約束された守護の剣   作:ジャックハルトル

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なっがい停止期間でした。

理由、お仕事忙しかった。

お楽しみください!


第4話・騎士

 

 

 

呪いの大魔術師

『オブサベル・ペンドラゴン』

 

彼は異常の一言で片がつく。

一般的な魔術師の殆どが使える簡単な呪いの魔術である『ガンド』をひたすらに極めた存在。

 

人に指をさしてはいけない。

子供の頃に誰もが一度は聞いたことがあるだろう。

ごくごく一般的なマナーであるそれは、本来なら魔女に指を指されるのを恐れた民の勝手な思い込みから始まっている。

ガンドの効果は、それをただ濃くして呪いとしての効果を上げているだけだった。

 

ならば何故そんな初歩的な魔術を極めたのか?そんなものはただ一つ。

 

『その方がカッコいいだろ?』

 

最愛の妹に言い放ったその一言で彼の指向性は定まった。

 

ーーー少しでも掠めれば不可視の炎で全身を燃やし尽くす炎のガンド。

 

ーーー当たればその部分を瞬く間に凍り付けにしてしまう氷結のガンド。

 

ーーー物理的干渉に特化させた対物質用のガンド。

 

彼は様々なガンドを開発した。

 

故に、彼は『呪いの大魔術師』と呼ばれ、恐れられている。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

騎士

『ベディヴィエール』

 

支えていた国を無くしてしまった彼は世界中を放浪していた。

そんな中、とある噂が耳に入ってきた。

『ブリテンの王は素晴らしい政治手腕を持ち、たったの三年で荒れ果てた国を再建させた』

 

なるほど、それは興味深い。

 

そう思ったベディヴィエールは早速ブリテンに向けて足を運んだ。

一月ほど歩いてようやく辿り着いたその国は、素晴らしいの一言だった。

街並みは決して美しいとは言えなかったが、その国に住む民は皆笑顔を浮かべていた。

 

ーーーあぁ、私の支えるべき国はここなのかもしれない…

 

だからこそこの試合、負ける訳にはいかない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

特に美しくも何ともない石畳が引かれているだけのだだっ広い庭園に2人は立っていた。

 

アルトリアやカリーナが見守る中、一定の距離を開け、睨み合う2人。

 

「それでは模擬戦を開始する。

ベディヴィエールが負けた際には騎士になるのを諦めてもらう、オブサベルが負けた際には騎士になる事を認めよう。

双方何か質問などはあるか?」

 

「王よ、勝った負けたの判断はどう判断すれば?」

 

オブサベルからの質問に、ニヤリと口の端を吊り上げるアルトリアに嫌な予感しかしない。

ほら見ろ、横のカリーナもそれに気が付いたのか苦笑いでこっちに手振ってるぞ、可愛い。

 

「双方全力で戦い、戦闘不能になるまで戦え。くれぐれも殺したり、今後に支障が出るような撃破方法じゃない限りは何をしてもいい。

生憎、ここには優秀な魔術師が三人もいるからな……多少のケガならなんともなかろう」

 

ーーーこの愚妹、後でぶっ飛ばす。

でもよく考えたら勝てそうにないわ、やめとこう。

 

ベディヴィエールなんか青い顔して明後日の方向向いてるぞ。

 

「師兄もベディヴィエールさんも頑張って下さい!」

 

「任せーーー」

 

「お任せ下さいレディ!!」

 

オブサベルに被せる形で返事をするベディヴィエール。

カリーナも乗せるのが上手くなったなぁ…と思いつつ、妹第一主義者であるオブサベルに先んじたのは失敗だと思う。

 

「よし、さっさと始めるぞ」

 

「は、はい。よろしくお願い致します!」

 

明らかにオブサベルの目の色が変わった。

何がきっかけで戦闘態勢に入ったのかがよく分からないが、油断が出来るようなものでは無い。

 

「それでは。ーーーー試合開始!!」

 

アルトリアが声高らかに開始の合図を叫ぶと、最初に動いたのはベディヴィエールだった。

 

「セアぁ!」

 

魔術師であるオブサベルはどうしても騎士の動きに対してワンテンポ遅れる。

魔術での攻撃は威力が高ければ高いほど詠唱に時間がかかってしまう、ならば息つく間も与えず連続で攻撃を仕掛ければ封殺出来るとベディヴィエールは判断した。

 

「…………」

 

「フッ!ハァァァァア!!」

 

怒涛の連撃を危なげなく躱していくオブサベル。

 

何故当たらない!?

 

魔術師は接近戦に弱い。

これはイメージの話ではあるが、そのイメージ通り大抵の魔術師は接近戦が苦手だ。

例えばカリーナだが、彼女も魔術師としてはそこそこの実力はあるが、接近戦となったら近所の子供に負けてしまうレベルだ。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「いい事を教えてやろう、ベディヴィエール。

俺は接近戦だって別に苦手じゃない、それどころかある程度の実力者ならブチのめせるくらいの自信はある。

俺は、アーサー王と幼少の頃から共に研鑽してきた。

アーサー王は剣士として、俺は魔術師として……だ。

なぁ、ベディヴィエール…魔術師相手に

『今日もボコ……模擬戦しましょう!!』

とか言われてボッコボコにされて来た俺を哀れだと思うか?」

 

カリーナからハイライトの消えた目がアルトリアに向けられる。

まさかこんなところでカミングアウトされると思っていなかった。

カリーナの視線に耐えられなくなったのか、必死に顔を背けている。

 

「最近でこそあまり言って来なくなったが、それはもうボコボコにされたよ。

だがな?そのお陰かどうかは分からんが、ある程度の高速戦闘には対応出来るようになれたんだ」

 

「納得しました、だからこそそこまでの戦闘スキルがあるのですね」

 

「だろ?だがな、だからこそ……」

 

話に集中して気を逸らしていた自分を恨んだ。

オブサベルの指に集約される魔力は、およそガンドと呼んでいいレベルを遥かに超えている。

ゆっくりと上げられた右手は真っ直ぐにベディヴィエールを狙っていた。

 

「ーーー俺は我が王が愛おしいーーー

爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)

 

「ッ!?」

 

既にオブサベルに向かい走り始めていたのだが、直感がそのガンドに当たるなと警告を鳴らしている。

ギリギリのタイミングで躱してそのまま走り続けるが、オブサベルの攻撃は止む気配を見せない。

 

「『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』、『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』」

 

主に足に向けられて連射される魔弾は、ガンドの領域を遥かに超えている。

 

ガン!ガン!

 

と一撃毎に石畳を粉砕していくソレは、先ほどアルトリアに言われたルールをまるで無視した威力となって襲いかかる。

流石に後退を余儀なくされ、避ける事に集中しだしたベディヴィエールを更に追い詰めていく。

 

「『増殖する魔弾(マキシマース・ガンド)』」

 

足元に放たれ続ける『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』に織りまぜる形で、左手から放たれたのは異常なまでに遅いガンドだった。

足元に注意しつつも、新たに撃たれたガンドを見ていたベディヴィエールは自らの目を疑った。

 

ブブッ…ブブン……

 

1つのガンドがブレ始めたと思えば、いつの間にかそれが2つに。

2つのガンドが4つ、8、16、32、64……と倍々に数が増えている。

弾速の遅いそれはいつの間にかオブサベルの姿が完全に見えなくなってしまうほどの量にまで増殖していった。

 

「接近戦にさえ持ち込めればっ!」

 

地上がダメならば上から!

 

そう判断を下したベディヴィエールの行動は早かった。

本当に鎧を身に付けているのかと疑いたくなる大跳躍は、流石のアルトリアも関心してしまうほどだった。

 

見えていないのはあちらも同じ、空からの奇襲によってオブサベルの不意を突こうとガンドの壁を飛び越えたが、そこには…

 

「上だろ?分かりやすくてありがたいな」

 

見切っていたと言わんばかりのオブサベルと視線が合ってしまった。

いつの間にか止んでいた『爆ぜる魔弾(バースト・ガンド)』の代わりに向けられた指から新たな魔弾が放たれる。

 

ガゥン!!

 

「ーーーガハっ」

 

無詠唱で放たれた『フィンの一撃』。

物理攻撃に特化したそれは、吸い込まれるようにベディヴィエールの胸部に直撃し、まるでハンマーでも叩きつけられたのかと疑いたくなるようにその部分の鎧がひしゃげていた。

避ける事も受け身をとる事も出来なかった分、ダイレクトな衝撃がダメージとして刻まれる。

 

ドサッと地面に落下したベディヴィエールを確認したオブサベルは『増殖する魔弾(マキシマース・ガンド)』を消した。

 

「ま、中々良い線は行ってたんじゃないか?

……我が王よ、これ以上やっても無駄でしょう。

状況判断や、接近戦で私に反撃をさせなかった点については合格でも構わないと判断いたしますが、いかがいたしましょう?」

 

オブサベル的にはベディヴィエールの事を少なからず気に入っている。

まだまだ力不足だとは思うが、そこは現状の力量と将来性に期待しておく。

 

「ふむ…オブサベル、判断はお前に任せると言った。

お前が合格だと言うのであればそれで構わない」

 

「かしこまりました。ではーーーー

へぇ……根性も中々だったのか、やるじゃねぇか」

 

かなり辛そうではあったが、剣を支えにして立ち上がる姿が視界の端に映った。

オブサベル的には『フィンの一撃』が直撃した時点で勝敗は決したものだと思っていたので、起き上がってきた事には素直に関心していた。

 

「まだ……まだ、戦えます」

 

フラフラの足取りではあるが、剣を構えてこちらを睨みつけてくる姿に、オブサベルも…少しだけ本気を出してやる事にした。

 

「我が王よ……よろしいか?」

 

「はぁ……兄さんの悪い癖が出た……構わん、続けるがいい」

 

前半は近くにいたカリーナにしか聞こえないくらいの声量だったので、聞こえてはいたのだが意味はよく分からなかった。

兄妹ならではのやりとり、ある意味では最強の暗号の意味はーーー

 

『ちょっと本気出す』

 

『殺さない程度にね』

 

「ッ行きます!!」

 

動ける程度には回復出来たのか、弾丸のように飛び出す。

 

今度こそ魔術を使う暇なんて与えない!

 

そう思っていたベディヴィエールは予想外の光景を目にした。

この模擬戦で初めてオブサベルが構えを取った。

その姿はまるで、徒手格闘による接近戦も可能だと言わんばかりに。

 

しかし、騎士が接近戦で魔術師に負ける道理は無い!

 

大上段から振り下ろす剣に油断や手加減などは一切無く、本物の殺意を込め、本当に殺すつもりでなければオブサベルを倒す事など不可能だと悟ったからこそ出した本気の斬撃。

 

「『魔力付与・硬化(エンチャント・ハード)

 

オブサベルの両腕が山吹色輝き出したと思えば、振り下ろされる剣に向かってそのまま拳を叩きつけた。

 

ガギィィン!!

 

およそ鋼の剣と人体がぶつかり合って鳴るような音では無かった。

 

あまりの衝撃に剣が弾き飛ばされてしまったベディヴィエールを心配そうな表情で見つめるカリーナ。

 

「……出ましたね、師兄の対接近戦必勝パターンです」

 

「本気になった兄さん相手は私でも苦労するからね……なんとか勝てるけど」

 

「アルトリア姉様は別ですよ、魔力放出で殆どのガンドを吹き飛ばせる上に、接近戦では師兄に勝てる未来が見えませんからね」

 

アルトリアの異常性が垣間見える会話だったが、事実その通り、本気になったオブサベルに勝つ手段は3つ。

 

1つーーー魔術師としてオブサベルの上を行く。

 

2つーーー圧倒的な戦闘力でオブサベルに二の手を使わせない。

 

3つーーー何かしらの方法で魔術を無効化する。

 

アルトリアは2つ目と3つ目の方法を持ってしてオブサベルを倒せるのだが……

 

「『右腕弾丸装填(ライトバレル セット)・フィンの一撃』

左腕弾丸装填(レフトバレル セット)腐食の魔弾(マーダー・ガンド)

 

驚きを隠せないベディヴィエールをよそに、オブサベルの両腕にそれぞれ別の効果を持った魔弾が『装填』された。

 

腐食の魔弾(マーダー・ガンド)』が装填された左腕で鎧の腹部を殴打すると、その部分が見る見るうちに錆び始めていく。

そこを目掛け、『フィンの一撃』が装填された右腕で殴りつけると、いとも簡単に鎧を破壊し、そのまま腹部を殴る。

 

「アグッ!」

 

鋼鉄の鎧すらもひしゃげさせる程の『フィンの一撃』に加えて『魔力付加(エンチャント)』により硬化しているオブサベルの拳による攻撃……それこそ、一般人が受けたら死に至る可能性するらあるような危険な技。

 

何メートルもの距離を殴り飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がり、やっと止まった頃には…

 

「やり過ぎだよ」

 

「死にはしないさ」

 

「本当に生きてます?」

 

「確認よろしく」

 

「は〜い」

 

テトテトとベディヴィエールに向かって走っていくカリーナを横目に、アルトリアのジトッとした視線が刺さる。

 

「やり過ぎだよ、兄さん」

 

あぁ、やっぱりその事か…

予想はしていたし、やり過ぎた事も重々承知している。

だからこそオブサベルはこう告げた。

 

「男の勝負だ、気にすんな」

 

「死んでは?」

 

「ない」

 

「ならいいや。どうせ手加減してたんでしょ?」

 

どっちかと言われると、多少は本気を出していた。

もちろん、今のベディヴィエールに本気など出したら跡形も残さない自信はある、だが別に手加減していた訳でなく、確殺しないガンドのみでという縛りを課しただけで、そのルールの中では全力で戦ったつもりだ。

 

「『燃える魔弾(フラムズ・ガンド)』とか使ってない時点でバレバレ。

カリーナでも誤魔化されないよ、こんなやり方じゃね」

 

「ま、なんにせよベディヴィエールは合格だ。正直言ってここまでキチンと戦える奴だとは思ってなかった。

口だけの奴なら本当に殺してやってもよかったけどな」

 

理由はカリーナに惚れたから。

オブサベルが真に認める男は恐らくこの世界には存在しない、あえて言うなら自分自身だが………

彼の認める男とは、見た目良し、性格良し、頭良し、そして戦闘能力でオブサベルを上回る事だった。

 

「またそんな事言って………」

 

アルトリアがため息をつきながらも少し嬉しそうに愚痴を洩らす。

オブサベルは、誰も見ていないのを確認するとアルトリアの頭を撫でてあげる。

王とはいえ年頃の女の子。こんな事をされたら普通なら振り払うが、その行動をさも当然のように受け入れている。

 

そうこうしていると、ベディヴィエールの生死確認を終えたカリーナが、これまたテトテトと小走りで戻ってきた。

 

「どうよ?」

 

「ん〜、生きてはいるんですけど、早く治療した方が良さそうですね。

大師父でも読んできましょうか?」

 

「あー、頼むわ。

回復魔法とかあんま得意じゃねぇしな」

 

大師父とはもちろんマーリンの事だが、オブサベルは別に回復魔法を使えないわけではなく、純粋に練習してないだけだった。

そこらへんにいる魔術師程度には使えるのだが、本人に使う気が更々無いらしい。

 

ーーー曰く『先にぶっ殺せ』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はい、カリーナ、この場合の答えは?」

 

「全力で撃ちまくる、ですね」

 

「三角ってところだな」

 

ベディヴィエールが入団してから早や三ヶ月、ブリテンでの生活や騎士としての修行も上々で、毎日を楽しそうに謳歌している。

 

オブサベルとカリーナは工房で魔術の研究や修行をゆったりと行なっていた。

ちなみに2人のやり取りは『敵に何かしらの攻撃が直撃し、体制を崩しました…どうする?』という内容だ。

カリーナは、んん?と頭を捻っているが答えは出ず、オブサベルに答えを教えてもらう事にした。

 

「正解は、体制を崩した相手の足を集中的に狙い、倒れて身動きが取れなくなってから全力で撃ちまくる…だ」

 

「流石は師兄、悪魔ですね」

 

「だろ?

つかな、戦場で常に優位に立てるのは、容赦の無い奴、容赦を捨てた奴だと俺は思う。

ま、最後の最後まで油断せず確実にぶっ殺せるようになったらぶっ殺せば反撃なんて来ないからよ」

 

「まぁそうなんでしょうけど…」

 

まだ13歳の女の子に話す内容じゃ無いよなぁ…と遠い目をしているカリーナだった。

 

「ま、そろそろ昼時だし、上行って飯でも食うか」

 

「賛成でーす」

 

広げていた資料などを簡単に片付けると、2人は部屋から出て行った。

 

「ふぁ〜……眠み…」

 

「ご飯を食べたら、恒例のお昼寝タイムですね」

 

他愛もない話をしながら階段を登っていると、上から突然声をかけられた。

 

「おはようございます、オブサベル殿、カリーナ嬢」

 

声の主は、まさに色男といった風貌で一躍人気になった最近入団を果たした新人騎士。

 

「おう、おはようさん」

 

「おはようございます、ガウェインさん」

 

彼に入団試験は存在しなかった。

隣国のオークニーという国の盟主であるロト王が直接ブリテンに従事させようと送られてきた騎士だったからだ。

オブサベルも前々からガウェインに関しての噂はチラホラと耳にしてきた。

 

曰くーーー日中最強。

 

曰くーーー太陽の元では本来の3倍の力がでる。

 

などの信じがたい噂ではあったのだが、彼は確かに強い。

夜戦ではあまり前には出ないのだが、日中は無類の強さを発揮し、1人で100人以上もの敵を屠ってきたらしい。

 

大方、ロト王がこちらに送ってきた密偵のようなものか、内側からアルトリアを暗殺するためなのかは知らないが、オブサベルは現状彼の事をあまり信用してはいなかった。

 

何故なら彼は……ロト王の実子だから。

 

「どちらへ?」

 

「ご飯です!」

 

「ほほぅ…実は私もまだでして、ご一緒してもよろしいですか?」

 

「あぁ、俺は構わんよ」

 

「私も大丈夫ですよ!」

 

カリーナが妙に元気なのが気になる、そんなに腹が減っていたのか?

 

オブサベルとしては、ガウェインと共に行動することは悪くないと思っている。

諜報などの行為の妨げにもなるし、なによりも彼には聞きたい事が山ほどあるからだ。

 

三人は共に食堂まで移動する。

通りかかる騎士の殆どが先ずはオブサベルに挨拶をする。

昔から知っている顔も多いので、『おはようさん』と素っ気ない返事を返しているが、オブサベルの事を知っている騎士達は、いつもの事だと笑っている。

 

カリーナはこのキャメロットのアイドル的な存在としての地位を確立している。

本人は素なので、狙っているわけではないのだが、その一挙一動が一々可愛い。

挨拶をしてくる騎士に『おはようございまーす』と手を振っている。

 

ガウェインは元々出歩いていた噂も相まって、新人ではあるのだが既に一目置かれていた。

何事にも動揺しないような堂々とした歩き方が、その存在を更に引き立てているのだろう。

 

そうこうしていると、三人は食堂に到着したので、適当に注文してから手近な椅子に腰をかけた。

 

「ガウェインさぁ」

 

「なんでしょう?」

 

「やっぱ、お前の存在が分かんねぇ」

 

「いや師兄、突然すぎですよ」

 

聞くものが聞けば失礼でもあり意味の分からない質問である。

しかし、ガウェインにはその意図が分かる。

 

「オブサベル殿言いたい事はもっともだと思います。

私も、私のような立場の人間が突然訪れたら信用なんて出来ませんからね」

 

「分かってるのならいい。

なら代わりにこれだけは答えとけ、お前は我が王に何処までの忠誠を誓えるんだ?」

 

「ーーー我が身、我が命が没する時まで、アーサー王を我が忠義を尽くす主として生涯尽くしましょう」

 

「騎士に二言はあるか?」

 

「あります。ただ、男に二言はありません」

 

正直な話、ここまで言ったとしてもまだガウェインを信用しきれはしない。

だが、その答えは気に入った。

オブサベルがニヤリと口元を歪めると、隣に座っていたカリーナが苦笑いをもらす。

 

そして、オブサベルはこの席で最も言いたかった事を口にする。

 

「ならばその忠義、戦場にて示せ。

俺も一応は参謀なんて役職を持っているからな、情報はちょいちょい入ってくるんだ。

……近々、あるんだろう?」

 

 

ーーーーオークニーとの戦争がーーーー




心配ごとはただ一つ!
キャラブレてないよね!
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