投稿に間が空いて申し訳ない!
今回から、本編スタートです!と言っても、原作二巻からですけど。
さて、ではスタートです!
帰国しました!
――ルドガーside
「んん………はぁ~~……飛行機キツかったぁ……」
伸びをして、少し首や肩を動かすとゴキゴキと体中が声を上げる。時間にして約半日。さすがに狭い飛行機の中では、体を動かせないしな。エコノミーシートだとそうなるのも仕方ないな。ファーストクラスとかビジネスクラスは何やかんや高いし……っと、そうだった。
「えーと……あ、母さ――」
キィーーンと、エコーが聞こえそうなほどの大声が響く。俺は片手を頭に当てながら、通話口の向こうに居る自分の母に、一旦落ち着くよう話すと、向こうを出る時の事を思い出す。本当大変だったよ、この人の説得は……
「だから、大丈夫だって!自炊だってちゃんと出来たし、問題なかっただろ?…………うん、うん。分かってる。………分かってるってば!じゃあ、もう切るからな?……はぁ」
俺は溜息を一つ吐いて、もう一度自分の生まれた土地の空を見上げる。うん、どこでも空は青いな。当然だけどさ。
「さて、と。迎えを寄越すって、言ってたけど。誰が来るんだか」
「あの…すいません」
「ん?」
背後からの声に振り返ってみれば、一人の少年が立っていた。歳は中学生くらいだろうか?黒髪に、少し吊り上った目。昔見た事が有るような気がして、一瞬ズキリと、頭が痛むが、それに耐えて改めて自分よりも年下であろう少年を見る。
「えっと、俺でいいのかな?」
「はい。つかぬ事お伺いしますが、ルドガーさん……ですか?」
「あぁ、そうだよ。もしかして、迎って君か?」
「はい、僕とあとオジサ――ウォーロックさんです。それに、車にはレイアとアグリアって子も。僕は、探して来いって言われちゃって」
「へぇ…!ウォーロックさんが迎えに来てくれたのか!!それに、レイアとアグリアもか!うわぁ、12年振りくらいだなぁ!……ん?って事は、もしかして…」
「あぁ、そうでした。僕はジュード・マティスです。記憶には無いんですけど、お久しぶりです、ルドガーさん」
俺の帰国を出迎えてくれたのは、遥かに成長したジュード・マティスという少年だった。
◇
「いやー、ルドガー君がまさかこんなに大きくなってるとはなぁ!お兄さんやご家族は、一緒じゃないのか?」
今現在、車にて空港から移動中。運転手はウォーロックさんで、俺は助手席に座らされている。
「えぇ、まだ向こうでの仕事が片付かないって話で。父さんの仕事に、母さんも兄さんも付き合わなきゃって話だったんで、俺だけ先に来たんですよ」
「今じゃ世界的な大企業だもんなぁ。まぁ、ルドガー君がコッチに居た頃から結構大きかったんだけどな、はっはっはっ!」
そう、実は俺の両親、というか父さんは現在社長やってます、はい。っていうか、俺が子供のころからだったらしい。そりゃ、家も大きい筈ですよね!俺もさすがにちょっと大きいなぁとは、思ってたよ?一応。
今じゃ色んな会社取り込んだり、統合したりで、世界でも有数の大企業になってしまった。基本的には通信インフラ関連の会社だったらしいんだけど、その端末開発やら技術開発やらやってたら、あれよあれよと事業を拡大して行って、大企業に成り上がった。まぁ、若干バックに北欧の主神様とか、他の神格クラスの存在がチラついたりもしてるんだけどな。
「へぇ、って事はこの兄ちゃん、お坊ちゃんって事かぁ?レイア、玉の輿狙えよ。玉の輿」
「もう!!アグリア!!そんな言葉遣いしてたら、またお母さんに
「まぁまぁ、二人とも」
「ははは、三人とも元気みたいで安心しました。レイアの発言を聞く限り、ソニア
「ああ、もちろん!ただなぁ……」
「「「あぁ~~……」」」
「ん?」
ウォーロックさんが口籠ると、他の三名――ジュード、レイア、アグリアが疲れたような声を上げる。
「えーーと……どうしてこんな空気になってるんですか?」
「いや、弟子一号の片割れが帰って来るって、ここ数日張り切っててなぁ…」
「…………すみません、北欧の方に帰っていいですか?」
俺がそう言った瞬間に、バッと俺の肩を抑える手が三人分伸びてきた。当然、後部座席に座る少年少女たちだ。
「まぁまぁ、ルドガーの兄ちゃん。折角帰国したんだしさ。師匠である母ちゃんと積もる話もあるだろ?」
「そうだよ、ルドガーさん。お母さん凄い楽しみにしてたからさ。一杯話し相手になってあげてよ!」
「そうそう!レイアとアグリアの言う通りですよ!僕からもお願いします!」
「嫌じゃーー!!お前ら完全に俺をソニア
俺はガチャガチャとシートベルトを外そうとするが、ビクともしない!?何だこれ!!?俺の力って結構強い筈なんですけど!?
「ふっふっふ、ようやく気付いたね、ルドガー君?実はそのシートベルトは今日のために、改造に改造を重ねておいたんだよ。成長した君やユリウス君の捕獲用に改造してある……逃がさないよ?」
「何本気でシートベルトを魔改造してるんですか!?ってか、本当に取れないんですけど!?」
「安心してほしい。家に付いたら、鍵があるから」
くっ、完璧に逃げられない!あーーーー!!
……諦めよう。だって、この人たち目がマジだもの。俺はドナドナされる気分のまま小一時間ほどのドライブを楽しみました。
って、楽しめるわけあるかあぁぁぁぁぁぁぁ!!!
◇
「……助かった」
俺は12年振りくらいになる自宅の前で疲れ果てていた。もう、ね……
車から降りるなり、ウォーロックさん、ジュード、レイア、アグリアの四人にシートごと固定されたまま道場に放り込まれ、そこに待ち受けていたソニア師匠と少し話したと思ったら、『軽い』稽古をつけて貰った。
はぁ……おかげで、あちこち生傷だらけになった。まぁ、稽古後に12年越しになるけど、約束通りウォーロックさんの作った昼食を食べられたのは収穫だったけどさ。
「さて、と。もう来てるかな?」
俺は久方ぶりの家の扉を開け、玄関へと入る。鍵は既に空いていた。まぁ、合い鍵を渡しておいたしな。中に入ると、人が長年使わなかったとは思えないほど、綺麗な廊下が出迎えてくれた。埃一つ舞う事がない。早速リビングから気配を感じるな……
俺がリビングに入ると、ソファの上に誰かが腰かけているのを見つける。
「……随分寛いでるみたいだな」
「まぁね。だが、掃除はしておいた」
「どうせ、お前じゃないだろ?」
「はは、よく分かったじゃないか。知り合いに腕のいいメイドが居てね。彼女に頼んだんだ」
「……で?ここに来た目的は?」
「まぁ、報告も兼ねてね。君の言っていた瘴気の件だが、やはり鍵は天界にありそうだ。まぁ、近々ある変革が起こるだろうから、そこで情報は得られるんじゃないかな?………ところで相変わらず俺のところに入るつもりは無いのか?」
「あぁ、入る気はないな。それに、違う場所に居る協力者っていうのは必要だろ?」
「関係ないね。俺にとってはどこに誰が居ようと関係ない」
「だからこそ、俺はそっちに行かないんだよ」
「………まぁ、いいさ。互いに協力体制を敷いている事だしな。だが、時が来たら協力してもらう」
「……あぁ、分かってる。お前の――には必ず協力するさ」
「それが聞ければいいさ。俺も――を疑いたくも、失いたくもないしな」
ソファの上に居た筈のそいつは、その場から空間転移の魔法を使用して消えた。
……って言うか、使ったコップくらいは片せよ!!
「はぁ……ま、本当にだいぶ片付いてるみたいだから、こんくらいなら良いけど。……っと、確か今日だったか。あの学園の悪魔は……確か元七十二柱の内の家だっけか。まぁ、顔合わせくらいは、やっとかないとか。後々面倒になりそうだし」
俺は腕時計の時刻を確認する。時刻は午後三時少し過ぎ。多分ちょうどいい時間帯だろう。服は……まぁ、制服がないし私服で勘弁してもらおう。
俺は大きめのスーツケースをリビングに置くと、もう一度外へと向かう。目的地は近所にある初等部から大学までを揃えている巨大な学府であり、俺が編入する事になった駒王学園だ。
――side out
――匙side
「会長、一体今日は何で休日なのに登校しなきゃならなかったんですか?」
はぁ~~、会長は今日もお美しいなぁ……俺からしたら、会えるだけでも嬉しいんだけど、まぁ俺も多感な男子高校生なわけですからね?こう…一人で使いたい時間もあると言いますか……
「匙、聞いてなかったんですか?」
「えぇっと?………もしかして、一昨日あたりに言ってた転校生がどうのってヤツですか?」
「えぇ、そうですよ。今度の転校生は普通ではありませんから。こちらも相応の礼節を以って、応対しなければなりません」
「あのー、その普通じゃないっていうのは……」
「……くれぐれも、失礼の無いようにするんですよ、匙」
ノーコメっすか!!?今度来る転校生って何モンなんスか!!?
そんなこんなを話していると、コンコンっと、扉をノックする音が聞こえた。
――side out
――ルドガーside
………迷った。俺が子供のころから時々目にしてきた学園だけど、前よりも若干規模が大きくなっていた。そりゃ迷うわな。しょうがないよ。
それと、俺としては現在の状況は望ましくない。と言うのも、休日だと言うのに部活の為に登校したと思しき生徒たちの、注目の的なんだよな。
その理由の一つとしては俺の髪色だろう。基本黒髪である日本人の中では目立ってしょうがない、白に黒のツートンカラーだ。それに俺はバリバリ私服なわけでして……
「はぁ、居辛いなぁ………ん?」
クイクイと後ろから服を引かれ、俺は振り返るがそこには誰も居なかった。と、少し目線を下げれば、やけに小さな女の子が居た。小学生か?白髪に、多分この学園の制服と思しきものを着用している。
「えっと、何かな?」
「もしかして、お困りですか?迷ったとか」
「あー、はっはっは………はい、迷子中です」
「……案内しましょうか?」
「え、いいの?」
「はい。丁度今は、少し暇なので。それに……」
「それに?」
「……いえ、多分気のせいなので、何でもないです。それで、どこへ案内すればいいですか?」
「あ、あぁ、生徒会の人たちの居る場所へ行きたいんだけど」
「分かりました。じゃあ、付いて来てください」
「うん、そうさせてもらうよ。あぁ、そうだ。俺はルドガー・ウィル・クルスニク。君は?」
「塔城小猫です。小猫でいいです、ルドガーさん」
◇
小猫ちゃんに生徒会室まで案内してもらって廊下で別れた。何でも、部活の方に行かなければならないとの事。何でも最近入った先輩を見張らないといけないらしい。大変だね、と同情したら、物凄い疲れた顔をされた。一体その先輩、何者なんだよ……
コンコンと、俺は扉をノックする。中からは女性のものと思われる声で、「どうぞ」と許可を得る。さてさて、少し調子を変えないとな。一応は父さんの名代って事にもなってる訳なんだし。
「失礼します」
そこに居たのは、男女合わせて8人の少年少女だった。俺と歳は変わらないくらいか?にしても、まさかこれが全部、ねぇ……居る所には居るもんだな。
室内の一番奥の席に座る少女が口を開く。この学園の制服に、肩までで切り揃えた黒髪に、メガネを掛けた少女だ。少し視線がキツメに見えるが、全体的に見て美少女と言えるだろう。思わず見惚れてしまいそうな美貌が彼女にはあった。
「お初にお目見えしますね。ルドガー・ウィル・クルスニク君。私はこの生徒会会長を務める
「……初めまして、支取会長。それとも、シトリー家のファミリーネームでお呼びした方がよろしいですか?」
俺がそう言った途端、ザワリとその場の空気が少し変わった。え?俺の口調が違うって?これは人外を相手にする用なんです。まぁ、結構便利なんだよな、コレ。こういう口調だと、そこまで酷く舐められることは無いんだよ。
「皆、鎮まりなさい。ルドガー君は、こちら側の人間です。いちいち騒ぎ立てない様に」
ピシャリと他のメンバーを窘める様に、一喝する。へぇ、この辺はさすが良家のお嬢様ってとこだなぁ。カリスマ性が違う。
「失礼。そちらの眷属の方々を刺激してしまったようですね」
「いえ、問題ありませんよ。こちらこそ、この程度の事で狼狽える様では、教育不足ですね」
キッと会長さんに睨まれたメンバーは黙りこくる。ぶっちゃけ怖いよ、その目は。……と、本題本題。
「それより、本題に話を移しても?」
「えぇ、そうですね。時間とは有限なものですし」
「まったくですね。ではまず、この学園への転校を許可してくれた事に感謝します。それと、そちらの内情について教えていただきたい」
「……内情、とは?」
「他の悪魔の方々とも顔合わせをしておきたいのです。校舎内で、バッタリという間抜けは避けたい」
「確かに、そうですね。丁度いい機会です。私のところも新顔が増えたので、向こうに紹介しようと思っていた所です。椿姫、匙、付いてきなさい」
「はい」
「は、はい!」
「一体どこへ?」
「私たちは言うなれば、学園の表向きの顔です。そしてこれから向かうのが裏向きの顔である、オカルト研究部です」
俺は彼女らに引き連れられる形で、生徒会室を後にする。って言うか、今気付いたけど、これって高等部の制服なのか。って事は、もしかしてさっきのって、小学生じゃなくて……
――side out
――一誠side
パリィン!!
「うおっ!?こ、小猫ちゃん!?どうしたんだよ、いきなり!カップが粉々じゃんか!」
「……いえ、なんか今すごく不快な感覚が……イッセー先輩ですか?」
「冤罪だ!!」
・・・最近暑いすなぁ・・・
読者の方々もご注意ください!熱中症、日射病、夏バテetc...
さて、今回は帰国したところまでですね。イッセーとの再会は次回です!ではでは