悠久雨模様 〜 What a lovely day 作:くれなゐ
どこまで行っても同じ風景。
「やっぱりここ、前にも来た事がある……」
時折遠くで聞こえる不思議な鳴き声、それは何時ぞや聞いたものと同じだった。
竹林で迷う経験はこれで2回目だわ。
妖怪に食べられるのも飢えて死ぬのも嫌だし、取り敢えずは抜け道を探さないと……
前は鼠に捕まりそうになったから今回は周りを警戒しよう。勿論、鼠の他にも危険は沢山あるだろうし。
困ったものね、何とかならないのかしら?
別に特別好きなわけではないけど、筍は持って帰りたいわ。何せ天然の筍は珍しいからね。
蓮子が前に言っていたけど食べれる筍は土の下に隠れてるんだっけ? と言ってもどうやって見つけ出すのかしら、やっぱり勘で探すしかないわよね。
そんな事を考えていた時よ、誰かが私の肩を触ったの。警戒があまかったのかしら?声すら出ない程に驚き、腰が抜けて立てなくなったのよ。
「肝試しに来たとか言わないよな? ほら、立ちな」
そう言って放心状態になっていた私に手を貸してくれたのは少女だったわ。
それも見覚えのある人、今回は火を出していないようだけど。
私ってもしかして運が良い?
でも人間には見えないのよね、安心しても大丈夫なのか不安だわ。
手を差し伸べてくれるあたり優しそうだけど……いや、表の顔に騙されては駄目だわ。
裏があったら怖いし逃げようかしら?
でも、それで捕まったらと思うと……ゾッとするわね。ここはこの人に頼った方が良さそう。
ーーーーーー
ーーーー
「あ、そうそう。竹林って兎がいるのね」
「メリーの話に兎なんて出てきたっけ?」
「これから出るのよ」
それで、私はその少女に付いて行ったわ。
どうやら人里に送ってくれるらしいの、その人は無口だった。特に話し掛けてくる事はなかったし。
延々と続いていた竹林の出口がやっと見えてきたその時よ。ドサッという音と共に少女は消えてしまったの。
落ちたのよ、私ではなくその少女が。それはもう深い深い落とし穴だったわ。それも自動で上から土を被す機能つき。
その光景を何処からか見ていたのか笑い声が聞こえてきたの、奇妙な笑い方だったわね。
私は気になってその方向を見たわ。するとそこにはラビットがいたの、それも私に手招きをしていたのよ。
勿論、行くのは危ないと思った私は無視したわ。
なんで逃げないのかって? 下手に動いたらそれはそれで危ないじゃない、だからあの少女が落とし穴から出てこないかなと……
「いやいやいや、生き埋め!? 助けなさいよ!」
「人間じゃないし、大丈夫だと思ったのよ。まぁ結局は出てこなかったんだけどね」
どうしようもなくなった私は逃げたわ。
出口が目の前に見えてるのだから、そこまで逃げるのは難しくないと思ってね。
因みにそれがフラグだと気づいたのは起きてからよ。またもやドサッという音が聞こえたの。
そこにはまるでドッキリに掛かった芸能人の如く綺麗に落とし穴に落ちた大学生の姿があったわ。
というか私だった。
ーーーーーー
ーーーー
メリーが帰ったあとは私も家に帰った。
自分の部屋に行き、1人考え事をし始める。
最近メリーが何だか怖い。
死という概念をどう捉えているのだろう?
この頃メリーは冷血すぎないだろうか。生き物が死ぬ事に何の感情も示さないように思える。
まるで死ぬのは当たり前とでも言うように。
生きているからには死ぬのは当たり前だ、でも私が言っているのはそういう事ではない。
何時何処で誰かが死んだって皆どうせ死ぬのだから結果的には変わらない、そう思っているように見えるのだ。
メリーの事を怖く感じたのはこれが初めてではない。
私には日に日にメリーが離れていっているように感じる、勿論それは物理的な事ではない。
どうすればいいのだろうか。メリーをこっちへ引き戻す?そんな事が私にできるとは思わない。
精々できるのはこれ以上危なくならないようにメリーのカウンセリングをする事。
なら私がメリーに付いていてあげないといけない!
私がいないとメリーはダメになってしまうのよ!
…って言うのは冗談なのだけど。
流石にそこまで過保護だと少しあれな気が。
まぁでもメリーに危険な目にあってほしくはない。このままだとメリーは危ない道へ進む、そんな気がしてならないのだ。
「あれ、もう12時?」
こんなに考え事をしたのは久しぶりかも知れない。
嗚呼、なんだか疲れたしそろそろ寝よう………