虚無の存在は行方不明   作:英傑

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※残酷描写あり


打倒魔王の女剣士

「クチュンッ! ………うぅ、やっぱ寒いわねぇ」

 

 

夜と言う事もあり真っ暗で不気味な森林を1人で歩く金髪の少女。さらに少女が来ているのは和服の上にチェストプレート、足は膝下がもろに出ているスカート。冷えた風の吹くこの森林では、この装備の選択は明らかにミスだ。第一として、ただの人類種(シュハイト)が魔境に入る事自体が間違っているのだが、明確な目的がある少女は寒さに震えながらも足を進める。

 

 

「ま、ままま待ってないよぉお!クチュン!………この柊 白月(ひいらぎ はつき)様が………ぜ、絶対に倒してやるんだからクチュン!………めめ目指せ打倒魔王よ!………クチュン!」

 

 

くしゃみが止まらない事で森林に声が木霊し続けるが、この森に生きる者には煩わしくてしょうがないだろう。そのせいなのか周囲に気配が集まり始める。その全てが敵意を剥き出しており、数は大体10体だろう。魔物の群れと遭遇しピンチなはずなのだが、白月は何を思ってか苦笑を漏らした。集まって来た気配の一つに目を向けると、そこには一匹の黒い狼が此方を睨んでいる。白月は腰の鞘から愛剣―――≪空紅(からくれない)≫を抜き取る。

 

 

「………フゥ、≪シルバーハンター≫か。 雑魚だけど、身体を温める為には運動しなくちゃね。 肩慣らしにもこの数は丁度良いでしょうし、せめて五分ぐらいは持ってちょうだいね?」

 

 

白月が刀を構えるとそれに反応してシルバーハンターたちが襲い掛かって来る。だが白月は綺麗な身のこなしでシルバーハンターの牙をかわし、カウンターを仕掛ける。目の前で隙をつき空紅で首を捉えて綺麗な断面を作り出す。次に襲って来る敵に空紅を咬ませる。そのまま空紅を横に力を加えて敵の身体を二枚に卸す。そのまま襲い掛かって来る敵を淡々と殺していく。

 

 

残すのは最後の一匹となった時、その最後のシルバーハンターに少し異変があった。今までの敵たちには無かった知性が見て取れる。白月も黙って刀を構えて敵を見据える。数秒続く沈黙は敵の足音で破られる。敵は突如に駆け出す。しかし、敵は白月を襲うのではなく、後退するように逆に向かって走って行く。走って行く敵の後を追おうと白月も駆け出そうとした時、シルバーハンターのであろうと思われる咆哮が森林に響いた。だが、今までのより、低く重い声だった。

 

 

「!?………何よ、この雄たけび! しかも気配が察知出来ないなんて………少し舐め過ぎたのかしら」

 

 

さっきの退散したシルバーハンターはどうやらこの面倒臭そうな敵を呼ぶために退散したようだ。しかし、その報告役が戻って来ない。だが直ぐに意識を目の前に現れた敵に意識を向ける。

 

 

目の前に現れたのは普通のシルバーハンターの5倍くらいの約5メートルほど、さらに額には3つ目の瞳が埋め込まれている。全身の毛が逆立っているところを見るとやる気満々のようだ。明らかにさっきまでの奴らとは段違いな強さのボス狼。

 

 

だが白月はボス狼を見据えてニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

「うんうん、身体も温まってきたし今度は準備運動だね。 これも大事大事」

 

 

その場で軽く跳ね、数回跳んだ瞬間白月の姿が消える。その事にボス狼は3つの目を見開き周りを見渡す。しかし、その姿は何処にも無く気配までもが消えていた。

 

 

「一撃で終わらせるわ ! 」

「ガルゥアッ!?」

 

 

唐突に現れた白月の声が聞こえ、ボス狼が驚愕の声を漏らす。白月が現れたのはボス狼のお腹の下という奇抜な場所だった。そこでお腹に愛刀《空紅》を突き立てるが、その際の肉や骨、臓物に刃を刺す音や感触に思わず顔をしかめてしまうが、直ぐに切り換える。あまりの痛みにボス狼が苦しそうな雄叫びを上げ、悲鳴のような声が森林に響き渡る。白月は刀をさらに深く刺し頭部の方へ走り出し、刀は滑るように肉を斬りながら進んで行く。だが、ボス狼は声を上げない、いや上げられない。刀は瞬く間に頭部まで斬り裂いていたからだ。

 

 

刀を進める白月は頭部まで斬り終えても止まらず、鼻先の3メートルほど離れたところでやっと足を止め、刀の血を払い鞘に納める。後ろではゆっくりと倒れていくボス狼が少ない命で嘆いている。白月は振り向くと共に抜刀し、無情に首を切り落とす。その時返り血が白月の頬を染めた。白月の身体の至るところに赤黒い血液が付着していたが、何処にも白月の血は付いていない。

 

 

周囲に魔獣が居ないことを確認し、ホッと息を付く。口には出さないが白月は無理しすぎと言えるほど疲労が溜まっていた。だが、それを口に出せば魔王には届かない気がして、だから決して口には出さなかった。だが、どれだけ顔や口に出さなくても疲労は限界に達しつつある。無理をし過ぎたなと自覚があるのか、白月はこの身体では魔王に勝つことは出来ないなと思い、周囲の気配を再び確認する。何にも引っかからなかったので、近くの木の根元に腰を下ろす。

 

 

幾ら周囲に存在が無いからと言って森のど真ん中で休憩するのはほぼ自殺行為なのだが、先ほど討伐した≪シルバーハンター≫等はこの辺りを縄張りにしていただろう為にこの辺りには魔獣は近寄って来なかった。本来≪シルバーハンター≫はD⁻ランクに該当しそこそこ強い魔獣なので周囲の魔獣は怖がって近付こうとはしないのだ。白月はそれを知っていたのだろう。

 

 

白月は腰を下ろして懐の水を喉に流す。喉の渇きを癒し、疲労も少し回復した。だがそこで急激な眠気が襲ってきた。駄目だと思って眠気は白月の意識を飲み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

白月の少し離れたところに人影があった。




はい、やっと2話完成ですね。
凄く遅れましたね、はい。
しかも余裕で10000文字行ってない………。
3話はこれよりは早く出しますので。
長いかどうかは不明で。
ではでは
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