子供の心理描写本当にムズイ!(もう、何回目か分からんw)
さて、今回はサブタイトルにもある通り、ケンカします!
では、どうぞ!
――ルドガーside
「なんだよ、それ!!」
イッセーの怒声が部屋中に響く。俺とイリナは一瞬ビクリと体を竦ませた。事の起こりは、俺が引っ越すっていう話からだった。それに便乗する形で、イリナも引っ越すという話を持ち出したんだ。
確か、イリナの家はキリスト教の家だったはず。もしかしたら、正臣さんとクレーリアさんの一件が関わっているのかもしれない。って言うか絶対関わってる。
「ご、ごめん、イッセー。俺も昨日知ったんだ。父さんと母さんのその……都合で――」
「な、何だよ!?ルドガーはそれで良いのかよ!?それに、イリナだって!!」
イリナは俯いて、黙り込んでしまった。多分出掛けた涙を引っ込めるのに、必死なんだろう。
「なぁ、イッセー。俺だってイリナだって本当は引っ越したくなんかない。けど、俺の家もイリナの家も親の都合じゃ仕方ないじゃんか」
「仕方ないって何だよ!!えっと……そうだ!二人の父さんと母さんを説得してさ!そしたら――」
「イッセー」
俺は首を横に振る。それを見て、イッセーはまだ何か言いたげだったが、ぐっと言葉を呑んだようだ。
「……ごめん、ルドガー、イリナ。今日は一人にしてほしい」
俺とイリナは仕方なく、イッセーの部屋を出た。イリナの方は俺よりもよっぽどダメージが大きかったみたいで、未だに俯いたままだ。まぁ、そうだよな。俺は中身は一応は大人だけど、イリナやイッセーは違う。感情を抑制しろって方が無理な話だ。
「……えっと、そうだ。イリナの方は引っ越しって何時なんだ?」
「……一週間後だって言われた」
「そっか……俺は明後日だ」
「「…………」」
……沈黙するしかできなかった。こういう時にどう言えば良いのかなんて、俺には分からない。ところどころ記憶が抜け落ちてるとはいえ、前世の記憶を持っているのに、俺には答えなんか分からない。
俺とイリナはそのまま階段を下りて、イッセーの母親に挨拶をした後、兵藤家を後にした。
◇
「その……なんじゃ。友とは上手くいかんかったか?」
「……うん。イッセーに追い出されちゃった」
すっかり意気消沈した俺は、帰宅する気にもなれず、商店街の付近をブラついていた。何と言うか、思っていたよりも今回の事はだいぶ堪えた。俺は思ってたよりもまだまだ子供だったのかもしれない。
「あぁ、そうじゃ。お主が行動を共にしていたという二人じゃが、ゲンドゥルとビズリーが逃がしたようじゃぞ?」
「うん……良かった」
祖父ちゃんは視線を逸らしてポリポリと頬を掻く。うん、祖父ちゃんゴメン。あとで少しくらい孝行してあげるから、今だけは許してと心の中で謝る。
ん?そう言えば……
「ねぇ、祖父ちゃん」
「お、なんじゃ?何でも言うてみい。祖父ちゃんが大概の望みなら叶えてやるぞい」
大概の望みって……しかも、相手が北欧神話の主神だから、多分冗談じゃないんだよなぁ……
「そんな大きなの要らないから!はぁ……少し行きたいところがあるんだ」
「ほう、どこじゃ?今なら儂が世界の果てでも連れてってやるぞい」
「そんな物騒な所行かないってば!…あそこだよ」
「んン??あそこは――」
「うん、昨日事件があった神社がある裏山だよ」
俺は真っ直ぐにその場所を見る。一緒に居た時間は短かったけど、しっかりとお別れを言えなかった二人の居た場所を。
「そこにある小屋に行きたいんだ」
――side out
―― 一誠side
はぁーーー…………
急にああ言ったのは失敗だったかな…い、いや、でもルドガーもイリナも急に引っ越すなんて言うから!……あの二人が居なくなるのは、イヤだな……
コンコン…
と、扉をノックする音が聞こえた。んー、多分母さん、かな?いつもはそのまま入って来るのに、何でノックするんだろ?
「イッセー?入るわよ?」
「どうしたの、母さん?いつもはノックしないのに」
「私だって気遣いくらいするわよ」
「ん?うん、なんかよく分かんないけど」
「まぁ、いいわよ。ルドガーくん達とケンカしたの?」
「してないよ!!」
「じゃあ、なんで遊ばないで、追い出すような事したの?」
「……それは…ごめんなさい」
「悪いと思ってるのなら、お母さんに謝るんじゃなくて、本人にちゃんと言葉で言いなさい」
「……うん」
う……今のは結構落ち込む…
と、母さんは俺の目線まで屈んで、頭に手を置いてくる。
「なにも、喧嘩自体が悪いって言ってる訳じゃないのよ?まぁ、確かにケンカしないで済むのなら、その方がいいんだけどね。でも、ケンカしちゃったものはしょうがない。だから、次会ったらちゃんと謝っておくこと。いいわね?」
「……うん、分かった」
「そう、ならいいわ。じゃあ、そろそろお昼ごはんにしましょう」
俺は母さんに付いて、一階に降りて昼飯を食べる事にした。
――side out
――ルドガー side
俺は例の小屋近辺まで足を運んでいた。俺がお世話になった小屋は、何とか残っていた。だけど、壁の一部は損傷したり、あの魔力弾が突き破った窓は割れていた。
「ほぉ、簡易的じゃが、『迷わせの結界』を張っておるな……ちと違うのも混ざっとるが」
「『迷わせの結界』?」
「うむ。どの系統にもある魔術じゃが、こういった木々の配置に、少し魔力を使って弄ってやると、森に入った者をそれ以上侵入させない様、迷わせる結界ができるのじゃ」
へぇ、打ち合うだけが魔術じゃないって訳か。ま、そりゃそうか。精霊術の中にも治癒術があるわけだし。ん?けど、待てよ……
「あれ?けど初めて来たときも、俺は迷わなかったよ?」
「そりゃ、そうじゃろ。こういった自然を利用した結界の弱点は、それに依存してしまう事じゃ。故に、この結界を作っている木などに宿る精霊に好かれておれば、そやつらが正しい道を示してくれるという訳じゃ」
「あ、
「うむ、そうじゃろうな。精霊に関連した
んーー、なるほど。じゃあ、俺のは本当にレア物中のレア物って事だな。そもそも、マクスウェルが宿ってるのなんて、俺くらいだろうし――って言うか、俺しか居ないだろうし。ってなると、
「ところで、入らんのか?」
「あ、うん。入るよ」
俺は小屋の扉を開けて、中へと入る。中は意外にも若干整理されていて、割れて床にある筈のガラスの破片は無かった。明らかに掃除がなされたという証拠だろう。
そして、テーブルの上には白い封筒が一つ置かれていた。手に取って、裏面を見てみると、『ルドガーくんへ』と書かれていた。そして、封筒には赤い封蝋がされていて、七芒星が
「ふっ……ぐ………か、固い……ひ、開け!ふんっ!………」
俺はこれでもか!というくらい力を込めて、無理矢理開けようとするが、ビクともしない。見かねた祖父ちゃんが俺からヒョイと封筒を取り上げる。
「うーーむ………ふむ、ちと特殊な封じゃな。ルドガーよ、この七芒星の中央に
「
「いいから、やってみれ。ほれ」
「えっと……こ、こう?……………うおっ!!?ツタが!!」
俺は言われた通り蝋封に
何で植物だと簡単に剥がれるんだ?って、これからは多分一々気にしてられないんだよな。慣れて行かないと……
「お、取れる」
俺は中から一枚の便箋を取り出す。だけど、ぶっちゃけると俺のこの国に関しての知識は年相応なわけでして……何が言いたいかというと、漢字があまり読めません。仕方がないので、祖父ちゃんに読んでもらう事になった。
――『ルドガー君へ。まず君には謝らせてほしい。結果的に僕らは自分たちのために君を利用するような形になってしまった。その事について謝罪したい。それと、もう一つ。ありがとう。
君のおかげで僕とクレーリアは命を繋ぐことができた。きっと君が居なければ、僕らは命を落としていただろう。
そのお礼としては不十分かもしれないけど、その小屋は君の好きに使ってくれて構わない。寧ろ、そうしてくれた方が僕たちは嬉しい。その小屋の周囲には「迷わしの結界」と、「人払い」の結界が張ってある。精霊に好かれている君以外では近付けないだろう。
それと、小屋の中にある君が使った救急箱に一つだけだけど、特別なものを入れておいた。もし何かがあった時は、それが君の命を救ってくれることを願っている。
あと一つ、僕の使っていた、折れてしまった聖剣を君に託す。折れてしまったとはいえ、あれには聖別された希少な鉱石が混じっている。使いようによっては大いに役立つこともあると思う。小屋の戸棚の裏に隠してあるので、必要であれば使って欲しい。
長々となってしまったが、最後に一つだけ。これから君には色んな出来事が振りかかるだろう。けど、僕もクレーリアも君がそれを乗り越えてくれることを祈っている。
ありがとう』
祖父ちゃんが読み終わった後、手紙はボゥっと燃えて灰になってしまった。
「ふむ、証拠は残さんという訳かの。理には適っておるが……」
「…大丈夫だよ、祖父ちゃん。その手紙があると、正臣さんもクレーリアさんも困っちゃうんでしょ?」
「……まぁの」
俺はテコテコ歩いて、戸棚の横に立つ。そして裏を覗いてみると、確かに何か光る物があった。俺が手を伸ばそうとすると、戸棚が前に動いた。祖父ちゃんが取りやすいようにと、戸棚を動かしてくれたようだ。俺は体ごと戸棚の裏に入って、折れた二本の聖剣を拾い上げる。
「……うーむ、見た事無い聖剣じゃのぉ。おそらく無銘の聖剣じゃろうが……むぅ、中々いい素材は使っておるようじゃの」
「へぇ……」
俺は改めて自分の今持っている聖剣に目を落としてみる。そんな特別な感じはしないんだけどな。っと、あと救急箱だっけ?俺は救急箱をガサガサと漁って、目ぼしきものを見つける。
その後、俺と祖父ちゃんは小屋を後にした。
さてさて、序章も終わりが近づいてきました。この章もあと一話です。その後は速攻で本編に飛びます!
では、また次回!