ザレゴトフィアンマ ~戯言遣いとボンゴレマフィア~ 作:昆布さん
罪口と斬刀は組み合わせればとんでもないことになりそうだったんでちょっとデチューン。
並行世界原産の混成型変体刀…ってトコかな?
・・・・・
白いにーちゃん。積木は自分の工房にやってきた白髪の青年を肩越しに見やっていった。
「俺は金は欲しないが、技術を代償にモノを作る。このしちめんどくさそうなグローブと引き替えになるような技術があるってんなら、ぜひとも聞かせてもらいてえもんだな、え?白いにーちゃんよ」
ほんの数ヶ月前のことである。青年は積木にへらへらとした笑いを浮かべたままでこういった。パラレルワールドの技術じゃダメ?と。
・・・・・
「君が積木?嘘つくなよ。罪口積木はぼくの前で零崎に殺して解して並べて揃えて晒されたんだ。そんなこと、あるわけがないだろう?」
「アンタに嘘吐き呼ばわりはされたくねエな。アンタのスタンスは立てば嘘吐き座れば詐欺師、歩く姿は詭道主義じゃなかったっけか?」
好きで嘘ついてんじゃないよ。と返すと積木もどきは悠々と説明する。
「そんなこたどーでもいいんだ。いいぜ、教えてやるよ。この体はたしかにバルテスカの人間のモノだ。だがよ、そこはそれあの白いにーちゃンの持ってきたパラレルワールドの技術のおかげってやつかねえ?こんなすげえ刀が打ち上がったんだからなあ。」
訝しむ潤さん。綱吉君が積木もどきに対して質問する。
「そいつって白蘭?」
「さあなあ。俺って顧客の個人情報とかいらねえって突っ返すタイプだから。これもどうでもいい話だがな。で、肝心の刀だよ。いやあ面白い面白い。ラノベの世界にしか存在しないような刀が確かに打ち上がったんだからな。」
その世界における―と、等々と解説を続ける積木もどき。
「異端にして究極、孤高にして伝説の刀工、四季崎紀記がつくりし12本の完成系変体刀、それらを複合、昇華させて生み出した罪口積木謹製、混成型変体刀…今のところ成功作は一振りだけだが、な。」
ギラリと光る刃。ぼくにはそれ自体が意識を持っているように見えた。二人もいっしょだろう。息を呑んでその刃を見ている。
「切れ味に重点を置いて作られた絶てぬモノ無き刀…斬刀「鈍」と所有者を刀工の意思、すなわち刀の毒性によって支配する毒刀「鍍」…唯一にして絶対、至高のハイブリッド…腰に帯びた者全て…といっても今のところ三振りしか存在しないんだが…な刀…より特徴の強い方をメインに持ってきて、さしずめ毒刀「鈍」ってトコかな?」
「つまりあなたはその体を…乗っ取ったんですか!?」
信じがたい。といった表情を浮かべて叫ぶ綱吉君。と、積木、否、毒刀の姿が動いた。
「零閃!」
・・・・・
「きひっ。」
何が可笑しい。と軋識と相対する毒刀は言った。
「何が可笑しいって…つまり、テメエはなんでも切れるって言うんだよな?」
「ああ。それがどうした?なんなら試してみるかい?」
「そりゃ良い。」
軋識は言いながら愚神礼賛を構える。大上段に振りかぶり、いつでも振り下ろせるといったふうだ。対する毒刀は零閃の構え。
「零閃編隊…五機!」
しゃりんしゃりんしゃりんしゃりんガキンッ!
一瞬のうちに五度抜刀された「鈍」。そして振り下ろされた愚神礼賛は…
「なあ!?」
「強度に特化した刀のことを積雪さんに言ったのは失敗だったな。お前にとって俺は最悪の相手だっちゃ。」
なにせ愚神礼賛は。といって軋識は麦わら帽子を少しだけ上げて被り直す。
「折れず曲がらずよく壊す。」
愕然とする毒刀。
「まさか積雪の兄貴が…!」
「そういうこった!」
相手のお株を奪うように軋識は愚神礼賛を居合いに構える。毒刀も慌てたように構えた。
「ぜ、零閃編隊十機!」
しゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんバキンッ!
真っ向からぶつかり合う武器。「鈍」が叩き折られ、男の体も真っ二つにされる。
「なーんとも味気ない戦闘だったっちゃねー。」
・・・・・
「出し惜しみは無しで行くぜ。」
雲雀の前。毒刀は懐から輸血パックを取り出すと零閃でそれを一刀両断した。
「鞘内に血を溜め、じっとりと湿らせることによって鞘と刃の摩擦係数を極限まで下げる…こうすることにより、抜けば抜くほど速くなった零閃は光すらも超える…毒刀「鈍」、ひいては斬刀「鈍」限定奥義、斬刀狩りだ。俺は呪い名の中じゃあ結構な腕の持ち主でね。」
まあこの体じゃないが。とわずかに肩をすくめながら毒刀は一歩踏み込む。
「寧ろこいつはもっと良い…零閃!」
「五月蠅いよ、君。」
バキン!
「バカな!?見えない零閃を叩き折っただとォ!?」
中途で折れた鈍を見て毒刀が明らかに動揺する。
「ぼくは生物としてのスペックが違うんだよ。さて、それじゃあ遠慮無く…」
咬み殺そうか。
ドギャ!バギ!ズドッ!ゴッ!ドゴォォン!
「ぎゃああああ!」
粉々になった金属片と毒刀に乗っ取られていた、今は元の顔立ちが伺えぬほどボロボロにされた男を一瞥するとあくびを一つ。
「…つまらないな。」
・・・・・
「へえ…受けるでなく、下がるでなく、仰け反って躱すか。さすがは超直感。先読みにかけちゃ右に出る者無し…ねえ?」
咄嗟に大きく体を反らし、前髪をほんの少しかすめるだけにとどめて零閃を躱した綱吉君の表情は明らかにびびってるといった様子だ。
「どうだった?」
ときくと
「あれ、空気を裂く音もしませんでした…」
かなりびびっている。まずいな…
「ねえ、毒刀君。」
「罪口積木だよ。ダチでもねーのに人を渾名で呼ぶんじゃねえよ。」
「良いじゃないか、どうせ君の本体はその毒刀なんだから。」
それもそうか。というと毒刀は肩をすくめる。
「で、なんだ?」
「君の体って武器による攻撃は効くのかい?」
「さあなあ、よく分からんが、たぶん効くんじゃねえかな?こいつは罪口じゃないから得物にゃ愛されてねえハズだぜ。」
そうか。それをきいて安心したよ。
「なら投げっぱなしにしても大丈夫だね、潤さん、綱吉君、行こう!」
二人に声をかけ、ついでに牽制で一発次元大介さながらに後ろのベルトループに刺していたジェリコを引き抜いて二三度引き金を引く。
「うおわっ!あぶねえなあ。当たったらどうするつもりだよ…ありゃ?」
ブツクサ言う声が曲がり角の向こう、今さっき抜けてきたところから聞こえる。
「おもしろくねーなー…なんでド派手にやらなかったんだよ?」
ジェリコ使っただけでもぼくにしてみれば充分派手ですよ。
「でも良いんですか?あいつ放って置いて?」
「ああ、大丈夫大丈夫。あの程度ならあいつの足元にも及ばないだろうね。オリジナルの積木相手にあれだけ苦戦したのはあの武器が通用しないことが理由だったんだから。」
減ってる出番をプレゼントしてやったんだ。感謝しろよ
・・・・・
「ちっ。見失っちまったか。あそこは王道的にガチバトルで斬り捨てられてバッドエンドルートに進むところだろうが…」
などとひとしきりぼやく毒刀。
「いや、別々の場所でそれぞれのバトルが行われるのも王道的展開だと思うぜ?」
「ああ、それもそうだな。一人の圧倒的強者相手に複数でかかって返り討ち…ってのも王道だ。」
「それを言えばそこからはドラゴンボールみたいにこっちのパワーが倍増するんじゃねえの?」
「あるいは中ボスらしくサクッとやられちゃうってのもありですよねー」
「はあ…病み上がりが無理するモンでもないだろうに」
「いやいや、わっかんねえぜ?案外病み上がりと病人と怪我人は強いと相場が決まってるぜ?トキしかりグラントしかりブ男しかり」
「ロックオンしかり…てか?」
「分かってるじゃねエか。」
苦笑した毒刀は振り返り様に零閃を放った。
「で?その零崎君がここへ何しに?」
決まってんだろ?といって人識は赤い舌を覗かせ、決め台詞を叩き付けた。
「殺して解して並べて揃えて晒しに来たのさ」
言うや鉈型をした大振りなナイフを横薙ぎに振るう。
「不意打ちとはまたひきょ…」
「伊織ちゃん!」
「はいはい!」
小さなステップでナイフを躱した毒刀は慌てて上体を捻り、舞織の自殺志願を避ける。
「はなっから2対1なんだぜ?」
「そりゃそうだ。油断したこっちが悪かったってこったな。とはいえ、こっちに必要なのはたった一振りだ。すぐにケリつけてやるよ…零閃編隊三機!」
鍔鳴り音が三度。咄嗟に二人は身を引いたので切られずにすんだが続けて更に
「五!六!」
とどんどんどんどん隊の規模を増やしていく。
「やーれやれだぜ」
「あれ?人識君、ナイフどうしました?」
そっちこそ。と人識は舞織の手元を指さして言う。
「自殺志願はどうしたよ」
「あー、それはですねー」
「まあ答えてやるとだな」
「「捨てた。」」
「七!八!九!じ…ッ!ぐああ!」
毒刀の両肩から鮮血が散った。そこに刺さっているのは人識のナイフと舞織の自殺志願だ。
「そんじゃとどめは俺が貰うぜ。」
おらっ。と軽い調子でそういい、人識は腕を一振りする。
袖口から飛び出してきた一振りのナイフを掴むとそれをそのままの流れで振るい、毒刀の頸動脈をあっさりと切り開いた。
書いていて思ったこと。お前がラノベとか言うな。まあそれはそれとして、滅茶苦茶考えたな俺…バカすぎたんだ。多分。でなきゃ気の迷い。組み合わせるんじゃなくて積木の置き土産みたいにすればよかったかも。