やはり俺達の試召戦争は間違っている   作:猛火

2 / 5
前回の続きからです。
お気に入りと感想ありがとうございます!ものすごい励みになります。


やはり俺のクラスメイトも間違っている(前編)

前回のあらすじ。

今年度から総武高校にて実施される試験召還システム。

学力に応じた召還獣を呼び出し、A~Fまでの6クラスで戦うという模擬戦争。

奉仕部部員にしてボッチの比企谷八幡は、事前にクラスを分けるために実施される学力テストでそれなりの手ごたえを感じ、上から三番目のCクラスあたりに入ったことを確信する。

数日後、結果発表とともにその年の在籍クラスが発表される登校日。

他の生徒と登校時間が被らないように早めに学校に来た八幡を待っていたのは最低クラスの烙印だった。

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください平塚先生!俺がFクラスなわけがないでしょう!?」

「そう言われてもな、テストの結果は絶対だ。」

「テストの結果なら俺はかなりのところまでいった筈です!確かに理系科目は低いでしょうけど、充分に文系で補えていると思います。」

「まあそれは間違ってはいないよ。君の文系科目、特に国語なんかはなんと今回に限りあの葉山を抜いて2位だ。」

「ならどうしてFなんですか!」

 

思っていたよりも大きな声が出て、自分でも少しびっくりした。

平塚先生に怒鳴りつけるみたいな感じになってしまい申し訳ない気持ちもあるが、それでもこの結果は納得行かない。

テストの結果がいいなら何故俺がFクラスなんだ。あれか?ボッチは下のクラスで不良にまみれて勉強してるのがお似合いってか?他人とコミュニケーションをとらないだけで下のクラスにされてしまう世のなかは絶対に間違っている。

 

「うーむ、比企谷。今回の振り分け試験のルールブックを持っているか?」

「いえ、捨てました。もういらないかと思って。新学期を迎えるからいらないものは処分してって小町に言われたもんで。」

「君は相変わらず妹には甘いな……。いや、妹以外にも戸塚にも甘かったか。」

先生の呆れたものを見る目線を向けられる。だが戸塚に甘くなるのは全人類共通の筈だ。とつかわいい。

「まあいい。ほら、ここに用意してあるから読み直して見ろ。」

そういい、平塚先生は受付に置いてあったルールブックを投げ渡す。

「おっと、投げ渡さないで下さいよ……。えーと、」

結構高く投げられたルールブックをなんとか上手く受け止めパラパラとページをめくる。

うん、特におかしな点はない。ボッチは下のクラスに強制的になるとも書いていない。

「読みましたけど、ますます俺がFの理由が分かりません。ボッチは下位クラス行きなんてどこにも書いてませんよ。」

ルールブックを返しつつ平塚先生にそう告げる。

「はぁ……。まったく君は普段は非常識なくせしてこういう時は常識に縛られすぎているな。」

「まあいい。これ以上待っても君じゃ答えを見つけられないだろうから、特別に教えてやろう。」

やっとか…。これで下らない理由ならキレるぞと思っていると平塚先生は横の椅子に置いてあった鞄からなにやら書類を取り出す。

「これは君の答案用紙だ。」

「ちょ、そういうのって持ち出し厳禁じゃないんですか?」

「今回君のは特別だ。本人に見せなければ納得しないだろうということでな。」

 

「さて、何故Fクラスかというと……。名前の書き忘れだ。」

 

……は?

はぁ!?

「いやいやいやいや、ちょっと待ってくださいよ。いくらなんでも名前書き忘れなんて馬鹿な真似するわけないじゃないですか。」

「それをしたのが君だよ。しかもご丁寧に現代国語と日本史、公民分野の得意科目三つを全部書き忘れている。」

「俺は確かに書いたはずです!そうだ、きっと去年の文化祭の件で俺に悪感情を抱いている誰かが消したんですよ。そうに違いない!これは仕組まれたんだ!」

「材木座みたいな言い訳を言うな。お前がとぼけるなら書き忘れたであろう確かな証拠を言ってぐうの音もいえなくしてやろう。」

「確かな証拠?ハッ、そんなものあるわけが……。」

「おおかた50分間いっぱい使って解けるだけ解いてやろうと思ってたんだろう。雪ノ下でも手を出さない所まで解こうとした形跡があるぞ。それで問題を解くのに集中しすぎて名前を書き忘れたんだな。」

「……。…!ああっ!」

思い出した!確かに俺は名前を書いてない!憎たらしいリア充様の鼻を明かそうと思ってとにかくがむしゃらに解いた記憶しかない!なんてこった…。こんなところでミスするなんて……。しかもその結果が最下位クラス所属ってなんの冗談だよ…。

「どうやら心当たりがあるようだな比企谷。まあそういうわけだ。日本史の先生なんて点をつけないのを非常に申し訳なさそうにしていたぞ。」

マジか…。日本史の先生は女の先生でいかにも気が弱いタイプだったな。ちょっと悪い気もするがそれよりこの結果がショックすぎて、他人をおもいやる余裕がない…。まあもともとボッチだからおもいやる余裕なんて無いんですけどね。

「とにかくそういうわけだ比企谷。新しい君のクラスは二階の端だ。Fだから当然設備も悪いし、教室も前と広さは変わらない。まあ、一番下だから上にあがれるとポジティブに考えたまえ。」

「無理っすよ、流石にそんな心の余裕今はありません…。平塚先生のコネとかでなんとかなりませんか?ほら、平塚先生なんだかんだで校長とかと趣味とか年代とかあいますし。」

途端、平塚先生の表情が憤怒に染まる。やべ、何かまずったか?

「比企谷…。私が校長と同年代だと…?つまり君は私が校長のように年をとってると言いたいのか?」

「え、あ、いや。そんな気持ちは全く無くてでしゅね!ほんと、ちがっ」

「衝撃の、ファーストブリットォー!」

「ぐはっ!」

ドゴォ!と凄い音を発して俺の腹に先生の右拳が突き刺さる。意識が遠のき腹の中のものを吐き出しそうになるのをすんでのところでこらえる。

「レバーに…レバーに響く…。」

「ふん、年の話をするからだ。それと君のFクラス入りは最早確定だ。いまさら変えることは出来ん。」

勉強に精を出すんだな。と言って平塚先生はもうそれ以上興味がないとでも言わんばかりに椅子に座りなおし資料を読み出す。

まだ腹が痛いが、仕方ない。俺も移動するとしよう。

軋む体に鞭打ち脂汗をかきながら、壁伝いに歩きなんとか校舎内に移動した。

ちなみに途中で朝飲んだマックスコーヒーが口の中に逆流して少し吐き出したのは秘密だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みも引き、ようやく普通に歩けるようになった頃ちょうど教室の前に着いた。

そこは元は空き教室だったのだろう。廊下にほこりが溜まっているのが証拠だ。

教室の扉の上方にはボロボロのプレートがかかっており、そこには「Fクラス」と書いてある。

…うん、予想通りひどい教室だ。外見からもうボロさが分かる。

勿論まだ納得は言ってないが一つ思い出したことがある。それは今年は導入された初めての年だから、クラス間格差もそこまでひどくならないだろうという噂だ。

誰かに聞いたわけではなくて、狸寝入りしてるときに聞いた話だから情報は確かではないが信憑性は高いだろう。

なんせ噂していたのはかの葉山グループの連中だからだ。

戸部が「っべー!俺Fクラスになるかも!」と騒いでいたときに慰めなのか葉山がそう言っていた。

あれ、今気づいたけど戸部同じクラスの可能性が高いじゃん。ただでさえ最悪なこのFクラス生活にあのチャラさが混ざるのか…。

とにかく、気に食わないが今は葉山のその話を信じることにする。

木でできた扉をスライドしてオープンする。ここで英語を使う辺り俺って意識高い。いや簡単すぎる英語だし高くないか。

うわ、この扉木が腐ってんのか?変に軋むぞ。腐るのは海老名さんだけでいいから、お前は腐らずまっすぐ生きてくれ。

ふと異臭に気づく。匂いの源は教室内だった。

「うおっ!臭ぇ!」

教室内はそこら中にほこりが積もっており、机の代わりなのか設置してあるちゃぶ台の足は腐っていた。さらにいえばそのへんを探せばキノコの一、二本は生えてそうなほどひどい湿気が教室を支配していた。

葉山の野郎!何が「今年はそこまで格差はないと思うよ(イケメンスマイル)」だ!

このご時勢そうそうお目にかかれないレベルの部屋じゃねぇか!

教室のあまりに酷い惨状に心が折れかけるが、意を決してまずは窓に向かう。とにかく換気だ換気。

教室の窓を開けて、空気の入れ替えをしながら近くのロッカーから持ってきた箒をバッサバッサ振り回してほこりを追い出す。この方法であってるか分からんが何か違う気がする。現にマスクをつけてなかった俺の喉はもう限界寸前だ。

「ゲホッゲホ…」

窓から顔をだして新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込む。

何度か深呼吸をしてある程度落ち着いたところで教室を再度見回す。

一応粗方空気は入れ替えられた。窓を全開にしたお陰で日の光が入り、なんとかいられるレベルまで教室の空気は改善された。キノコは三本も生えてた。流石に触りたくないので放置している。

一度腰を落ち着けるために座れそうな席を探す。座布団は大半が綿が抜けている。こりゃすわり心地は期待しないほうがいいな。

その後(比較的)椅子の足が腐っておらず、(他のよりかは)落書きも少ないちゃぶ台と、(ないよりかはマシ程度には)綿が詰まった座布団を見つけられたのでそこに腰を下ろす。

座席表は張ってなかったし座る場所は適当でいいよな?いいはずだ。

さて、どうするか。このまま他の奴が来るのをただ待つのは正直だるい。ここは安定した時間つぶしと他人との接触を無くすことが出来る寝たふりが最善だろう。

幸い、今の机は綺麗なので顔を突っ伏しても平気だろう。

一応手で押して、頑丈さを確認する。さっきこれで他のちゃぶ台は足が折れたからな…。念には念をいれよう。

杞憂だったか、ちゃぶ台の足も頑丈でこれなら眠れそうだ。

一応貴重品を胸ポケットにしまい机に突っ伏す。このままホームルームまで寝てよう…。

まだ今日は始まったばかりだが、怒涛の展開すぎて正直疲れた。

突っ伏しながらふと、由比ヶ浜も同じクラスになる可能性があることに気づいた。

きっとあいつは俺になぜFクラスなのかとか、何をやらかしたとか聞いてくるだろう。

まあ遅れてくることはないだろうしいい目覚まし代わりにはなるだろ。

 

そんなことを考えながら俺はゆっくりと意識を手放した。

 




今回は結構な量になったので前後編に分けましたなるべくペースを維持できるように頑張ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。