしょうか?」
「んっ、あぁすまない。 そうだったな、アリア。
出産を終えたばかりの母にそう話しかけ続けるものではないな」
「あなた? 息子と娘が同時に出来たからって、張り切りすぎないでね?
また腰を痛めても、今度は面倒見てあげませんよ?」
「ははっ、耳が痛いな。 ではイグレイン、また明日……子供達の将来についてでも語ろうではないか」
言い終わるのを見計らった侍女『アリア』が、イグレインを連れて部屋から出て行く。
その場に一人残されたウーサーだが、その表情は決して王とは名乗れないようなだらしない顔をしていた。
「オブサベルは立派な騎士に……アルトリアは姫として……二人とも、何処に出しても恥ずかしくないーーーーっがは!」
ウーサーの胸からは、剣が生えていた。
内臓を貫き、皮膚を破り、血に濡れたその剣は………確かに王の命を奪った。
「ウーサーよ、このブリテン……落とさせてもらう」
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その日を境にブリテンは多くの領土と兵を失い、ウーサーに連なる全ての王族は、生まれたばかりのアルトリアとオブサベルを残して全て殺された。
しかし、王の側近として支えていたアリアの手によって二人は、生き永らえる事ができた。
そして、10年の月日が流れた。
アルトリアとオブサベルの二人は、アリアの子供として育てられている。
アルトリアは美しく長い金髪に碧眼を持ち『平民の出』のはずなのに、溢れ出る笑顔には何処か気品が溢れていた。
オブサベルも金髪に碧眼なのだが、その色はアルトリアよりも少し薄い。
男らしい顔つきと、その年にしては高い身長のせいで、村にいる同世代の女の子達から注目されている。
「兄さん。 私は野菜を買いに行くんですけど、良ければ一緒にどうかな?」
「ん? あー……そうだな、もう日も沈みそうだし、一緒にいこうか。 アルトリアに手を出す奴がいたら、そいつを殺すのが俺の役目でもあるしな」
「ん? んー………?」
この兄なら本当にやりかねない……
と言うのも、一度アルトリアが村の子供に虐められているとき、颯爽とオブサベルが現れたと思ったら、虐められているはずのアルトリアが引くくらい相手をボコボコにした事があるからだ。
「暴力はダメですよ?」
「ま、アルトリアがどうしてもって言うなら殺人だけはやらないでおくさ」
村に行く目的は、アリアに頼まれた買い物である。
緑色の質素な服にエプロンを付けただけのアルトリアなのだが、その姿を毎日見ているはずのオブサベルですら……ちょっと見惚れた。
「どうしたの、兄さん?」
「いや、俺の妹は可愛いな〜と思ってただけ」
「はいはい、毎日聞いてるよ」
実はこの男、重度のシスコンである。
二人は家を出ると、テクテク歩いて野菜を売ってくれる店に行く。
オブサベルは予想していたのだが、同世代の連中がチラチラとアルトリアを見ているが、当の本人はそれに気付いてないのか、ずっとオブサベルに話しかけている。
「でね、母さんったら私にこう言ったんだよ?『オブサベルは妹に手を出しかねない』…だってさ、笑っちゃうよね」
「まぁ、アルトリアの事は大好きだけど、流石に手は出さねぇな。
いくら美少女とはいえ、ちょっと顔が似てる妹に手を出すのはなんかヤダ」
「顔が似てるからヤダ? 微妙に意味がわかんないけど、手を出すって、殴るって意味じゃないの?」
あぁ……そう言えばこの妹、ピュアなんだっけな…
と、再確認出来たあたりで店に到着した。
アリアに頼まれている野菜を見繕い金を払う。
これ以上は特にやる事はないのだが、なんとなく寄り道したくなったので、散歩がてら遠回りをしてから帰る事にした。
すっかり夜になってしまったが、村からは少し離れている家の前にやっとの思いで到着すると、オブサベルは少しの違和感を覚えた。
「アルトリア、ここで待ってろ。
俺が呼ぶまで絶対に動くなよ」
「ど、どうしたの?」
「ちょっとな………いいから、お前はとりあえずここで待ってろ」
家から少しだけ離れた位置にアルトリアを置いていくと、オブサベルは一人で家に向かう。
鉄の匂いがする……母さんが鉄板でも焦がしてるのか?
そう自分に言い聞かせてから、慎重にドアを開ける。
「なんだ……心配して損した…」
ボロボロの家屋に良く似合うボロボロの椅子、そこにはアリアが背を向けて座っていた。
寝ているのだろうか、オブサベルの声に反応を示さない。
それは別に構わないのだが、目を覚まさないアリアを驚かしてやろうと思い、オブサベルはニヤッとした笑みを浮かべると、ゆっくりアリアに近づいていった。
「母さーーーうわっ!」
何かに滑って足を滑らせてしまった。
尻餅をついたため、両手で床を押すようにして立ち上がろうとする。
ヌルっ………
「あ?」
変なものを触ったのだろうか?
自分の両手を見てみると、そこには赤い液体がべったりと付着していた。
「え……これ、って…」
嫌な予感が再び蘇ってくる。
しかし、まだそれが当たっているとは思いたくない。
とりあえずは立ち上がらなければ……そう思い椅子の足を掴むと……
ーーーゴトリ
まるで、立ち上がろうとするオブサベルと入れ替わる様にアリアが床に落ちた。
椅子で見えなかった腹部から大量の血を流している。
貧乏な家なので、蝋燭をつけなければ部屋の中を見渡す事が出来ない。
何故見渡せたのか、それは………
「に、兄さん? 」
オブサベルが倒れた時の大声に反応して来たのだろうか、夜になっては家の中が見え辛いだろうと思って蝋燭を持って来てくれた。
「来るな! 今すぐ村に走って誰か呼んでこい!」
「で、でも! 母さんが…母さんが!!」
「母さんを何とか助ける為に呼んでこいって言ってんだ! 早く行け!!」
錯乱しそうになっているアルトリアを叱責し、無理矢理にでも村に走らせようとする。
アルトリアには優しいはずのオブサベルが怒鳴る事など滅多に事なので、怯えた様子で村に向かって行った。
「母さん………なんで……」
オブサベルはアルトリアよりも大分大人びている。 だからこそ、分かってしまった。
暫くその場で蹲っていると、大人の声が外から聞こえてきた。
アルトリアが呼んでくれたのだろう……村の医師が急いでアリアの様子を見る。
オブサベルはその間に、血の付いた手を自分の服で拭うと、外にいるアルトリアの側に寄っていった。
「大丈夫だ……」
声をかけるも、ショックが大き過ぎたのかまるで反応を示さない。
医師が家の中から出てきた。
結果は分かっている、せめて俺はアルトリアを悲しませないようにしなければならない。
ウーサー、イグレインが暗殺されてから10年……ここまで育ててくれた、オブサベルとアルトリアにとっては本当の母……
ーーーーアリアが、殺された。
うん、最初から分かってた事だけど……一話目はつまらん!
次の話から本格的にfateっぽくしていくので、見捨てないで! まだ見捨てないであげて!
ではまた次回も、マシ……お楽しみに〜( ´ ▽ ` )ノシ