ザレゴトフィアンマ ~戯言遣いとボンゴレマフィア~   作:昆布さん

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出したいなあ出したいなあと思っておりました。
ついに登場哀川さん!曲識との絡みもどうにか書きたかったので遺産のCDという形で。


標的10 人類最強(人類最恐)

くっはははっ。おもしれえなおまえ!

 

・・・・・

 

旋律との戦いで体にガタが来たので絶対安静で入院させられている人識は、目を閉じて音楽に陶酔していた。

「人識君、これ、なんて曲ですか?」

「零崎曲識作曲NO.74、『土管』だ。」

舞織の質問に、目を閉じたまま応える人識。

「あー、義手の時に仲介してくれた零崎さんですか。」

「そーだよ。ちなみに、この曲は癒しソングとしてときどき聴いてる。」

ちなみにこの癒しという言葉、ガチである。曲識曰く鎮静効果のある曲だそうだ。

罪口商会の罪口積雪に舞織の義手の代償として人形ブラックジャックでボコボコにされたときは生演奏にお世話になった。

まあ、それはそれだ。

「ひ、人識くーん…」

「な、なんだよ、伊織ちゃん…」

ドアの外からなんとなーく赤い気配が…と、病室の外を指さす舞織。

「ま…まさか…ないないない!絶対にない!あるわけない!こんな時に限って死色が出てくるわけがな…」

ばんっ!

「おーっすお洒落ガンバリストー!暇つぶしに見舞いに来てやったぞー!」

ごんっ!

「痛いです人識君…」

「すまん、不可抗力だ…」

言わんでも良さそうだが、敢えて解説させてもらうと…

突然死色が部屋に入ってくる→人識と舞織がずっこける→お互いにヘッドバットを喰らわせる。

で、死色の真紅こと人類最強の請負人、哀川潤、遅ればせながら登場である。後ろにはいーちゃんと玖渚の姿もある。

 

・・・・・

 

と、いうわけで、ぼくが連れてきた哀川さんのせいでちょっとした騒ぎになった病室である。

「哀川さん、病院なんですから少し位遠慮して下さい。」

「あたしを苗字で呼ぶな。苗字で呼ぶのは敵だけだ…って、いーたんおめー何回このやりとりくりかえしゃ気が済むんだよ?」

遭遇回数とイコールですね。と、しれっと言ったら鉄拳が降ってきた。

「で?仕事の状況は?」

手こずってたら手伝ってやろーか?などとほざきやがる哀川さんにぼくは平然と

「順調ですよ。とりあえず護衛対象にも狐さんのことは伝えましたし、ちぃくんに調べてもらったところに曰くもうあっちに残ってるのは裏社界の人間と、木の実さんくらいのものですから。」

と、これ見よがしに肩まですくめてやった。

「で?お洒落ガンバリスト。」

「なんだよ?」

「この曲、曲識のやつだろ?」

「ああ、にーちゃんが世界に3組だけ残したアルバムだよ。」

零崎が言うには6年前に死んだ一賊の一人が自分の演奏を記録したものらしい。

1組は親戚で、彼の知るところの唯一生きているとおぼしき零崎に、もう1組はかなり親しい間柄であった罪口積雪に、最後の1組は…

「これもらってくるときにいっしょに置いてあったメモに書いてあったぜ。最後の1組は真紅。アンタに渡せってな。」

そうか。とだけ言って哀川さんがその1組を受け取った。

「アンタのにはボーナストラックが入ってるって書いてあったけど、なんなんだろうな?」

「予想はつくぜ。」

いかん。このままではぼくらがほったらかしになってしまう。それは避けたいし、一応心配ではあったので

「で、あとどれくらい入院することになるんだ?」

と聞いてみた。はたして零崎は

「先生は1週間ぐれえっつってたな。」

どうやら順調に回復しているらしい。

ところで。と哀川さんが病室にいる全員を見回し、口を開きかけた。

「あたしが持ってきた情報…オイ、そこの。さっさと入ってこい。」

こねーんならこっちから蹴りに行こうかなー?なんてのたまいながらドアの方へ歩いて行く。

体を癒す場所におけるこの所行…アンチ癒し系だ。リバース和み系だ。初対面から全く成長してねえよこの人。

で、ドアのところで話を伺っていた浅黒い肌の男とその隣で同じように息をひそめていた線の細い青年が入室してくる。浅黒い肌の男はたしか<チーム>の式岸軋騎さん…だったかな…もう一人を見た零崎は舞織ちゃんを少しだけ見やり、問識まで呼んでくれやがってと呟いた。どうやら彼は問識と言うらしい。

「で、一応役者は揃ったわけだから言わしてもらうぜ。あたしが持ってきた情報だが、イタリアのカタファルコ島でつい最近、爆発事件が起きた。なんでも、島の中心部にある領主の館の地下で何かがあったらしくてな、まるで凍り漬けの何かが自分で氷をぶち破ったような痕跡があったそうだぜ。」

 

・・・・・

 

「で、気分はどうだ?人類最恐。」

「悪くないな。」

ウェーブのかかった髪の筋肉質な男は狐面の男にそう返すと、近くに置いてあった花瓶をいとも容易く、指だけで粉微塵にしてみせる。

「寧ろすこぶる良い。」

「『寧ろすこぶる良い』ふん。まあ、ご健勝で何よりと言ったところだな。それより例の件…本当に受けてくれるんだろうな?」

「無論だ。世界の終わりは我とて見たい。」

「期待してるぜ、パーヴェントさんよ。」

狐面の奥で、彼の瞳が細くなった。

 

・・・・・

 

『このメッセージをあなたが聞いていると言うことは、僕は既にこの世に亡いということだろう。人識はちゃんとあなたにこのアルバムを渡してくれただろうか?私には確認のしようがないことだが、このメッセージを聞く者が哀川潤であることは既に僕の中では予想されていた…』

かっこつけてんじゃねえよ。そういって潤は椅子に座り、グラスを傾けながらメッセージを聞く。

『もしかしたら死ぬ目際に会っているかも知れないし、そうでなくても録音後に会っているかも知れないが、敢えて今あなたにこの言葉を贈ろう。』

暫くの沈黙…備え付けのスピーカーの向こうで曲識が決意するように息を吸い込むのを感じた。

『僕はあなたが好きだ。きっとそれはどんなになっても変わらない気持ちだろう。どうか、受け取って欲しい。けして忘れないでくれとは言わないが、せめて記憶の片隅にでも、僕のことをとどめておいて欲しい。』

「曲識のやつ、縁起の悪いこと考えてやがったな…それに、忘れるわけねえだろうが。」

『だからこそ、僕はあなたに、一人の音楽家、零崎曲識としてこの曲を捧げる。作曲、零崎曲識…』

『「作品NO,欠番(ゼロ)、ままごと」』

メッセージの結びに込められたその曲の想い。それをしっかりと受け止めるように潤は被せて言った。

「心配すんな。あたしもお前のことは好きだからな。ひょっとしたらいーたんよりも…な。」

繊細な旋律が流れ出す。彼女は全身でそれを味わうように目を閉じた。

 

・・・・・

 

同時刻、某都某所にある国際空港に一人の青年が降り立った。

髪は銀に近い水色。二十歳位だろうか。鷹のように鋭い光を碧眼に宿している。

と、迎えに来ていた綱吉が青年に駆け寄った。

「ジェラーロさん!」

ジェラーロと呼ばれた青年はそちらの方を向くと

「ボンゴレ。元気そうで何よりだな。」

そういって右手を振り返す。しかし、防寒性の高そうなファーのついた白いコートの左袖は微動だにしない。碧眼にしても、綱吉のことを見ているのは右目だけで、端正な顔を大きく横切る傷が左目の上を走っている。

「その傷…」

「まさかパーヴェントが自力で氷を脱するとは思わなかった…まあ、一人で全開のパーヴェントとやり合ってこの程度で済んだんだ。充分に幸運だったよ。」

他の部分に異常がある様子ではないが、どうやら左腕と左目を失ってしまったようである。敢えてその時の様子を想像してみるに、上半身の左側に攻撃を受け、命こそ助かったものの障害を残す体になってしまったようだ。

「でもなんでパーヴェントが…」

「さあな。アレは俺やお前の先祖が封じ込めていたはず…未来での一件もあったが、アレはあくまでも意図的に復活させたもの…いやまて、たしかあのとき…」

ジェラーロが急に黙り込んだので、少々の驚きを浮かべた顔で綱吉は彼の顔を覗き込む。

「そうだ…いたんだ…あのとき、あの場所に、俺と、パーヴェント以外にも、バルテスカの生え抜きを何人か従えた狐面の男が…」

綱吉の頭をよぎるのは先日会談を行ったばかりの戯言遣いの顔。たしか彼はこういってなかったか?

”狐面の男、人類最悪の遊び人、世界の終わりを見たがった、見たがっている人、、西東天”

「もう一度、会ってみたい。いや、なんだかよく分からないけど会わなきゃならない気がする…」

かくしてボンゴレ雪の守護者、バルテスカファミリーのボス、ジェラーロが戦場へと舞い降りた。

策師の萩原子荻であればきっと盤上は全く違うものに変わるとでも言うのだろうが。あるいはその程度の不確定要素は考える価値もないとでも言うのだろうか。

 

・・・・・

 

「ふうん。しかしホントに役者は揃った!みたいなカンジになってんなー。」

と、再びボンゴレサイドとぼく達の会談の席が設けられ、その席で開口一番にかの人類最強、哀川潤が言った台詞がこれである。緊張感のかけらもない。

「潤さん、少し黙ってて下さい。」

ぼくは一本だけ釘を刺して綱吉君を見る。

「で、今回の目的はなんだい?」

情報交換です。と綱吉君は言ってぼくの目を真っ向から見据える。正直そんなことができる人間をぼくはそれほど見たことがない。というか佐々沙咲さんには墨汁をどろどろに煮詰めてぶちまけたようなドス黒い目とか言われたし。というか今でも多少はマシになったが斑鳩数一さんからの評価はあまり変わっていない。本当にどうしようといったカンジだ。

「君は…目をそらさないんだね。」

「はい?」

戯言だよ、気にしないでくれ。と、左手をヒラヒラさせながらぼくは応える。

ちなみに遅ればせながらメンバーを紹介させてもらうと、ボンゴレサイドが綱吉君、獄寺君、山本君、リボーン、ジェラーロという男の人の5人。ぼく達はぼく、哀川さん、式岸さんの3人だ。

「こちらにはパーヴェントについての情報があり、そちらには西東天の情報がある。取引としてはそれほど悪いものではないと思いますが…」

「等価交換というやつだ。」

綱吉君の台詞に被せるようにしてジェラーロ(ぼくのほうが5つ上なので敬称はなし)が言う。

と言うかイタリア人、どこの錬金術漫画だよ。

「そういわれちゃ俺としてはこう返さざるをえんだろうが?等価交換なんか必要なし。蹴って殴って吐かせるだけだ…ニュアンス的にはこんなカンジだ。」

軽く肩をすくめながら言う式岸さん。と言うかぶっちゃけアンタそういうキャラだったのかよとか思わざるをえない。全然クレバーに見えねえよ。

「いいこと言うねえグリード君。」

アンタものってんじゃねえよ。

かくしてグダグダの内に会談の幕は上がり、階段が現れる。唐突に…会談場所である沢田家の庭に入ってくる足音の主…

「よう、邪魔するぜ。元気そうだな俺の敵」

人類最悪、自らの手によって。




設定については次の次に投稿させて頂きますので、しばしお待ち下さい。
しかし本当によくここまで描いたものだよなあ…これ最初100%勢いだったんだよな…
それでは完結目指して頑張らせて頂きますので気長にお待ち下さい。
ちゃおちゃおー。
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