模型戦士GPフレンズ ちょっと変わった、僕らのトモダチ 作:来迎 秋良
もう七ヶ月ぶりくらいですかね。
進学先も決まり、ようやく投稿もできました。
さて、今回はすこしだけ話が進んだかもしれません。
ついでにメインキャラも大分出てきた、かな?
「学校、ですか?」
「うん、僕は高校に行かなきゃいけないから、ツバサは留守番してて」
今日は月曜日だから高校一年生である所の僕は学校に行かなきゃいけない。
でもツバサは僕の腕を掴んで離してくれなかった。
「嫌です! 私と離れてるあいだに睦月さんに何かあったらどうするんですか!」
離れようとしない彼女をなんとか引き剥がして朝ごはんを作るけど、
彼女の機嫌は直りそうに無かった。
「む~……睦月さ~ん」
「うっ……さ、さて。僕は鞄の用意して行かないと……」
僕はエナメルバッグを出して来て体操服やタオルを詰めて台所へ。
その後水筒と弁当をバッグに詰めて玄関に行く。
「ツバサ~、僕は行ってくるからね~……ってまだ拗ねてるのかな」
返事がないのを気にしつつ、日直だから急いで家を出る。
まあしっかり家の鍵も持たせてるしなんとかなると思うけど……。
◇
朝一番で学校に到着した僕は日直の仕事を済ませて授業の準備のために
鞄を開いて筆箱を出す。と、その時いきなり背中を思いっきりブッ叩かれた。
「いよっ! 今朝も早いじゃねーか睦月!」
「痛いからいきなり叩くのはやめろってば、
背中を思い切り叩いてきたのは『
僕の悪友でありスパロボ好きで、ガンダムならGガンが好きという
根っからの熱血好き。そして体育会系な熱いヤツ。
「こうした方が気合入るだろ!」
「だから痛いんだって……まあいいか。
そういやこの間言ってたガンプラは完成したの?」
その問いに彼は勢い込んで頷く。
「ああ、勿論だ! シャイニングガンダムにゴッドガンダムのパーツを組み合わせ、
改造して作り上げた俺の『シャイニング
――実はさ、今ここに持ってきてるのさ」
と、彼はにやけながらバッグを開けて……固まった。
そのバッグの中には、丁度Fフィギュアくらいの大きさの女の子が入っていた。
「……なんだこれ、こんなフィギュア俺は持ってねーぞ」
「誰がフィギュアだよご主人! アタシだアタシ、シャイニングだ!」
言われてみれば彼女の服装はGガンのような意匠のアーマーだった。
「ちょっ、小人が動いてるぞ!?」
「わーお。GPヒューマンってこんな事もできたんだ」
驚いている勝の横で僕は案外冷静に考えていられた。
まあこの間から驚く事の連続で慣れた感もあるけど。
と、その時ファスナーだけ開けていた僕のエナメルバッグからも
同じくらいの大きさの影が飛び出し僕の机の上に着地する。
「睦月さん! やっぱり変な事があったじゃないですか~っ!」
「ツバサっ!? 留守番してろって言ったじゃないか!」
僕に怒鳴られて思わず身を縮めている彼女を正座させさらに怒る僕。
その後ろで今度は勝とシャイニングが呆気に取られていた。
「なあご主人。あれアンタのダチだよな? なんでガンプラ連れてんだ」
「さぁ、わかんねえ。 つーかお前、俺のガンプラでいいんだよな!?
なんで俺のガンプラがフィギュアサイズの女の子になって動いてんだよ」
「アタシにもなんでかはわかんねー。でも、アタシはアンタに作られた。
で、気付いたらバッグの中に押し込まれてた。そんだけだ。
アタシはガンプラで最強を目指したいだけだからなっ!」
言いつつ胸を張る彼女の『最強』という言葉に勝は反応する。
「いいな、最強! うっしゃ、俺も手伝うぜ!」
「当然だ! アンタはアタシのマスターなんだからな!」
そういって拳をぶつけ合う二人の横で僕はお説教を終わらせた。
「やれやれ……で、話は終わった?」
「おうっ、細かいとこはサッパリ判らんが、
とにかく最強を目指すのがコイツの目的だって事だけは判った!」
「その通りだぜマスター!」
いつの間にやら意気投合した彼らに僕とツバサは顔を見合わせる。
「あっという間に仲良くなっちゃいましたね」
「そうだね~。で、勝手についてきた事は 反 省 し た ?」
「ひぅっ……ごめんなさい」
しゅんと小さくなる彼女に苦笑いする僕らだけど、遠くから声がするのに気付く。
「げ、クラスメイトかも! ツバサ、あとそっちの子、隠れて!」
「はいっ!」
「あいよっと。見つかりゃ面倒ってこったろ」
ツバサはあたふたと、シャイニングは華麗にバッグに飛び込み隠れる。
その直後にクラスメイトたちが教室に入ってきて、僕らはぎこちなく挨拶。
そのまま他愛もない話をし、ホームルームを迎える。
◇
「むつきー、どしたの? なんか落ち着かないみたいだけど」
一時間目が終わった後の休み時間に麗流が話しかけてきた。
「いや、実はさ。ツバサがついてきちゃったんだ。
今補助バッグの中に隠れてる。どうしたもんかな」
「あー、それなら私も四一を連れてきたよ。
私も補助バッグに隠れてもらってるー」
その言葉と共に彼女のバッグから細い手が一本出て手を振ってみせる。
それはまぎれもなく、ガンプラサイズになった四一さんの手だった。
「おいおい、麗流まで……これで三人だよ、まったく」
「え? 睦月と私だけじゃないの?」
「そう。実は勝もガンプラが人間になったらしくてさ……Gガンダム?だって」
それを聞いて麗流は複雑そうな表情になっていた。
「あー、あの作品ね……良い作品ではあるんだけど、その……ぶっ飛んでるよ?」
「え、どういう事」
その直後に授業が始まり、僕と麗流の話は途切れる。
でも授業が終わった後Gガンダムのストーリーを聞いた僕は、
さっきの麗流のように頭を抱えていた。
「生身でモビルスーツ壊すってどういう事なの……」
「それがガンダムファイターだもん、しょうがないよ」
◇
その後ホームルームが終わって午前の授業を上の空のまま終わり、昼休み。
僕と勝、麗流はクラスメイトに見つからないようにツバサとシャイニングG、四一さん
を連れ屋上へ。まあ、フィギュアサイズだったから上着に隠して持っていけたけど。
「で、だ。お前らコイツと普通に話してるってことはいろいろ知ってるんだろ?
とっとと俺に説明してくれよ」
いろいろと言われても判らない僕はとりあえず知っていることだけでも
教えることにして、その横ではツバサと勝のガンプラが話していた。
◇
「――なるほどな。つまりコイツらは人間とほとんど変わらないが、
バトルする姿になれて、ガンプラ同士で戦いたがる、と」
「あー、うん。そんな感じ……なのかな」
「そんな感じでいいと思うよ、睦月」
僕と麗流は勝に説明を終えると、麗流が勝の肩をつつく。
「それで、彼女はなんて名前なの?」
麗流の言葉に呆気に取られる勝。
それを気にせず、麗流は勝の頬をつんつんつついていた。
「彼女も名前貰った方が嬉しいと思うよー?
と、いうわけで名前考えてあげなよ~」
「やめろって、判ったわかった。あ~……どんなが良いか」
勝は腕組みし唸り始める。
と、その横でいつのまにやら拳法の型を練習していたシャイニングGガンダム
は、
いきなり手を後ろに引くと気合を溜め始めた。
すると彼女の手は輝きはじめ、そして……
「シャァァァイニング、フィンガぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
この掛け声と共に彼女が放った光は上空へと突き進んで行き、上空の雲に大穴を空けた。
「ちょっ、君は何してるの!?」
「いやぁ、アタシはちゃんと必殺技が撃てんのか試してみようと思ってな。
ガンプラのアタシでもちゃんと原作の技出せたみたいで良かったぜ」
慌てて声をかける睦月、その後ろで勝はぽんと手を打って。
「あの輝き、すげーな。それじゃこれからお前の名前は『ヒカリ』だ。よろしくな、ヒカリ!」
「そうか、ありがとなご主人。最強目指して頑張るぜ!」
がっしりと腕を組む二人だったが、そのとき階段の下からどやどやと音が。
「やっば、ツバサ、ヒカリ、四一さん! 三人とも隠れて!」
「はい、睦月さん! ほら、ヒカリさんも!」
「おい、何でアタシまで!?」
僕らが慌てて貯水タンクに登って隠れた直後に、先生が血相を変えて飛び出してくる。
「な、何だったんだあの光は……まるで何かが爆発したみたいだったが」
と戻りながら言っている先生のつぶやきに、僕らは顔を見合わせるのだった。
◇
そして授業の内容も頭に入らず放課後となり、僕ら三人はとりあえず僕の家に向かう。
そこで六人で話し合って、今後どうするかを決めるためだ。
「で、勝。これからヒカリさんをどうするの? 一緒に住むの?」
「どう、ってーと? 普通に俺の家に住ませ……あ」
彼は一瞬固まり、頭を押さえる。
「そうか、ジジイが許すかどうか……」
勝のおじいさんは彼の家である『本郷道場』の師範。
性格は頑固で口数が少ない。僕も最初に遊びに行った時には怖かったけれど、
何回か会うごとに優しい人なんだと判った。けれど、家庭の事にはとても厳しく、
いきなり孫が女を連れてきた、などとなったらそれは烈火のごとく怒り出すだろう。
「だ、大丈夫だって。最悪、ダメだったら野宿でもなんでもしてやるよ!」
「おいおい、お前だって女の子だろ? 危ない目に遭うかもしれないし、
年頃の娘にンな事させられるか」
「ばっ、バカ。いきなり何言ってんだ」
少し赤くなり勝をどつくヒカリ。どつかれた勝は「なんか悪い事言ったか?」という顔。
コイツもなかなかニブいからな~……
「――ま、いいや。とにかく行こう。もしダメだったらうちで交渉するって手もあるし、
わりとなんとかなるって」
僕は言いながら、ブツブツ言う勝の後ろ襟を引っつかんで引きずり連れて行くことにした。
◇
「おーいジジイ、帰ったぜー」
勝の家……というか道場に着き、勝は挨拶をする。
しかしその瞬間、物陰からフッと出てきた老人が勝の脳天に拳骨を落とす。
「馬ァ鹿者ォ! 己の祖父であり師をジジイ呼ばわりとは何事かァ!」
「ってーな! そんな風に荒っぽいからジジイ呼ばわりしてんだってーの!」
『いつも通り』口論を展開する二人だけど、お爺さん……本郷
僕らに気付いた。
「おお、お主は勝の友達か。よく来た。む、後ろの
言いつつビシリと指差した先にはヒカリがいる。
「ん? アタシか?」
「お主、なかなか強いと見受けたが何者だ? 知らぬ顔だが、覇気がある」
拳之助さんの言葉にヒカリは不敵に笑う。
「やっぱ判る人にはわかるんだな。んじゃ、ハァァァァ……っ!」
気合と共に装甲を纏ったバトルモードに変わり両手の拳を打ち合わせて礼をする。
「アタシはそこのマスターに作られたガンプラ、ヒカリ。お初にお目にかかる」
その言葉を聞いて目を少しだけ見開いた拳之助さん。
次の瞬間彼の姿は僕の視界から消え、気付いた時には鋭い音と共にヒカリさんが
後ろに向いて飛び、一回転して着地していた。
「――やはり、やりおる」
「寸止めとは、また。アタシはいっそ本気で
ぶつかる二人の視線は熱い火花を散らすようだった。
……というかGPヒューマンのバトルモードに素手で拳を打ち込んで、
拳圧で吹き飛ばすって凄いな。
「あー、ンで、だ。ジジイ、ヒートアップしてるとこアレだけどコイツをここで預かれねーか?
ここ以外に行くとこねーからさ、作り手としての責任もあるし面倒みねーと」
「勿論迷惑になるのであればアタシはどっか、外で生活しますよ。
贅沢言わなきゃ生きてくくらいはできるだろうし」
勝とヒカリさんの言葉に、拳之助さんはしばし目を瞑り、頷く。
「――お前が生み出した存在なれば、男らしく責任を持たんか。しっかり面倒を見ぃ。
お前も最近弛んで来ておる。しっかり鍛えなおすためにも、だ!」
と、少しだけお説教をした後にヒカリさんは拳をあわせて再び礼をする。
「アタシみたいな素性もわからない女を信用していただき、感謝する」
「ふっ、武闘家たる者、拳を交えた相手の真偽程度は判るものだ」
二人は不敵に笑い合い、ヒカリさんは空気になっていた僕らのほうを見る。
「さぁて、当面の心配は無くなったし……そろそろ、手合わせ行っとくか?」
「へぇ……でも、私も負ける気はありませんよ? 新しい力がありますからっ!」
ヒカリさんとツバサは視線で火花を散らす。その様子を見て、拳之助さんはにやっと笑った。
「ならばここの裏庭を使えば良い。儂もその強さ、見せてもらおう」
そんな風にからからと笑う拳之助さんに、僕はお辞儀をして二人を連れて行った。
◇
そして裏庭にて。僕はツバサの追加パーツをチェックし、
ヒカリさんとのバトルで使いそうなパーツを選んでいた。
「んー、聞いた話だとGガンダム系は格闘がメインなんだよね。
となると可変機のツバサは不利だろうし……よし、牽制しつつ中距離戦の装備にしようか」
結局僕が出したのはいつものビギニングウェアを取り出し、新装備も用意する。
そうしている間にヒカリさんは準備体操をし、身体をほぐしていた。
「ヒカリさん、武装の準備とかはしないんですか?」
「ん? 今してるじゃねーか。あたしは体が武器なんだ!」
言いつつ彼女は腰に手をあて胸を張る。
そういうポーズもいちいちさまになるから凄い、ような。
「あはは……それじゃ、お互い準備はいいですよね? えっと……麗流! 合図お願い!」
「おっけー、りょうかーい。で、こういう時は決まってるよね!」
麗流はいいつつ手を掲げる。すると丁度そのとき、例の黒いガンダム……
バトルマスターがどこからか飛んで来てフィールドを張った。
『バトル、確認……バトルフィールド、展開』
フィールドが張られると、麗流は何かを思いついてにやっと笑い、手を振り上げる。
「それじゃ、ガンダムファイトっ、レディィィィィッ!」
「「ゴォーッ!!」」
Gガンダム特有の掛け声を合わせ互いに突撃するツバサとヒカリさん。
彼女たちは正面から殴りあう、かと思いきやツバサはサーベルを斜めに構え、
ヒカリさんが受け流すのを利用して横に逸れ距離を取る。
そのままツバサは、コトブキヤが出しているウェポンセットの一つ、
「ダブルサブマシンガン」を取り出し両手で連射する。
「当たって下さい!」
「甘いあまい、牽制ったってもっと威力があるのにしな! シャァァァイニング・ショットぉ!」
マシンガンの銃弾を手甲で防いだヒカリさんは右手を構えシャイニングショットを撃ってくる。
ツバサは右手のifsユニットでビームシールドを展開し受け止めようとするけれど、
あまりの威力に後ろ向きに吹き飛ばされてしまった。
畳み掛けようと背中の「コアランダー」の羽を展開し突っ込むヒカリさん。
それに対してツバサはマット運動のネックスプリングの要領で飛び上がり、上空へ。
上を取った彼女は言われたとおりに高威力のハイパーDODSライフルを取り出す。
「これなら、どうですかっ!」
普通のモビルスーツなら二機まとめて貫通できるような武器をさらにチャージする。
でも彼女は焦りもせずに、逆に楽しそうに笑うと右手を構え、気合を込める。
「アタシのこの手が光って唸る」
ツバサのライフルがチャージされ、銃口にエネルギーがたまる。
ヒカリさんも右腕にエネルギーを溜め込み、右手が緑に発光する。
「アンタを倒せと輝き叫ぶ……」
ツバサはチャージしたライフルのトリガーを引く。
そして迫るビームを前に、ヒカリさんは右手を突き出し、叫んだ。
「必殺ゥ! シャァァァイニング! フィンガぁぁぁぁぁぁぁっ!」
小型戦艦やそれなりの装甲のMSを軽々と貫通する戦艦の主砲クラスのビームに、
ヒカリさんはシャイニングフィンガーを叩き込む事で掻き消し、逆にツバサに迫る。
「う、嘘っ!?」
「だ・か・ら! 甘いって言っただろ、アタシは!」
そのままフィンガーをツバサに叩き付けるヒカリさん。
でもやっぱり威力と勢いは削がれていたのかツバサは両腕を交差させて防ぐ事に成功し、
右手のハイパーDODSライフルを砕かれたけれど、殴り飛ばされ地面に落ちる程度で済んだ。
「ツバサ、大丈夫!?」
「この両腕はもうダメですね……あんまり力が入らないです」
彼女が言うとおり、両手に付けていたifsユニットと実体シールドも砕け散り、
肘部分のアーマーも歪み腕をだらりとたらしていた。
「――判った。ツバサ、ウェアチェンジするよ。新装備を見せてあげよう!」
「はい、睦月さん!」
ツバサは言うとしっかりと立ち、両腕を左右に伸ばす。
すると彼女の腕が発光して一度消え、代わりに別の腕が呼び出された。
まるでボクサーのようなシルエットで、カラーは赤。
そのマッシブなシルエットは見ている者に力強い印象をたたきつけている。
「タイタスアーム、換装完了です!」
「よしっ! それとヒカリ、例の武器を!」
「はいっ!」
言われてヒカリが取り出したのは大きなハンマー。
そのハンマーの片側にはビームの発生器、もう片側にはブースターが付けられている。
ツバサが起動させると発生器側にビームのドリルが発振され、輝き始めた。
それを見たヒカリさんも地上に降りて来て、余裕の笑みをツバサに向ける。
「へぇ、派手な装備と武器じゃん」
「はい、威力は折り紙つきの、
「ああ、いつでも来なよ。アタシも、全力で受け止めてやるから!」
それだけ言うと、互いに腕に力を込める。
ツバサはタイタスのパワーでDODSハンマーを横向きに構え腰を落とす。
ヒカリさんは今度は右手にエネルギーを集め、手甲を展開。
すると彼女の右腕は真っ赤に発光し、周囲の空気を揺らがせる。
「アタシのこの手が真っ赤に燃える。勝利を掴めと轟き叫ぶ……!」
その声を合図に二人は向き合っている状態から全速で突っ込み、
ツバサはハンマーを、ヒカリさんは右腕を振りかぶる。
「ばぁぁぁぁく熱っ! ゴッドぉ!フィンガァぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「やぁぁぁぁぁっ!」
ツバサがブーストまでつけて振ったハンマーとゴッドフィンガーが双方押し合う。
そのまま双方の全力を込めて押し合っていた。
「はっ、あぁぁぁぁぁぁっ!」
「くぅぅ、うぅぅぅぅぅ!」
膠着状態に陥る二人。その様子を見て、僕と勝は思わず叫んでいた。
「頑張れ、ツバサ!」
「負けんなよ、ヒカリ! 最強目指すんだろ!」
僕と勝の声は明らかに二人に届いた。でも、それでより力を引き出せたのはヒカリさんだった。
「勝つ、のは、アタシだあああああああああっ!」
なんとそのまま右手でハンマーを掴み握りつぶし、左手でツバサを殴り飛ばす。
そして両手にサーベルを持つと、ツバサの真上まで跳び高速回転を始めた。
「ソードスラッシュゥ、タイフゥゥゥゥゥン!」
両手にサーベルを持って独楽のように回りながら連続で斬り付けるヒカリさん。
さっきの押し合いで力を使い切っていたツバサはこの連撃に耐えられず、気を失ってしまった。
ツバサが意識を失い、戦闘続行不能になったのを黒いガンダムは確認した。
◇
『バトルエンド。ウィナー・シャイニングGガンダム』
それだけコールすると、黒いガンダムはフィールドを解除し始める。
僕は急いでツバサに駆け寄り、勝もヒカリさんのほうへ近づく。
地面に倒れていたツバサを僕が抱き上げる。
「ツバサ! 身体はどう?」
「睦月、さん……また負けちゃいました。ごめんなさい」
自分の怪我などないように言うツバサ。
そんな彼女に僕は首を横に振って笑いかけた。
「いいさ、そのくらい。またいつか、強くなってから相手してもらおう」
「――はい。あの、それと……顔が、近いです」
彼女に言われて僕は自分の状態を確認する。
僕は仰向けに倒れたツバサの上半身を抱き上げている状態で、
お互いの顔が10cmも離れていなかった。
それに気付いて、僕の顔は真っ赤になってしまう。
「ご、ごめん。ツバサ、立てる?」
「はい。えっと、バトルモードを解除しますね」
ツバサは言うと装甲を解除して、普段の格好に戻る。
と、僕らが勝とヒカリさんのほうを見ると、勝がヒカリさんに抱きつかれてた。
「やったぜご主人、アタシの勝ちだ! ご主人の応援のお陰だぜ!」
「おうっ、最強に一歩近づいたぜ!」
二人は拳をぶつけ笑い合う。そしてその時、上空の黒いガンダムへ砲撃が飛んできた。
◇
「なんだっ!?」
「気をつけてください、睦月さん。……囲まれてます」
ツバサに言われて僕は辺りを見回す。
すると回りの木陰や物陰から黒いMS……AGEに出て来る量産型のMSである
シャルドール・ローグやGエグゼス・ジャックエッジなどの機体や
クロスボーン・バンガード(F91・クロスボーン双方)の量産機などを黒く塗った機体が山のように出てきた。
「なんだ、こいつら……って、あのシールドのマークは!」
そいつらはどいつも必ず一箇所、あるマークが入っていた。
それは以前、次皿と戦った時に、サイに付けられていたマーク。
(こいつら、バンディッツか。もしかして、あの黒い機体を狙ってる?)
僕が考えているうちにその機体は次々に手に持ったライフルを撃ち、黒い機体を狙う。
しかしそれらは球体のように全身を覆うフィールドにはじき返されていた。
「何アレ Iフィールド? それともGNフィールドとか!?」
「麗流、はしゃいでる場合じゃない! 僕らは巻き込まれないように避難しよう!」
嫌な予感がした僕は倒れたツバサを抱き上げ走り、麗流や四一、勝とヒカリさんも僕に続く。
そして、僕らが物陰に飛び込んだ瞬間に『それ』は起こった。
「――バトルマスターへの攻撃を確認。周囲の脅威対象を排除する」
その声が響いたと同時に黒い機体を包んでいたフィールドが膨張し、
まるで爆発のように周囲の、バンディッツの機体が吹き飛んだ。
そして吹き飛ばされた機体に空中……浮かんでいる小型砲台であるファンネルからの
細く、それでいて鋭いビームが突き刺さり爆発、消滅。
撃ち漏らした機体も目にも止まらぬ速度で次々に斬り捨てていた。
その光景を見て僕ら六人は戦慄を覚える。
「嘘だろ……? あんだけの数を、あっつー間に……」
「防御フィールドにファンネル、しかもあのスピード! 四一、あれに追いつける?」
呆然とするヒカリさんの横で麗流ははしゃぎつつ四一に聞く。
しかし彼は首を横に振った。
「無理ですね……多分最高速度だけなら追いつけますけど、あの機動性には
ウェイブライダーになっても追いつけないと思います」
「それよりあの格闘だ。アイツ、攻撃の時モビルファイターのアタシより早い。
どうなってんだよ、アイツの強さは!」
機動力と格闘戦のエキスパートの台詞はやっぱり説得力が凄い。
が、その時。僕らの後ろからなんと十数体のGPヒューマンが現れ、
僕らに向け武器を構えてきた。
「――っ、後ろだ!」
その気配をいち早く察知したヒカリさんは瞬時に後ろへ向くと、両手にシャイニングソードと
ゴッドスラッシュを抜き放ち高速で振り回し始める。
「タァララララララララララララぁッ!」
「う、うっそぉ……ビームライフルのビームを細切れに切り刻むなんて」
でも降り注ぐ大量のビームを切り裂き続けているヒカリさんは防戦一方で、
その後ろにいる僕らも迂闊に動くことはできなかった。
しかしその時……横合いからこぶしが突き出されまとめて数体のMSが吹き飛んだ。
「バァァァカ孫がァっ! この程度、
来たのは拳之助さんで、彼は生身で数人のGPヒューマンを軽々と殴り飛ばしていた。
「やっぱウチのジジイは人間やめてんなー。モビルファイター乗れるんじゃねぇの?」
勝もそう言いつつツバサからビームサーベルを取り、ヒカリさんの背後から飛びだす。
「ご主人、無茶だ! 危ないから戻れよ!」
「まーまー、俺だって伊達にあのジジイの孫やってるワケじゃねーんだぜ!」
そのまま勝は来ていたジャケットを脱ぐと、敵の群れに向かって投げつける。
一瞬視界を奪われた敵ガンプラたちはライフルでジャケットを打ち抜くけど、
その時には勝は既に移動していた。
「甘いぜ、こっちだ!」
その声は上から降ってきて、勝は敵の群れ中央に着地。
そのままツバサのビームサーベルを発振させて、その場で横一回転するように剣を振る。
それだけの動きで拳之助さんが倒し残した十体の敵は真っ二つに斬られた。
「――勝って本当に人間なのかなー。実はガンプラだったりしない?」
「おう、れっきとした男子高校生だ。ってもう全員片付いたのか……」
勝が呟いたとおり、バンディッツのガンプラは全員倒されて残骸が地面に散らばる。
でも、その残骸を僕が調べようとすると、部品はサラサラと崩れ、砂になってしまった。
「――なんでプラスチックが砂になるんだ」
「まるで『月光蝶』の後みたいだね……一体なんなんだろ『バトルマスター』って」
僕の呟きに続いた麗流の言葉で僕はバトルマスターを見る。
その瞬間、虹色の粒子を放出し、その粒子の翼で全身を包み込むようにして
バトルマスターの姿は掻き消えた。
続く。
「テッメェ、人の相棒を!」
「無能な者に、容赦は無用。消えろ」
バンディッツの内部でトラブルが発生。
その中心には「あいつ」がいた。
次回・模型戦士GPフレンズ
『処刑人』
昨日の敵は、今日の友、かな?
◇
「睦月と」「ツバサの!」
「「Gペディア!!」」
ツバサ「今回も新しい登場人物ですね。まさか、一話ごとに出す気なんでしょうか?」
睦月 「そんな事はない……と思うよ、多分」
ツバサ「まあ、大変ですもんねえ。あんまり増えても」
睦月 「そうだね、ツバサ。さて、今回は新しく登場した『ドールモード』についてです」
ツバサ「ドールモードになった私たちは、ガンプラのサイズそのままで人間みたいになるんです」
睦月 「この状態で暮らしている人たちもいるみたいですよ?ドールハウスの中とかで」
ツバサ「食べる量も減りますし、狭い隙間にも入れますからね」
睦月 「どっかでそんなアニメ映画あったな……確か、借り暮r」
ツバサ「わーっ、待ってまって! 睦月さんストップ! なんかやな予感がします!」
睦月 「? まあ、いいか。そうだ、ドールモードでも武器は使えるの?」
ツバサ「はい。でもマシンガンはエアガンくらいの威力しかないですし、ビームライフルはちょっとバチッとする程度。
ビームサーベルはスタンガンくらいの威力しかありませんけど」
睦月 「なーるほど。でも、人に向けて使っちゃだめだよ?」
ツバサ「はーい。判ってますよ、睦月さん」
睦月 「それじゃ、今回もそろそろ終わりにしようか、ツバサ」
ツバサ「はい! では、また次回お会いしましょう!」
△キャラ紹介
◇本郷 勝(ほんごう まさる)
イメージキャラ:アキラ・ホンゴウが高校生になった感じ(Gジェネ)
イメージCV:草尾 毅
本郷流近接格闘術の後継者であり本郷道場の跡取り息子。
それゆえに格闘術を幼い頃から仕込まれ強く、情には厚い。
性格面では悪く言えば単純、よく言えば竹を割ったような性格でどこか憎めない。
また人間離れした身体能力であり、GPヒューマンと互角に渡り合えるほど。
◇GF13-017Ⅰ+Ⅱ『シャイニングGガンダム』:通称『ヒカリ』
イメージキャラ:容姿は赤毛のアレンビーといった感じ。
イメージCV:日高奈留美
体育会系の武闘派・本郷に作られた格闘ガンプラ。
人間と変わらない状態でも十数メートル飛び上がるなど無茶苦茶な能力が多いが、
これはトンデモ設定の多いGガン系がベースだから。
他にも銃弾を手で止める、真剣白羽取りをする、分身するなど
常識では考えられないことを可能にする。
MFであるだけに近接格闘が非常に得意で、シャイニングガンダムとゴッドガンダムの
ミキシング機であるため両方の機体の技をそれぞれ使うことができる。
必殺技は『石破天驚ダブルフィンガー』など。
◇本郷 拳之助(ほんごう けんのすけ)
モデルキャラ:東方不敗マスターアジア
イメージCV:秋元羊介
本郷流近接格闘術の使い手であり、本郷道場の現当主。
その身体能力は勝やそこらへんのGPヒューマン以上であり、
生身でGPヒューマンと戦うことができるほど。
勝は拳之助の指導により格闘術を身に付けている。