試召戦争のルール説明とかをしなきゃいけないことに気づいて書き直しを繰り返してました。
それとUA3000突破しました。感謝の極みです。
前回のあらすじ
遂に信頼できる仲間を手に入れ、クラスメイト達にも認めてもらえた比企谷八幡。
これから彼の本当の青春が始まると思ったその矢先、Eクラスのモブ臭がすごいキャラに試召戦争の宣戦布告をされる。
何の準備も出来ていないFクラスはこれにどう対抗するのか?そしてEクラスは何故初日からいきなり戦争を仕掛けてきたのか。
波乱万丈の試召戦争が今、始まる。
AM9時30分 Fクラス教室
「さて、これからEクラスとの試召戦争についての作戦会議を行う。戸部はノートに作戦をまとめてくれ。川崎と材木座は一緒にクラス全員の成績をまとめてくれ。城廻は現代国語と英語Wの教員の確保を頼む。」
「ねぇ、ヒッキー。あたしは何をすればいい?」
「由比ヶ浜は…入り口で誰かに作戦を聞かれないように見張りを頼む。」
「アイアイサー!…ってそれただの雑用じゃん!」
「ちっ、気づかれたか。騙しとおせると思ったんだが。」
「いくらなんでもそこまで馬鹿じゃないし!ていうか何でとべっちがノートなの!?あたし結構字が綺麗だからとべっちとの役割交代を要求します!」
「いや、戸部は普段生徒会長の雑用に俺以上に駆り出されてるからそういう要点をまとめる作業はそこそこ出来るんだよ。」
「へへへ、経験が生きたってやつ?」
「それいばって言えることじゃないよね…。とにかく!あたしも何かかっこいい仕事したい!」
「なら、そうだな…お前にはスパイ活動を頼もうか。」
「すぱい?」
おい、マジかよ。流石にスパイが分からないとか言わないよな?
頼む、そこは分かっててくれ…!
「あ、スパイか!あれでしょ、秘密の書類とか盗んだりー、変装して情報を盗む仕事してる人!」
良かった。これで分からなかったら由比ヶ浜に戦力外通告を出して、教室の隅でじっとしててもらうところだった。
「まあだいたいそんな認識であってる。お前には他のクラス…、そうだなCとかDとかの知り合いにEクラスの生徒の得意科目とかを聞き出せるだけ聞き出しておいてくれ。これは交友関係の広いお前にしか頼めない重要な事だ。」
「そんな重要な任務を任せてくれるなんて…!分かった!あたしがんばって聞き込みしてくるよ!」
「おう、お前を信じてるぞ。」
俺があえて重要の部分を強調して言うと、予想通り由比ヶ浜は喜んで教室から飛び出していった。
…時々由比ヶ浜があまりにも単純すぎて、悪い奴に騙されないか心配になる。
気を取り直して川崎と材木座の二人がいる席に腰を下ろす。
「さて、それじゃ早速対Eクラスの作戦会議を始める!」
「いつになくテンション高いねあんた。」
「八幡、お主こういう戦争とか意外と好きなのか?」
「うっせ、男ならちょっと燃えるってだけだ。」
折角人が気合が入るようにしたのに失礼な奴らだ。
さてここらで何故俺らがEクラスから戦線布告をされたのか。そして何故断らなかったのか理由を説明しておこうか。
あの後、俺らのクラスは戦争に反対した。当然だ、新クラスになったばかりということは学力は所属クラス相応。
最低クラスの俺らが戦争なんぞしようものなら手も足も出ずボコされるのがオチだ。
ちなみに試召戦争のルールはこのような感じだ。
・戦争は試験召還獣を使って行う。直接相手に暴行等を加えた場合無条件で敗北扱いとなり、補習室に連行される。補習室では戦争終了まで特定の教員の監視の下、補習を行う。
・召還獣は召還者の点数に応じた強さを持つ。容姿はデフォルメされた召還者自身。武器はその生徒の総合的な評価で決まる。例えば素行が良い生徒はレイピア等の武器を持てるが、素行不良の生徒は最悪で金属バットになる。
・召還獣の体力は点数がそのまま体力となる。当然、ダメージを負えば体力として点数は減る。攻撃力は残り点数からその都度計算される。ただし攻撃が急所等に当たった場合はその分ダメージが加算される。
・残り点数が0になると召還獣は消え敗北扱いとなる。この場合も補習室に連行される。
・点数が0になるのを恐れて、召還フィールドから出た場合敵前逃亡としてこれも補習室に連行される。ただし、他の生徒と交代するのは可能とする。
・代表は常に居場所を晒さなければならない。
・代表が撃たれた場合、自動的にそのクラスは敗北扱いとなる。
・戦争で勝ったクラスが上位クラスの場合、下位クラスの設備は1ランク下げられる。
・戦争で勝ったクラスが下位クラスの場合、上位クラスとの設備交換を要求できる。無理に交換しなくてもいい。
とりあえずこれが必要最低限覚えるべきルールだ。後は細かい禁止事項がある程度だ。
そしてその細かい禁止事項の中に『宣戦布告をされた場合、受けたクラスは断ってはならない。』というルールもある。このルールのせいで俺たちは戦争を断る事が出来なかった。
まあ宣戦布告された以上戦うしかあるまい。平塚先生にそう諭されてしまったのと、戦争中は授業をしなくていいというエサにクラスのほとんどが釣り上げられてしまったため、俺たちはその戦争を受けた。
授業をしなくていいというのにつられる奴がこんなにいるからこそのFクラスなんだろうな…。
「おーい、八幡よ。ボーっとしておるがどうかしたか?」
「…ハッ!いや何でもねぇ。大丈夫だ。ちょっとうちのクラスの馬鹿さに呆れていただけだ。」
「それは大丈夫とは言わないと思うけど…。」
川崎になんだか呆れられた視線を向けられる。
おいやめろ、ボッチは人の視線に敏感なんだぞ!
だめぇ!そこはビン・カンなのぉ!ペットボトルは分別してぇ!
…脳内でこんな下らないことを常に考えているあたり俺は真性のボッチなんだなぁと思いました。
気を取り直して、
「そういや、何でEクラスは俺たちに戦争を挑んできたんだろうな?」
「さぁ?あれじゃない、新しく導入されたからとりあえずリスクの低いFクラス相手に試してみようってとこじゃない?」
「なるほど、一理あるな。我も新型のゲーム機が出たらとりあえず遊んでみようと思うしな。」
「ってことは俺たちは上位クラスの遊びに利用されたってことか…。」
「改めて考えれば考えるほど納得いかん話よのう…。せめて上位クラスからの宣戦布告は断れるようにしてもよかろうに…。」
三人ため息をつく。
もしこれが他の奴なら『丁度いい!絶対勝てると思ってる奴らの鼻を明かしてやろうぜ!』とか言ってたかも知れないが、生憎ここにいる三名はそこそこ賢いからそれは不可能と分かっている。
なんせ何の準備も出来てないのだ。これが少しは成績が上がった後とかならまだ勝ち目はある。だが今は新学期。
とてもじゃないが勝ち目はない。
なのでこの作戦会議は如何に上のクラス相手に粘れるかを考えるために開いた。
ずっと相手がうんざりするほど粘り続ければ所詮遊びたいだけの連中だ、平和協定を申し出てくるだろう。
そうすれば双方被害を負わずに戦争を終わらせる事が出来る。
強いて言えば上のクラスのお遊びにつき合わされたってことが腹立つが、まあそんくらいは我慢我慢。
「やっぱり粘るなら篭城が効果的か?」
「まあそうだろうね。補充試験ってのもあるらしいし、それで入り口付近で交代を繰り返すのが最善かな。」
「そうなると如何にして戦いに参加できる人数を絞るかが問題だな。複数人で責められたらひとたまりもない。」
「それならあえて少し教室の内側で戦えばよかろう。入り口はそこまで広くないから良くて二、三人しか戦闘は出来ぬはずだ。」
「それいいな、採用だ。よし、だいたいこんなもんかな。」
作戦会議の意見をノートにまとめる。クラスの奴らにはかなり泥沼な戦いを強いる事になるが、こうでもしなきゃ負けることは他の奴らも分かっているだろう。事実他の奴らはそこらの席でうな垂れている。
とりあえず作戦もまとまったしクラス全体に伝えるか。
そう思い立ち上がろうとした矢先、教室の扉がガラッと開かれる。
どうやら由比ヶ浜が帰ってきたようだ。丁度いいタイミングで帰ってきたな。
クラス全体に作戦を伝えるべく教壇に向かう。
すると俺が何か言うのを悟ったクラスの奴らが顔を上げ視線をこちらに向ける。
ボッチは人の視線に慣れてないんだぞ。いや、今はもうボッチじゃないか。
クラス全員の視線が集まったのを確認して俺は告げる。
「全員よく聞け。対Eクラスの作戦が決まった。」
それを皮切りにノートの内容をそのまま読み上げる。
一通り全体の流れの説明が終わったので一応質問を確認しとくか。
「さて、ここまでで何か分からない所があるやつはいるか?」
「はい!」
真っ先にピンクのお団子頭が手を挙げる。
「…はい、由比ヶ浜」
「ねぇ、今回の作戦って教室に篭るだけなの?どうやってEクラスに勝つの?」
「はぁ?」
何だこいつ。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたがこんな簡単なことも分からないとは思っていなかった。
「あのなぁ、俺たちは最低クラスだぞ?総合的な戦力で負けている以上篭城しか出来ない。」
「え、でもヒッキーや沙希がいるなら勝てるでしょ?だって二人とも頭いいし!」
隅で材木座が「あの~我も一応日本史は出来るんですが…。」と言っているが無視だ無視。
「それは買いかぶりすぎだ。それにいくら強くても二人しか強い奴がいないならどちらにせよ総合力で負けてるだろ。」
「…ねぇ、ヒッキーは今回の戦争負けると思ってるの?」
「当たり前だ。だからせめてもの抵抗で篭城を提案してるんだ。」
「ふーん、そっか。自信ないんだ。」
そう言って由比ヶ浜は含み笑いを浮かべる。
おいおい、雪ノ下じゃあるまいしそんな軽い挑発にのるわけないだろ。
「ああ、そうだな自信は全くない。」
「む、ゆきのんならこう言えばすぐ乗ってくるのに…。」
「由比ヶ浜、お前なんだかんだで結構雪ノ下の扱い心得てるんだな。」
「んー?そりゃそうだよ、だってあたしとゆきのんは親友だもん!」
なるほど、親友なら何て言えば思い通りに動かせるか分かるのか。
なら材木座や戸部を誘導するのに慣れてる俺は二人の親友ってことになるんだが。
「諦めろ由比ヶ浜。俺は今回篭城を選択する。勝てない以上仕方ないからな。お前らもそれでいいだろ?」
そういってクラスに呼びかける。
だが帰ってきた反応は予想外だった。
『え、本当に諦めるの?何か手はあると思うんだが…。』
『俺は由比ヶ浜さんに賛成なんだけど。篭城なんてつまんねーよ!』
マジか…、お前らマジか…。
ここまで馬鹿の集まりとは思ってなかった。
お前ら一度客観的に自分を見てみろ。勝てるわけがないことに気づくから。
「ほら、皆もこう言ってるし戦おうよ!」
「ああ、もう!だから勝てる作戦がないから篭城しようって言ってるんだろうが!何でそんな簡単な事が分からないんだ!」
あまりの楽観的思考につい怒鳴ってしまう。
俺が怒鳴ったのが意外だったのか由比ヶ浜はうな垂れる。
少し申し訳ない気持ちもするが俺もここで折れるわけにはいかない。
クラスの設備が下がって困るのはこいつらも一緒のはずだ。
代表して意見を言っていた由比ヶ浜がうな垂れてしまったため教室の空気も少し悪くなる。
だがそんな中何故か戸部が手を挙げる。
「なあ、それって勝てる作戦があればいいんだよな?」
「…そんなのがあるならな。だが俺と川崎と材木座の三人で考えて何も無かったんだ。諦めろ。」
「でも、まだ俺らのクラス全員には聞いてないなら可能性はあるっしょ!なあ皆!作戦があれば戦うってよ!」
『よっし!じゃあ皆で考えようぜ!』
『比企谷、意見だすから黒板に意見書いてってくれよ!』
「…仕方ないな。」
やるだけ無駄だと思うがな。まあまだ開戦までは時間があるからやるだけやらせてやろう。
人間何もできずに終わると納得いかないが、頑張ってやった末に終われば最低限納得いくものだ。
『じゃあ、俺から!点数がそこそこあるやつ集めて突破したらいいんじゃね!?』
『それいいじゃん!それで相手の代表叩いて奇襲ってやつか!』
「却下。その一団が相手に包囲されて全員相打ちとかになったら一気にウチのクラスは戦力失って敗北コース一直線だ。」
『じゃ、じゃあ!代表がどこかに隠れ続けてるとか!』
「それだと反則負けだ。却下。」
『ぐぬぬ…なら他の作戦を…。』
「諦めろ、無理なんだよ俺たちには。」
その後もいろいろな意見が飛び交うが具体性のないものや、危険性が高い作戦ばかりでとてもではないが採用できるものはなかった。
「もういいか?」
『待ってくれ!まだ、まだ何かあるはずだ…。』
「なあ、俺閃いちゃったんだけど!」
暗い雰囲気を打ち破ったのはまたしても戸部だった。
「言ってみろ。だが時間的にそろそろ準備しなきゃいけないからこれが最後だ。」
「おう、絶対この作戦ならいけるべ!」
自信満々に戸部が提示した作戦は…
「分かった。その作戦でいこう。」
「ちょ、比企谷!?あんた何考えてるのさ!?」
「戸部の作戦は少し運要素が強いが可能性は間違いなく高い。」
「で、でも!いくらなんでもそんな作戦で勝てるわけない!」
「いいか川崎、ちょっとこっちに来てくれ。」
そういうと川崎は不服そうにしながらもこちらに来てくれた。
近づいてきた川崎の耳元にそっと顔を寄せ話しかける。
(いいか、川崎。確かにこの作戦はそこまでいいものではないかも知れない。だがここでこの意見も却下して篭城を強硬してみろ、確実にクラス全員の不満を抱えたままで戦うことになる。それに俺はこの作戦に可能性を感じた)
(クラス全員の不満は確かにあるかもしれないけど、だからってこんな運要素の強い作戦は…。)
(まあそれで負けたってそれはそれで充分納得するだろこのクラスの奴らは。というか負けの責任が俺に回ってこないならぶっちゃけ戦っても良かったしな。)
(…あんたって本当屑だよね…。)
(なんとでも言え。俺は傷つきたくないだけだ。)
(はぁ…。あんたがそれでいいならもう代表じゃないあたしはそれに従うよ。)
(サンキュー、川崎!愛してるぜ!)
「はぁっ!?なななな何言ってるのあんた!?」バシン!
「痛ってぇ!?」
いきなり川崎に叩かれた。前文化祭の時は許されたから平気と思ったけどダメだったか。
「ヒッキー…何言ったか知らないけどサイテー。」
「お前俺を罵倒したいだけだろ…。まあいい。戸部の作戦に川崎も賛同した。」
「よっしゃ!俺マジMVPってやつ?」
「それはこの後の戦争で取ってくれ。」
戸部にツッコミを入れつつ時間を確認する。
すると同時にチャイムが鳴り出した。
慌てて俺は指示を出す。
「よし、総員戦争開始だ!あらかじめ篭城するために分けた班ごとに集まり次第教室を飛び出してくれ!」
『『『了解!』』』
ちょっと最後の方急展開かもしれないです。
結局戦争部分は書けませんでしたが、次回はいよいよ戦争開始です。
戸部の考えた作戦は果たして成功するのか。