その時
その瞬間
火星にいる誰もが脳裏に浮かんだのは
今まで生きていて脳に刻んできた記憶
所謂走馬灯である
あるものは恐怖し
あるものは妙な武者震いを覚える
そしてそれはゴキブリでさえ例外ではない
否、誰よりも臆病で
誰よりも警戒心の高い奴らだからこそ寧ろ例外とは程遠いと言うべきか
何にせよ、それの原因を作り出している者は
「了解、アンノウンとクイーンを見つけました。引き続き捕獲します。」
とんでもないパンドラの箱を開けようとしている事に全く気付いていなかったのだ
Side 爆
『何の脅威も感じない』
それがアネックス2号で彼を見かけた時の感想だ
とても戦闘慣れしている訳でも無ければ
これといった危機に遭遇した事もない様な
所謂平和ボケを全身で表した雰囲気を彼は出していた
だけど僕は決して油断はしない
だからずっと機会を伺っていた
動物ならば誰もが油断をし
そして反撃されたとしても最も此方の被害が少ない時
テラフォーマーとの戦闘後を狙った
今にして思えば、どうしてあの時アンノウンが動けないと決めつけていたのだろうか
僕は気付かなかった
クイーンのそばで横たわっているカレの表情が笑っていた事に
Sideオズ
ヤット...
駄目...
ヤットダ...
駄目だ...
コウヤッテオモテ二デテコラレル...
君が出たら...大切な人を...
アンシンシロ...クイーンハコロサナイシ
「丁度美味ソウナ肉ガ有ルカラ食ウダケダ。」
オートファジーをご存知だろうか?
絶食状態に陥った際
自分の細胞のタンパク質を分解して栄養として体内に吸収するという現象である
別名『自食作用』
それは殆どの生物が持つ仕組みである
だからカレがそれを持っていても何ら不思議はない
だがたった一つ、オートファジーには弱点がある
『持続力の短さ』
一時的にエネルギーを得る事の出来るオートファジーだが、その実持続力は極端に短い
だからこそカレは本能的に使う事を躊躇っていた
では何故今になって発動したか?
最も簡単で手軽で誰もが知っている栄養の摂取方法を思い付き、そして丁度良くやって来たからだ
「ギ...」
最早毒など関係ない
カレは瞬時に変態を終えて餌に飛びつく
それはクイーンの反応速度を以ってしても全く見えないスピードであった
それは食べられる側も同じ
バクン!!
爆致嵐という1人の人物が最後に辛うじて見えたのは異形の顔と無数の牙であった
そして彼は最期にしてとある感情を抱いていた
ああ...これが死ぬというのか...どうしようもなく怖いな
恐怖である
Side アリス
一瞬だった
誰かが現れたと思ったらその誰かの首が消えたのは
一瞬だった
それをやったのが先程まで瀕死だった自分の愛する人だという事を
クチャ...グチャ...ミチミチ...ベキッ!!
嗚呼...なんて...
「なんて...美しいのでしょう。流石はお兄様ですわ。」
余りの美しさについ粗相をしてしまいましたわ...
ゴキブリ達は臆病な生き物である
故に脅威を排除するのに容赦をしない
100に近い数の彼らが
たった2人の生物兵器の元へと走るのであった
To be continued...
次回
テラフォ無双