異端契約者のハイスクールD×D   作:コーティカルテ

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平和な日常

かれこれ一年通った道を歩きながら今日も学校へ向かっている誓哉。

 

彼が向かう先は「私立駒王学園」。

 

元々女子高だったのだが、数年前から共学に変わった学園である。

 

共学になって日も浅いせいか、女子と男子の割合が7:3という若干アンバランスな内訳だが、それ以外は特に変わったことのない普通の学園である。

 

それは元々異世界にいく前から入学が決まっていた学園である。

 

あれからどうなったのかということをかいつまんで説明するならば、特に何もなかった。

 

異世界から帰還したとき、彼の肉体は異世界に行く前の状態つまり15歳の状態に戻っていた。

 

向こうに行ってからかなり無茶して鍛えただけに若干ショックだったが、いきなり三年以上成長した姿になっていても説明できないので結果としてはよかったのかもしれない。

 

だが驚くべきことにこの一年の間に誓哉の肉体は異世界にいたころ、門をくぐる前の状態に戻っていったのだ。

 

異世界にいたころの経験値(?)みたいなものがフィードバックしたのか、はたまた全く異なる要因なのか原因はわからないが、誓哉は鍛え抜かれた戦士の肉体を取り戻していた。

 

一年で以前以上に成長した肉体に自分も周りの連中も驚いていたが、元々奇人変人が多く在籍する学園だけに一年次終了の時には、『こんなに鍛えて世紀末覇者にでもなるつもりかよ!』とちょっとしたネタ扱いされていた。

 

そんな愉快なクラスメイトの顔を思い浮かべながらクラスの扉を開く

 

誓哉が自分のクラスに入ると、始業前ということもありクラスメイト達が各々自由に過ごしていた。

 

その中に三人で固まっている男子生徒たちの姿を見つけ近づいていく。

 

すると向こうも気が付いたのか声をかけてきた。

 

「お〜い、誓哉ー」

 

やや色素の薄い茶髪の男子生徒、兵藤一誠。

 

おっぱいに並々ならぬ情熱を燃やす思春期真っ盛りの性少年だ。

 

「遅いじゃねぇかよ」

 

「待ちくたびれたぜ」

 

前者が坊主頭の男子生徒、松田。中学時代はその類い稀な運動神経から将来を嘱望されていたが、高校入学と同時に写真部に入部、エロい写真をとるために全運動神経を費やすという無駄遣いをしている思春期真っ盛り以下略。

 

後者はメガネ男子、元浜。

 

メガネをかけている以外これといった特徴はない。だがあなどるなかれ、そのメガネには女性のスリーサイズを正確に見抜く力が備わっているという以下略。

 

「朝から集まってなに話してんだ?」

 

と近くの机に腰掛けながら問いかける。

 

(まぁ、こいつらの話題といったら・・・)

 

半分以上話の内容にあたりをつけながら、答えを待っていると興奮した様子でイッセーが話始めた。

 

「それがさ聞いてくれよ誓哉。松田のやつがお宝を見つけらしいんだけどさ、全員揃うまで駄目だっていって見せてくんないんだ」

 

すると、松田が待っていたとばかり机に何かを叩きつけながら高らかに宣言する。

 

「当たり前だっ! 楽しみは一人ではなく、全員で分かち合うことでさらに楽しくなるのだ」

 

机の上に置かれたのは、DVDだった。本来学校に持ってくるものではないがそこまで非難されるものではない。

 

だがそれは、やけに肌色成分多目の品だった。分かりやすく言うとAVである。

 

誓哉はそれを手に取りながら、感想を口にした。

 

「おっ、可愛いじゃん♪」

 

誓哉の一言を皮切りに3人が、ヒートアップしていく。

 

「だろ!、そうだろ!」

 

「うおおおっ!おっぱいでけー!」

 

「88、90、92、バカな!まだ上がるだと・・・!」

 

「元浜、それはおっぱいか?おっぱいなのかっー!!!」

 

盛り上がるのは構わないと思うんだが、狭い教室さらに女子の割合が圧倒的に多いこの学園でする会話ではなかった。

 

「うわっ、キモッ」

 

「嫌ーッ!妊娠するーッ!」

 

「死ね変態三人組ッ!」etc、etc

 

あらんかぎりの罵詈雑言が三人に浴びせられていく。

 

そう、三人に。

 

「黙れ、女子! キサマらにはモテない男の空しさなぞわかるまい。我々にはオアシスが必要なのだ」

 

「そうだ! 女子の割合が圧倒的に高いこの学園に来れば、俺でもモテるのではないかと夢見ながら入学し、どこに行ってもモテるのはイケメンだけだと打ちのめされた俺たちの気持ちがっ!」

 

「て言うか、なぜ三人だよ!?明らかに最初に感想言ったの誓哉だろ!」

 

朝の教室に三人の慟哭が響きわたった。

 

それに対する反応はというと

 

「うわっ、泣き出したよ・・・」

 

「なんでって、ねぇ?」

 

「うん」

 

『分かりきったことを言わせんなよ』、という雰囲気が三人教室に満ちたその時、

 

「「「うああああああーーーっ!!」」」

 

先ほどを越える叫びを上げて三人がラリアットで誓哉の首を狩りにきた。

 

俺はこいつらのエロいところもこうしたバカなところも嫌いじゃないが、わざわざくらってやるほどお人好しじゃない。

 

三人のスピードが最大になり、コースの変更がきかなくなるタイミングを狙って頭を下げる。

 

ゴッ!!!

 

三人のラリアットは本来の目標を失い、そのままのスピードで互いの首を刈り取った。

 

「「「グブゥッ!」」」

 

聞いたこともないような奇声を上げて椅子から落ちる三人。

 

床にうつ伏せで転がりながら誓哉を見上げ、手を伸ばしながらまるで呪詛でも唱えるかのように呟いた。

 

「な、何で・・・」

 

「お前ばっかり・・・」

 

「誓哉・・・」

 

パタッ

 

力尽きたかのように手が落ちる。

 

「そりゃあ、お前―――」

 

護が無慈悲にも止めを刺そうとしたその時、止めは別の方向から訪れることになる。

 

「そりゃあ、あんたらイメージの問題でしょ」

 

楽しそうな気配を滲ませた声が背後から聞こえてくる

 

その声に反応して後ろを振り向くと、メガネをかけた女子がにやり(ニコッではない)とした笑みを浮かべて立っていた。

 

「おはよう、龍堂君」

 

「おう桐生、おはよう」

 

桐生藍華―――クラスの女子の間で『匠』と呼ばれる、下ネタを平気で口にする女子生徒だ。

 

俺たちが挨拶を交わしている間に回復したのか、三人が起き上がり先の言葉の意味を問うてきた。

 

「イメージって、どういうことだよ?」

 

「言葉通りの意味よ。あんたら自分たちがどういう風に見られているか知ってる?」

 

「・・・どう見られてるんだ?」

 

半ば本人たちも自覚しているようだが、一縷の望みを持って一誠がたずねた。

 

「エロいことしかしない変態三人組、近付いたら妊娠する、覗き常習者、大体こんなとこかしらね」

 

「く、妊娠以外は合ってやがる。」

 

「童貞なのに、妊娠て…」

 

「くそ〜、合ってるだけに言い返せん」

 

三者三様の落ち込みを見せるが、ふと何かに気がついたようで勢いよく顔上げる。

 

「「「ちょっと待て、三人組?」」」

 

「ええ、そうよ。兵藤、松田、元浜の三人」

 

その言葉に松田がキレた。

 

「何でだよ! 俺らがバカやるとき結構な割合で誓哉も一緒にいるぞ!」

 

「た、確かに・・・」

 

「納得できん」

 

松田の言に同意を示すふたりだが、桐生の次の言葉を聞いて三人は衝撃をうけた。

 

「確かに龍堂君はエロい噂もかなり多いわ、でも良い噂も同じくらいあるのよ。

 

不良に絡まれていたのを助けたとか、事故に巻き込まれそうなところを助けたとか、基本的に困っている女子がいると声をかけているのよ。

 

確か、他校の生徒が校門で待ってたなんてこともあったわよね?」

 

ここまでマシンガンのように喋り続けていた桐生が話をふってきた。

 

「あったなそんなこと。でもよく知ってたな桐生、俺言ったことないぞ?」

 

わざわざ言うほどのことではないので自分から言った覚えはない。

 

「私を誰だと思ってんのよ・・・と言いたいところだけど、実は女子の間では結構有名なのよ。 

 

お礼言いに教室まで来る人もいるし」

 

それを聞いて思い当たることがあったようで、三人が話し始める。

 

「確かに、何回か廊下に呼ばれてるのを見た気が」

 

「呼んだ子と付き合ってたこともあったよな?」

 

「ああ、話の流れでな。お前らが知ってる他にも何回かあるぞ」

 

「「「……………」」」

 

自分たちの知らないところで誓哉の好感度が上がっていることと、想像以上のモテっぷりに沈黙する三人。

 

ここでやめておけばいいものをとモテる方法(イッセーたちはそう思っている)を教えなかった誓哉に僻み根性丸出しで余計な質問をしてしまう。

 

「……どうして黙ってたんだよ」

 

自分の卑しさを痛感することになるとも知らずに。

 

「別にわざわざ言うほどのことじゃないだろ。

 

困ってる女がいたら助けるのは普通だし、大体そんなこと言ったら付き合うのが目的みたいじゃねぇか。

 

そんな下衆と一緒にすんな。

 

俺はただ困ってる女は見過ごさねぇ主義なんだよ」

 

キーンコーンカーンコーン

 

誓哉の言葉が終わると同時HR開始を告げるチャイムが響いた。

 

皆が席につくなか、床にてをつきうなだれる三人の姿が印象的だった。

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