Muv-Luv MUSHAの名を持つガンダム   作:アドベンチャー

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今話は宇宙基地でちょっとしたデート編になります!
お気付きの方はいらっしゃるの思いますが、イメージOPとEDを変更しました!


第14話 宇宙へ

ー宇宙 ラグランジュ2付近ー

 

「これが…宇宙……」

 

初めて来た未知の領域に衛士強化装備服を着た唯依は武者ガンダムMK-2のコクピットから星の海(宇宙)を眺める。一方、その隣ではシートに座って操縦しているパイロットスーツ(ティターンズver)を着た大和はモニターに映し出されているモノを見ていた。

 

「(ここに一体、なにが……)」

 

そのモニターには大和と唯依が乗っている武者ガンダムMK-2をある場所へと導くように案内(ナビ)する地図が映しだされていた。

数日前、前回の近畿防衛戦の最中に発見した宇宙基地への地図を厳谷に見せたところ、中佐としての権限を使って正式な命令として『MSに関連する拠点の探索』という名目で階級が1つ上がった煌月大尉と篁中尉に向かわせてもらったのだ。そして、その2人を乗せたブースターをオプション装備として取り付けた武者ガンダムMK-2は地球を離れてから2日半が経過していた。

 

『ゼンポウチュウイ!ゼンポウチュウイ!』

 

「「!!」」

 

ハロの警告によって2人はすぐさまに前を向いて警戒する。センサーによって引っかかって現れたのは、まだかなりの距離があるはずなのだが、その巨大な構造物は遠く離れた武者ガンダムMK-2からでもソレの輪郭がはっきりと確認できた。

 

「なに…アレ……」

 

「おいおい、マジかよ……」

 

2人はあまりの大きさに驚愕して、ソレに目が離せなかった。

それはかつて、ジオン公国軍が本国防衛のために2つ建造した基地の1つで、一年戦争における連邦軍とジオン公国軍の最終決戦の舞台ともなった場所。その名を……

 

「宇宙基地、いや宇宙要塞 ア・バオア・クー」

 

そのア・バオア・クーのセンサー圏内に入ったのか、その巨大な宇宙要塞は武者ガンダムMK-2(主人)を持っていた。と言うかのように自動で誘導ビーコンを出して迎い入れる。

場所は変わり、ア・バオア・クー第24番ゲート()には武者ガンダムMK-2が入っていた。

 

「さて、どうしようか?」

 

「もちろん、行くに決まってる」

 

「だよね」

 

そう言うと、大和はコクピットハッチを開けて内部へと2人は進む。

 

「ちゃんと酸素はあるみたいだね」

 

「まぁ、ここは軍事機能の他に工場プラントや宇宙港・居住区もあるぐらいだから、当分は大丈夫だと思うよ」

 

どうやら唯依はパイロットスーツではなく山吹色の衛士強化装備服を着てきたので酸素の心配をしていたようだ。そんな会話をしながら進んで行くと、外部と内部を繋ぐ隔壁が閉じられていた。

 

「どうする?迂回する??」

 

「いや、こんな時には……」

 

そうすると、大和は持ってきたバックから端末を取り出して、ヘルメットに内蔵されているインカムで通信する。

 

「ハロ、聞こえるか?」

 

『ダイジョウブ!ダイジョウブ!』

 

「よし、やってくれ」

 

『リョウカイ!リョウカイ!』

 

インカムで武者ガンダムMK-2の安全と警戒をしているハロと通信し、コードで繋がれた端末を介してハロに隔壁のロックを解いてもらった。

 

【CLOSE】→【OPEN】

 

「(はてさて、なにが出るのやら……)」

 

「(この奥に日本を救うナニかが……)」

 

2人はそれぞれ胸に期待をさせながら開いた隔壁を進むと……

 

「「……ナニコレ??」」

 

大和と唯依の前には居住区があった。しかし、ガンダムUC episode2に登場するパラオの居住区のようなただの居住区ではない。一言で言うなら区画全体が和風といった感じになっていた。

道には桜の木や紅葉の木などの季節ごとの木が植えられており、その風景はBETAによって破壊されたかつての京都に似ていた。だが、重要なのはそこではない。

 

「や、大和君。アレ……」

 

「どうしたの?唯依なにかあっt……」

 

和風の居住区が広がっているなか、その全体の約60%の土地にはあまりにも()()()()()()()が建っていた。

 

「唯依、アレって……」

 

「間違いない、アレは白鷺城。又の真名()を姫路城」

 

そこには日本の国宝五城の1つに数えられている白亜の城『姫路城』が(そび)え建っていた。さらには本丸だけではなく、内曲輪までの建造物や門・石垣なども存在している。

 

「……行ってみよう」

 

「//う、うん//」

 

そう言うと、大和は唯依の手を()()()()で握りしめて歩いて行く。因みにこの時、唯依の頰が赤くなっていたことは大和は気付いていなかった。

 

「(それにしても、オリジナルのア・バオア・クーとは構造がかなり違っているな)」

 

姫路城へと続く砂利道を唯依の手を引きながら大和が周囲を見ていると、転生する前にガンダムの資料集で見たことのあるオリジナルのア・バオア・クーとマブラヴのア・バオア・クーを比較していた。

 

「(それに()()なんてモノはオリジナルには無かったはずだ)」

 

そう。本来のア・バオア・クーにはおおまかに司令部を初め、工廠・宇宙港・MS格納区・居住区の6つの区画しかなく、重力制御ブロックなどなかったはずだ。しかし、このア・バオア・クーには確認できるだけも重力と内曲輪を含めた姫路城がすっぽりと入る構造に変わっていた。

 

「(外見はア・バオア・クーでも、中身は全くの別物というわけか。ア・バオア・クーといい姫路城といい、女神なら何でもありなのかよ)」

 

「(時々、大和君って唐突にするんだから。でも、もう少しこのままがいいな……)」

 

分析している大和と手を繋いでいることに嬉しく感じている唯依は歩いて行くと、陸部と姫路城を繋ぐ橋『桜門橋』を渡ると大手門『桐二の門』を潜り抜け、菱の門を通り、本丸が見える場所まで来た。

 

「ここが姫路城……」

 

「…綺麗」

 

白亜の城と言うだけあって全体的に白色で塗装されており見る者達を引きつける。更には本丸だけではなく、周囲の城壁や城門・各櫓も日本帝国にあった本物の姫路城そのものである。

ふと、唯依が呟いた。

 

「今、思い出したんだけれど、BETAが日本上陸した時に色々な世界遺産が破壊されたんだ。でも、姫路城だけが残骸もなく、まるで()()()ように無くなっていた。って聞いたことがある」

 

「消えた?」

 

コクリっと唯依が頷く。

大和は再び端末を出して、保存してある国土交通省のデータにアクセスする。そして、場所を兵庫県姫路市に設定した航空写真を端末の画面に表示する。

 

「どう?」

 

「本当だ。残骸や石垣すら無くなっている」

 

画面に映っているのは無数の民家の残骸と何もない平地があった。そこで大和はある仮説を立てる。

 

「(唯依の情報とこの航空写真。推測からして、まさか()()()()()()()()とでもいうのか?いや、そうに違いない。こんな芸当ができるのはあの女神ぐらいだ)」

 

大和は女神の権能に呆れる。だが、その顔には喜びを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーア・バオア・クー内部 MS格納区画ー

 

ジェガンやスタークジェガンなどの量産MS区画とは違い、ガンダムタイプ専用の格納区画があった。

その格納庫にはフルアーマーガンダム(サンダーボルトver)やZZガンダムなどの宇宙世紀のガンダムがパイロットを待っているのだが、その奥には他のガンダムとは違い、鉄で製造され型式番号が付いたカバーに収納されているガンダムもいた。

その中の1つには整備用ケーブルに繋がれたある悪魔の名がつけられたガンダムもパイロットを待っていた。そのナンバーは……

 

【ASW-G-08】

 

 

 

 

 

 

 

 

ー同時刻 地球ー

 

「私も行きたかったですけど、煌月君に頼まれてはいたしがたありませんわね」

 

そう言った上総は大和から渡されたMSの設計データが記録されているUSBメモリーを接続した端末を手に持っていた。そして、その画面にはある機体の設計データが映し出されている。

 

「『大空を掌握する機体』ですか……」

 

そんなことを言いながら、日本帝国斯衛軍が持っている1つの工廠のスペースを山城家の権限で開けてもらい、ガルダから運び込まれた機体パーツを急ピッチで整備兵達が組み立ていた。

 

「全く、とんでもないモノですわね」

 

そう言う上総は組み立て途中の2機の機体を見る。その2機は上総の声に返事をするかのようにバイザーを輝かせた。




次回予告(ガンダムOOver)

女神によって与えられた新たなる地
そこには世界をも覆す機体『ガンダム』
大和は新たなる機体と出会う
次回『力の持つ理由』
問おう、君は強大な力を持つ覚悟はあるか?

※姫路城について
何故、ア・バオア・クーに姫路城?と思われた読者の方に説明させて頂きます。
トータル・イクリプスを見返していたところ、帝都燃ゆ編で突撃級に金閣寺が粉々に粉砕されるシーンがあったので、作者が好みな城である姫路城もBETAに破壊されるのはちょっと嫌だなぁ、という思い込みから登場させました。
詳しいことは後編で設定書きを載せます。

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