ザレゴトフィアンマ ~戯言遣いとボンゴレマフィア~ 作:昆布さん
零崎一賊勢揃いでございます。つくづくトキさんとレンさんが死んでしまったのが痛い…
その呼び方は無しだ
・・・・・
「ん…んあ…」
目を開けると、白い天井が目に入った。
「あれ…?俺…」
「よー、気がついたっちゃか?」
人識がベッドサイドに目をやると、面会人用の椅子に腰掛けた浅黒い肌の男がいた。
「なんだよ…いたのかよ?大将」
軋識は人識のまだらの長髪とは対照的に短い髪を手串でなでつけながら
「本当は暴君に会いに来たっちゃが…結局暴君は幼なじみとか言う請負人にとられちまってるし…がっくりしてるところへお前がぶっ倒れたって舞織ちゃんから聞いて、すっ飛んで来たっちゃ」
オイちょっと待てよ。人識は軋識の言葉を遮って言う。
「伊織ちゃんは大将のケータイ番号しらねえハズだろ?」
「ああ、そりゃ…」
「人識君のケータイでかけたからですよー。」
「「うわわあああ!」」
突然乱入してきた舞織に二人は盛大に驚く。
「あれー?どうしたんですか?」
「い…いきなり出てくるんじゃねえよ…」
「心臓に悪い…掛け値無しに五拍は休んだっちゃ…」
「でも心配しましたよー。人識君、一体どうしたんですかー?」
ああ、それな。と前置きして人識は自分の体のリミットについて語った。
「まあ、そんなわけだ。言って見りゃ爆弾付きだってことだ。長く見積もってあと15年ってとこだろうぜ。」
それよりも。と人識は軋識に目を向ける。
「あんただよ。大将、アンタ一体どうやって死んだように見せてたんだよ?いつもはぐらかしてばっかりだったけど、今日こそは訊かせてもらおうじゃねエか?」
「ああ、そのこと…実に単純。零崎軋識の死体をでっち上げて、あとはハッキングの腕の見せ所だ。いろんなデータをでっち上げちまえば、だれも死体を怪しまないっちゃ。」
そして式岸軋騎として表に出ればいい。そう結んで軋識は席を立つ。
「それじゃどうぞごゆっくりー。」
……暫くの沈黙。やがて人識がポツリと呟いた。
「気ィ利かせてくれたのかな…あのクソ兄貴…」
「みたいですね…」
どう思った?人識は遠慮がちにそうきいた。
「俺の体のこと…」
「正直ショックです…殺しても死なないような人識君が…実は一番脆かったなんて…」
誰も一番とは言ってねエよ。と突っ込むと、人識は握った両手を見つめて言う。
「俺だって人間だ…殺人鬼だなんだ言われても、最終的には死にたくないただの人間なんだ…」
正直、怖いよ。
「死ぬのが怖い、伊織ちゃんを一人残して死んじまうのが、問識をほったらかして死ぬのが怖い。」
「人識君…」
自嘲気味に笑うと人識は舞織の方を向いて言う。
「なあ…もし…もしもだぜ…こんな俺が…伊織ちゃんのこと、妹じゃなくて女性として好きだって言ったらどうする?」
その顔にいつもの感情を隠す笑みは無い。
真摯で、真剣な眼差しが舞織をとらえて放さない。
「もちろん…」
どれだけ見つめ合っていただろうか、やがて舞織が口を開く。
「受け入れます。」
「いいのか?」
大歓迎ですよ。と言って、舞織は笑った。
「あぁ?そういやサングラスがねえけど、あれどうした?」
「知りませんよ、でも、要らないんじゃないですか?」
「普通の奴は刺青見ただけでびびっちまうんだぞ?」
「だったら彫らなきゃいいでしょ?お洒落ガンバリストさん。」
「ンだとこのモテカワメイク!」
二人とも一歩も譲らず睨み合っていたが、やがてどちらからともなく
「ぷっ。」
「くすっ。」
小さく吹き出し、そしてすぐに
「かっはははははははは!」
「あっはははははははは!」
と笑い出した。
・・・・・
そしてこちらは二人に気を使って退室した零崎軋識、もとい、式岸軋騎である。
彼は一時間近く病院内をさまよっていた。
「クソッ…此所は何処だ…?俺は今…どこへ行こうとしてるんだ…?」
もはやキャラ作りのためにちゃをつけることも忘れている。
「いや、それ以前に俺は…」
誰に襲われているんだ!?
・・・・・
拭森貫知はそんな軋識を後ろから見つめていた。
「誰かは知らんが、零崎人識の病室を尋ねたと言うことは奴の仲間だと言うこと…と来れば、狐様のために、死んでもらうとしよう(↓)」
俺の脳内干渉スキルにより、貴様は全ての目的を失い、のたれ死ぬのさ。そう続けて貫知はひとりごちる。
俺の術中にはいった今、お前の命は風前の灯火よ!
・・・・・
しかしそこは戦闘経験豊富な零崎軋識である。彼は既に相手が拭森動物園の構成員であることを見抜いていた。
(さて、と…唯一の救いは拭森さんが近くにいることだな…)
例え見えなくされていても、廊下という限られた遮蔽空間なら、適当に大きめの何かをぶん投げて、一撃で沈めることもできる。
しかし軋識はそういったまわりくどい方法を一切とらずに…
「せぇーのぉ…」
どんっ!
ありったけの脚力でバックステップを踏んだ。
「なっ!…ぐはっ!?」
「トレースすんなら後ろからがセオリーだろ?まあ拭森動物園じゃそんなことしねエでもこっちの脳に干渉しちまえば見えなくすることができる。」
そんでもって。と貫知の頭を引っ掴んだままで続ける。
「そしてこの病院、それも感覚から察するに、かなり近くからじゃねえとかけ続けられねえような強度でかけてきてたからな。ずっと向こうにあるあっちの角より、こっちの角を狙うのは当然だろ?」
「ぐががッ…貴…貴様は…!?」
「
「なあっ!?有り得ない!こんな腕力、あり得るわけがない!」
零崎軋識。通称シームレスバイアス。自らと同じ名前を持つ愛用の装備…
そして鍛え上げられた腕力で、鍛え上げられていないほっそりとした体躯の拭森貫知をぶん投げた。
そして一気に跳躍。あっという間に追いついて、痛烈なボディブローを叩き込み、完全に窓から飛び出した貫知に、思いっきり打ち下ろすような拳を落とした。
「ま、病院内で人殺しなんてするわけにゃなんねえからなあ。」
窓の外なら死んでもいいか。物騒なことを呟いて軋識はきひひ。と笑った。
・・・・・
グチャグチャに潰れた死体。それを見て、さすがに少しだけ面食らったらしい白髪の青年はノースリーブのジャケットの襟を少しだけいじり、満足がいったらしくその手を離して舌打ちする。
「死か死、裏死ゃ会の人間一人殺せないとは…拭森貫知…案外と不甲斐ない…では、俺が直死きに行って殺死てきてやるとするか。」
そう呟いて死吹隠がくるりと踵を返し、戯言遣いのほうへ向かおうとする。
しかしその目の前には隠とは似てもにつかない、しかしどこか似通った雰囲気を持つ青年が立っていた。
「残念ながら、それはできないと死かいいようがないな。」
「貴様、死吹の!?」
いやいや。と首を振って青年は言う。
「僕は一応死吹ではありませんよ。零崎です。」
「零崎だと!?」
「零崎問死き。お見死りおきを。」
隠の傷だらけの顔を冷や汗が伝う。
死吹製作所のスキル。それは身体支配。鏡写しに相手の体を支配して、ダメージのフィードバックで相手を殺す技術。
しかし、さきほどからそれを使用し続けているというのに、
「ちなみに旧姓は石凪です。ええ、石凪診療所です。で、あなたが一番気に死ていることについてですが…死吹でもあります。」
まあ、今の死ょ属は零崎ですけどね。そういうと問識は軽く肩をすくめる。
「死か死、やはりというべきで死ょうか。僕の術にはかかりませんねえ…とすれば、我慢比べです。」
「我慢比べ?」
「ええ。僕はあなたの懐に入るために術を破らなくてはいけない。しかしあなたは僕を懐に入れないために術をかけ続けなければならない。そしてその術を回避するために僕はあなたに術をかけようとする…」
二人の感覚にはガラスの割れるような音が延々と響いている。
本当に鳴っているわけではない。あくまでもこれは二人の感覚に響く音のようなもの。お互いにかけた鎖が砕ける音だ。
二人の静かな戦いは始まったばかりである。
というワケで、人識君はしばらく動くことができません。果たしてリボーンサイドのキャラクターは今のうちに活躍回数を増やすことができるのか…うむむ…
頑張ります。