ヒカセンの紀行録   作:Lavian

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第6話 コロセウム無双

~ウルダハ~

 カッパーベルに戻ってきた私達はモモディに結果を報告し、ドールラス達と別れた。今はブロントさん、魔理沙、霊夢、私の4人で食事を取りながら今後の相談をしている。

 

「私達はサンクレッドっていう優男から勧誘を受けてるの。その男の組織、暁の血盟っていう所へ行ってみようと思うわ」

「サンクれんドはこえう力の秘密を教えてくれるらしい」

「私は霊夢とブロントさんについていくぜ。セラはどうする?」

 

 ブロントさん、魔理沙、霊夢はゲームのクエスト通り、暁の血盟と接触するらしい。その後の流れはキャンプ・ドライボーンへ向かってイフリート退治だったか。この辺りでは主要メンバーに死人は出なかったはず。なら、私は単独行動で今後のために動くのが一番だろう。

 

「私はやることがあるから、ここでPTを抜けさせて貰うよ」

 

 そう告げると魔理沙は残念そうに「わかったぜ」と頷いてくれた。私としても魔理沙とのPTは楽しかったから少し寂しい。そんな私と魔理沙のことを見かねたのか、霊夢が一つの提案をしてくる。

 

「セラが良ければ私達のフリーカンパニー『最終幻想』に招待するわ。どうかしら?」

「ナイトがいるFC→即シャキ→心が豊かなので性格も良い→友達ができる。ナイトがいないFC→ぜんえzんPT組めない→心が狭く顔にまででてくる→いくえ不明。なのでセラは『最終幻想』に入るべき」

 

 ブロントさんが掌の上にリンクパールを2個乗せて差し出してくる。FCも連絡はリンクパールで取り合うみたいだ。魔理沙が一つ受け取った後、期待した目で私を見ている。

 

「ふふ、確かに友達が増えるのは嬉しいな。『最終幻想』に入ろう。これからよろしく頼む、ブロントさん、霊夢、魔理沙」

 

 私はブロントさんからリンクパールを受け取った。これで私はこの世界でもFCに入ったことになる。ぼっちは寂しいから、とてもありがたい。

 

 

 

 

 

 フリーカンパニーに入ってフレンド登録も行った後、私はブロントさん達と別れ、クイックサンドでクランペット(現実世界で言うホットケーキ)をほおばりながら今後の計画を練っていた。蒼天のイシュガルドはひとまず置いておくとして、新生エオルゼアのメインクエストの中で私が変えたい歴史は以下の3つになる。

 

1、砂の家の襲撃による暁のメンバー死亡

2、ナナモ様が毒で倒れる&ラウバーンの負傷

3、クリスタルブレイブ結成時の裏切りの阻止

 

 このあたりが確実に変えたい所だろうか。ナナモ様やアルフィノは苦境に置かれることで成長していたから、それが無くなる事が少し不安だ。しかし、死人が少なくなるほうが優先だろう。

 

 1番は襲撃の時に砂の家にいればいい。3番はクリスタルブレイブ結成時に裏切りメンバーを入れなければOKだ。もしくは、裏切りの証拠を掴んで告発しても良い。しかし、2番を阻止するとなるとテレジ・アデレジが厄介だな。話が金と政治に絡んできそうだ。対抗するにはこちらも金と権力が必要だろう。方針としては資金を稼ぎつつ、ウルダハで発言力・影響力を稼ぐ。そしてテレジ・アデレジ以外の砂蠍衆と組み、彼の動きを阻止するのだ。そうと決まれば早速行動だ。

 

 

 

 

 

 まずは資金から稼ぐ事に決めた私はリテイナーを4人雇った。私はゲームキャラに憑依しただけでなく、蒼天のイシュガルドの時代から新生エオルゼア開始時の時代へ逆行もしている。逆行者ともなれば将来値上がる物品を知ってる。リテイナー達に今の内に集めさせて、値上がってから売り捌かせるのだ。

 

 彼らに指示するのはトームストーン集めだ。トームストーンとは古代アラグ帝国の情報が入ったハードディスクのようなもので、ゲーム内ではNPCのロウェナがこれを大量に売買し、大金持ちになったという。市場を確認したところ、トームストーン『哲学』と『神話』がやや値上がりの傾向を見せているところだ。私は上記の2種類のほかに『戦記』『詩学』『禁書』『伝承』の順で買い集めることを指示する。買い集めの資金はサスタシャで稼いだあぶく銭の2500万ギルだ。最終的にどの程度の資金を稼げるかは不明だが、期待して待つとしよう。

 

 他に買うものとして、鬼畜クエスト『ゾディアックウェポン』『アニマウェポン』で使用する道具も買い集めておく。私は既にアニマウェポン持ちだが、ブロントさん達の誰かがクエストを行うかもしれない。念のためだ。

 

 先物取引だけでは不安なので、堅実に稼ぐ手法も取り入れる。イシュガルドでしか入手できない鉱石で武具を生産し、マーケットにぼったくり価格で数点だけ出しておくのだ。アーマリーチェストに眠っている、ゲーム内では販売不可能だったEXアイテムやBIND武具も同様に市場に流す。大量に流すと市場を崩壊させてしまうので、掘り出し物とか一品物とかそういう感じでプレミア価格をつけて流した。

 

 資金集めの合間にウルダハで影響力を持つ行動も忘れない。ゲーム内のクエストはブロントさんが対応する物として手をつけず、それでいてウルダハで名を売れる所と言えば一箇所だ。その場所とはコロセウム。不滅隊のトップ、ラウバーンもかつてはコロセウムで1000人斬りを行って名声を稼ぎ、その稼ぎで砂蠍衆に入ったという。私もそれに習い、コロセウムで英雄ヒカセンの名を広めるのだ!

 

 

 

 

 

 

~コロセウム~

 コロセウムで選手登録し、約2週間。私は連日、ここで試合を重ねている。今もまた、リングの中で対戦相手と向き合っている所だ。

 

「今日の対戦は注目のカード!流星の如く現れた期待の新人!戦績は10戦10勝、負け知らずのホープ!その大剣は全てを切り裂く!『暗黒剣』ヒカセンだあ!」

 

 司会の紹介に観客席が歓声をあげる。ファンサービスということで、私も観客席に手を振って応えた。

 

「対するは『麗しの剣士』フランツ!華麗なる剣技で勝利を掴むベテランだ!新人の連勝を阻止できるのは彼しかいない!」

 

 ワアアアアア!!と歓声が爆発する。明らかにヒカセンの紹介よりも大きい歓声は彼の人気と実績を証明している。ゲーム中でも登場した、麗しの剣士フランツ。イケメンなだけでなく、実力も確かな闘士だ。だがしかし、それはウルダハの平均的な闘士と比較した場合の話だ。私が超える力でフランツのレベルを見抜いたところ、彼はレベル45。私が負ける要素はほとんど無い。

 

「両者武器を構えて戦闘態勢に入った!審判のカウントダウンが開始されます!……3、2、1、0!試合開始だぁ!」

 

 カァン!試合開始のゴングが高らかに鳴ると同時に私はグリッドスタンスを発動し、防御重視の構えを取る。逆にフランツは攻撃に全力を賭けるといった勢いで一直線に突っ込んできた。速度と体重を乗せた片手剣の突き。それを私は大剣で斬り上げるように弾いた。武器と共に腕をかち上げられたフランツは胴体がガラ空きになり、絶好の隙ができる。だが、あえて追撃はしない。フランツは慌ててバックステッポで距離を取り、剣を構えなおす。

 

「暗黒剣のヒカセン、絶好のチャンスを見逃しました!しかしこれこそが彼女のスタイルなのです!序盤は守りに徹して相手に全力を出させます!」

「そしてぇ!相手の攻撃の全てを防いだ上で、その大剣で相手の肉体も精神も叩き折る!この可愛いララフェルは見た目と中身が正反対なのです!フランツはこの鬼畜ララフェルを攻略できるのでしょうかぁ!」

 

 ルガディンの司会が音声増幅魔道具(いわゆるマイク)を片手に実況する。酷い言われ様をしているが、おおむね間違っていない。

 コロシアムの闘士にはスター性が求められる。『麗しの剣士』なんて二つ名がつくフランツが良い例だ。私もカリスマ人気闘士になるため、戦法を独自のスタイルにした。それは、序盤は一切反撃をせずに防御に徹し、相手の攻撃を全て出させてから猛反撃を開始するというもの。いわゆる舐めプだが、客からのウケは良い。

 

「一撃では突破できないか。それなら、ここからは手数で勝負だ!」

 

 フランツは開幕に全力を込めた一撃を弾かれて表情を歪めたが、すぐに戦闘スタイルを変えた。一撃の重さに賭けるのではなく、連続攻撃で攻めるスタイルだ。彼はファストブレード、フラットブレードからレイジオブハルオーネへと繋げてくる。怒涛の連続攻撃だ。しかし私は冷静に、大剣でその全てを迎撃する。

 

「フランツの華麗な連続攻撃です!しかしヒカセンはその全てを大剣で弾き返しています!大剣の重さを一切感じさせない動きです!」

 

 司会の声を背景に、私はハルオーネを捌ききる。15もあるレベル差は、私とフランツの間に絶対的な格差を作っているのだ。

 

「そんな軽い攻撃では私には届かないぞ」

「……かくなる上は切り札を切らせてもらう!いくぞ、暗黒剣のヒカセン!」

 

 フランツが叫び、捨て身・発勁・猛者を順に発動させる。ベテラン闘士の意地か、確かにこの怒涛のバフは切り札と言える。

 再度放たれるファストブレードとフラットブレード。剣速は先程までよりはるかに疾く、重い。

 

「……!ダークダンス!」

 

 素の状態では捌ききれないと判断した私はダークダンスを発動した。まるで範囲攻撃の予兆のように、フランツの剣がどこに来るかが可視化される。

 

「真・レイジオブハルオーネッ!」

 

 フランツが放った真・レイジオブハルオーネは5連撃だ。私は未来視した軌跡に沿って大剣を振るい、迎撃する。初撃の左からの横切りを回避し、右からの斬り返しを大剣で受け流す。流れるように繰り出される下からの切り上げを弾くと、再び右から来る剣閃を回避。最後の上段の振り下ろしはシャドウスキンを展開し、バリアによって剣を跳ね返す。

 

「これでも届かないのかっ!?」

 

 フランツは自分の切り札を無傷で切り抜けられた事に驚愕し、仕切りなおすために距離を取った。

 

「フランツの必殺技、真・レイジオブハルオーネが炸裂しましたぁ!今までこの技を受けて立ち上がった者はほとんどいません。ですがですがぁ!なんとヒカセン、無傷で切り抜けました!」

 

 司会が叫び、観客達が大歓声をあげる。相手の必殺技を完全に防いだことでコロセウム熱狂がピークに達する。

 

「それで終わりか?ならば、今度は私のターンだ」

 

 観客は十分に盛り上がった。ここまで攻撃を防いで見せれば十分だろうと判断し、私はグリッドスタンスを解除。暗黒を発動する。意識を集中し、私は真紅のオーラを大剣に纏わせた。

 

「麗しの剣士フランツの猛攻もヒカセンには届きません!そして暗黒剣のヒカセン、ついに二つ名の暗黒を大剣に纏わせました!」

 

 暗黒はゲーム内では自分の全身に纏うものだった。しかし、現実となった今では多少の応用が効く様になっている。纏うオーラを全身では無く、一点に集中させれば暗黒の破壊力が跳ね上がった。コロセウムという実戦を通して分かったことの一つだ。さらにダークアーツを上乗せし、大剣を構えてフランツに疾走する。フランツもランパートを発動し、迎撃の構えを取った。

 

「神に背きし剣の極意、その目で見るがいい!カーヴ・アンド・スピット!」

 

 だが、今の私にはその程度の守りなんてガラスのようなものだ。繰り出された大剣はランパートの障壁とぶつかり、轟音と共にそれ粉砕した。その威力だけでフランツが吹き飛び、コロセウムのリング外へ吹き飛ばされる。この瞬間フランツは場外負けとなり、私の勝ちが決まった。

 

「い、一撃!今回も一撃です!あのフランツですら、暗黒剣のヒカセンには歯が立ちません!彼女を止められる者は今のコロセウムにいるのでしょうか!?」

 

 司会の声と歓声を浴びながら、リングの中央で観客に手を振る。これでヒカセンの名はまた有名になり、クールで格好良いララフェルとして有名になることだろう。

 賞金もがっぽり、名声も高まって、実戦経験も磨ける。何より歓声が気持ち良い。ふふふ……完璧、パーフェクトだ。コロセウム、何と素晴らしい場所か!このままラウバーンを超える伝説を立ててみせるぞ!

 野望を胸に抱きつつ、私は「勝利を喜ぶ」エモートを連発するのだった。

 

 

 

 

 

 なお、翌日の試合で出てきたテュポーン先生の鼻息により場外負けとなり、ヒカセンの連勝記録はストップしたのであった。

 




コロセウムに参加して優勝したい。
ヒカセンの皆さんなら考えたことありますよね。
アマジナ杯なんて優勝賞金20Mも出るのですから。


二つ名は『暗黒剣』と『ジュピーと鳴く獣』で迷いました。
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