Muv-Luv MUSHAの名を持つガンダム   作:アドベンチャー

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後半のストーリーが思っていたよりも長かったので前編と後編に分けました。


第15話 力の持つ理由【前編】

ーア・バオア・クー内部 姫路城ー

 

コロニーでもないのにどういうわけか、朝・昼・夜の時刻も再現されており、現在は夜。

大和と唯依はおそらく住むことを考慮してなのか、白で塗装された木造の宿舎が敷地内に増設されており、2人はここに泊まることにした。

 

「それにしても1度でいいから城に住んでみたいなぁ、とは思ったことはあるけど、まさか本当に叶うとは思っていなかったな」

 

そんなことを言いながら大和は着替えを持って風呂に行くため戸を開けるのだが……

 

「え?……」

 

「……アレ?」

 

どうやら先客(唯依)がいたらしい。しかし、それだけで()むならまだしもパイロットスーツを着ている大和とは違い、唯依は山吹色の衛士強化装備服を脱いでおり、その姿は胴にバスタオルを巻いているものの年齢とは対照的に豊満なる胸が窮屈そうにタオルを押し上げていて、下からはスラッとした脚が見えていた。

 

「ぁ…ぁ…」

 

「落ち着け、唯依。これは」

 

「み、見るなぁぁぁ!」

 

唯依の盛大な正拳突きが大和の顔面にヒットし、その衝撃で意識を失ってしまった。

数分後、大和は当然のように唯依によって床に正座させられていた。

 

「いや、あれは不可抗力というか何というか」

 

「でも見たよね?」

 

「いやあれ「見たよね?」

 

「……ハイ」

 

こうした感じで唯依のお説教を一晩中、聞く大和であった。

 

〜翌日〜

 

時刻は朝。唯依が調理場で朝食を作っている間に大和はア・バオア・クーの内部を探索するために移動手段となるモノを探していた。現在、姫路城の敷地内から出て城下にある倉庫群の中を探している。

 

「そう簡単に見つかるモノでもないか。……ん?」

 

その時、2回りほど大きな倉庫があり、興味本位で行ってみる。

幸い、カギはかかっていなかったのですんなりと入れた。そして、そこにあったのは……

 

「おいおい、何だこれは?」

 

そこには目的の自動車やバイクが駐車されている。ただし、1台2台というレベルではなくて軍用車からスポーツカー・オートバイやモーターレースタイプのバイクまで幅広いマシーンが置かれてあった。

 

「スゴイ……」

 

確認できるだけでもランボルギーニを始めとした世界各地の自動車メーカーの車やKawasaki・HONDAなどの各メーカーのバイクが置かれている。

 

「まるで、ちょっとした博物館だな。1台3000万円ぐらいする車やメーカーのフラグシップモデルのバイクがこんなにあってもいいのだろうか?」

 

あまりの台数に少し罪悪感を感じた大和は一応、目的を果たしたので唯依のところへと戻る。

時刻は進み09:00。大和と唯依は共に朝食を終え、大和は先にどこかへと行ってしまい、唯依の方は桜門橋の前で待っていた。

 

「大和君。一体、どこに行ったんだろう?」

 

少し心配して待っていると、どこからかエンジンの音が聞こえてきた。その正体は先程見つけてきた車庫の中に置かれてあったバイクの1台『CBR-250RR』に乗ってきた大和だった。

 

「ごめん、待たせてしまった」

 

「ううん。それよりソレ、どうしたの?」

 

「見つけてきたんだ。コレはその内の1台」

 

へぇ〜、とした表情を浮かべた唯依。

因みに大和は昨日までパイロットスーツだったが、宿舎内にあった服を拝借して黄色のラインが入った白と黒の2色が組み合わさった服装をしており、その姿はアトラスガンダムの機体配色に似ていた。

 

「?どうしたの?」

 

「べ、べつに……(唯依って美少女とは思っていたけど、ここまで可愛いとは…)」

 

対する唯依は山吹色の衛士強化装備服ではなく、白と青を中心とした服装で上には白いコート・下は青いミニスカートを着ていた。その組み合わせはガンダムエクシアの機体配色に似ている。

 

「では、そろそろ参りましょうか?お姫様?」

 

「もう、茶化さない!」

 

そう言い、ヘルメットを被った唯依は大和の後ろへとバイクに乗る。そして、振り落とされないよう唯依は大和に抱きしめるようにつかまるのだが……

 

「ッ!」

 

「どうかしたの?」

 

「い、いや、何でもない!」

 

「?」

 

実は唯依がしがみつくように乗ったことで大和の背中には唯依の2つの豊かな丘陵が押し付けられたのだ。しかし、ここで理性を崩壊させるわけにはいかないので、急いでクラッチを繋げ、ギアを1速に入れて発進する。

 

「ねぇ!どこに行くの?!」

 

「とりあえず宇宙港に行ってみる!」

 

ヘルメットごしに会話しながら2人は姫路城から続く道をバイクで走り、途中には紅葉や川など美しい景色が広がって地球で起きていることが嘘のように思わせる。

 

「(どうか、少しだけでいいからこのまま平和な時間が続きますように)」

 

唯依は大和に強く寄りかかり、心の中でそう願った。

場所は変わり、大和と唯依は目的地の宇宙港へと来た。そして、2人はバイクから降りてヘルメットを脱ぎ、中へと入る。

 

「わぁ……」

 

「(何かもう、驚くにも疲れてきたな…)」

 

先に行く唯依と追いかける大和はそう思った。

中にあるのはもちろん宇宙船だった。ただし、1隻2隻だけではなくて艦隊規模の船がドックに停泊しており、その全てがロンド・ベルの旗艦『ラー・カイラム』と同型艦 数隻があった。

 

「こんなものまであるのか?」

 

だが、その奥にあるドックには2隻だけ違う船が停泊してあった。

 

【CBS-70 プトレマイオス】

 

【LHM-BB01 ミネルバ】

 

「見てみる?」

 

いつの間にか大和の隣にいた唯依が問う。

 

「無論だ。連絡はインカムで」

 

「わかった」

 

唯依はミネルバ・大和はプトレマイオスへと艦内に入って探索する。そして、しばらくすると大和はミネルバに行った唯依に連絡をする。

 

「唯依、そっちの方はどう?」

 

『結構、大きな船みたい。格納庫の方には何というか、中央部に脚部・上半身・戦闘機?みたいなパーツがあるけど。コレもMS?)』

 

「(なるほど、あのガンダムがあるのか)わかった、一旦合流しよう」

 

『了解』

 

唯依と通信が終わると、大和がいるプトレマイオスの艦橋のモニターにはコンテナ内に格納されているガンダム達が映っていた。

 

「GNドライヴ。そして、それを動力源とする4機のガンダム、か……」

 

「(プトレマイオス2ではないのは太陽炉があるからか?いずれにせよ、強すぎる力はやがて自分の身を滅ぼすことになるからこれで良いのかもしれないな)」

 

ポツリと独り言を言うと、唯依と合流する。

一通り見終わると、今度は修理ドック・MS生産工場というふうにア・バオア・クー全体を2人で探索して周り、最後にMS格納区画に来た。

入口には強奪されないようセキリュティの下、厳重な剛鉄の扉によってロックされている。

 

『(汝、強大な力を持つ覚悟はあるか?)』

 

「!」

 

突如、扉のロックを解除して内部へと入ろうとした時、頭の中に声がダイレクトで響く。

 

「どうしたの?何かあった?」

 

「いや、なんでもない(今のは……)」

 

さっきの出来事を考えながら大和は先に行く唯依の後を追おうとしたのだが…

 

「きゃっ!」

 

唯依が当然、空中に浮かび1回転して地面に着地する。どうやらこの区画は今までとは違い、無重力の状態で設定されているようだ。

 

「……見た?」

 

「…見てない」

 

スカートの裾を手で押さえ、顔を赤くした唯依は片手で顔を隠している大和の答えを聞くと、さっさと内部の方へと進んでしまった。

 

「(……ブルー()だったな)」

 

大和も急いで唯依の後を追いかける。

2人は進むにつれ広い空間に出る。そこにはMSが整列するように固定アームで格納されていた。

 

「一体、何機あるんだ?」

 

「見たところ2個大隊は編成できそう」

 

連邦製MSを主にジェガンA2型・スタークジェガン・ジムスナイパーⅡ・ジムスナイパーⅡ(WD仕様)が多数置かれていて、ジオン製MSはゾゴッグ・イフリートシュナイド・ドライセン(袖付き仕様)と数は少ないものの各戦地で戦えるよう特別仕様に製造された機体があった。

 

「(なぁ、女神よ。BETA殲滅の次は世界征服なんて言わないよな?)」

 

量産型MS格納区画の奥にはさらに内部へと進めるよう通路があるのだが、左右に道が分かれていた。

 

「二手にわかれる?」

 

「そうしよう。何かあった時にはインカムで」

 

コクリと頷いた唯依は右に、大和は左の通路へとそれぞれ進んで行った。果たして、2人を待ち受けるモノとは?




ガンダムOOが放送されてから10周年というわけでプトレマイオスと4機のガンダムを登場させてみました。


余談
久しぶりに劇場版ガンダムOOを見たんですが、改めてガデラーザの設定を見るとオーバースペックすぎませんか?

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