悠久雨模様 〜 What a lovely day 作:くれなゐ
「ねぇ、メリー」
「どうしたの?」
「最近ね、UMAに興味を持ったのよ」
唐突にそんな話題を投げかけられたメリーは仕方なしに返事を返す。
「蓮子って意外にミーハーなのね」
「別に影響されたとかではなく……そう、たまたま、本当にたまたま興味を持ち始めた時期が被っただけよ」
ここ最近は若者の間でUMAが流行っている。
妖怪や神などとは違い、十分に存在する可能性があり、写真や足跡などの物的証拠なども出ていたりする。想像力を捨てた現代社会での唯一の幻想かも知れない。
「未確認動物よね、ネッシーとか?」
「ふふ、甘いわねメリー、それはもうネオテーム以上に甘々な発言よ」
「そうですか……」
メリーは思わず敬語で返してしまうくらいに興味がなかった。溜息をついて空を見上げ、久しぶりにパッヘルベルのカノンでも聞きこうかな、などと黄昏れる程。
「というかネッシーはもう未確認ではないわよ」
「え、まさか捕獲されたの……?」
「もしかして見てないの? 新聞でも取り上げられてたじゃない」
ネッシーの正体がタリモンストラムグレガリウムだろうと世間で騒がれ、ただの噂だったものが事実のように扱われ始めた頃の事。
それを上書きする形で……
巨大ウナギ。
それがネッシーの正体だったと公表された。
この報道は新聞で大胆に取り上げられたが本当にそうなのだろうか? 蓮子は疑っていた、実は事実を隠そうとしているのではないかと。
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「蓮子、前々から思ってたのだけど妖怪とUMAって何が違うの?」
「……違いねぇ、はっきり言っちゃうとそんなもの無いの」
UMA とは未確認動物という意味であり、Unidentified Mysterious Animal の頭文字を取って作られた言葉。
これは、未確認飛行物体 Unidentified Flying Object をUFOと略すのならば未確認動物というのも考えようという事が切っ掛けにより日本で使われるようになった言葉だ。
「無いってどういう意味?」
「そのままの意味よ。科学が進歩しても理解不能な物事はこの世に存在する。ただ世の中は正体不明な物とか科学では解明できない物を嫌っているのよ。その理解不能な生き物や現象を魔物や妖怪と呼ぶかUMAと呼ぶか」
「つまり幻想を現実的に捉えたってこと?」
「そういう感じかな。一言にアレは妖怪だって言うより、実はまだ未確認なだけで新種の生き物かもと言った方が信じられるでしょ」
昔の人々は大きな足跡を発見し、妖怪の歩いた跡だと信じた。
当然、妖怪なんて今の世の中では通用しない。だから夢や幻想にも現実味というものが必要になったのだ。
それまで妖怪や魔物のしわざだと言っていた物事も、時代の変化に連れ自然現象や未確認生物の所為かも知れないと考えるようになっていった。
UFOも例外ではない。
空を飛んでいる謎の物体を、神や天使だと考えるか宇宙人からの交信だと考えるか。
最近ではそれにすら現実味が足され、都市伝説として存在している。
例えばアメリカが開発した近未来的な乗り物だとか、裏で秘密に行われている飛行実験だとか。