この作品は紹介でも書いております通り、リメイク作です!前作では、主人公の魔改造が凄すぎたので、それを反省点に一から練り直してます。
なので、前作とは多分結構、装いが異なります。(リメイク前のやつを読んでくださっていた読者様には本当に申し訳ないと思いますが……)
取り敢えず、今回はプロローグです!どうぞ!
――クロノスside
さて、『審判』もようやく終わりか。扉が閉まり、我の周りを瘴気が取り巻いていく。チリチリと表皮を焼かれ始め痛みが走るが、大した事はない。先ほどのビズリーの槍に貫かれる物に比べれば、な。
我は隣にいる友を見る。我の姿も、いずれ我が友――オリジンの様に全身を焼かれたようになるのであろうな。
まぁ、しかし友とせめて同じ苦しみを理解できるというのは、救いだろう。見てくれなどに意味などない。
それは、審判を超えた
「………居るんでしょ?いや、『見てる』んでしょ、今代マクスウェル?ミラって呼んだ方がいいかな?」
「何?」
オリジンが突如上を見上げたと思えば、我らの上に鏡の様なものが広がった。これは確かウンディーネの精霊術か。確か『水鏡』といったか?おそらく、我とオリジンの両方と面識を得たことで可能になったのか……
『バレていたか、オリジン』
「ふふ、君は新参とはいえ、『原初の三霊』の一柱なんだよ?そんな大きな存在がコッチを覗いていたら気付くに決まってるよ」
『ふふふ、敵わないな、まったく。マクスウェルで結構だ、オリジン』
『水鏡』は突き抜けるような蒼き空を映し出す。おそらく精霊界の空なのだろうな。まったく、この女は嫌な事をする。
『む?どうした、クロノス?機嫌が悪そうだが?』
『ウフフ、ダメよ、ミラ。クロノス達はコッチに出れないんだから』
そこに新しい顔が現れた。この頭にくる様な口調――ミュゼか。おのれ、劣化版マクスウェルめ。
『ああ、そういう事か。いや、すまない。何も嫌がらせでしている訳では無いのだ』
「………十分嫌がらせになっている。………で、要件はなんだ?さっさと言え」
『む、何よ、せーっかく、ミラが色々と気付いたから報告してあげるって言ってるのに。ねぇ、ミラ?もう千年くらい、クロノスは閉じ込めておきましょ?』
「我も、貴様と同じ世界に立つくらいならば、ここに千年いた方がよほど快適だ。そんな事を言うために姿を見せたのならば、とっとと失せろ」
『むっかーー!!何よ、せっかく瘴気の根本的な解決策を提示しようと思ったのに!!』
…………今、こいつは何と言った?我は耳を疑った。
「それはどういう事だい、ミュゼ?」
『クロノスが謝んないと、教えてあげなーい』
「な!?な、なぜ我が謝らねば――」
ポンと我の肩に手が乗せられる。当然ここには我とオリジンしかいない。オリジンの方を見やると、横に首を振っているでは無いか。……………つまり、そうしろという事か、友よ?
「………ま……かった」
『えーー?何て言ったのかしらぁ?』
ぐっ!!!!
「……す……なかっ…」
『ねぇ、ミラ?オリジンには悪いけど、やっぱりもう千年くらいは閉じ込めておきましょ?きっと、その間にクロノスの頭も、瘴気に当てられて、もう少し健康的な思考ができる様になるわ』
『む、そうか?お前がそう言うなら、そうしよう。ではな、クロノス。なに、我々精霊にとっては千年など、すぐに過ぎるさ』
ミュ、ミュゼめ!と言うか、マクスウェル!貴様も乗るな!だ、だが………
「ま、待て!!すまなかった!我が悪かった!!」
ぐ……ミュゼに頭を下げるなど、我のプライドが許さないが、今は仕方が無い。我が友、オリジンをここから救い出すためだ。多少のことはこの際、我慢してやる。
『ふふ、ふふふふふふふふふ!散々私たちの邪魔をしてきた貴方が頭を下げるのを見るのは気分がいいわ♪』
『ふむ、先ほどのは「冗談」のつもりだったのだが、中々うまく伝わらないものだな。難しいものだ……』
………これほど精霊を殴りたいと思ったのは初めてだ。ここから出た暁には、一回くらい泣かせても許されるのではなかろうか?多分、許されるだろう。そうしよう。
『さて、では本題に入ろう。オリジンは確かこう言っていたな?瘴気を消してなどいないと』
「………そうだね。結局僕に出来るのは、瘴気をこの空間に閉じ込めておく事だけなんだ。正直に言ってしまえば、瘴気を消す事なんて出来ない」
『それでは、いつか限界が来るのではないか?瘴気の許容量も無限ではないだろう?』
「まぁ、そうだね。だけど、形あるものは全て最後は滅びる定めにある。それは自然な事だと思うよ?」
『………だが、私は人間から抗う事の大切さを知った。オリジン、何も対策を打たないというのは、怠惰なだけではないか?』
「貴様……言うに事欠いて、オリジンを愚弄するか。誰が人間の尻拭いをしていると思っている」
『確かに、そうなのだろうな。クロノス、お前は正しいよ。お前の怒りはもっともだ。……だが、私はこの人と精霊とが手を取り合う世界が愛おしい。この世界が滅びるなど我慢できない。だから、敢えてこう言うぞ?オリジン、お前はただ滅びの未来を受け入れているだけだ。それが、『原初の三霊』を名乗るなど片腹痛い』
「き、貴様……っ、オリジン!離せ!この女マクスウェルの言ったことは、今までオリジンがやって来た事を否定している事に他ならないのだぞ!?」
「けど、見方を変えればそれは事実なんだ。だから、マクスウェルの言うことは正しいよ」
「だ、だが!」
『………意地が悪いな、オリジン。お前が先ほどから隠している魂……私たちの解決策と考えている事は同じでは無いのか?』
「ふふ、君も相当だよ、マクスウェル。何時から気付いていたんだい?」
『お前と話している時だ。そもそも、人間が魂を昇華できるかどうか試す
………オリジンが女マクスウェルの言葉に面白そうに頷く。ん?どういう事だ?まさか、『オリジンの審判』には、別の目的が……
「そうだね。僕らは人間がその魂を昇華し得るのかを試した。そして、君たちには秘密にしていたけど、別の目的があったんだ。これは、昔『オリジンの審判』という契約を交わしたときからずっと、考えていたこと………その目的は、昇華した者の魂を用いて世界を救うこと」
オリジンはその両手を前へ出すと、その手の中には淡く光る球体が現れた。まさか――
「オリジン!この魂は!?」
「そうだよ、クロノス。コレは彼の魂だ。彼……ううん、彼らには酷い事をする事になるけど、それでも方法はこれしかない。本当は、僕らが行くべきなんだろうけど、僕らの内誰か一人でも欠けてしまえば、文字通り今度こそ世界は崩壊する」
『………瘴気の中和の方法がこの世界に無いのなら他で探せば良い、という事か?』
「ふふ、やっぱり考えている事は同じだったみたいだね」
トントン拍子で話が進んでいく。待てよ、つまり………
「………まさか、異世界へと魂を送り込むのか!?」
「そうだよ、クロノス。まさに僕は人間を利用しようとしている。利用してしまう彼らには、申し訳ないと思う。でも、この世界を救うための選択を僕は今こそしようと思う。彼らが『選択』をしたように」
「ま、待て!『彼ら』とは…?」
「………こういう事だよ」
オリジンの手の中には、さらに光球が3つ現れた。……なるほどな、『彼ら』か。
「ただ、コッチの記憶が無いと困るから、審判を超えた彼だけの魂は浄化できない。それと、『彼女』の魂も浄化できなかった。何故かね」
『ふふ、それはそうよ。だって、その子は飛び切り頑固だもの。コッチのミラよりね』
『そのようだな。エルのために自分という存在を貫き通した魂だ。浄化の必要は無いだろう』
「………ちっ、甘いな」
「ふふ、クロノス。君もだいぶ人間に近くなってるよ?」
「そ、そんな事などない!」
冗談でもやめてくれ。我が人間に近付いているなど。我は今でも人間の全てが許せるわけではないのだからな……
「……さて、マクスウェル達が来てくれたのは丁度良かったよ。彼らをそのまま送り込んでは、可哀想だからね。君たちの力を、彼らに分け与えてやって欲しいんだ」
『勿論だ。私もそのつもりで、ウンディーネにここと繋いでもらったのだからな』
『んー、けど誰が誰に力を与えるの?人間の魂にもキャパシティは有るんだし、バランスが悪いと人間の魂なんて自己崩壊を起こしちゃうわよ?』
……腹は立つが、ミュゼの言う事も正論か。ここはどう割り振るか、重要だな。さて、どうしたものか……
「それならもう考えてあるんだ。残念ながら僕ら『原初の三霊』の力の容量は巨大過ぎる。だから1人に1つしか与えられない。それに、その容量と大きさに耐えられるのは骸殻能力を持つ、クルスニク一族だけなんだ」
「なるほどな。つまり、我とオリジン、マクスウェルの力は分配せねばならないという事か」
「そういう事だね。だから、四大とミュゼの力を必然的に彼女へ」
『分かったわ。彼女も私の「妹」だしね』
『そうか。では、私は彼に渡すとしよう。他にも………精霊界に残しておいた、渡しておきたいと思っているものもあるのでな』
「……となると、我とオリジンは此奴らか。まったく、本気で殺し合いを繰り広げた者達に力を与えるとはな」
「ふふ、中々面白いだろう、クロノス?じゃあ、皆頼むよ」
我らは各々が魂に力を分け与える。力を分け与え終わった後、我らはその魂達を異世界へと送り出した。
世界救済の希望を人間に託すという『選択』をしたのだ。
と、いうわけでした。早速、クロノスが若干キャラ崩壊w
結構ヘビーな感じを出してますが、本作は別にそうはならないと思います。(いや、少しはあるんですけども…)
取り敢えず、これからも続きを読んで頂ければ幸いです。ではでは