社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ   作:スパークリング

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ここからは完全にアドリブ祭りとオリジナル展開の嵐です。
元のシナリオ表には結末などは各卓のキーパーに任されていますので、これは完全にこちらが考えた展開とシナリオですね。

本当に難しいシナリオでした。


Part.7

 レミリアは夢の中、真っ白な空間で1人の女性と対面します。その女性は、今朝がた遺体となり果てていた内藤ほてみです。

 彼女は驚いたような表情でレミリアを見た後、悲しそうな顔になります。

 

「こんにちは、内藤さん。こんな形で会うなんて、私は悲しいわ」

 

「レミリアさん……もしかして、あなたも?」

 

「いえ、私は生きているわ。信じられないかもしれないけど、ここは私の夢の世界なの」

 

「え?」

 

「私には生まれつきある能力を持っていてね。……夢の中で死んだ人と話せるのよ。一回だけだけどね。昨日の村長の怪談で降霊術師っていうのがあったでしょ? それと酷似した能力を持っているのよ。ま、あれ以上に使い勝手は良いだろうけどね」

 

「そうなん、ですか」

 

「ええ。……単刀直入に聞くわ。あなたを……あなたに酷いことをしたのは誰? 顔、見ていないかしら?」

 

「…………」

 

「私ね、許せないの。この事件の犯人はこの村の伝説を使って私たちに殺し合いをさせようとしているのよ。犯人はそんなことのために、あなたを殺した。しかも殺した後に、人狼の仕業に見せかけるために、刺し傷を隠すように噛み傷を残したのよ。……どう? 私のこと、信用できないかしら?」

 

 ……いえ、本当にあなたのロールプレイが一級品ですね。充分あなたの言葉は、内藤さんの信用を獲得することに成功しました。

 

「私を殺したのは……村長です。村長の村岡さんです」

 

「そう……」

 

「一瞬ですけど、確かに見たんです。痛みを感じたとき、見たんです。……薙刀で私を突き刺している村長の顔を……。それで私……私……!」

 

 自分の身に何があったのかを再認識した内藤さんは泣き崩れてしまいます。

 

「わからないんです……! なんで……なんで私が殺されないといけなかったのか! まったくわからないんです……!」

 

「側に行って肩を擦りながら言うわ。悔しいわよね、悲しいわよね。あなたはしっかり仕事をしていたのに、何にも悪いことをしていないのに、まだやりたいことがあったでしょうに。……最後に1つだけ質問するわ。あなたを貫いた薙刀、見覚えはある?」

 

「あ、あの薙刀は……確か、中央会館の資料室に立てかけてあったものでした……」

 

「しっかり展示物まで覚えていたのに……許せないわね。ありがとう内藤さん。必ず村長を捕まえてみせるわ」

 

「お願い……します。レミリアさん……」

 

 という夢を見て、レミリアは目を覚まします。

 

 

     ――――・――――・――――・――――

 

 

「……起きたわ。会ってきたわよ、内藤さんに。と涙を少し流しながら起きるわ」

 

「そうか……それで、犯人は誰だって言っていた?」

 

「村長の村岡よ。凶器は中央会館の資料室に展示されていた薙刀らしいわ。多分、照合したり、ルミノール反応で調べたり、DNA鑑定や指紋とかを調べれば一発で捕まえられるわ。でも、この村でそんなことは出来ないしねえ」

 

「思えばあの村長が人狼だ何だって言ったからこんな展開になっちまったからな。どう考えてもあいつが怪しかったわけだ」

 

「でも動機が全くわからないねい? どうして内藤さんを殺した? 内藤さんはどうして自分が殺されたのか言ってなかったかい?」

 

「わからないって言っていたわ」

 

「犯人も凶器もわかった。だが、今すぐに叩きつけられる証拠と、動機が分からないな。これじゃあこの状況で村長を捕らえられない。むしろ人狼とみられて逆に処刑される可能性がある。こっちは6人で向こうは7人だ。どうあっても勝てない」

 

「……GM! 占いよ! 《芸術(占い)》で判定するわ!」

 

 いいですよ。ではレミリアは持ち物のタロットカードを取り出して準備を始めます。

 

「ん? どうしたレミリアさん」

 

「……占いよ。どこを調べたら証拠があるか動機がわかるかを占うわ。あ、これPL発言なんだけど、私3回まで《芸術(占い)》を使えるのよ。成功したら情報が来るわ」

 

「バスの中のアレもそうだったのか?」

 

「ええ。どうやらあれは成功したみたいね」

 

 はーい。ダイス目は公開しません。

 

 レミリア《芸術(占い)》80 → 53 成功

 

 ではレミリアは村長の家を探索すべきだという啓示を得ました。

 

「村長の家を調べたらいいかもしれないわね……ってこれ占いする意味ないわ。普通のこと言ってんじゃない」

 

「お、おお? 普通のことを言ってる」

 

「だがその通りだねい。よし、みんなで村長の家に向かうか」

 

「待て、待ってくれ。ここだ。ここで俺も秘密公開だ」

 

「うん? ここでかい?」

 

「ああ。俺が刑事だってことは知っているな? 実は俺は潜入捜査官としてこのツアーとこの大神村についての調査をしていたんだ」

 

「潜入捜査? 確かこのツアー2回目よね? 1回目に何かあったの?」

 

「ああ。実は1回目のこのツアーに参加した客のうち3人の消息が途絶えているんだ。参加した日から、だ。捜索願いが出されていないものを含めるとさらにいるかもしれない。俺はこのツアーで何かが起こったんじゃないかと思って参加者として潜入したんだ。俺が旅行から1日経っても帰って来なかったら助けに来るように部下に伝えた。だから明日か、明後日には助けが来る」

 

「ああ……なるほど。そういう秘密ね」

 

「俺はここにいるみんながまともな人間だということを信じる。だからこのことを打ち明けた。もう隠し事は無しだ」

 

「他に何か掴んでいる情報はないのか?」

 

「知っていることはこのツアーで雇われたバスの運転手もガイドの内藤さんも派遣社員だったってことだ。つまり、あんまりこのツアーについて詳しく知らされてなかったということだ。1回目の運転手は今回の運転手と別人で、しかも前のガイドさんは消息不明の人物の内の1人だ」

 

「それは……偶然とは思えませんね」

 

「そうだろう。あとは……この大神村について。地図や県の資料をずっと調べてみたが、そんな名前の村はなかった。かなり昔の資料にそれらしいものはあったが、現在は住所も何もかも県に報告されていない。つまり、この世にあってこの世にない村というわけだここは」

 

「……きな臭いわね。ということはこの村は何かの目的で作られた架空の村で、それを総括しているのがあの村長、ってことかしら? いや、あの旅館の女将もグルの可能性があるわね」

 

「そういや、資料館で見た資料。あれ内容はともかく妙に綺麗だったというか、わざとらしく汚れていたように見えたっていうか……。最近作ったものを古く見せていただけなのかもしれないねい」

 

「お嬢様がテレビで紹介すると言った時に断ったのも、この村そのものを知られたくなかったからでしょうか。本来存在しないものを紹介されては困りますからね」

 

「とにもかくにもだ。こうして話していても出てくるのは空想だけだ。この事件の鍵は村長が握っている。ていうかレミリアさん曰く犯人なんだから、村長の家に行ってなにかしらの情報を掴まないとしょうがない。それに……内藤さんの体にあったあの歯形。アレをどうやって付けたのか、何の生物を使ったのかの謎が解けていない」

 

「そうだな。その謎を突き止めるためにも村長の家に向かおう。勿論、大賀さんも一緒に連れてな」

 

 話は終わったようですね。全員、村長の家に向かう、ということでよろしいですか? それでは皆さん、《聞き耳》で判定してください。白夜はさっきのクリティカル特典で+10で判定してくださいね。

 

 遊星  《聞き耳》56 → 92 失敗

 レミリア《聞き耳》63 → 32 成功

 咲夜  《聞き耳》45 → 74 失敗

 咏   《聞き耳》35 → 34 成功

 白夜  《聞き耳》35 → 67 失敗

 

 では成功者の皆さんは自分たちが誰かに監視されていることに気が付きます。

 

「……ちらっと流し目で後ろを見る」

 

「私は横を見てみようかねい」

 

 レミリアは後ろの物陰にこころくるみがいることに気が付きました。

 

「こいつ……面倒ね。敵と確定したわけじゃないけど、もし敵だったら面倒よ。咲夜、私と一緒にあいつを妨害するわよ。みんなは村長の部屋に向かってちょうだい。私と咲夜であいつを足止めしているから」

 

「了解しました。皆さん、お先に」

 

「すまん、恩に着るぞ!」

 

「遊星、白夜! こっちでも戦闘なら任せな! 探索技能もあるから私は案外役に立つぜ!」

 

「俺も何かと使えるぞ。まだ言わないが」

 

「いいのよ」

 

 ではまずレミリア、咲夜のシーンから行きましょう。

 

 

     ――――・――――・――――・――――

 

 

 くるみを見つけたあなた達ですけど、具体的にどう行動しますか?

 

「彼女の所に行くわ。それでわざとらしく挨拶する。あらぁ、あなたはこころくるみさんじゃない。どうしたの? こんなところで」

 

 レミリアがそうくるみに話しかけますと、怪訝そうな顔でくるみはレミリアを見ます。

 

「……先程皆さんがあなたの部屋に入っていくのが見えたので、気になってついてきたんですよ」

 

「あらあら、昨日はあんなに元気いっぱいだったのに今日は随分と静かね。もしかして、さっきまでの私たちのお話聞いていたのかしら? 《心理学》」

 

「私も《心理学》です」

 

 レミリア《心理学》66 → 44 成功

 咲夜  《心理学》63 → 42 成功

 

 えっとですねぇ、2人は彼女の反応からして、彼女は先程までの部屋での会話を盗み聞きしていたと思いました。

 

「ダメねぇ、社会人としての礼儀がなっちゃいないわ。どこまで聞こえていたのか、誰の指示でこんなことしていたのかは知らないけど、自分の身を守ることばかりで冷静になれない頭の悪いのと違ってね、私たちは理性的なのよ。私たちはこれ以上誰も犠牲にせずに、犯人を突き止めて助けを待つ予定なのよ。人狼? 冗談じゃないわ。そんな馬鹿馬鹿しい生物がいるわけがないのに、まともな思考を捨て去ったあなたたちに用はないの。邪魔しないでくれないかしら?」

 

「流石でございます。さぁ、これで彼女が自分の意志でつけてきたのか、誰かの指示で動いたのかがわかりますね。上手くいけばどこまで聞こえていたのかもわかりますよ」

 

 さて……そうロールプレイをしますか。するとくるみは顔を真っ赤にして睨みつけてきます。特にレミリアに対しては憎しみの感情さえ浮かんでいます。

 

「《心理学》なしにそこまで情報くれるのね」

 

「レミリア・スカーレット。おまえ、バスでの挨拶の時からずっと邪魔だったのよね」

 

「何の話をしているのかしら? というか漸く本性を現したわね。怖いわぁ」

 

「じゃあアイドルモードって喋ってあげる。あーあ、レミリアさんってば本当に面倒な人だよねぇ。頭がいいし、凄い能力持ってるし? 困っちゃうんだぞ。本当は駄目なんだけどー、レミリアさんをここで消しちゃった方がぁ、いいかなって。あとでどうとでもなるしぃ? レミリアさんと十六夜さんには容疑かかってるしぃ? あんたら2人なら許してくれるだろうしぃ? あはっ!」

 

 子供のような無邪気な笑顔で人間とは思えない台詞をつらつらと述べるくるみ。アイドルユニット不動のセンターであるレベルの高い顔が変化していく。

 ソレは犬に似た全く別の生物の顔だった。しかしそれは顔だけで、身体は人間と同じ二足歩行の生物のものであったが、前かがみで姿勢の悪い。つやつやでシミひとつなかった健康的な肌はぶよぶよとしたゴムのようなものに変わり、ネイルをしていた爪は鋭いかぎ爪に変わった。耳障りな鳴き声を発しながら力を入れるように大きく身体を仰け反る。

 神話生物……嘲る屍肉喰らい、食屍鬼(グール)の姿を直視したレミリア、咲夜、0/1D6の《SAN》チェックです。

 

 レミリア《SAN》54 → 48 成功

 咲夜  《SAN》44 → 07 成功

 

「!?」

 

「な、なっ!?」

 

 さぁ、こころくるみだったもの……食屍鬼はかぎ爪をあなたたちに向けて威嚇しています。戦闘ラウンド突入です。《DEX》の値を教えてください。

 

「13」

 

「11です」

 

 それでは《DEX》13の食屍鬼の行動です。攻撃対象はレミリアです。かぎ爪で攻撃してきますよ。

 

 食屍鬼《かぎ爪》?? → 39 失敗

 

「相変わらず成功率低いわね」

 

 ぶっちゃけ30パーセントですからね。単体じゃそんなに強くないです。

 

「次は私ね。《武道(空手)》+《こぶし》で攻撃よ。なによあんた! なんだかわからないけど、人間じゃないなら本気で行くわよ! 喰らいなさい!」

 

 レミリア《武道(空手)》72 → 12 成功

 レミリア《こぶし/パンチ》50 → 24 成功

 

「よし、私の拳は痛いわよっ!」

 

 2D3+1D4 → 8

 

 8ダメージ!? ぐ、食屍鬼の回避判定です。

 

 食屍鬼《回避》?? → 50 失敗

 

「スカーレット家のご令嬢を舐めんじゃないわよ!」

 

 食屍鬼のショックロールです。

 

 食屍鬼《CON》??×5 → 60 成功

 

 食屍鬼は気絶判定を乗り越えました。しかし、レミリアの拳が与えたダメージは強烈です。ふらふらしています。

 

「お嬢様、ここは私が……」

 

「殺すのは後よ? 気絶させて生け捕りにするわ。そしてこいつをみんなの前に突き出すのよ」

 

「了解しました。それではノックアウト攻撃です。《こぶし》で攻撃です」

 

 咲夜 《こぶし/パンチ》50 → 43 成功

 

 1D3+1D4 → 4

 

 4点ですか。ではノックアウト判定はしなくていいです。残り《耐久力》が2以下になりましたので自動気絶します。戦闘終了です。

 

「ふぅ、久し振りに身体動かしたわ」

 

「お嬢様、お怪我は」

 

「大丈夫よ。なんにもされていないもの。それより、ナイスよ咲夜。オーダー通りだわ」

 

「お嬢様のお望みのままに」

 

「さて、GM。こいつは元のこころくるみの姿に戻っているのかしら?」

 

 いいえ、戻っていません。その醜い姿のまま、気絶しています。

 

「よし、縄を持ってきて縛り上げましょう。あと猿轡も忘れないでね。そしてこいつをみんなの前にしょっ引くわ。そして仲間がいるのかを吐かせる。これで村長が共犯だと言わせれば解決よ」

 

「写メも撮っておきましょう。圏外でも写真くらい撮れますからね。縛り上げたうえでこの写真を撮れば、例えこころくるみの姿に戻ってなんやらかんやら言いだしても証拠になります」

 

「そうね。それでいくわ。私たちのシーンは終了よ!」

 

 それでは遊星と咏ちゃん、白夜のシーンに移ります。

 

 

     ――――・――――・――――・――――

 

 

 それではお待たせしました。3人のシーンに入ります。

 

「さっきまで俺たちを付けていたやつがいるからな、慎重に行動するぞ。《聞き耳》だ」

 

 遊星 《聞き耳》56 → 11 成功

 

 特にあなたたちを監視している人物はいないと判断しました。

 

「よし、じゃあ村長の家に向かおう。というかどこが村長の家なんだ?」

 

「ああ、そういえば村長を呼びに行ったのはレミリア達だったねい。ちょっとずつ調べるっきゃないか。GM、普通の家は何軒ある?」

 

 4軒です。

 

「それらの場所は近いのか?」

 

 近いです。小さな村ですからね。歩いても3分も経たずに着きます。

 

「それなら1軒ずつ回ってみるか。鍵はないだろうし、生活感が残っている家が村長の家だ。他の住民は出払っているらしいからな」

 

 では1軒ずつ回るのですね。ではあなたたちが家を回って5分も経たないうちに村長の家に辿り着きました。まぁノックしたら村長が家から出てきたんですからそこが村長の家だってわかりますよね。

 

「おやおや皆さん、どうかなされたのですかな」

 

「村長が邪魔だな」

 

「私に任せな。これでも《言いくるめ》が高い。あと1人欲しいねい」

 

「GM、大賀さんは《言いくるめ》か《説得》の技能あるか?」

 

 《説得》に50ありますね。

 

「よし、ここは私と大賀さんで村長を引き付けよう。大賀さん、協力してくれよい」

 

「は、はい」

 

「よぉ、村長。ちょっと処刑の儀について確認をしたいんだ。中央会館の方で説明してくれないかい? って感じで《言いくるめ》る」

 

 じゃあ大賀美穂はそれに続くようにして「お願いします」と《説得》させることにしましょう。

 

 咏  《言いくるめ》65 → 22 成功

 大賀 《説得》50 → 94 失敗

 

 どちらかが成功すればいいので大丈夫です。ふむ(コロコロ)……。

 

「確認するのはよろしいのじゃが、なぜ中央会館の方に行かなければならないのですじゃ?」

 

「あ、さっきの判定は《アイデア》ロールだな。成功しているぞ」

 

「面倒くせえなぁ。本当に伝統のやり方なのか、この村の資料と照らし合わせてみようって話し合ったんだよ。ほら、私たちは反対派だったろ? 最後の足掻きみたいなもんさ。今更やらないって言うつもりはないが、ちゃんとした方法なのかが知りたいんだ。もし仮にやり方が違くて意味のなかったらいやだからな」

 

「そういうことでしたか……わかりました。では参りましょうぞ」

 

 と言って村長は家から出てきます。

 

「……おや? 不動さんと夢幻さんは来ないのですかな?」

 

「ああ。俺たちは村の見回りだ。怪しい奴がいないかを調べているんだ。犯人が村に潜伏している可能性を捨て去ってはいないからな」

 

「7時にはしっかり会館に戻るから心配すんなよ」

 

「そうですか。では三尋木さん、大賀さん、こちらへ」

 

「おう。じゃあな、なるべくグダらせるから証拠を揃えておいてくれよ? GM、私の行動は大賀さんと会館で資料を漁って細かく村長に歴史を聞いて時間稼ぎをするだけだ。私のシーンはいらないよい」

 

 わかりました。それでは(コロコロ)……はい、どうぞ。遊星と白夜のシーンを続けましょう。

 

「村長の家に入るぞ」

 

「俺も手伝うぜ」

 

「家の中はどうなっている?」

 

 土間と畳の部屋に分かれています。土間には台所や釜があり、畳の間には囲炉裏があります。小さな古民家ですね。あと机や引き出しもありますね。

 

「机の上には何かあるかい?」

 

 古い冊子と羽ペン、それからインクビンが置いてあります。何かを書いている途中だったのでしょう。

 

「GM、俺はその冊子を読む」

 

「俺も見ようか」

 

 流し読みをしますか? それとも詳しく読みますか?

 

「流し読みでいいだろう。こっちも時間がない」

 

「だな。変に時間をかける必要はない」

 

 了解しました。それでは流し読みをしたということで。冊子は日記……というより、この村の村長だった人物がその日の出来事を纏めるために使っていたものでした。途中から筆跡が変わっているので、今の村長の前の村長もこの冊子に何かを書きこんでいたことがわかります。

 さて……その肝心の内容なのですが、そこに書かれていたのはとんでもない真実でした。

 遥か昔、この村は戦争で亡くなった人たちが埋められる巨大な墓地であったこと。そしてこの地がちょうどいいと思う集団がここに移住し、秘境の村としてひっそりと暮らしてきたこと。なぜこの地がちょうどよかったのか。それは自分たちの食糧である人間の死体が大量に埋められているからであったこと。前半のページにはそのようなことがつらつらと書かれていました。

 後ろになるにつれて筆跡も変わり、内容にも変化が訪れます。

 

 移住した時に比べて食糧である死体が減少し、時が経ち村人の人数も増えてしまったばっかりに、このままいけばそう遠くない未来に食糧が底をつく。村を移すにしても、現代日本では自分たちが安泰できるようなところを見つけるには至難の技だ。

 そこで、外の世界から生きた人間を何とかこの村に呼び寄せ、殺害することで食糧を確保しようという案が出される。しかし、この村は国に許可を得ていない状況で自分たちが勝手に作り出したものだ。大々的に報道して観光スポットにするわけにはいかないし、もし観光スポットとなってしまっても、失踪者が続出する村として警察が動きかねない。

 ならば小さな旅行としてひっそりと特定の層の人間の興味を誘い、この村に来させればいい。そうだな、ミステリー……いや、ホラーツアーの方がいいか。なにせ私たちの存在そのものが人間にとってはホラーなのだからやりやすい。

 

 そこで適当な伝説をでっちあげ、ホラーツアーを開催して参加者を殺すことに決まった。伝説はどうしようか、人狼伝説でいいか。簡単だし、自分たちもそれに近い姿をしている。ツアー客の中に仲間を半分以上忍び込ませれば合法的に殺すことができるし、こちらに疑いの目がかかる心配もない。殺す人間の人数が少なくとも大丈夫。私たちは少食だから5人ほど死体を確保できれば、あとは残って保存してあるものと合わせて充分足りる。

 新しくそれらしい建物を建てねばならない。歴史を偽装するために資料も作らねば。あと何人かの同胞を人間社会に忍ばせて、客として紛れるときに説得性を出すようにしなければ。

 

 という情報をあなたたちは得ます。遊星、白夜、《SAN》チェックのお時間です。0/1D3でどうぞ。

 

 遊星 《SAN》58 → 45 成功

 白夜 《SAN》41 → 60 失敗

 

「(コロコロ)……1だ」

 

「まさか……これが動機、なのか? こんな、こんなことが……」

 

「……なぁ、GM。《クトゥルフ神話》技能で判定するぜ。27パーセントだ」

 

「はあっ!?」

 

「えっ!?」

 

「なんですってっ!?」

 

「なんでおまえそんなに高いんだ!?」

 

「いやぁ実は俺、継続探索者なんだよな。だからこういう現実離れをした現実には慣れているってこった。これが俺の秘密な」

 

「な、成程……何か役立つかもって言っていたのはそういうことか。あと《SAN》値が41なんて中途半端な数値から始まっていた説明も付く」

 

「そういうこった。いいな、GM」

 

 《オカルト》の半分の値も加えて判定どうぞ。

 

 白夜 《クトゥルフ神話》27+65/2 → 17 成功

 

 それでは白夜は自分の経験、知識から、この文化を持つ怪物の存在がわかりました。

 人間の死体を食らい、時に人間の子供とその生物の子供をすり替えることもする、食屍鬼と言われる、世界中で言い伝えのある不吉の象徴を。

 

「遊星さん、俺、この怪物の話聞いたことあるぜ。有名な怪物だ。まさか実在していたなんてな。流石の生物学者の俺でも知らなかったよ」

 

「そんな……! だが、これが本当だとしたら納得できる。信じられん……が、レミリアさんの能力のことも考えると、本当に存在するのか? 死体を貪る怪物が……!」

 

「それはまだわからない。もしかしたら村長が書いていた新しい怪談話のメモ帳なのかもしれないし断言はしないさ。だが人1人殺されて暢気にこんなのを書いている時点で、どっちにしてもあの村長はまともなやつじゃないってことだ」

 

「……そうだな。だがこれが真実だとするなら……半分以上、俺たちツアー客の中にその怪物がいることになる」

 

「それはわかりやすいだろ。処刑の儀に賛成したやつら全員だよ。村長と女将を人数に入れて計算していたんだ。だからツアー客に紛れるのは5人でよかった」

 

「……決まったようだな。わかった。ここまで証拠が揃っているなら信じざるを得ない。とりあえず、この冊子のページを写メしておく。冊子自体を持ち帰ったら気付かれるからな」

 

「俺も写メっておこう。これで証拠ができた……が、状況は最悪の方向に向かっているな。7人も化け物がいる状態で俺たちは助けが来るのを待たないといけない。上手く説得すれば見逃してくれるかもしれないが」

 

「無理だろう。この真実を知った時点で、生きて俺たちをこの村から出すはずがない」

 

「だよなぁ……。なぁ遊星さん。ちょっと驚かないで見てくれよ。といって胸元から拳銃を取り出す。45口径のオートマチックだ」

 

「んなっ!? なんてものを持ち込んでいるんだおまえは! 銃刀法違反だぞ!」

 

「護身用さ。以前もこういう体験をしたからな。それに今は緊急事態だ。目を瞑ってくれよ」

 

「……今回だけだぞ。弾は何発ある?」

 

「フル装填で7発。マガジンが3つの合計28発だ。こんだけあれば充分だろ。というかさ……遊星さん、あんたも持ってんじゃないか? その足元に、さ」

 

「!?……気が付いていたのか」

 

「ああ、物騒なもん持ってんなぁとは思っていた。で、そっちはなんの銃だ?」

 

「普通の拳銃さ。ベレッタM92FSだ。俺もフル装填で15、予備のマガジン1つで30発だ」

 

「よし、これで俺たちは戦えるな。見た感じあのお嬢様も鍛えられているし、十六夜とかいう従者もそれなりに強い。三尋木も意外と力があるから戦闘は乗り越えられるだろう」

 

「大賀さんだけだな。彼女だけは守りながら戦わないといけないな」

 

「彼女まで化け物だったら恐ろしいが……まぁあの様子じゃ違うだろ。あれが全部演技だったら流石にヤバい」

 

「そうだな。決戦はいつにする?」

 

「7時でいいだろう。全員が中央会館に集まるその時に。これが山場だ、乗り切ろうぜ」

 

「ああ。というわけでGM、俺たちのターンはこれで終わりだ」

 

 わかりました。では時間を飛ばしますが、それまでの間にやっておきたいことはありますか?

 

「みんなで情報を共有しましょう。あと捕らえた怪物は目を覚ます度に気絶させるわ。縄で縛っているし、出来るでしょう?」

 

 それは可能ですね。他の皆さんもそれでよろしいですか?

 

「お嬢様に従うのみです」

 

「俺もそれでいい」

 

「俺もだ」

 

「私も入れてくれよ。私だけ何にも知らないんだからな」

 

「じゃあまずは俺の情報を開示する」

 

 了解しました。それでは遊星と白夜の言葉を聞き、写メを見たレミリア、咲夜、咏ちゃんの3人、《SAN》チェックです。咏ちゃんは0/1D3、レミリアと咲夜は0/1で勘弁します。

 

 レミリア《SAN》54 → 88 失敗

 咲夜  《SAN》44 → 23 成功

 咏   《SAN》45 → 05 クリティカル

 

 じゃあ咏ちゃんは次の《SAN》チェックにボーナスつけます。

 

「次は私ね。実はね、心して見て欲しいものがあるんだけどねぇ……その怪物、捕まえちゃったわ。と言って食屍鬼を見せる。現物よ」

 

「なっ!?」

 

 それでは気絶している食屍鬼の姿を直視した遊星、咏、白夜は《SAN》チェックだ。本当は0/1D6なのですが、遊星と白夜は事前情報を知っているため0/1D3で、咏ちゃんはクリティカル効果で0/1でいいですよ。

 

 遊星 《SAN》58 → 14 成功

 咏  《SAN》45 → 26 成功

 白夜 《SAN》40 → 10 成功

 

 あんたら本当《SAN》チェックに強いですなぁ。特に心は揺るがないですね。

 

「ふーん、そいつがその化け物か」

 

「成程、その牙で噛みついたわけか。で、そのかぎ爪で橋を落としたんだな」

 

「興味深いな、調べてみたいね」

 

「これで情報開示は終わりね。作戦は遊星さんの考えたものに従うわ」

 

「私も乗ります」

 

「私も乗るぜい」

 

「よし、合流完了だ。7時まで飛ばしていいぞ」

 

 はーい。それでは夜7時になりました。夏とはいえこの時間になれば陽は落ち、電気のない村は暗闇に包まれます。

 さぁ、1回目の処刑の儀の会議の時間がやってきました。

 

 

 

 

     ――To be continued…




恐らく次回が最終回です。今夜中に投稿予定。
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