放課後、私は佳織と学校の近くにある商店街の入口で十七時に待ち合わせすることになった。
私は佳織と一緒に学校からある場所とやらに向かうものだと思っていたが、準備があるので一度家に帰りたいらしく佳織は一足先に帰ってしまった。
いったい何の準備があるのだろうか。そもそも、商店街の近くにあるということしか佳織から聞いていない。さらに十七時となればまだ一時間半も時間がある。学校から商店街まで自転車で真っ直ぐ向かえば十五分とかからない。あまりにも時間がありすぎる。
どうしたものかと考えた私だったが、一度家に帰ってからまた外に出かけるのも面倒なのでしばらく学校で時間を潰すことにした。
この学校は公立校にしては珍しく部活動の参加は強制ではない。その代わりなのか、小学校のようにさまざまな委員会が存在し、その委員会には必ずどこかに所属しなければならない決まりになっている。委員会は一年毎に変更することもできるが、大体の生徒は三年間同じ委員会に所属している。
私が昨年数ある委員会の中で選んだものは美化委員だった。
本当は図書委員に入りたかったのだが、私のような非活動的な人間の溜まり場としてはもってこいだったのだろう、倍率が高すぎて抽選になり私は落選した。
しかし、入ってみれば美化委員も悪くない。美化と言っても主な活動は掃除道具の補填と修理ぐらいだ。掃除は各クラスで授業後に行っているし、校内外の細かな部分は事務員の方がやってくれている。想像していたものとは裏腹に、ほぼ活動がない。月に二度も活動があれば多い方だった。
さらにこの美化委員が両物件なのにはまだ理由がある。
それは、数ある委員会の中でも珍しく美化委員には専用の教室が設けられていることだ。専用の教室と言っても一般的なものではなく、むしろ教室というよりも倉庫と言ったほうが近いだろう。普通の教室の半分ぐらいの広さの教室が割り当てられており、そこに新品の箒や雑巾、モップなどの替えが置いてある。それらで教室の半分は占めているため決して広くはないのだが、そもそも美化委員の数が多くないので問題はない。普段、美化委員はここで暇を持て余している。
これほどまでに良物件な委員会を見逃す理由がなかったため、私は今年も美化委員に入った。美化委員は昼休みや放課後を美化委員の教室で過ごしているため、外面はは忙しく見えるのだろう。今年もこの委員に入ってくる生徒は多くなかった。
今年度の美化委員は、一年生が三人、二年生が四人、三年生が一人だ。他の委員会ともなればこの倍は採っている。多いところは、これの四倍以上の人数のところもある。今年も人数が少なくて本当に良かったと思う。
さらに、今年の一年生は皆部活動にも所属しているので、ほとんど教室にはやってこない。二年生も二人は部活動もやっているため、実質美化委員の教室を常習的に使っているのは三人だけなのだ。
時間を潰すにはピッタリだ。あそこで勉強でもしていよう。
美化準備室と書かれた小汚いプレートの真下にあるスライドドアはそれとは反して真新しい。昨年私が壊してしまったため、今年度に入ったときに新調されたのだ。
交換されたばかりのきれいなドアを開けると、汚く雑多な光景と一緒に佐名先輩が机の上に寝転がっていた。
「おー、秋穂ちゃんか。放課後にやってくるなんて珍しいな」
「ちょっと時間潰しに来たんです。勉強したいので机から降りてください」
「真面目だねぇ。まあかわいい後輩の頼みなら聞いてあげんとなぁ」
高さの合っていない机を六つも使い、ベッドのように並べて使っていた佐名先輩は気怠そうにそこから降りた。すると、近くにあった椅子を足だけで器用に自分の下まで持ってきて、そこに身を移した。
「秋穂ちゃんっていっつも勉強してるイメージあるんだけど」
「まあ、間違ってないと思いますよ」
「他にやることないの?」
「ないこともないですよ。でも学校にいる間は普通勉強ぐらいしかやることないですよ。私、部活やってないし」
「そうかなぁ?うーん・・・」
佐名先輩は眉間に人差し指を当て、目を細めながら唸り始めた。
すると突然ハッとして私の方をじっと見つめてきた。
佐名先輩はこういう不思議な行動をする人だ。黙って立っていればとてもかっこいい人だとは思うが、どこか変な雰囲気を持っていて、接しているとただの変人にしか見えなくなる。
「まあいいや。そういえば時間潰しって言ったけど、この後何かあるの?」
「あー、佐名先輩は今話題の噂話知ってます?特殊電話番号でしたっけ」
椅子の後ろ足に重心を掛けてシーソーのようにしながら気怠そうにしている佐名先輩は、あれね、と面倒臭そうに呟いた。
「知ってるよ。僕のクラスでもその話で持ちきりだからね。それと時間潰しにどんな関係が?なんとなく察しはついたけれど」
「きっと察してるとおりです。佳織がその噂話を確認しに行こうって言い出しちゃって、この後十七時に商店街で待ち合わせしているんです。なのでそれまでここで勉強でもしてようかと思って」
「なるほどね」
どうやら座り心地が悪かったのか、佐名先輩は椅子から立ち上がると他の椅子を物色し始めた。
「佐名先輩は勉強しなくていいんですか?中間テスト近いですし、そもそも大学の受験勉強だってあるはずじゃ」
「僕はね、学校では授業中以外は教科書やノートを開かないと決めているんだ」
「それは知ってますけど・・・。いつも思うんですけど、よくそれでいつも成績優秀でいられますよね。私の知っている佐名先輩はいつもここでぐーたらしてるイメージしかないので不思議で仕方ありません」
ちょうど良い座り心地の椅子を見つけたようで、佐名先輩は嬉しそうにその椅子を窓の傍に持っていき腰掛けた。
「それは偏見だよ。僕だっていつもぐーたらしているわけじゃないし、家では宿題ぐらいならちゃんとやるさ」
「なんだか悔しいです。真面目に勉強している私がバカみたいで」
「いや、そんなことはない。結果ばかり重要視されるが、経験は結果ではなく過程にあるもんだよ。秋穂ちゃんは真面目に勉強しているという過程を経て、何かしら僕よりも優れているものを得てきているはずだ。だから、僕と比べる必要はないさ」
そうやって余裕を持った意見を言われることもまた私にとっては悔しかった。だから私は静かに勉強を始めた。
勉強を始めるとあっという間に時間が過ぎていた。
陽が傾き始めており、準備室の中は真っ赤に染まっていた。気が付けば十六時半を少し過ぎた頃になっていた。
佐名先輩は私が勉強を始めると漫画を読み始めたようだったが、気が付くと眠っていた。静かに寝息を立てている。
起こすかどうか迷ったが、あまりにも気持ちよさそうに眠っているため先に帰る旨の書置きを残し、佐名先輩が家から持ってきたのだろうひざ掛けを掛けてあげ準備室を出ることにした。
「気をつけて。ほどほどにね」
私が準備室を出ようと扉に手をかけたとき、後ろから佐名先輩の声がした。
起きていたのなら言ってくれればいいのに。
私はそう思いながら、準備室を後にした。
キャラが固まってないです、ごめんなさい。
構成とか考えてないです、ごめんなさい。
行き当たりばったりです、ごめんなさい。。。
それでも私は書き続けてみます!
どこまで書けるか乞うご期待!!(ぇ
読みやすい文章にしていきたいと心掛けています。
そのため、誤字・脱字・間違った表現や感想がありましたらコメントしてください。