で、今日の投稿は一旦ここまでで・・・いい加減眠いんで・・・
では、どうぞ!
――ルドガーside
「うぐ……ゆ、指が…肩が……」
「大丈夫、ルー君?さすがに三つも一気に作るのは……」
「だ、大丈夫。それに、何とか間に合ったし…うー、いたた…」
俺は指先や肩を擦って、痛みを和らげようとする。俺の手元には三つの羽根飾りがあった。それぞれ青、赤、黄の三色だ。それぞれの色の羽根が三枚付いていて、三枚を接合している部分には聖剣の欠片を填め込んである。実は持ち帰った聖剣の壊れていた部分は結構脆くなっていて、家に帰って床にポンと置いた拍子に、幾つかは欠片となって欠けてしまった。正臣さん、本当にすみません!!
んでもって、羽根飾りに話を戻すけど、この作業意外と疲れます。特に羽根を傷つけないように留め具にくっ付けたり、その前には羽根同士がバラバラにならない様に、糸を通したりと、結構細かい作業が多い。
俺と
どうにも、居留守を使われてる気がしないでも無いが、仕方がない。あの二人は本当にまだ年相応だろうし。で、暇だった俺は、何か出来ないかと思って、母さんに相談したところ、北欧の方に伝わるお守りを贈ってみたらどうかと言われ、早速作業に取り掛かったという訳だ。
で、一夜明けて、早朝から母さんにも手伝ってもらい、ようやく完成。はぁ……マジで手が痛い。
今日はいよいよ引っ越し当日。もう既に荷物は運び出されていたみたいで、昨日の時点で家の中は殆ど、ガランとした状態だった。
因みに、兄さんは昨日まで友達と遊んでいたらしい。戻ってくると約束したとはいえ、一緒に居れる内は、同じ時間を共有したいとの事。何だか、兄さんらしいなと思う。(因みに、俺は相変わらず兄さんの友達にはオモチャにされました……)
「コーネリア、ルドガー!そろそろ出るぞ」
「「はーい」」
玄関先から父さんの呼ぶ声が聞こえる。羽根飾りをカバンに入れ、母さんに手を引かれるまま外に踏み出す。
外にはワンボックスカーが待機しており、既に祖父ちゃんと婆ちゃんは乗ってるみたいだ。その傍には、父さんと兄さんが立っていて、周りの人に挨拶している。外には商店街の人たちも来てくれていて、先頭にはソニア
さらにその後ろには、俺が怪我をするたびにお世話になったマティス治療院のディラック先生と、子供を両腕で抱えたエリン先生が待ってくれていた。
「ルドガー、やっと出てきたかい!ほら、コレ持って行きなさい!アンタの方のメニューだから」
俺はソニア
「あんたとユリウスはウチの門下生第一号なんだから、戻ってきたときに弱くなってたらタダじゃおかないよ?」
「「う……はい…」」
「はっはっは!ソニアはこう言っているが、二人とも体には気を付けてな。また戻ってきたら、ウチの店でご馳走しよう」
「ホント!?」
「あぁ、もちろんだとも!」
うん、ウォーロックさんの飯は本当に美味いからな。今から楽しみだ!
「……ユリウス、ルドガー、怪我だけはしないようにな。向こうで怪我をしても私は治しに行けんからな」
「はぁ……この人はこう言ってるけど、何かあったら何時でも連絡してくれていいのよ?二人は当院のお得意様なんだしね。それと、戻ってきたときに、またジュードとも遊んでくれると嬉しいわ」
「もちろんですよ、エリン先生。それまでに大きくなってろよ、ジュード」
「じゃあね、ジュード」
俺と兄さんはエリン先生の腕の中で眠るジュードに声を掛ける。俺も兄さんも頬を軽く突っつくが、まるで起きる気配がない。
と、俺はキョロキョロ辺りを見回して、二人の姿が無いのを気にする。それに気付いたのか、イッセーの母親が前に出てきて、話しかけて来てくれた。
「ごめんなさいね、ルドガー君。ウチの子も紫藤さんのとこの子も来てないみたいなの。朝から見当たらなくて…」
「そう…ですか……」
何気に俺はショックだった。まさかここまで拒絶されるとは……
まぁ、落ち込んでも仕方ないんだけどさ。俺はカバンを漁って、二つの羽根飾りを取り出した。片方は赤で、片方は黄の羽根飾りだ。
「じゃあ、これをイッセーとイリナに。こっちの赤いのがイッセーで、黄色いのがイリナの方」
「これを渡せばいいの?」
「うん、北欧に伝わるお守りなんだって」
「分かったわ。ちゃんと渡しておくわね。ルドガー君も体に気を付けるのよ?」
「うん、ありがとう」
俺達はワンボックスカーに乗り込む。窓を開けると、色んな人が手を振って別れの言葉を掛けてくれた。惜しむように、車の速度はゆっくりと加速して行って、あっという間に見えなくなってしまった。………正直、今結構ぐっと来てるんで、話すのもキツイです。あそこの人たち本当にいい人達過ぎて、泣きそう……
と、家の前から離れて、少し進んだ時だった。俺やイッセー、イリナがよく遊んでいた公園に差し掛かって、急に車が急停止した。
「う、ぐぐ……ビズリー!お主、儂を急ブレーキで殺す気か!?シートベルトが食い込んだわ!」
「北欧の主神が、その程度で死ぬことは無いでしょうに」
「なんじゃと!?」
「それよりも、ルドガー。一旦降りて、最後に見てきたらどうだ?」
「え?」
父さんは公園の方を指さしていた。俺は窓から頭を出して、よく見てみると遊具の上に仁王立ちするイッセーとイリナの姿があった。
……はい、仁王立ちです。何をやってんだ、あいつら…
「…はぁ、まったく。普通に見送りに来てくれればよかったのに」
「行かないのか?」
「……ううん、行ってくる。ありがあとう、父さん」
俺はワンボックスカーのスライドドアを開けて、遊具の下へと駆ける。顔を上げ、仁王立ちをしている二人に俺は声を掛ける。
「何をやってんだ、イッセー、イリナ?」
「……行くぞ、ルドガー!」
「覚悟!」
「は?…うおっ!?………んがっ!!?」
二人は遊具の上から飛び降りたと思ったら、まずはイリナがラリアットをかましてきた!俺は体を大きく逸らして避けたが、体勢を戻すと、今度は目の前にイッセーの頭があった。避ける事は出来ず、俺とイッセーの額は同時にぶつかって、ガツンッ!という音と共に衝撃と痛みが走る。……い、石頭め。
その衝撃に抗い切れず、俺はフラフラとそのまま尻餅をついてしまう。
「い、痛っ~~~~!!イ、イッセー!お、お前、急に何すんだ!!」
「い、一本だ!!……とと」
はぁ?イッセーが人差し指だけ立てて、俺に向かって叫んだ。って、あいつもフラ付いてんじゃないか!
「う……い、いた……と、とにかく、一本取ったからな、ルドガー!悔しかったら、絶対にやり返しに戻ってこい!!」
「……っ!」
……なるほど。これは、イッセーやイリナなりの別れの挨拶ってところか。そっか……最後の最後で、イッセーから一本取られちまったか。
「は、はは!涙目になってるくせに言ってんだよ」
「な、涙なんか出てねーし!!そういうルドガーだって、ずっと頭抑えてんじゃないか!」
「イッセーが石頭だからだろ!」
「うっさい、ヨワヨワな頭してるくせに!」
「もーー、二人とも、そこまで!!」
イリナが仲裁に入る。はは、これとも暫くお別れか。
「……分かったよ、イッセー。一本、お前に預けておく。絶対にこの一本返してやるからな?」
「おう!俺だってやられっ放しじゃないからな!」
「ちょ、ちょっと!仲間外れにしないでよ!!」
イッセーもイリナもニッと笑う。俺も笑う。
俺はこの日、イッセーに初めて一本を取られた。イッセーから餞別を受け取ったんだ。俺はこの日、生まれ住んだ国を離れた。