舞台は地上に。
バイストン・ウェルでの決戦の舞台となるのは大陸中央に位置する海の上。そこに悠然と浮かぶのは各国の巨大戦艦。
アの国の『ウィル・ウィプス』
クの国の『ゲア・ガリング』
ナの国の『グラン・ガラン』
ラウの国の『ゴラオン』
ホウジョウの国の『フガク』
そしてリの国の『ヨルムーンガント』の計六隻。
「いやはや……なんとも壮観な光景ですな。オーラの光を撒き散らす戦艦の軍勢というのは」
「確かに。やるのが戦争じゃなきゃ金払ってでも見たいって人、いるでしょうね」
ザン団長の言葉に軽口を返す。他国は知らないが、リの騎士団に気負いは無い。この決戦すら地上での戦いの前哨戦だとしっかり釘を刺しているからだ。
「同盟各国からの通信、入ります!」
ブリッジに通信が入ってくる。もちろん音声限定じゃなくTVモニター式。ちなみに各国にはリの国から機材を提供してある。
『シュンジ王、お久しぶりです。先日は加勢を送って頂きありがとうございました』
「お気になさらず、シーラ女王。と言うか……大丈夫でした? あの地獄コンビ。一応外付けリミッター(=ガラリア)は一緒に送りましたけど」
『ええ、大変頼りにさせて頂きました。流石に……同乗したいとはもう思いませんが』
苦笑するシーラ女王。本当マジスンマセン。
『シュンジ王ぉ! いよいよこの時が来たな! 我がホウジョウも奮戦させて貰うぞ!』
「え、ええ。期待してます。けどご無理はなさらずに」
『わかっておる! ふははは、滾る……滾るなぁ!』
『父上! シュンジ王のお言葉を聞いていたのですか!』
サコミズ王にすかさずツッコミを入れるリュクス姫。エイサップが来るまで大変だったろうなぁ……(遠い目)
『こうして直接お話するのは初めてですね。ラウの国のエレ・ハンムです』
「リの国のシュンジ・イザワです。ゴラオンとラウの戦力、頼らせてもらいます」
『それはこちらも同じです。よろしくお願いします、シュンジ王』
13才という年齢にも関わらずしっかりとした返答を返すエレ姫。シーラ女王やリュクス姫もそうだがバイストン・ウェルの姫様方は色々ハイレベル過ぎる。
……リムル・ルフトは除外、典型的箱入り娘すぎてむしろ異質。あとエレ姫の髪型もツッコミ入れてはいけない。イイネ?
「シュンジ王、そろそろ仕掛けて来ますぜ」
「ええ。オーラ出力の上昇を見逃さないようにお願いします……では、打合せ通りに!」
*****
各国のオーラバトラーや戦艦からの砲撃が戦場を飛び交う中、俺は味方機のフォローを主として飛び回る。浮上前に戦力を消耗したくない……のだが。
「シュンジぃ! いい加減我慢の限界だぜ! 出撃させろぉ!」
「もう少しだから待ってろと言っただろーが! 真上! 海動のアホを殴ってでも止めろ!」
「そうしたいのは山々だがな……俺も手が疼いて仕方がない。ハッチぶち破っていいか?」
「や め ろ」
敵を引き付けるのに戦力を控え目に見せかける……とさんざん説明したってのに、どうしてこう堪え症が無いのかね地獄コンビは! ええい、ジャコバ・アオンのブチ切れタイムはまだかぁ!?
「シュンジさん! オーラ力の増大が……ジャコバ様の怒りが、来ます!」
「やっとか! ザン団長!」
『了解でさあ! 各機、戦艦に帰還! アンカー、放てぇ!』
広域通信と同時に味方のオーラバトラーたちは一斉に戦艦に戻る。そしてヨルムーンガントからは特注のアンカーショットが『敵味方全ての戦艦』に放たれた。
『全戦艦固定確認!』
「よし! ショウ! アキト! 翔子ちゃん! 地獄コンビ! ジャコバ・アオンのオーラロードを利用してこっちから浮上場所を確定させるぞ! 目標は日本近郊の太平洋上、そこに出られるようにイメージするんだ! 間違っても東京上空になんか浮上させるなよ!」
『『了解!』』
「サコミズ王もお願いします! エイサップも頼む!」
『承知!』
『わかりました!』
全ての戦艦をアンカーで繋いだのは『逃がさない』ためだ。ただでさえ浮上後に相手する必要のある敵勢力多いのだから、世界各国にバラバラに浮上させて戦線の拡大なんてやってられない。浮上場所を日本近海としたのも味方勢力とのコンタクトをいち早く行うため。幸い日本人のメンバーも多いことだし。
「オーラロード……開きます!」
そう叫んだフィナの声と同時に、全てのオーラマシンはオーラの光に包まれた。
*****
地上界浮上後は驚くほど簡単かつ速攻で終わった。機動部隊による戦艦制圧→ブリッジ占拠によるコンボでケリがついたのだ。無論、その時に生身無双をやらかしたのは地獄コンビである。
「けっ、歯ごたえねえなあ」
「まったくだ、これならシュンジやリの騎団との訓練のほうがよほど遣り甲斐がある」
誰のせいでそこまできたえなきゃならんハメになったと思ってんだ! このバトルジャンキーどもめ!
「……まさかガロウ・ランのならず者をここまで飼い馴らしていたとはな」
拘束されてもふてぶてしい態度を崩さないのはアの国王ドレイク・ルフト。ガロウ・ランとはバイストン・ウェルで一般人であるコモンより下賤とされるも、身体能力に長ける種族なのだが……いや、そいつらをガロウ・ランの方々と一緒にしたらいけない。もっとヤバいナニカですから。
「ふん、ホウジョウがリと組した時点でおかしいとは思っておった。儂と同じ性質のサコミズ王が従うからには……シュンジ王こそ覇を従える王であったということよ」
「はっはっは! まさにまさに!」
過大評価! 過大評価ですからぁ! サコミズ王も肯定せんでいいですからぁ!
「あ~、ドレイク王? ともかく今は色々とあってバイストン・ウェルの人間同士でやりあってる場合でないので、あっちに戻るまで同盟してもらえると助かります」
「こちらが敗者なのだ、遠慮せず命令すればいい。どうせバイストン・ウェルに戻ればアもリの属国とならざるを得んのだしな」
「ドレイク王、少々お耳を。ゴニョゴニョ……」
「なに? リムルをシュンジ王の……なるほど、確かにビショットにくれてやるよりは……」
なんてこと耳打ちしてんですかサコミズ王ぉ!? しかも『生まれた子供はリュクスと鈴木君の子と許嫁に』ってちゃっかり自分も得しようとしてんじゃないってのぉ!
なんでリムル姫まんざらでもなさそうなんです!? え?『ニー様はあまり頼りに……』って、やめてぇ! ニー・ギブンが
<●><●>
って目でこっち睨んでるからやめてぇ!
「あ、あのエレボス? ミ・フェラリオが体をおっきくする方法って知ってます?」
「え~? アタシは生まれた時からこうだから……あ、そうだ! ハイパー化の要領でなんとかなるんじゃない?」
フィナは何を聞いてるんだよ!? そして体おっきくしてナニする気なんだよ!?
この間、ビショットとルーザは地獄コンビが気絶させてそのまま。