ゼロの悪夢   作:BroBro

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シエスタにあの役をやってもらわなければ話が進まなかったんだ……


悪夢の声

 

 

 

授業が終わった教室。私、ルイズとダークライはこの教室の片付けを任せられた。

 

片付けさえしたら教壇の修理費は払わなくてすむ。そんな事言われたら片付けるしか道はないわよね。何時もだったら教室全体が吹き飛ぶはずなのに、教壇だけ片付けているのが不思議よ。

 

それもこれも、向こうで教壇の残骸を運んでいるダークライのおかげ。有り得ない形の魔法を使って爆発を閉じ込めた私の使い魔は、何も無かったかの様に淡々と私の手伝いをしている。まるで何も聞くなと言わんばかりに。

 

……でも、あの魔法。聞いてみたいわよね。

 

 

「ねえ、ダークライ。さっきのあの魔法は何なの?」

 

 

残骸を片付けたダークライに聞いてみた。あの子の表情、本当に読み取れないのよね。いま、何を考えているのかしら?

 

 

「……アレハ魔法デハナイ」

 

 

……なに?魔法じゃない?いきなり何を言うのよ。確かに見たこと無かったけど、あんなの魔法じゃなきゃ出来ないでしょ?

 

 

「今ノ私ニハ魔力ガアル。ダガ、私ハソレヲ使ッテハイナイ。私ヲ見テイレバ分カル筈ダ」

 

「確かに……」

 

 

素人目でも、ダークライから感じている魔力は全然減っていないのは分かった。

 

それじゃあ、一体何を使ってあんな不可思議なものを?

 

 

「私ハ闇ヲ操ッテイル」

 

「……は?」

 

 

さっきから訳の分からない事ばかり言う。闇ってなに?闇を操るなんて、悪魔位しか聞いたことがないわ。

 

え?もしかして……

 

 

「ダークライ……あなた、悪魔?」

 

「違ウ」

 

 

あ、即答ね。良かったわ。

 

でも余計に分からない。それじゃあダークライは一体なに?どんな存在なの?

 

 

「……ルイズノ使い魔、ダークライト言ウ存在ダ」

 

「そんなの分かってるわよ」

 

「フム……ドチラニシロ、今ノ私ハルイズニ仕エル魔物。今ハソレデイインジャナイカ?」

 

「う〜ん……まあ、そうね。面倒な事考えるのはやめましょうか」

 

「ソウシテクレルト助カル」

 

 

何かはぐらかされた気もするけど、そうよね。今、ダークライは私の使い魔で、私と共にいる。例えどんな種族で、どんな存在であっても、その事に変わりはない。なら、今は究明するのはやめましょう。ダークライに嫌われたくないしね。

 

 

「先ホドノ技ニツイテハ後デ話ソウ。構造位ハ説明出来ル」

 

「分かったわ。なら、早くこれ片付けるわよ!なにぼさっとしてるの!そっちの焦げが多い部分持って!」

 

「全ク……切リ替エノ早イオ嬢様ダナ」

 

「グチグチ言ってないで早くやる!」

 

「了解ダ、マスター」

 

 

片付ける物が教壇だけだったと言う事もあり、十数分で片付けは全て終わった。

 

こんな簡単な仕事だったのに何故かお腹減っちゃったわ……あ、昼食の時はダークライに洗濯物畳んで貰おう。どうせ何も食べないんだし、いいわよね?ダークライ。

 

 

「……畳ム?畳ムトハドウ言ウ行為ダ?」

 

 

……さっさと図書館で一般常識を身につけて欲しいわ。

 

 

「残りの時間で考えてみなさい」

 

「……畳ム……」

 

 

バサッと話を切り離す。自分で考えなくちゃ物事は覚えられないって何処かの偉い人も言ってた気もするし。

 

昼食の時間まではまだ全然時間がある。

 

この数時間、私にとっては地獄の数時間になるわね……。授業中にお腹がなったら言い訳も出来ないわよ……。

 

頼めばダークライが誤魔化してくれそうだけど、何時までも使い魔ばっかりに頼ってちゃ主失格だし、小さな事から色々と頑張って行きましょ。

 

 

これだけ疲れて片付けを終わらせた私達は、一日の数時間を過ごしたに過ぎない。長い一日になりそうだわ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▼△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、図書館で資料を読み漁っていたコルベールが、探していた1ページを見つけた。

 

 

「これは……!」

 

 

該当したルーン。それを見た瞬間、コルベールの顔から血の気が引いていった。その現実離れしたルーンの意味を理解するには、そう時間はかからなかった。

 

一言も発さず、資料を抱えたまま足速に図書館から出ていくと、学園長室と札を張られた部屋へとやってきた。

 

 

「オールド・オスマン!大変ですぞ!」

 

 

学園長に向かって呼び掛けるが、返事はない。現状を見れば、仕方ない事だと言える。

 

今現在、オールド・オスマンと呼ばれた老人は秘書のミスロングビルにセクハラをし、メガインパクトをもろに食らって戦闘不能状態に陥っているのだから。

 

ハァ、と深く溜め息を吐くコルベール。彼の反応を見る限り、今回が始めてと言う訳では無いようだ。

 

 

「おお……御光が見える……煌びやかな御光が……って、なんじゃコルベールの反射光か……」

 

「ふざけてる場合では有りませぬぞ!大変なのです!」

 

「大変?詳しく話すのじゃ」

 

 

バサッと、コルベールが持ってきた『始祖ブリミルの使い魔たち』と言う名の資料を開き、分かりやすくダークライのルーンについて説明しようとする。

 

しかし

 

 

「オールド・オスマン!大変です!」

 

「今度はなんじゃ?」

 

 

大きな音を立ててドアが開き、そこからシュヴルーズが勢いよく入ってきた。

 

 

「オールド・オスマン!ミスヴァリエールの使い魔が喋りました!」

 

「使い魔が喋った?」

 

 

シュヴルーズの言葉にオールドオスマンとコルベールが有り得ないとばかりに反応した。

 

無理もない。召喚される使い魔が人の言葉を話すと言う話は今まで確認されてない。大概の使い魔は人と声帯が違い、高く声を発する為に進化した種もいれば、継続的に鳴き声を上げるために特化した種もいる。人間の様に、会話を目的として声帯を進化させた人外は前例がない。

 

そのため、彼等は興奮していた。特にコルベールは図書館での興奮の上に更に興奮が上乗せされた。ダークライは喉から声を出しているのでは無く、テレパシーでヒト語を発しているのだが、オスマン達が知る訳もなく、後にダークライ自身から聞くことになる。

 

一つ、コルベールよりも先に要件を言ってしまったシュヴルーズは資料と共に口を開けているコルベールに気が付いた。

 

 

「ミスタコルベールは何故ここに?」

 

 

オールドオスマンの部屋に何故コルベールがいるのか疑問に思うのは当たり前だろう。

 

この問いによって自分がここに居る理由を思い出したコルベールは、上乗せされた興奮を隠すことなく口を開いた。

 

 

「そうです、オールド・オスマン!大変なんです!このルーンを見てください!」

 

 

先程から開きっぱなしだった資料を改めてオスマンに向けた。

 

そこには、ダークライと同じ形状のルーンが描かれていた。そのルーンの名は、『ガンダールヴ』。

 

この世界の、伝説の使い魔と呼ばれた者のルーン。

 

それの意味を、瞬時に理解したオスマンは表情を鋭く変え、その老いながらも生気の光る眼をギラリと輝かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掃除を終えたダークライとルイズは食堂へと足を運んでいた。理由は勿論、昼食を取る為である。

 

貴族達に食事を運ぶメイド達。その中にシエスタの姿もあり、貴族のいる食堂と厨房を出入りしていた。

 

そんなメイド達の事は気にせずに朝と同じ席にルイズが座り、ダークライがルイズの指示を待つ。

 

 

「じゃあ、朝言った通りダークライは洗濯物を畳んでね。その後は何をしてもいいわ。30分後に食堂に来ていれば私は何も言わない。いい?」

 

「了解シタ、マスター」

 

 

食堂を出たダークライは即座に洗濯物を干してある所へと移動し、手早く洗濯物を籠に入れる。天気が快晴だったと言う事もあり、既に全ての服は乾いていた。

 

ルイズの私室内へと移動し、洗濯物を畳むために衣類を広げる。しかし、ここで重要な事に気が付いた。

 

 

(……畳ムトハナンダ?)

 

 

肝心な、行為という存在そのものをまるっきり分かっていないダークライの動きが止まり、目の前に広げてある洗濯物を凝視した。

 

服等と言う物を着ないダークライ、もといポケモンは、服に関わる単語を知らない。ダークライが分かるのは人の言葉と常識程度。ルイズが服を折ると言えばまだ伝わったかも知れないが、これ程ヒト語を喋る生き物が一般常識な単語を知らないなんて思う訳がない。

 

 

恐らく服に関わる事だろうと言うのはダークライにも分かる。問題は服をどうするか。どう言う行為に部類するのか。しまう?衝撃を与える?燃やす?消し去る?

 

危険な思考を繰り返すダークライは、服を凝視したままとある結論にたどり着いた。

 

 

「……ヤハリアノ『シエスタ』ト言ウ少女ニ聞イテミルカ」

 

 

洗濯物を洗ってくれたあのメイドなら恐らく畳むと言う行為の意味も分かる筈だ、と考えた故の結論だ。実際、シエスタは貴族メイドの中では優秀な方で、様々な衣類の畳み方はしっかりとマスターしている。ダークライの見立ては正しかった。

 

それにシエスタは『出来ることがあればお手伝いさせて頂きます』と言っていた。本人が言っているのだから別に構わないだろう。と言う考えもダークライにはある。

 

まず遠慮と言う言葉を覚えて使い方も覚えろとピンクの髪の少女に言われそうだが、残念ながら今ここに少女はいない。つまり、忙しいシエスタにダークライが私情で訪問する事を止める者は何処にもいない。

 

 

「……確カ食堂ノ中ニイタナ」

 

 

食堂内部の動きをしっかりと見ていたダークライはシエスタの行動も記憶していた。幸い、ダークライは食堂の出入りだけは許しを得ている。障害は何も無い。

 

目的地が決まれば行動あるのみ。籠から出した洗濯物を無造作に籠へと放り込み、食堂へと戻った。観音開き式の扉を開けようと、食堂の扉に手をかける。

 

しかし、先程とは違う違和感を感じた。

 

 

(騒ガシイナ)

 

 

それがダークライの感想であった。

 

ダークライの思う通り、ドア越しからでも聞こえる食堂内の怒鳴り声。聞いたことの無い男の声と、それより少し小さく聞こえる聞いた事のある少女の声。そして野次馬と思われる数多の人間の声。その中に、ルイズと思われる声も混じっていた。

 

少女の声は間違いなくシエスタであった。そのか細い声は何者かに謝罪している様にも聞こえる。恐らく、怒鳴り声の大きい男に対しての言葉だろう。

 

 

「面倒ナ……」

 

 

正直、彼にとっては喧嘩なんてどうでもいい。畳み方なんて別の人間に聞けばいい話だし、いくらでもやり用はある。

 

だが、彼はシエスタに恩がある。今回も、その恩にあやかろうとしている。だから今彼の中に、喧嘩への介入以外何も無い。

 

 

(シエスタヲ連レテクレバイイ話ダ)

 

 

まるで自分の部屋に入るかの様に、緊張感の無い動きで食堂の扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂の中がざわめく。その中で一際大きな声が響き、涙ぐんだ声がその後に続いた。

 

 

「申し訳ありません!申し訳ありません!」

 

 

シエスタ。日本人の様な黒髪黒目の少女が瞳に涙を浮かべながら必死に頭を下げていた。

 

頭を垂れている相手はシエスタの目の前にいる金髪の男、ギーシュ。色男と呼ばれる種類であろうその顔には何かをかけられたかの様に水滴が数滴垂れており、頬も叩かれたかのように赤く腫れていた。

 

 

少女シエスタがギーシュに頭を下げている理由。それはギーシュの逆恨みが原因である。色々と過程があったのだが簡単に言わせてもらうと、『浮気の証拠品が大衆の面前で晒された』と言う事である。

 

証拠品をシエスタが拾った事が原因のようだ。自分が悪いだろと言うツッコミをどうぞして頂きたい。実際、ギーシュは逆恨みでシエスタに謝罪を強要しているのである。

 

 

「止めなさいギーシュ!」

 

 

そんな理不尽を黙って見てるほど、ルイズは腐っていない。ギーシュとシエスタの間に割って入り、仲裁しようと怒鳴る。

 

 

「黙ってくれ、ゼロのルイズ。君には関係ないだろ?」

 

「大ありよ!メイドが泣きながら謝っている中で悠々と食事が出来るものですか!大体、大元の原因は二股かけているあなたでしょ!」

 

 

ルイズの怒鳴り声が食堂の中に響く。その声が消える前に野次馬が「そうだそうだ!」「ギーシュ、お前が悪い!」等とルイズの言葉に呼応した。

 

周囲がルイズの流れへと一瞬で持っていかれる中、敵であるギーシュは少し歯噛みするも、いつも通りの余裕の顔を作って反論した。

 

 

「この使用人が僕の香水を取らなければいい話だったんだ。見て見ぬ振りをする位の気も利かないのでは、今後の使用人人生に響くだろう?だから、今僕が教育してあげているんだよ」

 

 

恐らくただの優越感を得るためか、自分の落ち度だと認めたく無いのか。どちらにしても、ギーシュが自分の都合のいい方向に理由を変えているのは確かだろう。

 

ルイズはその言葉に呆れた。呆れを通り越して頭が真っ白になった。コイツは、一体何を都合のいい事を言っているんだと。自分の行為を正当化し、無実の他人に罪を作り出したこの男に、既に言葉は出なかった。

 

恐らく、周りも同様だろう。下らない自尊心に囚われた者に話し合いは通用しない。この食堂内部の者全てが、ギーシュに対して声も出せなかった。

 

 

一匹以外は。

 

 

「ソノ少女ヲ貸シテ貰オウカ」

 

 

急に聞こえた低い声に、ギーシュ含め食堂内の全ての者が首を向けた。

 

 

「ダークライさん……?」

 

 

静まった中でシエスタの声が小さく響いた。

 

 

「私ハソノ少女ニ用ガアル。取リ込ミ中悪イガ、借リテイクゾ」

 

 

その声の正体が目の前にいる黒い化け物であると知り一同は硬直する。そんな事お構い無しに、ダークライはシエスタの手を引いた。

 

 

「あ、あの……」

 

「洗濯物ヲ畳ンデ欲シイ。今ノ私ハ、君ニシカ頼メナイ」

 

 

状況を知りもしないダークライは自分の要件だけを説明する。当たり前のように、シエスタは困惑した。

 

その様子に「来レバ分カル」と一言呟き、ダークライはシエスタを連れて食堂を出ようとした。

 

 

「き、君!その使用人は今僕が教育しているんだ!邪魔しないでくれたまえ!」

 

 

誰よりも早く意識を戻したギーシュがシエスタを連れて食堂外へ出ようとしているダークライを止めた。

 

 

「急ギダ。後ニデキナイノカ?」

 

「僕が先約だと言ったはずだ!洗濯物を畳む?そんなバカでも出来ることを態々その使用人に聞く必要は無いだろう」

 

「私ハ主ノ命令デ急ギノ要件ダ。コノ少女ニハ個人的ナ接触モアッタ。シエスタノ方ガ聞キヤスイ。貴族ナラ、優先順位如キ理解シテイルト思ッタノダガナ」

 

「きっ……君は……!」

 

 

挑発じみた発言は、ギーシュに青筋を立たせるのに充分な効力を発揮した。

 

これからギーシュの怒りが爆発するかと誰もが思った。しかし、ギーシュの顔から怒りがスッと引いていき、先程の余裕の笑みを作り出した。

 

 

「……君は、確かゼロのルイズの使い魔だったね」

 

「ソウダ。ゼロノ意味ハ知ランガ、ルイズノ使イ魔デ間違イナイ」

 

「フッ……君には貴族に対する礼儀がなっていない様だ。ルイズの使い魔、君に貴族への礼儀を教えて上げよう……」

 

 

一泊置いたギーシュは、胸ポケットから真っ赤な薔薇を取り出し、ダークライに突きつけた。

 

 

「ギーシュ・ド・グラモンの名にかけて、君に決闘を申し込む!」

 

「決闘……バトルカ。ソレデオ前ガ手ヲ引クナラ、良イダロウ」

 

「場所はヴェストリの広場だ。逃げる事は許されないぞ!」

 

「ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

自然な会話の流れで決闘に持ち込まれたこの状況に、今まで場の把握に一生懸命だったルイズが声を上げた。

 

 

「ギーシュ!この学園で決闘は禁じられてる筈よ!」

 

「僕は君に決闘を申し込んでいるんじゃない。僕はこの使い魔に言っているんだ」

 

「な……そんなの屁理屈じゃない!」

 

「恨むのなら、君の教育の悪さを恨むのだね。君の行いのせいで、君の使い魔が赤く彩られるのだから」

 

 

終始崩さぬ余裕な笑みは、食堂から出ていく最後までそのままだった。

 

ルイズの怒りの矛先は、ダークライへと向けられた。

 

 

「ダークライ!あなた何勝手に受けているのよ!」

 

「私ハ手早ク衣類ヲ畳ム手ヲ選ンダニ過ギナイ」

 

 

ダークライは一つの事に一生懸命働く。しかも今回は早く終わらせる事で自由時間を確保できる。早く終わらせる為に、手段は問わない。

 

その事を理解したルイズは、静かに溜め息を吐いた。

 

 

「はぁ……仕方ないわね。勝てる自信はあるの?」

 

「君ガ呼ンダ使イ魔ダ。負ケルト思ウカ?」

 

「……ふっ、思う訳無いでしょ?まあ、決闘が手っ取り早い手段だなんて言っている使い魔には、愚問だったかしら?」

 

「間違イナク、愚問ダ」

 

 

最初から不安なんてない。自分が呼んだ使い魔を信じない主なんて、そんな者主とは呼ばないだろう。

 

ルイズが何より懸念した事。それは

 

 

「……ギーシュ、生きていられるわよね?」

 

 

相手の生死であった。

 

これに対してダークライは、ギーシュの待つ広場への進行を止め、ルイズに向き直った。

 

 

「悪イ夢ハ見テモラウガナ」

 

 

どこか楽しそうに答え、ダークライは再びギーシュの待つ広場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「あの……ダークライさんは……」

 

 

不安そうなシエスタの声がルイズの隣から聞こえた。その問いは愚問とばかりに、ルイズは笑みを作った。

 

 

「アイツなら大丈夫よ。私の使い魔だもの」

 

「でも、貴族が相手の決闘なんて殺されちゃうんじゃ……」

 

「アイツが簡単に殺されるもんですか。見た目でも分かるでしょ?あんなのが殺される場面を想像できる?」

 

「う〜ん……確かに、出来ないですね……」

 

「でしょ?だから大丈夫よ。決闘が終わったら、ダークライに洗濯物の畳み方を教えてあげてね」

 

「は、はい!」

 

 

綺麗に礼をするシエスタの姿を見て、ルイズは小さく微笑んだ。

 

 

ダークライが決闘に勝つ確証はない。だが、妙な確信と安心がルイズにはある。それと同時に、彼女の中に湧き上がる何かがあった。

 

 

 

 

「大丈夫よね、ダークライ……」

 

 

 

 

ダークライの黒い背中を追う様に、ルイズは決闘の場へと向かった。

 




後書きポケモン図鑑

と行きたい所ですが新しいポケモンがいないです。何でもいいから図鑑に出せるポケモンが欲しい……

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