H S DX2D   作:メラニン

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知識って大事ですよね。まぁ、本来はその知識を活かす知能がないと意味ないわけですが・・・


さて、イッセーはどうなんでしょうか?って事で、どうぞ!


修行と勉強!

 

 

――ルドガーside

 

 

さて、合宿初日。取り敢えず初日を終えて、夕飯と相成った。時刻は夕方の6時。俺たちは調理器具を出してきて、調理開始となった。と言っても、調理は殆ど俺一人だ。なぜかと言えば、あの後全員と代わる代わる模擬戦をひたすら行った。おかげで、模擬戦に使った場所は地面は抉れ、木々はなぎ倒され、草は焼けて、たまたま巻き込まれたイノシシは絶命し、感電した川魚は水面に浮いてきた。折角なので、それらは漏れなく夕食の素材となった。

 

 

で、模擬戦の結果。俺の全勝で終わった。

 

 

ものの見事に俺の全勝でした、はい。途中からさすがにムキになったオカ研メンバーは結構本気の攻撃を繰り出してくるまでになった。周囲の環境が犠牲になったのはそれが原因です。そんな本気の攻撃をポンポン撃つもんだから、スタミナ切れを起こすのは当然だ。結局、リアス部長に、朱乃副部長、木場とローテーションで戦って、その回復をアーシアが受け持つという役割で、ひたすら戦いました。

 

 

え?イッセーと小猫ちゃん?ずっと岩を投げてはそれを避けてを繰り返してましたよ。4時間以上ぶっ通しで。小猫ちゃんは投げ疲れて、イッセーは走り疲れたとのこと。しかも、途中でまたイッセーが何かやったようで、小猫ちゃんが激怒。より一層攻撃が激しさを増して、イッセーと小猫ちゃんが居たところも、元の原型を留めていなかった。

 

 

そんな感じだったので、体力がまだ余ってる俺が調理担当って事だ。それと、体力的にはまだ若干の余裕があるアーシアが手伝ってくれた。

 

 

んで、それを食ってもらったんだけど……

 

 

「女としては危機を感じる味ね…」

「女としては危機を感じる味ですわ…」

「うぅ……こんな複雑な美味しいは初めてです……」

「………んん」

 

 

「美味いなら、素直にそう言ってくれ…」

 

 

どうやら、俺の料理は彼女らのプライド?の様なものを傷つけたようで、作り手であるコチラとしても、ちょい複雑です。って、こんな悲しい夕飯は初めてだよ!

 

 

「んむぐんぐ………うん、うめえ!」

 

 

「うん、これは美味しいよ、ルドガー君!」

 

 

「あぁ、そりゃ良かったよ…」

 

 

ようやく出てきた素直な感想に、俺はジーンと感動する。

 

 

 

 

 

 

閑話休題。おおよそ、夕飯を食べ終えてリアス部長が話始める。

 

 

「ところで、イッセー、ルドガー君、アーシア。フェニックスのデータは見ておいてくれたかしら?」

 

 

「ええ、見させてもらいました」

 

 

「はい、私も大丈夫です」

 

 

「…データ?」

 

 

「イッセー…」

 

 

俺は頭を抱える。そういや昔からコイツ頭を使うのは苦手だったな。

 

 

「まぁ、いいわ。じゃあ、ルドガー君に聞いておきたいんだけど、今日一通り私の眷属たちと模擬戦をしてもらったけど、率直に勝てると思うかしら?」

 

 

「……勝率自体はゼロじゃないです。けど、正直言って率としては低いですね」

 

 

「それは、あなたが居たとしても?」

 

 

「はい、そりゃ勝率は上がりますけど、それでも四六……下手すれば三七ってとこですかね」

 

 

そう言った俺の言葉にイッセーとアーシアが首を傾ける。まぁ、レーティングゲームに詳しくない二人じゃ仕方がない。俺もそこまで多くは知らない訳なんだけどな…

 

 

「何で、向こうの眷属に負けないルドガーがコッチに居て、勝率がコッチの方が低いんだよ?」

 

 

「んーー……じゃあ少し聞くが、素手だけど熟練の達人と、刀を持った子供。どっちが勝つと思う?」

 

 

「そりゃ………熟練した――あ」

 

 

「気付いたか?向こうは成人していて、プロの悪魔だ。それに対してコッチは経験に乏しい未成年の素人集団。向こうからしたら、カモがネギを背負ってきたようなもんだ。つまりレーティングゲームにおいては、向こうが一枚も二枚も上手(うわて)だ。まぁ、レーティングゲームの種類にもよるから、一概には言えないが向こうには一日の長がある。勝率を低めに言ったのはそういう事だ」

 

 

「む……」

 

 

「もうちょい具体的に言うと、例えばそれぞれから該当する『駒』の眷属を出して、1対1で戦闘を行うタイプとかだと、俺だけが勝っても意味がない。他にも、広すぎるフィールドで電撃戦(ブリッツ)で攻められれば、集結するのに時間が掛かって、それぞれのフォローが間に合わない、とかな」

 

 

「………だいたい分かってきた。そう考えると、誰か一人が強いだけじゃダメなのか」

 

 

「そう言うこと」

 

 

一旦話し終えた俺は、朱乃副部長が淹れてくれた食後の紅茶を一口飲んで一息つく。うん、美味いなコレ。部室で出されたやつも結構美味しかったし。

 

 

「………まぁ、いいわ。取り敢えず、初日はこれで抑えておきましょう。本格的なトレーニングのスタートは明日からよ。いいわね、皆?」

 

 

「「「「「はい、部長」」」」」

 

 

俺のみコクリと頷いて、他は同意の声を上げた。いや、俺ってそもそも未だに転校すらしてないから、『部長』と呼ぶのには少し抵抗があるんだよな……

 

 

まだ、所属する部活とかも決めてないし。

 

 

とにかく、この日は初日という事でそのまま終了という事に。その後、入浴の時間ではイッセーの覗き騒動で、一悶着あったのはまた別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合宿二日目。今日以降はそれぞれの力を伸ばすため、個別でトレーニングを行うという事になった。と言っても、俺の意見を取り入れて、なるべく実戦に近いよう模擬戦を行うというのが方針だ。

 

 

悪魔になってから長い、もしくは元から悪魔である、リアス部長、朱乃副部長、木場、小猫ちゃんはローテーションしつつ、模擬戦ということに。

 

 

山の中からは爆音や、金属音、轟音、雷の落ちる音が引っ切り無しに響いては山のアチコチで戦闘の音が響いている。

 

 

で、俺はイッセーの専属だ。さらに、回復役としてアーシアを配置。アーシアも神器(セイクリッド・ギア)を使いまくって、神器(セイクリッド・ギア)の能力の向上を図るのが目的でもある。

 

 

そして俺の役割は――

 

 

「刹牙!!」

 

 

「がぐっ、うっ!?」

 

 

下段、中段、上段の順で三連撃の蹴りを叩きこんで、最後の上段の蹴りで、イッセーは宙に浮く。当然、そんなんじゃ終わらせない!俺は手に持った二振りの木剣を改めて握り直し、次の攻撃に移る。

 

 

「双衝!」

 

 

「がふっ!」

 

 

飛び膝蹴りで、さらに浮かせて宙にいるイッセーに上から左手の木剣で叩きつける様に斬り付けて、着地した瞬間に右手の木剣で腹部を突いて吹き飛ばす。イッセーはドシャっと、背中から落ちて、腹部を抑えて蹲る。

 

 

「ぐ……ぅ…げほげほっ!」

 

 

「すぐ回復!」

 

 

「は、はい!」

 

 

俺の言葉に、一瞬ビクリと身を竦ませたアーシアだったが、すぐさまイッセーの元に駆け寄る。アーシアの神器である『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』は回復系の神器(セイクリッド・ギア)だ。両手の指に填まった指輪の形状で、淡い緑色の光が灯ってしばらく経つとイッセーが起き出してきた。

 

 

「ぐ…い、いってえぇぇ……」

 

 

「ま、まだダメです、イッセーさん!あと少しで治療が終わりますから!」

 

 

「つつ…悪い、アーシア。時間が無いんだ。……さぁ頼むぜ、ルドガー。もう一本だ」

 

 

今日の鍛錬が始まって、俺は自分でもやり過ぎていると思うくらい、イッセーを既にボコボコにしている。だけど、コイツの目には諦めという感情は宿っていない。

 

 

はは、本当にこいつは…

 

 

「おう、いつでもいいぞ。掛かってこい。せめて俺に一撃入れてみろ」

 

 

「上等だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……ま、まだま…………ぐふ」

 

 

「イ、イッセーさあぁぁぁん!!」

 

 

「…………ふぅ」

 

 

結局イッセーの鍛錬は休憩も少し挟みつつも一日ぶっ通しで実施した。こりゃ、多分明日は動けないな。俺もさすがに疲れたし。

 

 

けど、生身では以前より大分動けるようになったはずだ。これでようやく最低レベル。こっから如何にしてその先へ持って行くか……

 

 

まぁ、考えはあるんだけど。とにもかくにも、今は倒れたイッセーの回復をしないとか。

 

 

「う……」

 

 

「無理するなよ、アーシア。ずっと神器(セイクリッド・ギア)を使い続けたんだし、キツイだろ?少し休んで――」

 

 

「い、いいえ!イッセーさんが怪我をしてるなら、絶対に私が治します!そう決めてるんです!ちょ、ちょっと疲れてるくらいでは……」

 

 

そう言って、『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』で回復させようとするが、その光も酷く弱弱しいものになっていた。……はぁ、仕方ない。

 

 

「……『統べる精霊の玉座(スピリット・ギア)』」

 

 

俺は右腕に幾重にも歯車が折り重なったような、奇妙な機械仕掛けの腕輪を発現する。中心には小さな金色の時計が填まっている。――『統べる精霊の玉座(スピリット・ギア)』。俺の神器だ。因みに、この呼称は婆ちゃんに付けてもらった。名は体を表す、って事で色んな名称が考えられたんだけど、婆ちゃんが考えたものが採用されたわけだ。

 

 

「……ルドガーさんも、神器(スピリット・ギア)保有者だったんですか?」

 

 

「あぁ、そうだよ。あんま表に出すなって言われてるけどな」

 

 

苦笑いを浮かべつつ、俺もイッセーの傍に屈んで手をかざす。すると、右腕の周りが光り始めて、その光が今度はイッセーの体全体を、覆っていく。アーシアのものより光量は控えめだ。

 

 

「あの……これは?」

 

 

「俺が出来るのって、周囲に居る精霊にちょこっと手伝ってもらう事なんだよ。精霊って言っても色んなのが居てさ。今はイッセーにくっ付いてるのを俺の力を使って活性化させてる状態だな。これで自然治癒力は高くなる」

 

 

「ほわぁ……そんな事が出来るんですね」

 

 

「そういや、少し気になってたんだけど、イッセーの治療ついでに聞いてもいいか?」

 

 

「はい、何をですか?」

 

 

「イッセーの奴が、アーシアを助けたっていうのは聞いてるんだけど、どういう経緯だったのかと思って。あ、言いたくなければ言わなくていいんだけど」

 

 

正直、これを聞くのは少し遠慮する部分があった。アーシアが昔教会から追放されたという話だけは聞いてたからな。その部分を突っついてしまうんじゃないかと思って、聞けないでいた。そういう意味ではイッセーに聞くのは少し違うと思ったしな。本人の了承が得れれば、まぁ……

 

 

「いえ、全然かまいませんよ。えっと……私がイッセーさんに助けられた経緯を話せばいいんですか?」

 

 

「軽っ!いや、まぁいいんだけど………えと、そうだな。一応コイツとは幼馴染だから、ちょっと気になるんだよ」

 

 

「はい、では僭越ながら。そうですね……では、まずは私とイッセーさんが出会ったところからですね」

 

 

そこから話されたのは、イッセーがどのようにしてアーシアと出会い、どうしてアーシアが一度は死んでしまい、そしてイッセーがどうやって救ったかだった。

 

 

どうやらアイツは、悪魔にとっては天敵でしかない堕天使の光の槍を受けたらしい。それでも、アーシアを捕えていた堕天使を自分の力で吹き飛ばしたとのこと。どうやら、ちゃんと『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』が発現したのはその時だったらしい。

 

 

「……はは、その部分は相変わらずみたいだな」

 

 

「昔からイッセーさんは無茶をする方だったんですか?」

 

 

「あぁ、こっちがヤメロって言ってもヤメやしない。自分の方が弱くっても立ち向かって行っちまうんだ」

 

 

「……私はイッセーさんのそんなところに救われました。でも――」

 

 

「ああ、そうだよな。やっぱそこが心配になっちまうんだよな」

 

 

「えぇ、そうなんです。ふふ!ルドガーさんとは良いお友達になれそうです」

 

 

「あぁ、俺もそう思う」

 

 

「ん……んん?…んあ?」

 

 

イッセーが目を少しシバシバさせながら起き出した。んで、しばらく俺とアーシアの顔を交互に見たと思ったら、俺を指さして寝ぼけたままの頭で、あり得ない言葉を絞り出した。

 

 

「ルドガー!アーシアはやらねえぞ!?」

 

 

「……何を言っとるんだ、お前は」

 

 

「そ、そんなイッセーさん、ル、ルドガーさんの前で恥ずかしいです……」

 

 

そして、アーシアさん?モジモジしないで?見てるコッチが恥ずかしいから。

 

 

「ぐぅ…」

 

 

「寝た!?」

 

 

やはり、イッセーは限界だったらしくプツリと糸が切れたように、後ろに倒れ込んでイビキをかいて再び寝始めてしまった。俺とアーシアは目を合わせて噴き出してしまう。その日の鍛錬はそこまでという事になった。

 

 

屋敷に帰ったら帰ったで、ボロボロになった他のオカ研メンバーの治療にアーシアは引っ張り出されて、この日は全員が疲れ果てて、泥の様に眠っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合宿三日目。この日は昨日の疲れが全員に残ってしまい、本格的な鍛錬ではなく、作戦会議の様な一日にするとのこと。リアス部長は朝食を摂ったあと、自室でひたすらゲームの過去のデータや、あらゆるプレイヤーが取ってきた戦術などを学ぶために、資料の山に飛び込んでいった。朱乃副部長と小猫ちゃんもそれに付き合うようだ。木場は精神統一して、もっと剣技に磨きを掛けたいとの事。

 

 

で、俺とイッセー、アーシアは俺を講師に据えて勉強会だ。当然、ゲームや力の使い方に関してだ。

 

 

「――と、この様に魔法と言ってもその技術体系は様々で、精霊の力を借りる精霊魔法、事前に道具に文字を刻印して使用するルーン式などなど、神話体系やその土地に密着した形になったり、それによって特性も魔法自体の威力も、魔力効率も様々な形になる。その中から自分に合ったものを選んで極めるってのが、一般的な魔法の基本だな。ここまではいいか?」

 

 

「………」

 

 

「はい!」

 

 

うん、アーシアは流石、幼いころから色々と関わりを持っていただけはあるな。理解が早い。で、一方のイッセーは頭から湯気を上げている。はぁ……

 

 

「る、るーん式?魔術刻印…方陣の規則性?…悪魔文字…せいず式?降霊術…召喚魔法、黒魔術、白魔術?」

 

 

あー、ダメだこりゃ。

 

 

「まぁ、イッセーの場合悪魔の子供よりも魔力の総量が少ないって話だから、今話した魔法は全然使えないんだけどな」

 

 

「な、なんじゃそりゃーー!!?」

 

 

「そりゃ、そうだろ。俺だって聞いた時は耳を疑ったわ。普通なら転生した時に、最低限の魔力が宿るはずなんだよ。なのに、お前の場合……ぷっ」

 

 

「あ、ムカつく!」

 

 

「くくく……ま、魔方陣で、転移するだけの魔力もないから、未だにチャリンコで、わざわざ契約取りに行ってるんだって?……く、くく…あ、悪魔が夜の街を………チャ、チャリンコで…ぜ、全力疾走って……ぷ、あはははははははははははは!!や、やばい!ツボった!は、ははははははは!!」

 

 

「くっそー!魔力格差なんてクソッタレじゃあぁぁーーー!!」

 

 

「だ、大丈夫ですよ、イッセーさん。よしよしです」

 

 

落ち込むイッセーにアーシアが宥めるようにして、頭を撫でている。

 

 

「う、うぅぅ……俺、アーシアみたいな幼馴染が欲しかった。こんな鬼みたいな幼馴染チェンジで」

 

 

「……いい度胸してんな、お前」

 

 

「事実だろぉ?俺の気にしてることズケズケと……うぅ」

 

 

「………はぁ、分かったからイジケルナ。別に魔法が使えないからと言って必ずしも不利になる訳じゃない」

 

 

「え!?」

 

 

ガバリとイッセーは顔を上げて、信じられない様な目で俺を見る。

 

 

「はぁ……例えば一昨日の夕飯のときに、俺も兄さんも未だに父さんには勝ててないって話したの覚えてるか?」

 

 

「あぁ。あのガタイのいい父ちゃんだろ?」

 

 

「実は、父さんな、魔法関連は点でダメなんだ」

 

 

「え!?」

 

 

「まぁ、簡単な魔法は使えるぞ?魔力保有量はまぁ……最低限のレベルってとこか?一応神器(セイクリッド・ギア)保有者で、元は人間だ。それでも勝てないんだよ。俺も兄さんもな。今現在の奥の手を使っても」

 

 

「……ち、因みに、お前の父ちゃんって、どんくらい強いんだ?」

 

 

「北欧の主神相手に、娘を嫁にくれってガチの勝負しても、決着がつかないくらい」

 

 

「…………は?」

 

 

向こうに渡っている間に、当時を知る人が結構いて、俺も驚いた。その時は『神々の黄昏(ラグナロク)』が起こるんじゃないかと、危ぶまれたほどだったそうです。本当に何をやってんだか……

 

 

「因みに、その娘っていうのが俺の母さんな」

 

 

「は、はあぁぁぁぁぁ!!!??」

 

 

おぉ、驚いてる驚いてる。アーシアの方は、ポカンとしたまま固まっている。

 

 

「ま、待った!待ってくれよ、今整理するから………えっと、なんだ。つまり、ルドガーって――」

 

 

「別に神様とかじゃないぞ?北欧の主神の娘って言ったけど、義理のだよ。元は人間の捨て子だったらしい母さんを拾って、育てたんだと。まぁ、神の気まぐれってやつだな」

 

 

「「………」」

 

 

「少し話が逸れたが、別に魔法が使えなくても神様相手にケンカだって売れるって事だ」

 

 

「……もう、驚くのに疲れた。…………はぁ、けど確かにその話を聞くと、少しは希望が持てる…か?」

 

 

「まぁ、そうだろ?それに、お前の場合は本当に希望がゼロって訳じゃないしな」

 

 

「マジでか!!」

 

 

「あぁ、マジだマジ。だから、少し離れろ」

 

 

「お、おう」

 

 

俺は乗り出してきた、イッセーの頭を押して、元の姿勢に戻す。

 

 

「イッセー。お前転生するとき、『兵士(ポーン)』を8個消費したんだろ?」

 

 

「あ、あぁ、そうだけど」

 

 

「それは、何でだ?」

 

 

「そりゃ……『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』があるからで…」

 

 

「そうだ。お前の主力だろ?んでもって、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の能力はなんだ?」

 

 

「十秒ごとに所有者の力を二倍にする、『倍加』だろ?」

 

 

「あぁ、そうだ。けど神滅具っていうのは大抵、複数の能力が組み合わさってるんだよ。先に言っておくと、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』なら倍加した力を他者へと与える『譲渡』だ」

 

 

「『譲渡』……ん?何で、お前が知ってんだよ?」

 

 

「お前より、ドップリこっち側に居るんだから、情報だって多く持ってるに決まってるだろ?」

 

 

「そ、そりゃ、そうか」

 

 

「話を続けるぞ?ただ、全ての神器(セイクリッド・ギア)にはあるシステムが隠されている」

 

 

「全てのって……それって、もしかしてアーシアのにも?」

 

 

「あぁ、そうだ。だけど、このシステムは全員が使える訳じゃない。何せ禁じ手とされてるからな」

 

 

「き、禁じ手……」

 

 

イッセーがゴクリと生唾を呑む。

 

 

「『禁手(バランス・ブレイカ―)』と呼ばれるものだ。爆発的に神器(セイクリッド・ギア)の力を増幅させる奥の手だな。その名の通り、バランス――この世界のバランス、つまり理だとかルールをぶっ壊してしまうような代物だ」

 

 

「物騒すぎるわ!」

 

 

「まぁな。と言っても、『禁手(バランス・ブレイカ―)』の強弱も、神器(セイクリッド・ギア)によってバラバラだし所有者によっては大した事にならないケースもある」

 

 

「な、なんだ、脅か――」

 

 

「だが、神滅具(ロンギヌス)は当然、話が違ってくる」

 

 

ビシリとイッセーの顔が硬直する。まぁ、そりゃこんな話をすりゃな。だけど、この話はしておくべきだ。コイツ自身の為にもな。

 

 

神滅具(ロンギヌス)はどれも例外なく『禁手(バランス・ブレイカ―)』抜きにしても超強力だ。それこそ、世界の一つや二つぶっ壊しかねないほどにな。特に、イッセーの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』みたいな、何か強力な存在が封じ込められてるタイプの神器は要注意だ」

 

 

「………参考までに聞いておきたいんだけど、どうしてだ?」

 

 

「最近、何か変な夢を見たりしたことは?何でもいい。特に、お前自身に何かが話しかけてくる、とかな」

 

 

「な、何でそれを!?」

 

 

「見たんだな?そういう夢を」

 

 

「あ、あぁ。なんか炎の中にいて、でっかいドラゴンが話しかけてくるんだ」

 

 

「十中八九、赤龍帝の魂だろうな。さっきの説明の続きだが、そういう強力な存在が封印された神器は、幾重にも封印がされている。けど、そういったタイプの神滅具(ロンギヌス)の『禁手(バランス・ブレイカー)』っていうのは、それを緩めて力を引き出そうとするらしい。そういう巨大な存在の魂の力に人格ごと飲み込まれてしまうってケースで、死んだりする所有者も、過去には居たらしい」

 

 

「こ、怖っ!」

 

 

「まぁ、けど受け皿をしっかり作っておけば、多少大きな力にも耐えられる。だから、残りの期間で鍛えに鍛えて、『禁手(バランス・ブレイカー)』にも多少は耐えられるようにしておきたい」

 

 

「そ、そっか。俺が強けりゃ、使っても問題ないって事か」

 

 

「ああ、そういう事だ。だからこの『禁手(バランス・ブレイカー)』を使いこなせれば、魔力不足っていう弱点を引っ繰り返せる。使いようによっては、お前のなけなしの魔力を『倍加』して上級悪魔よりも強力な攻撃をできる可能性だってある。欲を言えば、ゲームまでに『禁手(バランス・ブレイカー)』を少しでも発動させるのが今回の目標だな」

 

 

「『禁手(バランス・ブレイカー)』、かぁ……なんかコエーけど、使いこなせれば……」

 

 

「あぁ。大きな戦力になる。……それに相手が相手だしな」

 

 

「やっぱ、強いのか?」

 

 

「まぁ、少なくともイッセーよりは。ってか、データシート見ろよ」

 

 

「あ、あー……そういや、俺のってどこ置いたっけなぁ…」

 

 

こ、こいつは……

 

 

「そういう事でしたら、丁度私が持ってますよ」

 

 

そう言うと、アーシアがゴソゴソと横に立てかけてあったトートバッグからプリント用紙の束を取り出してきた。

 

 

「お、サンキュー、アーシア!」

 

 

「い、いえ、このくらいは…」

 

 

「………へぇ~……」

 

 

「な、何だよ、ルドガー?」

 

 

「いや、べっつにー?まぁ、イッセーもアーシアみたいな気の利く子を嫁に貰ったら良いんじゃないかと思ってさー」

 

 

「はうっ!?」

 

 

「な、何言ってんだよ!!?ってか、発言が本当にオヤジ臭いぞ!」

 

 

「はぁ……こりゃ、大変だな」

 

 

「そ、そんな事より、敵についてだろ!?」

 

 

「ん、そうだな。えっと、じゃあまずデータの書いてある用紙を軽くでいいから目を通してみろよ。能力とかだけで十分だからさ」

 

 

「ああ、分かった」

 

 

イッセーが資料に目を通し終わるまで、いったん休憩となった。俺は席を立って、紅茶を淹れる事にする。電子ポットに水を注いでスイッチを入れる。その間に茶葉を探して、出しておく。ティーポットとカップを事前にティーウォーマーで温めておく。茶葉を入れて、グラグラに沸騰したお湯を注いで少し蒸らす。で、いよいよ茶こしで濾して、カップに注ごうと思ったところでイッセーが奇声を上げた。うっかり、紅茶を零すところだったじゃねえか、コノヤロー…

 

 

「うがあぁぁぁーーー!!」

 

 

「お、落ち着いて下さい、イッセーさん!」

 

 

「なんだ、どうした?」

 

 

俺は三人分の紅茶を淹れたカップをテーブルに運んで、席に付く。で、席に付くなり、イッセーに資料を突き付けられた。

 

 

「おい、見ろ!ルドガー、これ!!」

 

 

「もう見たよ。どうした?」

 

 

「こいつは、敵だ!」

 

 

「知ってるよ。今度の対戦相手だもんな」

 

 

「違う!そうじゃない!何と言うか……絶対に分かり合う事はないというか…」

 

 

「は?」

 

 

「こいつの眷属の構成を見てみろよ!!」

 

 

「だから、見たって。全部の『駒』が埋まってる。だから、数の暴力で押されない様に注意しないとな」

 

 

「そうじゃない!あの焼き鳥野郎以外、全員女の子じゃねえか!!」

 

 

「…………は?」

 

 

俺とアーシアはポカンと空いた口が塞がらなかった。ま、まぁ、確かにイッセーの言う通り、ライザー以外は女の子だけど。

 

 

「こいつ以外、全員女の子って事はなぁ……って事は……こいつのハーレムって事じゃねえぇぇかあぁぁぁ!!」

 

 

血涙を流すような勢いで、そう叫んだイッセーに俺とアーシアは先ほど同様に、言葉が出てこなかった。

 

 

「…………相手の情報は?」

 

 

「おう、見たぞ」

 

 

「そ、そうか」

 

 

まぁ、そりゃそうだよな。次の対戦相手なんだし、イッセーもそこまでバカじゃないだろうから、しっかり情報の確認はするよな。

 

 

「いいか、ルドガー!まず、この『女王(クイーン)』のユーベルーナさんだが、多分おっぱいの大きさは、部長や朱乃さん並みだ!それとコッチのロリっ娘!写真じゃちょっと分かりづらいけど、体操服越しに少し突起が出てるって事は、ノーブラだ!それとコッチの『僧侶(ビショップ)』のレイヴェルって子だけど、少しゆったりした服着てるから分かり辛いけど、この子絶対に着痩せするタイプだ!思いの外持ってるモンは持ってるって子だ!間違いない!!」

 

 

「……………なぁ、イッセー。お前に、俺は敵の能力だけでいいから、目を通せって言ったよな?」

 

 

「だから、きっちり通しただろ!!」

 

 

「まさか、お前女の子の胸も能力とか言わないよな?」

 

 

「言うに決まってんだろ!いいか、ルドガー……おっぱいには無限の――」

 

 

「くたばれえぇぇぇぇ!!!!」

 

 

「イ、イッセーさあぁぁぁん!」

 

 

 

この日もイッセーは最後にはぶっ倒れる結果となった。本当にどうして、こうなった?

 

 

 

 

 





うん、イッセーは多分こうだろう。ルドガーは何となく、ツッコミかな?って筆者は思います、うん。


そして、サラッとルドガーの神器登場!マクスウェルの出番はこの章に果たしてあるかどうか・・・


さて、ではでは、また次回!
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