ヒカセンの紀行録   作:Lavian

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今後の投稿はゆっくりペースになる予定です。


第5話 謙虚な騎士とカッパーベル攻略

 サスタシャを攻略した事をバデロンに報告すると、ウルダハのダンジョン、カッパーベルを紹介された。採掘中に巨人族を発掘してしまい、カッパーベル銅山が危険地帯になってしまったので冒険者を募集しているという内容だ。グリダニアのほうは大丈夫なのかと聞くと、タムタラという場所で冒険者の募集があったがもう解決済とのこと。解決した冒険者の名前はもちろん『りゅーさん』だ。

 

……りゅーさん、仕事早すぎ。

 

 となると、私はカッパーベルへ行くべきだろう。上手く行けば、ブロントさん達に会えるかもしれないし。私がブロントさんの事を知ってることを魔理沙に伏せて単純にカッパーベルのクエストに誘った所、魔理沙も着いて来るそうだ。魔理沙は友人を探していて、そろそろリムサ・ロミンサ以外の国も探したかったから丁度良かったらしい。話が纏まれば後は簡単だ。私はテレポ一発でウルダハへ飛べるのだから。

 

 

 

 

 

~ウルダハ~

 旅の準備を整えてからテレポを発動し、私と魔理沙はウルダハにやってきた。まず見て回るのはマーケットだ。宿を取ったりクエを受けるにも、リムサとの物価の差を把握しておかないと損をするかもしれない。

 マーケットに移動するとかなりの人が売買をしていて、活気に溢れていた。ゲーム内のスカスカなウルダハとは違う。あえて言うなら、根性版FF14ちゃんの頃の人の量だ。

 

「うわ、すっげぇ人の量!こんな街に住んだら毎日面白そうだな」

「確かに。毎日新しいことが起きそうだ」

 

 雑談しながらざっくりと物価を把握する。リムサより平均的に物価が高いようだ。そして、商品にHQが混ざっている。値段も質もピンからキリまで、上と下の差が激しいのがウルダハみたいだ。

 

「何か欲しいものはあったか?」

「魔法書とかあればと思ったんだけど、見つからないなー」

 

 きょろきょろと店を見渡しながら呟く魔理沙。やはり、彼女の中で興味があるのは魔法らしい。

 

「そういうのは呪術士ギルドのほうで売ってるのかもな」

「なるほど、後で行ってみようぜ」

「ああ。冒険者ギルドの次に行ってみよう」

 

 マーケットで物価を調べたら、次は冒険者ギルドだ。丁度同じ建物内に宿もあるし。私達は冒険者ギルドこと、酒場クイックサンドへ向かった。

 

 

 

 

 

 昼間だというのに酒場クイックサンドは盛況だ。席は8割が埋まっており、どこも楽しそうに食べたり飲んだりしている。そろそろ食事時だし、私もまずは料理を頼んでから情報を集めるとしよう。ここの名物料理はクランペットらしいから楽しみだ。そう思ってどの席に座ろうかと周囲を再度見渡すと、そこに見覚えのある人物を見つけた。特徴的な紅白衣装の脇巫女と、銀髪褐色のナイトだ。

 

「霊夢!ブロントさん!会いたかったぜ!」

 

 魔理沙も二人を発見したらしく、名前を呼びながら駆け寄っていく。私も有名人に会う気持ちでわくわくしながら魔理沙を追いかける。

 

「あ!魔理沙じゃない!魔理沙もこっちに来てたのね」

「久しぶりだなまるさところで隣のララフェルはぜんえzん知らないヤツなんだが?」

 

 霊夢とブロントさんもこちらに気が付いたようだ。っと、私は二人とは出会ったことが無いんだから、初対面のように振る舞わないとな。

 

「はじめまして。私の名前はセラ・ヒカセン。ジョブは暗黒騎士だ。魔理沙とは冒険者として一緒にPTを組んでいる」

 

 ブロントさんの言動に少し驚いた雰囲気を出してから挨拶し、ペコリと/bowでお辞儀をする。我ながら完璧だ。

 

「はじめまして、私の名前は霊夢よ。職業は巫女ね。こっちで言うと、白魔が近いかしら」

「おれの名前はブロントだジョブは黄金の鉄の塊で出来ているナイトだから当然強いしメイン盾」

 

 文章で読んでもすごかったが、生で聞いてもすごい。全てが間違ってるのに意味・意図だけはバッチリ伝わるそれがブロント語。

 

「あー……セラ、ブロントさんは独特な喋り方をするけど、方言とか訛りみたいなもんだ。良い奴だから仲良くしてくれよ」

「おいィ?俺の言葉がヴァナディールの標準語なのは確定的に明らかなんだが?」

 

 魔理沙のフォローが入るが、納得がいかないご様子。

 

「魔理沙が良い奴って言うならもちろん信用するさ。よろしく、霊夢、ブロントさん」

 

 ブロントさんにはしっかりと『さん』をつける。でないと、「さんをつけろよデコスケ野郎!」ってお約束を言われてしまうからね。

 

 

 

 

 

「かくかくしかじか」

「ふむふむ、なるほど……」

 

 相席により同じ机を4人で囲み、食事しながら情報交換を行う。彼らは砕け散ったグラットンソードの破片を集めて復元、見事異変を解決したはずだったのだが、その際にグラットンソードが暴走。気が付いたらエオルゼアにいたらしい。

 エオルゼアに流れ着いてからは、ウルダハでひたすらクエスト・人助けの日々。ブロントさん曰く、「助けようと思って助けるのではなく助けてしまうのがナイト」だそうだ。そうしてウルダハで活躍しているうちに霊夢、咲夜と合流。光のクリスタルを拾ってハイデリンに出会う、ゾンビパウダーの事件(ウルダハのメインクエスト)を解決したそうな。

 ここにいない咲夜はりゅーさんとミスティアに連絡を取るため、グリダニアに出かけているとのこと。残ったブロントさんと霊夢でこれからカッパーベルを攻略しにいく所だったようだ。

 

「なるほど、それなら私とセラが合流すれば4人PTで丁度良いな。セラもいいだろ?」

「もちろん構わない。仲間が増えるのは大歓迎だ」

「メイン盾ナイト、アタッカー暗黒と黒、ヒーラー白だなところでセラおまいの武器は大鎌ではにぃのか?」

「ああ、エオルゼアの暗黒騎士は大剣が一番得意なんだ。鎌は装備できない」

 

 どうやらブロントさんの中ではFF11時代同様、暗黒騎士=アタッカーみたいだ。タンクだと分かると面倒そうだから、このままアタッカーということにしてしまおう。見たところ、ブロントさんも霊夢もレベル60クラス。ILは……平均200だが、グラットンソードだけ計り知れない強さを感じるといったところだ。これなら、例えカッパーベルのハードに挑んだって余裕だろう。

 その後はダンジョン攻略に関係する情報を交換し、翌日の朝からカッパーベルに挑むことになった。

 

 

 

 

~カッパーベル~

 この世界にはレベルシンクやアイテムシンクなんて存在しない。人数制限すら存在せず、常に制限解除状態だ。よって、私達がLv60の4人PTでカッパーベルに突入し、バランスを無視して敵を蹂躙しても何一つ問題は無い。出てくる敵はLv15~20程度なので相手にもならず、一撃で倒しながら進んでいく。1ボスだって楽勝で突破だった。

 

「順調ね。このまま最後まで雑魚だけならいいんだけど」

「いや、問題発生みたいだぜ?」

 

 モンスターは障害とならない私達だが、ギミックは別だ。私達の前の通路土砂で埋まっていて、通行できなくなっている。周囲には発破装置があり、さらに火薬が落ちている。ゲーム内ではこれで土砂を吹き飛ばし、道を確保するのだが……

 

「ナイトの出番なのは確定的に明らか俺に任せるべきそうすべき」

 

 ブロントさんがやる気満々だったので任せることにした。どうも、新規PTメンバーの私に良い所を見せようとしている気がする。暗黒というダークパワー持ちがいるから、ナイトのほうが優れているアピールをしたいという可能性もあるが。

 

「生半可なナイトには真似できないホーリー!」

 

 前に出たブロントさんがホーリーを放ち、聖なる極光で土砂を吹き飛ばす。おいィ?ナイトが本職白魔と同じホーリー使うのは反則じゃないですかね。

 

「流石ブロントさんね」

「通路の封印が解けられた!やったぜ!」

「それほどでもない」

 

 霊無と魔理沙に褒められたブロントさんはドヤ顔をしている。このドヤ顔を見てると、対抗したくなるな……

 その後しばらく進むと同じように土砂で塞がれた通路があった。再度ブロントさんが対応しようとしたので、今度は私がやると主張する。エオルゼアの冒険者として、ブロントさんに負けていないところを見せておかないとな。暗黒の範囲攻撃は威力が低いから、このままだと土砂を吹き飛ばせないかもしれないが、私には裏技……ギアセットによる早着替えがあるのだ。

 

「いくぞ!ダークアーツ!……からの、早着替えホーリー!」

 

 ダークアーツでエフェクトを出した後、速攻で白のギアセットにチェンジし、ホーリーを唱えてまた暗黒騎士に戻る。これぞ、生半可な暗黒には真似できないダークホーリーだ!

 

「おいィ?暗黒騎士がホーリーとかあもりにも卑怯すぐるでしょう?お前絶対忍者だろ……」

「ブロントさん、忍者でもホーリーは撃てないわよ?」

「どう見てもホーリーの時だけ白魔に着替えてたぜ」

 

 なんやかんや言われているが、通路は無事に通れるようになったので問題ない。次の土砂は霊夢のホーリーで吹き飛ばし、最後の土砂は魔理沙が「ホーリー!」って叫びながらフレアで吹き飛ばした。ついでに、2ボスのでっかい緑スイライムも発破装置無しでホーリー&フレア乱発で爆破された。結局発破装置は一度も使用されなかった。発破装置ェ……

 

 

 

 

 

 2ボスを撃破した私達は道なりに奥へ進もうとしたが、ブロントさんが立ち止まったまま動かない。長い耳をピクピクと動かしながら虚空を睨んでいる。

 

「さっき悲鳴が聞こえたんだがれうむ達は聞こえたか?」

 

 言われてじっと耳を澄ませる。どこからか金属と金属のぶつかる音、戦闘音が聞こえる。方向は……奥へ行くのとは別の方向、壁の向こう側のようだ。

 

「戦闘音が聞こえるわね」

「もしかしたら他の冒険者かも知れないな。ブロントさんが悲鳴を聞いたなら、ピンチの可能性が高い」

「時既に時間切れになる前に助けるべきだぜ」

 

 ブロントさんは頷くと悲鳴の聞こえたほうの壁の前に立ち、モンクの構えを取る。大地を踏みしめ、右の拳を全力で壁に叩きつけた。

 

「メガトンパンチ!」

 

 本職のモンク以上の破壊力で放たれた拳が岩の壁を破壊し、横穴ができる。こいつ本当にナイトなのか?

 

「リアルではモンクタイプの俺にかかればこんなもの。急いで行くぞ一瞬の遅れが命取り」

 

 ブロントさんはスプリントを発動すると、砂煙をあげながら全力で駆けだした。霊夢は空を飛び、魔理沙は箒に乗り、私は異次元からチョコボを呼び出して騎乗し、ブロントさんを追う……が、追いつけない。ブロントさんのスプリントは何故かめちゃくちゃ早い。マウントに乗っているこちらのほうが遅いという不思議現象が起きている。

 

 その速度のおかげであっという間に目的地へついた。大きい広間で足元は砂地の部屋だ。そこで3人の冒険者と巨人が戦っていて、明らかに冒険者側が劣勢だ。即座に巨人と冒険者の間にブロントさんが割って入り、巨人の攻撃を受け止める。

 

「た、助かりました!」

「それほどでもない。ピンチな人間がいれば助けてしまうのがナイトだからなそれより早く下がるべき」

 

 ブロントさんが巨人にシールドバッシュを打ち込みスタンさせる。救出対象の冒険者達はその隙に距離を取り、こちらへ逃げてくる。ルガディンの剣術士、ミコッテの槍術士、ララフェルの幻術士だ。彼らのうち、ルガディンの顔には見覚えが……

 

「ドールラスじゃないか!」

「セ、セラさん!?まさかこのような場所で出会うとは!」

 

 驚くべきことに、戦っていたのはドールラス・ベアーだった。その時、私の脳裏にニュータイプのような電流が走り、彼らのことを思い出した。彼らはサスタシャで出会い、クエスト『カッパーベルで消える夢』で死亡するはずのNPCだったのだ。ゲーム内では手の届かない位置でいつの間にか死亡していた彼らだが、今は助けられる位置にいる。ならば、今度こそ死なせはしない。

 

「この部屋の入り口付近まで下がれば安全なはずだ。ドールラス、そこで私たちの戦いを見ていてくれ」

「いえ、ケアルで回復次第加勢をします。あの巨人はとてつもなく強い!」

 

 私はドールラスに向け、不敵な笑顔を作ってみせた。自分の身長程もある大剣を構え、暗黒を発動する。

 

「なら、私たちが劣勢になったら加勢してくれ。もっとも、そんな機会は来ないが。あんな巨人より、圧倒的に私たちのほうが強い!」

 

 唖然とするドールラスを置き去りにして、砂地の中央にいる巨人、カッパーベルハードのボスである復讐のウラノスに向かって突撃する。私と霊夢、魔理沙がブロントさんに加勢し、4対1になると不利を感じたのか、巨人が増援を呼ぶ。

 

「オデのカワイイイモムシちゅわん!ジャマなチビども、ツブしちまえ!」

 

 砂地が不自然に盛り上がったかと思うと、そこから巨大なイモムシ、アビスワームが飛び出してくる。即座に挑発とアンメンドを使ってターゲットを私に固定すると、ワームは大口を開けて一直線に向かって来た。ゲームでは存在しなかった動き。しかし、その動作すら『オレンジ色の範囲攻撃の予兆』によってバレバレだ。ダークアーツを発動し、飛び込んでくるアビスワームに向かって跳躍。すれ違い様に奴の口内にダークパッセンジャーを叩きこんだ。

 

「これでも食べてろ、大食いワーム!ダークパッセンジャー!」

 

 硬い外皮に覆われていない、弱点の口内に攻撃を受けてアビスワームが一瞬怯む。

 

「私を忘れてもらっちゃ困るぜ!地に閉ざされし、内臓にたぎる火よ。人の罪を問え!ファイジャ!」

 

 その隙を逃さず魔理沙が追撃のファイジャを敵の頭部に決める。激しく燃える炎を振り払うように暴れるアビスワームだが、その動きはデタラメで隙だらけだ。

 

「モンハンG級の私にかかればこの程度!」

 

 ブラッドウェポンを発動し、ダークアーツを全開にしながらソウルイーターコンボでアビスワームの頭部を斬り刻む。二人で連携して徹底的に頭部を狙った結果、アビスワームはあっさりと動かなくなった。

 ワームの撃破を確認し、フリーになった私と魔理沙は巨人を相手取っていたブロントさん・霊夢ペアの援護に入る。ブロントさんは巨人の攻撃を的確に盾でブロックし、相手の体勢を崩してから攻撃を叩き込んでいた。見事なカウンターだ。普段の彼からすると意外だが、防御重視で堅実に戦うタイプのようだ。

 合流した私が巨人の背面を取って斬りつけると、巨人は正面のブロントさんと背後の私、どちらを相手にするか迷う動きを見せた。

その隙を見逃さず、今まで防御主体だったブロントさんが反撃に転じる。

 

「破壊力ばつ牛ン!ハイスラァ!」

 

 大上段から全力の振り下ろしが巨人を引き裂き、よろめかせる。さらにブロントさんは振り下ろした剣に炎を纏わせ、今度は救い上げるようなアッパー斬りを放つ。そこに魔理沙がフレアを、霊夢がホーリーを合わせる。私も連携攻撃に参加し、ダークパッセンジャーを放った。

 

「追撃のっ!グゥランドヴァイパーッ!」

「ステーキにしてやるぜっ!フレア!」

「これで終わりよ!ホーリー!」

「闇に飲まれろ!ダークパッセンジャー!」

 

 4人の同時攻撃がトドメとなり、巨人は倒れ、黒い霧となって霧散した。カッパーベルハードモード、攻略完了だ。

 

 なお、1人だけ明らかにゲームを間違えた技を使っていたが、威力はあるし技として完成しているので細かいことは突っ込まない事にする。……私も頑張ったらグランドヴァイパー撃てるようにならないかな。

 




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