戦術姫これくしょん   作:人類種の天敵

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お久しぶりです!色々色々と忙しい時期でした!すいません!
すいませんついでにまた最初から書かせていただきます!すいません!



ストライクフロンティア
死の騎士


 

 

いつだったか、2人の女を愛し、2人の女に愛された男がいた。

 

最初に愛した女は男が生まれた時からずっと隣に寄り添っていた幼馴染だった。

 

何の因果か、変わり果てた世界で、それでも男と共に在り続けた女は、その最期を男を庇って死んだ。

 

男は今も、彼女を飲み込む閃光を、地平線に消える巨大な影を覚えている。

 

簡単な話だ。

 

男に力が無かった、ただそれだけだ。

 

 

男は女の最期を看取ることもできず、女が最後に乗っていた遺品を継ぎ接ぎして戦い続けることにした。

 

数々の戦いを巡り、当時の精鋭部隊に引き抜かれた男は、2人目の愛した女に出会う。

 

優しい女だった、青い髪の、インパクト・ガードを担当する女だった。

 

当時、幼馴染の死から未だ抜け出せず、戦いの中で死を求めてストライク・ヴァンガードを務めていた男の窮地を何度も救ったのも彼女だった。

 

周囲も女自身も、物事を全て割り切って考える冷たい性格であると言い、男を助けるのもそれが自分の役目だからと女は言っていたが、最初に愛した女同様に自分の背中を預けられる女の事を、男は次第に好ましく想い始め、女もまた、自身の相棒として組むことになった男の事を1人の戦友として、1人の異性として見ることになっていく。

 

2人は部隊が少しずつすり減っていく中で前衛と後衛のエースの実力を発揮していく。

 

片や戦場を駆け抜ける疾風の騎士。

 

片や戦場を見渡す状況判断の射手。

 

互いが互いを信頼する事でどんな敵にも勝利してきた2人だったが、男はまた、2人目の愛した女の最期を看取ることが出来なかった。

 

試作機のテストの筈だった。

 

エラーが発生し、偶発的なアクシデントが幾つも重なり、男は戦場に出ることもできず、女は死んだ。

 

 

それまで男は疾風と呼ばれていた。

 

風のように戦場を駆け抜け、女の死を何度も遠ざけた。

 

それでも、その時だけは女の元に駆けつけることが出来ず、女は死んだ。

 

 

女は物事を全て割り切ることができる冷めた女だった。

 

それが女をこれまで生かしてきたのだが、それでも、その時だけは女は割り切って考えることが出来ず、女は死んだ。

 

 

男はまたも愛した女を失った。

 

戦いの後に訪れた戦場に、女の亡骸も、女の遺品すらも、何も無かった、何も存在していなかった。

 

 

継ぎ接ぎだらけの機体にあの青髪の女を彷彿させる何かを遺す事は出来なかった。

 

それが悔しくて男は自分の髪を青く染め、継ぎ接ぎされた機体を蒼く塗った。

 

その後部隊は一部を残して壊滅し、男はまた1人となる。

 

どんな部隊も男1人を残して消えていく。

 

いつしか男は死神と呼ばれることになる。

 

所属する部隊を死へ案内する、死神と。

 

 

 

かつての疾風は、風だけが消えて“死”が残り。

 

かつての機体は、継ぎ接ぎされた頭部と微かに青髪の面影を残す蒼醒めた機体色が残った。

 

かつての戦乙女達は伝説となり、ヴァルキリーズの誇りは“騎士”の矜持として男の中に残り続ける。

 

誰ガ為ノ誓イ。

 

BETAには死を、戦友には手向けの詠を。

 

だからこそ彼は。

 

死の騎士はこうして生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場でBETAと戦っていると、ふと耳にする噂というものがある。

 

世界中の戦場を巡り単独でハイヴすらも潰す部隊の名を。

 

曰く、その部隊は壊滅した部隊の生き残りや、公的に存在しない衛士が集められた処分用の部隊であると。

 

曰く、その部隊は一人の男の為に組織された部隊であると。

 

曰く、その部隊は統一されたコールサインを持たず、部隊を率いる4人の隊長機を除けば全員が以前使っていたコールサインを使われていると。

 

曰く、4人の隊長達は、全員が最初期の部隊の生き残りであり、そのコールサインはヨハネの黙示録に登場する四騎士の名を冠したものであると。

 

誰が呼んだか、その部隊の名はーー“死神部隊”。

 

この世で最もBETAを殺し続ける部隊である。

 

『く、来るな!来るなぁぁぁぁぁ!!うわぁぁぁぁぁぁぁーーーぁッーー』

 

『落ち着け!ランナー5!おい!ーークソッ!ランナー5がやられた!壁がーー崩れるぞ!』

 

『チッ、30秒後に前線を下げる!遅れるな!』

 

『了解!ーーん?お、おい!妙な動きをしてる奴がいるぞ!陣形を崩すな!おい!?聞いてんのか!?』

 

退却を始める部隊とは別に、攻勢を仕掛けようと動く中隊規模の部隊がある。

その先頭、蒼醒めた継ぎ接ぎだらけの機体が背後の部隊員を見やる。

 

「……戦域確認。状況はいつもと同じ。それぞれの部隊で4方向からアローヘッドワンで突撃し味方が下がる時間を稼ぎつつレーザーヤークトを敢行する。粗方潰した後は好きにやれ」

 

『オーダー確認。ホワイトライダー隊は戦域の掌握を開始』

 

『ヤー。レッドライダー隊。斬り込むよ』

 

『…了解。ブラックライダー隊。支援開始』

 

蒼醒めた機体に続く白い機体、紅い機体、黒い機体が、それぞれの部隊を率いて戦線を構築し始める。

 

蒼醒めた色合いの不知火に乗る青髪に染めた男は、戦域マップから離脱していく友軍の反応を確認すると、回線をオープンにしてそれぞれが待つ号令をかける。

 

「ーー時間だ。此の戦場を奴らの“墓場”にしろ」

 

 

彼は死の騎士。

 

そのコールサインはペイルライダー。

 

継ぎ接ぎだらけの機体に蒼醒めたペイントを施した死を告げる騎士。

 

彼の戦いは、愛した女を殺したBETAと、奴らの巣を潰すまで終わらない。





後一話続いて艦これ世界に転生します。
因みにこの主人公、あるゲームの主人公ですが、分かりますか?死んだヒロイン2人も本家キャラです。1人は別タイトルのキャラだけど。
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