ザレゴトフィアンマ ~戯言遣いとボンゴレマフィア~ 作:昆布さん
骸さんが頑張ってくれました。
僕の一部を真似られるとは・・・存外いらつかせてくれる。
・・・・
遡ること数分前。
六道骸は特に何を見るでもなく、偶然に身を任せて並盛商店街をぶらついていた。
「ほう…これはこれは。わざわざ僕にこんな殺気をぶつけてくるとは、一体何者ですか?」
突然感じた殺気に振り向くと、骸の目の前にいたのは彼とそっくりの髪型をした並盛高校の制服に身を包んだ…もっとも骸の服装も並盛高校のそれなのだが…眼帯の少女。
「なっ…!?クローム…!?」
驚いてそういう骸に首を振ってそいつは言う。
「否、我が名は当時。時宮当時…呪い名、時宮病院の…操想術師…」
操想術?と眉をひそめる骸に少しだけ頷いてクロームの姿をした当時は答える。
「あなたにとってもっとも攻撃しづらい、そして大切な相手の姿を見せ、大切な人に攻撃される恐怖を味わって死んでもらうための技術です。」
「幻術とは違うというのですか?」
コクリ。と頷く当時。
「私はあなたが誰の姿を見ているのか分からない。あくまでもあなたが見ているのはあなたの心が作ったもの…」
「ほう、それは厄介…だっ!」
不意を突くような鋭い蹴りが当時を襲うが、どこか普段に比べて精彩を欠いている感がぬぐえない。それは恐らく操想術について、クロームの口調で当時自身が語ったせいだろう。自分でも気付いていない気持ちをあぶり出す。これほどいやらしい相手など他には存在しないだろう。
シュンッ!と当時の貫手が走り、骸が仰け反って躱すと、上半身の動きについてこられなかった制服のネクタイがその手に貫かれた。
「これは…厄介ですね…」
滅多に動じない彼の頬を冷や汗が伝っていく…
・・・・・
その日、クローム髑髏は商店街で夕食の材料を買おうと思い、アーケード街を歩いていた。
と、彼女の目の前を命の恩人であり、誰よりも敬愛する主でもあるところの六道骸が横っ飛びに吹っ飛んでいった。
「!?骸様!?」
きっ。と骸を殴り飛ばしたとおぼしき男に視線を向けると、クロームの顔が驚愕に染まった。
「おやおや。随分とかわいらしい援軍ですね。」
何故ならその男は六道骸そっくりだったからだ。
「どういう事!?骸様が二人…」
と、殴り飛ばされた方の骸が半身を起こして呻きながらいう。
「クローム…どうやら君にはあれが僕に見えるようですね…」
「どういう事ですか?」
「操想術師時宮当時…彼か彼女かは判然としませんが、あれは見る者にとってもっとも攻撃しにくいものの姿をとるのです。僕には時宮が…君に見える。」
そういいながらも再び立ち上がると骸は思い切り息を吸い込み、次の瞬間には一足飛びに当時に向かって飛び込む。
「やれやれ。随分と単純な戦法だ。」
がごっ!と当時のハイキックが骸の顎をとらえる。が、更に骸はその足を捕まえる。
「何ッ!?どういう事だ!?何故攻撃することができる!?」
「本物が来た以上、ニセモノは邪魔なゴミに格下げを喰らったのですよ。邪魔なゴミが相手ならば、躊躇う理由は何もない。」
等と言いつつ、骸は関節技で散々ダメージを与えた上で拘束を解く。
「とはいえ、僕自身の手でクロームを攻撃しているように思えてならなかったのもまた事実ではある。さて、どうしたものか…」
うそぶきながら骸は黒い手袋を鞄から取り出し、その手にはめた。
「そうですね…ここはこういってしまいましょうか。よくもこの僕に彼女の姿を破壊させたな…とね。」
そういって掌を当時にかざす。
「僕らを襲うにはいささか力不足だったようですね時宮当時。その後悔を抱いたまま…」
そして現れる無数の鴉。時宮当時が操想術師ならば、六道骸は幻術遣い、骸は自らの幻覚の最大奥義を発動させる。
「限りなく現な幻、幻想より生まれしわが想像の怪物…
現れる黒い烏たち。それは当時の体に群がり、肉を食いちぎってゆく。
「やめろ!待て!何をするつもりだ!この上まだ何かあるというのか!?」
「墜ちろ…」
骸が静かに背を向け、サムズアップした右腕を一気に回転させる。
サムズアップは地獄へ堕ちろのジェスチャーに早変わりし、そして骸も仕上げの一撃は忘れない。
「そして巡れ」
烏たちが爆発し、当時の体を巻き込んでこの世界から消え失せた。
・・・・・
で、ぼくらは積木から受けた傷(刀による致命傷は受けていないがトンファが結構強烈にヒットしやがった)の治療ついでに並盛総合病院へ向かう。
しかしここにいるのは僕と付き添いの玖渚だけだ。零崎曰く
『汀目俊希の保険証なんて使えねえだろ?』
だそうだ。まあ、アイツも表家業の人間ではないのだから、それぐらいの反応はして当然のことかも知れない。まだ一応何でも屋ということで、かなりギリギリ表の世界に住んでいるぼくとはそういったところで根本的に違うのだから。
と、いうわけで、しばらく玖渚と並んで待合の長いすに座り、どうでもいい雑誌をパラパラとめくっていると青みがかった髪をてっぺんの辺りで結び、まるでパイナップルのような髪型にまとめた高校生がやってきて、ぼくの隣に腰を下ろした。高校生というのは、ブレザーを着ていたからで、最近は中学校でもブレザーというところもあるにはあるのだろうけど、彼は中学生というほど子どもっぽくはなく、と言って高校生というにはあまりに大人びていた。なるほど。高校3年生、受験生か。
「その腕…」
「うん?」
彼がぼくの前腕部についた傷(これはダイナマイトの爆発で飛んできた破片を受けたもの)を見ていう。
「どうかしたのですか?」
「ああ、ちょっとね。転んで先に落ちていたガラスの破片が刺さっちゃって。破片は全部洗い流したんだけど傷のほうはどうにも…」
それは痛そうだ。と言って彼は傷だらけの顔で苦笑する。
「そういう君は?まるで苦手な人と喧嘩したみたいな顔じゃないか。」
「ええまあ。苦手、と言うか攻撃しづらい相手とそっくりな人物と少しばかりもめてしまいまして。たしか名前は…時宮…と言いましたか。」
「え…?今、君は時宮っていったのかい?呪い名序列第1位の時宮?」
怪訝そうな顔で彼は何か知っているのですか?と聞いてくる。なのでぼくは少しの真実と多分な嘘を織り交ぜて答える。
「ああ、何でも屋みたいな仕事をしているんだ。その縁で知ったんだけど、裏の世界には殺し名と呪い名というものがあるらしい。その中でも特に最強といわれるのが殺し名序列第1位の匂宮雑技団で、もっともタチが悪いといわれるのが呪い名序列第1位の時宮だ。例えるなら、匂宮は抵抗が無意味なクリームで、時宮はホワイトスネイクってところかな。」
****さーん。と呼ぶ声が聞こえたのでぼくは最後に彼の名前を聞く。
「僕の名前は知ったら死ぬらしいから渾名だけ教えておくけど、君の名前を聞かせてくれないかな?」
「六道骸…ですよ。で、渾名というのは?」
「戯言遣いとか、いーちゃん、いの字、いーいー、いっきー、いー兄、いーたんに師匠、あと欠陥製品かな。それじゃあ。」
「ええ、ではまた縁があれば。」
ボンゴレ霧の守護者に知らず知らずのうちに接触してしまい、内心ではかなり驚いていたのだが、うまく隠し通せたようで、ほっとしながらぼくは診察室に向かう。
「いーちゃん、驚いてるでしょ?」
ああ。
「そろそろ、ボンゴレ側と接点を持たなきゃいけなくなるのかな…」
時刻のような恐ろしいもので無し。
時雨のように超えられると思えば貫けるものでなければ時計のように真紅を知っている者に簡単に打ち破れるでもなし。
ともすれば最も精神力を浪費する力だと思うが、黒曜の団結力はすごいのでこの程度じゃどーにもならんでしょうなあ・・・
というか呪い名1位がゴミのように・・・骸さんスゲエ・・・
それではちゃおちゃおー。