虚無の存在は行方不明   作:英傑

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お嬢様と執事と………

暗く寒い夜の冬空の下、大きく黒い、怪しげで不気味な屋敷に軽い車輪音が響く。時が夜だったためか、その音は暗がりの中で不気味さを強調している。屋敷の周りには、黒い鴉が枯れ木の枝の上に止まり時折鳴き声を上げつつも羽を休め、蝙蝠が数百羽ほどが静かに上空を飛び回っている。この屋敷には最早、不気味なこと以外の要素は見当たらなかった。この屋敷を子どもが見れば逃げだしそうなのは勿論、普段威張っていそうな大人すら股間を濡らして逃げ出しそうなものだ。それほどまでにこの屋敷は恐ろしい雰囲気を漂わせている。確かに実際、この屋敷に近いる者はほとんど無い、少なくとも人間では。人間でこの屋敷に近付くのはごく少数で、それは此処に住む者を知っているからこそだ。そして、勿論この世には妖怪や幽霊などの修羅神仏、人外の存在している。だが、その人外の者たちですらこの屋敷に近付く事を恐れている。勿論その全てが恐れている訳では無い。が、やはり大抵の者たちを圧倒する力を持つのが屋敷の者、暗闇の者。

 

———彼らは正に"怪物"と呼ぶに相応しい者たちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その内の一人、執事長は銀のカートを押して渡り廊下を歩いていた。執事長を呼ばれる彼は漆黒色の長髪は後ろで束ねられている若者だ。その姿は16歳程にしか見えず、執事長を名乗るには早すぎるように思えるが、彼はこの見た目になってから既に約5000億年の月日が経っている。が、それ以外の彼の情報は1つを除いては殆どが不明とされている。それは彼が支える主にすら例外ではないのだ。執事長はそのお嬢様の元へと向かっているところだった。あまりお嬢様を待たせてはいけないと言う敬意はあまり持ってはいないようでゆっくりと主の居る部屋へと向かっていた。しかし、それにはちゃんとした理由があっての行動だった。それは………

 

 

「………………お嬢様はきっとまだ寝ているんでしょうね」

 

 

そう、理由は単純。彼の主人は夜行性の魔物であるのだ。魔物であるところは今更ツッコミをいれる必要はないだろう。兎に角そう言う事なのだ。お嬢様は夜行性であるために昼間には頑として絶対に起きてこないのだ。だが現在の時刻は7時と、既に三日月が顔を出しているのだ。が、いつも起きてくる時間は遅すぎるのだ。1日の3分の1を寝て過ごす、と人生を凄く損して生きているのだ。これは誰でも勿体ないと思うだろう。が、執事長はそうは思わない。と、やっとお嬢様の部屋の前に着いた。ノックをする。

 

 

「失礼します。………おや?『アンリ』お嬢様にしては、何とも珍しい。おはよう御座います」

 

 

扉を開けたその先には大きなベットがあり、一人の少女がそのベットで座って足をぶらぶらさせていた。しかし、執事は何を思ったのか顔を顰め腕を組んで思考に入ろうとする。

 

 

「………ホントに失礼ね、空白。何で名前を強調するのよ、何で顔を顰めるのよ!それにたまには早起き程度するわよ………まぁ良いけど。それより着替えと紅茶はちゃんと持って来たの?」

 

 

「はい、勿論。こちらに」

 

 

着替えを差し出す毒吐く失礼な執事に一睨みだけして着替え始めるお嬢様―――アンリ=アクサラはその場で服を脱ぎ始める。勿論それを見て呆れて頭を押さえる執事―――空白。因みにこの“空白”と言う名は本人が堂々と偽名と言ってのけている、それはもう清々しいほどに。空白が頭を抱えるのは勿論彼の目の前で着替えている事だ。これは今まで何度も注意しているのだが、お嬢様は何故か不思議そうな顔をして、

 

 

『なんで? 貴方は私が小さい頃から見てるんだし今更じゃない。』

 

 

なんて言ってくるのだ。確かに空白は彼女が生まれた時から支えている。もっと言えば、彼女の一族の初代の誕生からこの一族に支えている。だが、彼女たちは空白という“男性”を信用しすぎている。勿論、この屋敷には空白の他にも男性は居る、極少数だが。彼女は空白に対してだげは恥じらいが全く無いのだ。だがそれと同様に空白は女体その物に興味が無い。ましては彼女は成長が13歳辺りで止まっておりロリ体なら、尚更だ。困った顔をしているが、空白は冷静に紅茶をマグカップに注ぐ。しっかりと角砂糖も3つ入れる。着替えを終えたアンリは確認せずに砂糖を入れる事に愚痴る。

 

 

「………砂糖は要らないっていつも言ってるじゃない」

 

 

「なら砂糖無しの紅茶を不味そうに飲むのを直して下さいって、いつも言ってるじゃないですか。紅茶が勿体ないのと、私の心に傷が付きます。これでも紅茶一杯に一生懸命なのですから」

 

 

「それなら私に合う紅茶を入れなさいよ。無いなら買いに行きなさい」

 

 

「ここから里まで何キロあると思ってるんですか!?」

 

 

そんな事を大きな素振りで技とらしく驚く空白に、アンリは寝起きの苛々で思わず口撃と共に攻撃しそうになるのを抑える。こんな所で暴れては私室が壊れてしまう。

 

 

「その演技は全く面白くないわよ。それに、貴方なら一瞬で着くくせに………」

 

 

そうですかと、と言い元のすまし顔に戻し、無言で渡されるカップを受け取り紅茶のお代わりを入れる。今度は砂糖無しで。それに気付かないアンリは受け取りそのまま口に運ぶ。

 

 

「で、今日は何か用事はあったかしら………ッ!!………べェ」

 

 

「今日は5時間後に終わるんですがね。今日は特に何も御座いませんよ。と言うか今月は何もありませんよ。ですが、何も無いからと言ってずっと寝るのは無しですよ。私は洗濯やら掃除やらと色々あるので相手はしてあげられませんので、影夜(えいや)辺りに代わりを頼んでおきました」

 

 

空白は今の内に寝ない様にと釘を刺しておく。因みに影夜とは、この屋敷の使用人の一人で、女性である。彼女は普段はアンリの家庭教師をしている。だが、本人は授業中は殆ど寝ており話を聞かないために、毎回ガラスハートの影夜を泣かせている。そのせいで空白は昼間、影夜の愚痴を聞かされている。それはさて置きと空白は睨んでくるアンリを宥め再び紅茶を入れる。勿論、今度は砂糖も入れる。

 

 

「………まぁ、そんな事より目の前の事です。何方か入らしたようですよ?」

 

 

「え?私の方には何も掛かってないわよ!? ………また面倒臭そうなのが来たのかしら。 やっぱり私が出なきゃダメなのかしら?」

 

 

その質問に空白は勿論と言わんばかりの笑みを浮かべ威圧してくる。それに応えるように、アンリは紅茶を飲み干しその場で立ち上がって空白に目を向ける。言わなくても分かると空白は指を鳴らす。途端に空白とアンリの姿が部屋から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、何よ此処! 凄く寒いじゃない!」

 

 

そう叫ぶのは一人の金髪少女。少女が居るのは魔境と呼ばれ辺境地で、その地には“魔業種(マーギアー)”と人種と魔物が存在している。空を見上げると暗い空をドラゴンと思われる魔物が飛んでいる。少女を囲むのは不気味な黒い木々。黒い森の先に見えるのは黒い屋敷。“人類種(シュハイト)”の少女は長い金色の髪を風に靡かせて屋敷を見据える。今だに寒いがそれを何とか押し込め腰の剣を掲げる。

 

 

「見つけたわよ、黒夜城。 待ってなさい魔王!」

 

 

そう叫ぶ少女は口元に笑みを浮かべる。

 

 

「クチュンッ!」

 

 

 

 

 




今回、字数は少ないですが堪忍願います。
次回は最低でも10000文字出来るように頑張りますが………
あ初心者です!(←ここ重要!
まぁそう言う事でお願いします!

因みに、分かると思いますが主人公は執事の空白です。
分かると思いますが一応、ね。
あ、金髪少女の名前入れるの忘れてた………
…………………
次回!少女の名と目的が明らかに!
ではでは


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