私は医療スタッフだ!   作:小狗丸

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これは本編とは関係ない「もし薬研征彦がサーヴァントとなったとしら」というif話です。
ふと思いついたので書いてみました。


番外編「サーヴァント・ヤゲン」

 私、薬研征彦は、ある日朝起きるとサーヴァントになっていた。

 

 これを聞いて訳が分からないと思う人が多いと思うが安心してくれ、私も分からない。……だけど事実なのだ。

 

 朝起きるといつもと若干違う服装になっていて、鏡の前で「アレ? こんな服買っていたっけ?」と考えていると突然、頭の中に大量の情報が流れ込んできた。

 

 その情報によると生前の私は、詳しい経過はほとんど思い出せないのだが何とか人理を修復し、無事に天寿を全うしたようだ。そして死後、人理を修復した功績を世界に認められた私は英霊の座に登録され、この私が生前いたカルデアとは別の平行世界にあるカルデアに召喚されたらしい。

 

 ………。

 

 ……………。

 

 …………………なんでさ。

 

 自分の置かれた状況を整理していると自然に衛宮士郎の口癖がでた。

 

 いや、本当になんでさ!? 私は医療スタッフだ! それなのに何で私がサーヴァントになってるの!?

 

 ようやくあの地獄のような日々が終わったと思ったら、何で前より酷い形で地獄が繰り返されてるの!? サーヴァントなんてマスターであった時より危険なの確定じゃないか! ガチ前衛じゃないか! ……いや待てよ?

 

 あまりにも酷すぎる現状に頭を抱えて床に転げ回りそうになった私だが、すぐにある可能性に気づいた。

 

 そうだよ。私ってばサーヴァントとしてどれくらいの強さなの? いくら私がこれ以上なく不本意だがサーヴァントになったとしても強くなければ前線に出なくてもいいんじゃないか?

 

 そう考えた私は自分の内側に意識を向けて自分のステータスを読み取ってみた。そうして分かった私のサーヴァントとしての性能は……。

 

 

 

ヤゲン(☆)

・クラス キャスター

・属性 中立・善

・真名 薬研征彦

・時代 不明

・地域 日本

・ステータス

筋力:D

耐久:E

敏捷:D

魔力:B

幸運:E

宝具:C

HP:1336/7030(初期値/最大値)

ATK:1045/5294(初期値/最大値)

COST:3

所有カード:Quick×1Arts×3Buster×1

・保有ス……

 

 

 

 ……よし! よしよし! Yes!

 

 私が望んだ通りの星一つの低ステータス! これだったらまかり間違っても前線に出ることはない! それどころか二軍三軍扱いでずっとカルデアのベンチで、マスターであった頃より安全な生活ができるかもしれない。

 

 自分のサーヴァントとしての性能の低さを確認して前線送りの危険がなくなったことを知った私は、自分でも分かるくらい足取り軽く部屋を出た。そして部屋を出てカルデアの中を見て回るとカルデアには大勢のサーヴァントの姿があった。

 

 うんうん。こんな大勢のサーヴァントがいれば私みたいな低級サーヴァントが前線に呼ばれることはないだろう。

 

 さて、それじゃあこれからどうしようかな? さっきエミヤが食堂で料理を作っているのが見えたから何か食べさせてもらおうか……なっ!?

 

「やっと見つけましたよ、ヤゲンさん! 今までどこに行っていたのですか!?」

 

 カルデアの通路を足取り軽く歩いていた私の腕を掴んだのはマシュだった。

 

 マシュ? 一体どうしたの?

 

「一体どうしたの、ではありません! 今日はライダークラスの素材集めの日ですよ! マスターと他のサーヴァントの方々はもうレイシフト装置の所で待っているんですからね? 後はヤゲンさんだけです。さあ、早く行きましょう」

 

 そ、素材集め? それに何で私が呼ばれるのですか? 私は永久補欠の低級サーヴァントでしょう?

 

「永久補欠の低級サーヴァント? 一体何を言っているのですか? 確かに失礼ですがヤゲンさんはサーヴァントとしての戦闘力は弱いかも知れません。ですがヤゲンさんはエルメロイ二世さんと同じくらいのサポート能力で、我がカルデアのレギュラーメンバーじゃないですか?」

 

 ……………はい?

 

 私がカルデアのレギュラーメンバー? エルメロイ二世と同じくらいのサポート能力の持ち主?

 

 マシュの言葉に嫌な予感を感じた私はもう一度自分の内側に意識を向けて自分のサーヴァントとしての性能を読み取ってみた。

 

 

 

ヤゲン(☆)

・クラス キャスター

・属性 中立・善

・真名 薬研征彦

・時代 不明

・地域 日本

・ステータス

筋力:D

耐久:E

敏捷:D

魔力:B

幸運:E

宝具:C

HP:1336/7030(初期値/最大値)

ATK:1045/5294(初期値/最大値)

COST:3

所有カード:Quick×1Arts×3Buster×1

・保有スキル

魔力増幅薬:対象のバスターカードを超強化(1T)&味方単体のNPを増やす

神経速度強化薬:スター獲得&対象のスター集中率アップ(3T)味方単体のNPを増やす

黄泉帰りの秘薬:対象にガッツを付与(5T)&対象に毎ターンHP回復付与(5T)&味方単体のNPを増やす

・クラススキル

陣地作成【A】:自身のアーツカードの性能をアップ

道具作成【A】:自身の弱体成功率をアップ

・宝具

対英霊用睡眠薬(スリーピング・サーヴァント)

ランク:B

種類:Arts

種別:対人宝具

効果

敵全体に攻撃力ダウン[Lv.1~]&防御力ダウン[Lv.1~]&敵サーヴァントにスタン付与(各3ターン)〈オーバーチャージで各効果UP〉

 

 

 

 ………。

 

 ……………。

 

 …………………何コレ?

 

 え? いやちょっと待って本当に何コレ?

 

 ステータスは星一つに相応しい低ステータスだけど、このスキルは何? こんなのレアリティ詐欺もいいところじゃないか?

 

「ご理解頂けましたか? それじゃあそろそろ行きますよ。エルメロイ二世さんがここ最近の連戦で過労で倒れてしまったので、その分ヤゲンさんには頑張ってもらわないと」

 

 はい!? エルメロイ二世が過労で倒れた!? その分私が前線で頑張る!? じょ、冗談じゃない! そんな地獄に送られたら間違いなく私も過労で死んでしまう!

 

 ま、マシュ! お願いだ、見逃してくれ! 私はまだ死にたくない!

 

「もう。さっきから何を言っているのですか? ほら、いつまでも冗談を言っていないで行きますよ、ヤゲンさん」

 

 い、い、い……いぃやぁぁあーーーーー!!

 

 マスター時代より過酷な前線はいぃやぁぁーーーーー!!

 

 キャスタークラスでライダークラスの相手はいぃやぁぁあーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……その後私は必死で逃れようとしたのだが筋力ではマシュには敵わず、結局レイシフト装置の所まで引きずられて行きライダークラスの素材集めツアーに強制参加させられることになった。しかもそこで私はライダークラスのドラゴンと何回も戦うことになったのだが、戦った回数は二十回から先からは数えていない……。


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