社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ   作:スパークリング

3 / 42
ここから《SAN》チェックの嵐です。
なおこのセッションは、本家シナリオ以上に《SAN》チェックが飛び交っています。まぁみんな《SAN》チェック大好きですので問題ないです。


Part.3

 1時間後、小学生の不審死事件の捜査を受けた京楽のもとに、上司からその事件の資料が届きました。

 

「GM、今ボクの近くに人はいるかい? というか部下とかいないのかい?」

 

 いませんね。あなた1人です。

 

「寂しい。まぁ、変にNPCがいても困るし、それはいいかなあ。さて、まずは山中で発見された死体の検死結果の確認だ。何か不審なところはないかな?」

 

 検死はまだ終わっていませんので詳しい結果はわかりません。

 

「どれくらい時間がかかるのかな?」

 

 結果が出るまだ時間がかかりそうです。いつ終わるのかはわかりません。ただ発見された死体の簡易的な情報は資料に記載されています。

 

「よし、見よう」

 

 ではあなたが『奥多摩山中小学生首吊り自殺事件』の捜査資料に手を付け、そのページを開きます。

 死亡していたのは12歳の男の子。両親の確認も済み、身元もはっきりしています。奥多摩山中の木の幹にロープで首を吊られている状態で発見されました。死因はおそらく窒息死。死体の真下には倒れた脚立があったことから自殺である可能性が高い。しかし、その死体には不審な点が確認された。詳細は次のページに書かれています。

 

「ページを捲る」

 

 そのページは、発見された男子小学生の写真が上半分に乗っていました。

 生気を感じさせない、薄い乳白色に染まっている肌、紫色になってしまった唇。それらは何人もの人間の死体を見ている京楽にとっては見慣れてしまったものでしたが、ただ1つ、今まで自分が担当したどの事件にもなかった特徴がありました。

 それは発見された死体の両目。

 幼き男の子の、本来なら無垢な輝きに包まれていたであろうその小さな両目には、横一文字に引き裂いたような、凄惨な傷跡がありました。

 真っ当な人間ならば例え暴力を振るったとしても傷つけることはないだろう部位、目。それは容赦なく、完全に潰されてしまっており、例え生きていたとしても、もう二度と、その瞳で世界を見ることは叶わないであろう。

 このような写真を事前情報もなにもなく直視してしまった京楽は、0/1D3の《SAN》チェックです。

 

「まさかボクが《SAN》チェック1号になるとは思わなかったよ……」

 

 京楽 《SAN》55 → 64 失敗

 

「幸先悪いなぁ(コロコロ)……1。ちょっとびっくりしたくらいかな。おぉ、これは酷いねえ。GM、この傷跡はどんな感じだい? 動物とかに引き裂かれたみたいな感じかい? それともナイフか何か、刃物で一気に引き裂いた感じかい?」

 

 鋭利な刃物で斬り付けられたみたいですね。

 

「ということは人間の仕業か。なんて酷いことをするんだろうねぇ。うーん、この少年の両親からの聴取は終わっているんだよね?」

 

 終わっていますね。

 

「ご両親はこの傷跡に心当たりはあるかい?」

 

 まったくありません。男の子が失踪するまで、そんな傷はなかったと言っています。

 

「失踪したあとにできた傷ということだね。状況証拠からしたら自殺だけど、死体の損傷から他殺の可能性が高いっていうことか。…………。失踪前にこの男の子はどこに向かったかわかるかい?」

 

 【クロノスの光】が経営する学校に向かいました。勉強するためなのでしょう。

 

「なるほど。上が【クロノスの光】を怪しんでいる理由がわかったよ。GM、今度は【クロノスの光】に関する資料を見るよ」

 

 資料によりますと、【クロノスの光】は東京都多摩市にある施設です。学校というより、巨大なプレハブ小屋のような簡易施設です。

 活動としましては、学生ボランティアや有志の講師、更には有名な大学の教授までも集まり、貧困やそれ以外にも入り組んだ事情により、真っ当な教育を受けることのできない子供たちのために授業を行っています。代表を務めるのは『祟道智代』という、教育機会の均等化を唱える女性都議会議員です。

 ちなみにこれらの情報はインターネットで調べれば得られる情報です。

 

「ああ、だからあそこでシーンを切ったんだな。次に私たちのシーンに移った時、このことを知った上で行動してもいいか?」

 

 ええ、構いませんよ。その方がサクサク行きますし。

 

「他にはわからないのかい? 何か調べていたみたいだけど」

 

 はい。ですから上司はあなたに調査を指示してきたのです。

 

「それもそうか。じゃあ聞き込みに行ってこようかな。GM、ボクはこの住所に書かれている【クロノスの光】に向かおう」

 

 わかりました。では、京楽のシーンはここでお終いです。チーム古美門にシーンを移しましょう。

 

「……ボクのシーン、短くないかい?」

 

 それについてはごめんなさい。

 

「ああ、いやいや。まあボクだけ単独行動だからねえ。仕方ないかあ」

 

 

     ――――・――――・――――・――――

 

 

 京楽が【クロノスの光】に向かい出した同時刻、あなたたちは【クロノスの光】についての情報を入手しました。

 

「どうする? 俺たちも【クロノスの光】に向かうか?」

 

「いや、待て。まだ夫のことについて調べていない。妻が都議会議員をやるほどの大物なんだ。夫も何かをやっていてもおかしくない。遊星くん、今度は『祟道叡史』について調べるぞ」

 

「わかった。『祟道叡史』で検索だ。ググるだけだから《コンピュータ》はいらないよな?」

 

 遊星さんは現代人ですよね? ググるだけなら小学生でもできますよ。ですから結構です。

 

「よし」

 

 『祟道叡史』で検索しますと、彼は東京都中央区銀座の裏路地にある占いの館【ノーヴルヴェール】の支配人であることがわかります。

 

「【ノーヴルヴェール】について調べる。多分『祟道叡史』で検索していたらついでにホームページがあるページがあるだろう?」

 

 ありますね。では【ノーヴルヴェール】のホームページからわかる情報を端的に開示します。

 住所、電話番号、支配者名、そして完全会員制であり、会員の紹介を受けて【会員カード】を入手しない限りは受付に応じてはくれない。以上。

 これ以上の情報は《図書館》をお願いします。他の技能も理由づけによっては許可します。

 

「《図書館》か。私は初期値だ」

 

「あたしも初期値だ。戦闘キャラだからな」

 

「私も初期値です」

 

「俺もだ」

 

「チーム古美門《図書館》みんな初期値かい。ちゃんと取らないとだめだよう?」←《図書館》65

 

「GM、遊星の職業はドライバーだが、《コンピュータ》技能は75ある。つまり遊星はコンピュータに精通し、扱いに長けているということだ。扱いに長けているということは、どうすれば的確に情報をパソコンで入手できるかを知っているということだ。補正を与えることを許可して欲しい」

 

 いいでしょう。遊星限定ですが、《コンピュータ》の半分の値を《図書館》加えて判定してください。

 

「ありがたい。ナイス古美門」

 

「ふふん。さて、一応私も振るか。十六夜さんと星熊くんも振りたまえ。初期値で25もあればワンチャンスあるからな」

 

 古美門《図書館》25 → 90 失敗

 勇儀 《図書館》25 → 33 失敗

 咲夜 《図書館》25 → 44 失敗

 遊星 《図書館》25+75/2 → 47 成功

 

「危ないな。補正無かったら全員失敗だった」

 

 ではあなたたちは追加情報として、この【ノーヴルヴェール】には政財界の大物がひそかに通い詰める格式高い名店である、という噂をネット上から入手します。

 

「怪しさ満点だな。よし、今度は【ノーヴルヴェール】に向かおう。GM、今は何時だ?」

 

 現在午前10時半くらいです。

 

「京楽さんが【クロノスの光】の校舎に向かった時間が11時くらいですから、上手くいけば合流できますか?」

 

「ああ、できると思うよ。ボク車持っていないから」

 

「おまっ、電車と徒歩で向かうのかい」

 

「現職の刑事なのに。しかも単独行動PCなのに車がないのか」

 

「《運転》に技能振ってないからなあ」

 

「じゃあ多分ギリギリ合流できるな。流石に京楽1人で突貫させるわけにはいかないし、というかそれをさせないためにわざわざ時間をずらしたんだろうしな」

 

 まぁそれはお察しください。えっと、古美門一派は【ノーヴルヴェール】に向かうんですよね?

 

「ああ。遊星くん、車を出してくれたまえ」

 

「了解。だが念には念を入れておこう。GM、俺はプロのドライバーだ。《ナビゲート》で判定させてくれ。成功したら通常よりも早い時間で目的地に着かせてほしい」

 

 ああ、いいですよ。

 

 遊星 《ナビゲート》80 → 51 成功

 

 では本来1時間かかる距離でしたが、地理に詳しい遊星の運転により、40分で到着することに成功しました。

 都内最大級の買い物の街、銀座。その路地裏。ゴミ箱やらなんやら数多くの障害物が沢山ある薄暗い通り道の一角に、【ノーヴルヴェール】はひっそりと佇んでいました。

 さてはて、ここで皆さん。《幸運》をどうぞ。

 

 古美門《幸運》65 → 01 クリティカル

 勇儀 《幸運》65 → 60 成功

 咲夜 《幸運》50 → 34 成功

 遊星 《幸運》55 → 87 失敗

 

「あ、俺だけ失敗。これはマズいか?」

 

 いえ、1人でも成功していただければよかったので大丈夫です。というか古美門はクリティカルですか(だったらちょっと絡み方と与える情報を変えた方が良さそうかな。そうだな……よし)。

 

「ふっ、私のダイス運を舐めてもらっては困るな。で? 何が起きる?」

 

 ではあなたたちが【ノーヴルヴェール】の店前に来たとき、あなたたちの前にありとあらゆる障害物を、まるで平地を歩くように軽々と乗り越え、1人の女性が現れる。

 

「おおっとこんなところでお会いするとは、奇遇ですねえ古美門先生。そしていつもの皆さん」

 

 古美門がクリティカルを出してくれたので、この人物はあなたたち全員と面識があります。

 彼女は悪名高きフリーのパパラッチ、ペンネーム『飛田飛龍』。恵まれた身体能力とパンクールを悪用して、壁越え塀越え不法侵入まがいの潜入を繰り返すプロの情報屋です。

 

「ああ、だったら私と知り合いでもおかしくないな。おっと、これはこれは飛龍くんじゃないか」

 

「どうしてこのようなところに? 飛龍さん」

 

「いやぁ、こっちはこっちで面白い情報を掴みましてね? 今回はその調査のためにここにちょっと、ね?」

 

 そう言って【ノーヴルヴェール】をちらりと見ます。

 

「情報だと? おい飛龍。おまえの掴んでいる情報ってなんだい? 教えてほしいねい」

 

「いやいや星熊さん。こちとら商売ですからねぇ。タダで渡すわけにはいきませんなぁ。ねぇ? 古美門先生?」

 

「オーケー。金を30万飛龍に渡す。ほら飛龍くん、どうだ? これだと足りないか?」

 

「ふんふむ……はい毎度あり! では私が掴んでいる情報をお渡ししましょう!」

 

 ということで古美門一派は、奥多摩の男児自殺事件で死亡した男子児童が【クロノスの光】に通う学生で、死ぬ直前に出かけた先がその学校だった、という情報を教えてもらいます。

 さらにこの占いの館はどうも奇妙なカルトと繋がっているという噂があり、政財界の大物がこんな辺鄙な占い屋を訪れるのもそれが理由ではないかと考えている。

 

「しかも【クロノスの光】の代表と【ノーヴルヴェール】の支配人が夫婦の関係にあるんです。カルトと繋がっている可能性のある夫と、自殺した児童が通っていたNPO法人の代表である妻。これは凄いスクープが眠っていると思って、調査の第一歩としてここに来たんですよ」

 

「そうしたら偶然私たちがここに来た、と」

 

「なんだ凄くいい情報じゃないか」

 

「ぐう有能過ぎる」

 

「あ、そうですそうです。はいこれ」

 

 そう言って、飛龍はポケットの中から1枚のカードを古美門に渡します。

 

「これがこのお店の《会員カード》です。これで門前払いされずに入れますよ」

 

「ありがたくいただこう。そして追加ボーナスだ。10万を飛龍に渡す。またいいネタが入ったらよろしく頼むぞ飛龍くん」

 

「へへへっ、毎度ありでーす! これだから古美門先生は好きだよ。私の扱い方をよく理解していらっしゃる!」

 

「優秀な人間に金を払うのは当然のことだ。今後ともよろしく」

 

「こちらこそよろしくでーす。あ、そうそう。この店ドレスコードがあるらしいですよ。まぁ皆さんなら問題なさそうですが」

 

「だな。ある意味全員正装だ」

 

「俺の白衣がちょっと怪しいか?」

 

「大丈夫だと思いますよ? では私はここまで! どろん」

 

 と言って飛龍は身軽な体捌きで退散していきました。

 

「よし。【ノーヴルヴェール】に入るぞ。私が先頭を切る」

 

「ではあたしが2番目だ」

 

「私が3番目です」

 

「なんでパラノイアスタイルなんだ。まあいい。俺が最後尾だ」

 

 ではあなたたちが扉を開けると、目の前には受け付け台と、怪しげな雰囲気を醸し出している女性が座っていました。

 

「……おや、見慣れないお顔のお客様方ですね。《会員カード》の提示をお願いします」

 

「じゃあさっき飛龍からもらったカードを見せよう。さらにGM、私は《信用》を使うぞ。他の3人はカードを持っていないから入れない可能性があるが、私は有名な探偵だ。私の《信用》に成功したら3人の入店を許可して欲しい」

 

 いいでしょう。《信用》をどうぞ。

 

 古美門《信用》80 → 53 成功

 

「よし、成功。ロールプレイだ。《会員カード》と一緒に名刺を渡す。私は探偵の古美門研介だ」

 

「……成程。わかりました。《会員カード》です。皆さんどうぞ」

 

「貰っておこう」

 

「ではいただきます」

 

「これで俺も大物の仲間入りか」

 

「受け付けを過ぎて中に進む。中はどうなっている?」

 

 店内は赤や紫のミステリアスなランプやキャンドルがあちこちに灯され、多彩な色のヴェールが天井に壁に吊り下げられ、ザ・占い屋のような妖しげな雰囲気を醸し出しています。

 直線状の通路の両脇には幾つもの個室が並んでおり、その突き当たりに一際分厚いヴェールで覆われた一室があります。

 室内には過剰なほどのお香とアロマキャンドルが焚かれており、人によっては気持ち悪さを覚えるほど甘ったるい匂いの空気が漂っています。さて皆さんにはここで《聞き耳》を振っていただきます。強制チェックです。

 

 古美門《聞き耳》75 → 60 成功

 勇儀 《聞き耳》25 → 22 成功

 咲夜 《聞き耳》40 → 63 失敗

 遊星 《聞き耳》48 → 23 成功

 

「お、初期値で成功した」

 

 成功した皆さんは、この甘い匂いの中に、何かが腐ったような悪臭が混じっていることに気が付きました。成功者の皆さんは《CON》×5の値で判定してください。

 

 古美門《CON》18×5 → 52 成功

 勇儀 《CON》13×5 → 67 失敗

 遊星 《CON》10×5 → 60 失敗

 

 失敗した勇儀と遊星はこの甘い匂いと悪臭にやられ、気分が悪くなると同時に底知れない恐怖による悪寒が身体中を支配し始めます。鳥肌が立ち、どこか感じる殺気のような冷たさに小さく震える。

 勇儀と遊星、0/1の《SAN》チェックです。

 

 勇儀 《SAN》65 → 83 失敗

 遊星 《SAN》55 → 87 失敗

 

「……みんな、なにか変な匂いしないか?」

 

「……ああ。少し気持ちが悪くなっちまったねい……」

 

「ははははは情けないな2人とも。私は何ともないぞ。だが確かに、これは酷い臭いが混じっているな」

 

「え? そうですか? 確かに甘い香りはする気がしますが」

 

 えーあなたたちがそんな空間に辿り着きますと、1人の店員が現れます。手にはカタログらしきものを持っていますね。

 

「いらっしゃいませ。新規のお客様方ですね? 御所望の占い師の方はいらっしゃいますか?」

 

「ふむ……。…………。一番人気のある占い師を頼もうか。なんでも凄い女の子(・・・)がいるそうじゃないか」

 

「……!」

 

「ふっ、そういうことか。これでもしかしたら会えるかもしれないということか」

 

(大当たりだよ)では少女の単語を聞いた店員は「少々お待ちくださいませ」と言うと、店の奥へ早走りで駆けていきました。そして数秒後、ダンディな雰囲気の、黒服を着た大柄の男性がやってきました。

 

「初めまして、名探偵の古美門研介様。そしてお仲間の皆さん。私がこの【ノーヴルヴェール】の支配人、祟道叡史です」

 

「この人が祟道叡史さんですか。GM、この人に対して《目星》」

 

「俺も振ろう」

 

 咲夜 《目星》40 → 93 失敗

 遊星 《目星》48 → 06 成功

 

 良い服着ているなぁということがわかります。

 

「無意味だったな」

 

「【ヴェールの少女】を御所望な用で。どうぞ、こちらです」

 

 とあなたたちを案内します。

 

「「「「ついていこう(きます)」」」」

 

 ではあなた達は叡史によって通路の奥の個室に案内され、そこで薄いヴェール越しに【ヴェールの少女】と対面します。ヴェール越しではありますがあなたたちは【ヴェールの少女】の顔を見ることができました。

 本来ならばAPP16相当の美しい彼女の顔の左半分には、相当古いものでこそありますが、酷く痛々しい火傷の跡がありました。

 

「! ということはこの少女が」

 

「理子ちゃんですね。話しかけます」

 

 おっと、あなた達が何かを話しかける前に、【ヴェールの少女】は古美門を指差します。

 

「古美門研介38歳、職業《探偵》。前職は警察キャリア、夜に弱い」

 

「……は?」

 

 次に指をスライドして順番に指差します。

 

「星熊勇儀30歳、職業《用心棒》。本来は温厚な性格でこそあるが、目つきの悪いせいで怖がれやすい。ちなみに足首に拳銃を隠し持っている。十六夜咲夜28歳、方向音痴な古美門研介の《専属メイド》。メイド服の中には仕込みナイフを6本潜ませている。不動遊星39歳。プロのドライバーかつプロのハッカー。奇妙な存在に好まれる傾向がある」

 

「なっ!?」

 

「なにっ!?」

 

「これは……」

 

 そう。まだ何も話していないにもかかわらず、目の前にいる少女はあなたたちの職業、仕込んでいる武器、更にバッステまで正確に、ぴたりと言い当ててしまいました。しかもその声の中には、《心理学》を振るまでもなく感情の一切籠っていない、まるで機械のような、それでいて得体のしれない未知の存在のような、確かな不気味さと冷たさが感じられました。

 驚きのあまり見開いた目で【ヴェールの少女】を視界に入れてしまうあなた達。左半分に痛々しい火傷痕のある少女の双眸は完全に据わりきっており、覗き込めば沼の如く、沈みこまれてしまいそうな程に深く、重く、どす黒い、濁り切った輝きがあなた達を捉えていました。

 皆さん、0/1D3の《SAN》チェックです。

 

「連続《SAN》チェックか。いよいよGMが本気出して俺たちを殺しにかかってきたな」

 

 古美門《SAN》65 → 38 成功

 勇儀 《SAN》64 → 63 成功

 咲夜 《SAM》50 → 75 失敗

 遊星 《SAM》54 → 13 成功

 

「うっ、私だけですか(コロコロ)……1。ちょっとヒヤッとしただけですね」

 

「こら理子、皆さんに失礼だろう? すみません。ちょっと変わった子なんですよ」

 

「すみません」

 

「……いえ、大丈夫です。少し驚いただけですから」

 

「というか今、理子って言ったな。ということはこの子が理子ちゃんで間違いなさそうだな」

 

「でも様子が明らかにおかしいねい……。GM、今の理子ちゃんはどんな状態だい? 目に見えて分かる情報だけでいいから教えてほしい」

 

 【ヴェールの少女】は茫然自失の状態……まるで何かに操られているかのような、生気のない表情をしています。

 

「これはヤバいねい。GM、《心理学》で彼女を探るよ」

 

「私も振ろう」

 

 わかりました。《心理学》の結果は公表しません。

 

 古美門《心理学》65 → ??

 勇儀 《心理学》45 → ??

 

 古美門も勇儀も彼女から何の感情も読み取ることができませんでした。

 

「これは成功したのか失敗したのか、ちょっとわからないねい……」

 

「GM、《精神分析》を試みます」

 

 咲夜 《精神分析》76 → 72 成功

 

 では咲夜は、【ヴェールの少女】が誰かのマインドコントロールを受け、洗脳状態に陥ってしまっていることに気付きます。対処手段は現状思い当たりません。

 

「GM、今叡史さんはどこにいますか?」

 

 【ヴェールの少女】の隣に立っています。

 

「下手なことは出来ませんね。武器を持っていることも知られてしまいましたからなおさら」

 

「ロールプレイと《言いくるめ》《説得》で対処する。ここは占いを受けに来た客として接しよう。噂通りの素晴らしい占い技術だ。支配人、この2人の武器に関しては目を瞑ってくれないか? 2人とも私のボディガードなんだ。これでも私の命を狙う輩が多いものですからね困ったことに。と《言いくるめ》る」

 

 古美門《言いくるめ》80 → 36 成功

 

「ふむ、いいでしょう。時々お客様の中には、そういったものを持ち込む方もいますから心得ています」

 

「すまないねい。これでも性分なもんでさ」

 

「主の身を護るのもメイドの務めですゆえ」

 

「俺から最初に占ってもらおうか。君はもう知っていると思うが、俺は不動遊星だ。だけど俺は君の名前を知らない。名前を教えてくれないか?」

 

「そういえばまだGMは【ヴェールの少女】としか言ってませんでしたね」

 

「……理子。祟道理子です」

 

「よし確認完了だ。あとは占いをしてもらうだけだな」

 

 占い内容は1人につき1回でお願いします。

 

「1回か。そうだな……じゃあ理子ちゃん、定番かもしれないが、今日の俺の運勢を占ってほしい。最近運がないような気がするから心配なんだ」

 

「今日の貴方の運勢ですか(コロコロ)……残念ですが、今日の貴方の運勢はあまり良くないでしょう。外に出ず、家の中で静かに過ごすことをお勧めします」

 

 遊星、この占い結果を聞いたことによって今日1日、《幸運》で判定を行う場合10パーセントのマイナス修正をプレゼントします。

 

「なにっ!?」

 

「おい、これは容易に占いさせられないぞ。結果次第では何か有利になるかもしれないが、失敗したらバッステ付与とか危険すぎる」

 

「古美門はとりあえずそのままにしていてくれ。よし。次は私をお願いしようかねい。理子ちゃん、知っての通りあたしは目つきが悪い。こうしてサングラスをしているんだがどうも効果がないようなんで困っているんだよねい。何かいいアドバイスはないかい?」

 

「(コロコロ)……そうですね。そのままの、ありのままの貴女でよろしいでしょう。自分のことを理解してもらおうと努力をすることは素晴らしいですが、そのままの自然体での貴女が一番です」

 

「そうか。そいつは嬉しいねい。わかったよ。そうしよう」

 

 勇儀には特に何もありません。

 

「当たりだったのか? まあいい。次は私だ。理子くん。私は買い物を迷っているんだ。新しい別荘を買うか、それとも無人島を買うか。どっちを買えばいいと思う?」

 

「流石金持ちだ」

 

「(コロコロ)どっちも買うのがよろしいでしょう。思い立ったが吉日です。今日どちらも買えばいいことが起るでしょう」

 

 古美門は今日中に別荘と無人島を購入すれば、明日の《幸運》に10パーセントのプラス補正をプレゼントします。

 

「よし。今日中に買うとしよう。ちなみに別荘と無人島合計でいくらだ」

 

 えっとですねー(コロコロ)……9200万ですね。

 

「買った!」

 

「最後は私ですね。理子ちゃん、私はこの写真の少年を探しているのです。私はこの少年に今日見つけることは出来ますか? と言いつつ懐から【ぬくもりハウス】で借りた写真を理子ちゃんに見せます。勿論人差し指で理人くんを差しつつ、隣に写る理子ちゃんの姿は写真を折って隠します」

 

「この少年……ですか?」

 

 理子は写真の中の幼い頃の理人を見たとき、僅かですが無表情を崩しました。しかし、次の瞬間には元の鉄仮面に戻ってしまいました。

 

「(コロコロ)……はい。大丈夫です。きっとその少年と出会うことは出来るでしょう」

 

「でしょうね。もう知り合っていますし。ですが、これはいい情報を手に入れました」

 

「咲夜、ナイスロールプレイだ」

 

「よし、じゃあこれ以上ここに居る必要はないな。退散しよう」

 

 ではあなたたちがそう思った時、支配人である叡史が話しかけてきます。

 

「失礼ですがお客様方。そろそろお時間ですので」

 

「ああ、わかったよ。理子くん、今日はありがとう。またお願いするよ」

 

「あたしも感謝するよ。ありがとうな」

 

「ではまた会いましょうね、理子ちゃん」

 

「今日は言われた通り家でゆっくりするとしよう。失礼する」

 

 ではあなたたちは御代を払って店の外に出ると。

 

「遊星の車に乗り込もう。外で話し合うのはマズい」

 

 わかりました。では特に何も起こることなく、遊星の改造トヨタセンチュリーにあなたたちは乗り込みました。

 

 

 

 

     ――To be continued…

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。