戦術姫これくしょん   作:人類種の天敵

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ps4 ボーダーブレイクやってます。
クユラちゃんとコノハが可愛すぎて頭おかしくなりそうなのが今の悩みです。……ハティ?プレイヤーそっちのけでストーリー進めてどうぞ。


脱出

 

 

左右で長さの違う青い髪、肩が剥き出しになったノースリーブの蒼醒めたセーラー服、背中に背負われた鈍色の輝きを放つ二丁の銃器、右手には長刀を、左手にはバヨネットを装着させた突撃砲を持ち、凛としたその姿はまるでかつての幼馴染を、そしてその髪色は青髪の彼女を彷彿させた。

 

「そいつもまた、お前と共に引力に引かれたモノ。お前が最後に乗っていた戦術機らしいな」

 

人形染みた表情の大学生ほどの女ーーいや、全てのBETAを統括する管理者、重頭脳級が言う。

俺の目の前でBETAと対峙するこの少女が、俺が長年愛機として搭乗していた蒼醒めたペイントの不知火だと。

 

「敵BETA多数視認。74式可動兵装担架システム ガンマウント オンライン」

 

背中に背負われた米式と仏式の突撃砲が36mmと120mmの砲口を覗かせる。

 

「作動良好ですね」

 

一時の停滞を見せた要撃級BETAへ36mm弾が容赦なく降り注ぎ、その肉を刮ぎ落とす。

 

「G元素の数にも限りがあるんだが」

 

一瞬で壁となっていた要撃級6体を撃破されたにも関わらず重頭脳級に焦りは見られない。

寧ろ不知火を興味深く観察しているようだ。

 

「今にその減らず口を叩けなくしましょう」

 

「ふむ。戦術機自体にも自我が芽生えているのか……興味深いな」

 

不知火が左手に持つ銃剣を向けてトリガーを引く。

しかし重頭脳級の背後から新たな要撃級BETAが現れ、36mmケースレス弾すら弾く甲殻を掲げてみせた。

 

「戦術機の弱点だろう?弾を弾いて仕舞えば距離を詰められる」

 

姿勢を低くし、足までもガードした要撃級が素早い動作で不知火の懐へ迫る。

通常の戦闘であればこの間合いは衛士にとっての致命傷となるだろう。

しかし不知火は銃剣に取り付けたバヨネットで要撃級の鋭いボディブローを剣先を当てて巧みに逸らす。

そのままバヨネットと甲殻との間で散らした火花が弧を描き、剥き出しの腕部を斬り裂いた。

 

「それが通じるのは新兵までですが?私の衛士が誰であるかお忘れですか?」

 

「所詮は超重光線級と相討ちが限界だったと記憶している。それに、この通路では刀など碌に振り回すことも出来ない。お前たちの使う示現流とは、長刀と機体全てで一本の刀を成すのだろう?」

 

重頭脳級から指示を受けた要撃級が長刀を持つ右側から攻撃を仕掛ける。

それを横目で流した不知火は順手に構えていた長刀を手でくるりと弄び、逆手に取った。

 

「笑わせますね。刃が培ってきた剣戟はお前たちを殺す技だ。示現流など必要ありません」

 

(お前に示現流の才能は無いって言われたから使ってないだけなんだけど)

 

殴りかかる甲殻を逆手に持った長刀の刃で流し、溜めていた力を一気に解放する。

ザンッ、と弓なりに弾かれた長刀が皺くちゃの尾を薙ぎ、振り抜いた勢いそのままに逆手から順手に持ち直すと斬撃の反動を使った鋭い切り返しが要撃級を斬り伏せる。

 

「量で潰すしか取り柄のないお前たちに私を倒せるとでも?」

 

「無論、その為に誘い出したわけだ」

 

この場所にーー重頭脳級の言葉と共に背後から足音が聞こえる。

新手か、しかし不知火は前方のBETAの動きを警戒している為に動くことができず、まずい状況になった。

そして背後にいた影がその姿を晒す。

 

「っ、人型のBETA」

 

女子高生の体つきをした重頭脳級より感情の乏しい女。

ダボついた白いファーのついたコートを着込み、こちらをただひたすらに見つめていた。

 

「まさか」

 

「ーーーーッ!!」

 

前を見ていた不知火が突然吼えた。

当初の冷静さは消え、ぐるりと振り向いたその表情に理性は無く、どす黒い激情が彼女を支配していた。

 

「お前は……超重光線級なのか」

 

「標的ロックオン」

 

その目が怪しく輝いた。

 

「刃!伏せて下さい!」

 

「もう伏せてる!」

 

身体をしゃがませると同時に頭の上を小型のナイフが飛んだ。

それは一直線に超重光線級の頭部へ疾ったが、少女の二つの瞳から放たれた熱線が瞬時にナイフをドロドロに溶解した。

 

「スーパーカーボン製のナイフに光線対策のレーザー蒸散塗膜加工をした特注品だぞ?クソ、使わなくてよかった……」

 

終ぞ使う機会は無かったが、当初の目的は放たれたレーザーを逸らす手段の一つだった。

……一歩間違えれば即、死に繋がる戦いでそんなものを使うなんて頭おかしいんじゃないのかと言われてお前に言われたかねーよと博士と喧嘩したわけだが。

 

「……心底使わなくてよかったと思ってるよ。博士、アンタが正しかった」

 

「目玉ぁぁぁぁぁ!!」

 

突撃砲による36mm弾の追撃が頭上を通過する。

怒りに狙いが甘くなってるのか壁に天井に床にと乱射されるので俺も必死になって射線を避けるはめになった。

どうやら今のあの不知火は超重光線級以外目に入らないらしい。

一体誰に似た?……俺か、俺だろうな。

 

「捕まえろ」

 

「ぐっ……!?」

 

「不知火!」

 

背後で気を伺っていた重頭脳級の命令で動き出した要撃級の一撃が不知火の背中に突き刺さった。

そのまま要撃級が複数不知火に集り、その動きを拘束し始めた。

 

「貴重なサンプルだ。壊すな」

 

「ちっ、喋る人間もどきになってもBETAはBETAってことか」

 

不知火が怒りを露わにした事が逆に俺自身の熱を冷やし、冷静になった今、俺がやることはこの場からの撤退。

それも判断力の低下して要撃級に拘束された不知火を連れて。

 

「生身で振るのは初めてなんだがね……こりゃ竹刀でも振ってりゃ良かったかなーーシッ!」

 

床に取り落とされた長刀を持つ。

ズシリとした重量が手の中で存在を示し、右手は逆手に握って左手でグリップを包み込んだ突きの構えを見せる。

これによって左手の細かな力加減で狭い通路でも的確に振り回しつつ安定した突きを放てるようになる……戦術機で扱ってた時はだが。

 

「あくまで俺流だけれど」

 

姿勢を低く、腕を伸ばして鋭い突きを要撃級BETAの足へ突き刺す。

何も真っ向から斬り合わなくても足を殺せば十分だ。

 

「おい、起きろ不知火!」

 

BETAを蹴飛ばし不知火を足で揺するも返事がない。

 

「ふむ。そろそろ話をするなら良い頃合いではないか?」

 

「いやー、昔鍛えられた教官からBETAとお喋りするぐらいなら弾丸をぶち込んでやれって言われててねぇ……」

 

「言葉は不要か……」

 

現役時代は強襲掃討を担当していたベテランの衛士だった教官だ。

俺の立場だとしても「貴様はバカか?」と言ってくれるはずさ。

 

「騎士かぶれなりに日本の大和魂をお見せしよう」

 

裂帛の気合いを乗せて重頭脳級を壁に押し出してその首に刃を当てる。

チラリと視線を周囲に移すと周りのBETAは超重光線級を除けば全てのBETAが俺と重頭脳級を眺めていた。

 

「…………大和魂?」

 

「騎士かぶれって言ったろ?戦女神様に犬死だけはするなと言われててね!…まあ」

 

(予想的中だったか……!)

 

個体差はあるものの、大なり小なり全てのBETAに自我が芽生えている。

これが次元を超えて世界を渡った影響なのかも知れない。

そしてそれは人型のBETAでなければBETAの自意識は突然の事態に思考を停止してしまう程度の脳みそのスペックというものだ。

 

「さぁてと、今度は俺と一緒にデートと洒落込もうか」

 

「ふむ。……その方が効率が良いか」

 

さっきからコイツと会話が上手く噛み合っている気がしない。

一体コイツは何を言ってやがる?

 

「おい、不知火!」

 

「く……はっ……すみません。刃」

 

やっと目を覚ました不知火が突撃砲を手に重頭脳級を抱える。

 

「しかしどう逃げるか」

 

あたりのBETAは微動だにしない。

唯一例外の超重光線級も俺を見ているだけで何も動く気配はない。

 

「……そろそろ来るはずです」

 

「来るって何が!」

 

壁に目を寄越した不知火は、俺を庇う位置どりで壁に背中を向けた。

 

『位置情報確認!不知火ちゃん。撃つよぅ〜』

 

「ええ、お願いします」

 

短い返答のちに衝撃、爆音、弾け飛ぶ瓦礫。

そして目に染みる外からの光が唯一の脱出路を示していた。

 

ドガン! ガラガラガラ

 

「さあ、行きましょう。刃」

 

身体に覆いかぶさった瓦礫を弾き、蒼醒めたセーラー服を着た少女は、そう言って俺の手を取った。

 

 

 

 

 

「………ここは一応、借金までして購入した物件なのだが…」

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