「あ~っと……ども、テンカワ・アキトっす。お世話になります」
「ああ、俺はシュンジ・イザワ……いや、井沢 俊司だ。よろしくな」
「うっす」
この度保護したテンカワ君を案内する。翔子ちゃんでも良かったのかも知れないが、まだUXで語られたようなオーラ力による持病の回復は始まったばかりらしいので無理はさせられない。
地獄コンビは論外。
「……声、そっくりですね」
フィナの指摘にテンカワ君は「そうかぁ?」と疑問符を浮かべる。まあ自分の声なんて判らないからな。
俺は『中の人』が同じだと知ってるから判るけど。
「地上界にはそろそろ出ることになるはずだから帰りは心配しなくていいけど……急ぐなら先に帰るか?」
「えっ、出来るんですか?」
「要するにオーラロードを開けるだけの出力のオーラマシンがありゃいいってだけだしなあ」
そう、ファフナーやマジンカイザー以外にも『落下物』は多いのだ。前王、ゴード・トルール氏の治世時は使い道が不明だったが、俺の来訪によりそれらが何か一気に判明した結果……戦乱を嫌うフェラリオの長、ジャコバ・アオンが卒倒するレベルのオーバーテクノロジー群が国内で存在することが分かった。
そんなわけで、現在『機械の館』で研究開発中の品々は、露見したなら即バイストン・ウェル追放確定のものばかりなのである。
……スパロボ技術ヒャッハーで悪ノリした俺のせいでもあるんだが。
「うおっ! あれはまさかゲキガンガー!?」
テンカワ君が騒いでいるのは俺命名『ゲッターもどき』。
木連での起動試験に失敗したとおぼしきジンタイプらしきものを改良した一品である。
なんで木星公転軌道上の物が地球のバイストン・ウェルに流れてくるのやら……まあ、オーラ力の不思議ってことで自己完結しておこう。
「おおっ、あれもカッコいいなあ」
「あれはカイザーだ。パイロットも機体もおっかないから下手に近づかないほうがいいぞ」
「いっ!? あ、危ねぇ~」
テンカワ君は装甲に触れようとした手を慌てて引っ込める。色んな意味で危険物だしな、カイザー。
「あ。あれがオーラバトラーってやつですか?」
「ん? どれのこと……げ」
テンカワ君が指し示したもの……それは俺の悪ノリが生み出した『最もテンカワ君に見られたくない物』…………
『ぼくのかんがえたさいきょうのオーラバトラー・ブラックサレナ』
……だった。
*****
落下物から様々なオーバーテクノロジーを得たことで欲望のタガが外れた俺はそれらをありったけブチ込んだオーラバトラーが欲しくなった……欲しくなってしまった。
結果生まれたのが
『起動事故で流れついた木連マシンから得た相転位エンジン』を積み込み。
『アクシズショックで転移してきたサイコフレーム』を使い。
『反応弾の爆発に巻き込まれたバジュラのフォールドクリスタル』と『まぐれで撃墜されたチューリップのチューリップクリスタル』によるワープ機能を採用した。
『ブラックサレナの外見と性能を持ったオーラバトラー』だったのである。
*****
「……ブラックサレナがカッコよくて好きだったし、オーラバトラーの曲線的デザインなら再現できるかもって思ってもいいじゃないか…………いくらなんでも『本来の乗り手』がロールアウト前にやって来るとか想像できるかぁ! あれか!? 加藤機関的に想像力が足りないってのかぁ!」
「ど、どーしたんスかいきなり!?」
「シュンジさん落ち着いてー!」
……その後、テンカワ君とフィナを驚かせてしまったことについて俺は平謝りした。
気にしてないとも、心労があるなら相談してくれとも言ってくれた…………優しさが、辛い。
リの国は魔境(ただしシュンジ召喚後に限る)
知らなければ……知らずに済んだんだ……
2017/5/04誤字修正。
報告感謝です。