社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ   作:スパークリング

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週一は無理でした……


Part.3

 民宿『くしなだ』から歩いて15分くらいの所、武彦先導のもとあなたたちが辿り着いた場所はこの島唯一の神社、『花宮神社』でした。この神社の先が神樹の森となっていて、一般開放はされていないようです。

 ツアーに参加してこの島にやってきた人間と、島民以外の立ち入りを固く禁止しているらしく、その旨が記された看板が設置されています。見れば日本語以外にもさまざまな言語で同じ内容を掲載しているようですね。

 

「随分厳しく規制されているんですね」

 

「まぁ御神木だし、この島の宝のような場所だろうからな。観光客……特に外国人観光客に森を荒らされるのを防ぐための処置だろう」

 

「ごみを捨てたり木に登って写真撮ったり落書きしたり枝を折って持ち帰ったり、後は勝手に森になっている木の実を食べたりとかかな? そういうことを平気でする人っているんだよね」

 

「私たちはそんなことしないわよ? ねぇ、咲夜」

 

「もちろんでございます。そのような低俗な真似をする方々とスカーレット家のご令嬢であるお嬢様を一緒にしないでいただきたいのですが」

 

「いっ、いやっ! オレたちはそんなつもりはまったくないですよ!」

 

「冗談でございます、と軽く笑いながら言います」

 

「心臓に悪いですよ……十六夜さんのようなクールなお顔の人が言う冗談は冗談のように聞こえませんよ」

 

「うむ……有名なAV女優が前技だけで喘ぎまくっているのと同じだな」

 

「違うよ」

 

「……あなたその……彼女はいつもこんな感じなの?って津田さんに話しかけるわ」

 

「ええ、まぁ。ほとんどこんな感じです。ちょっと遠い目をします」

 

「……彼女の恋も前途多難ね、って感じで小さく溜息を吐くわ」

 

「でもいい人なんですよ。ちょっと思春期すぎるところを除けば性格もいいですし、料理は上手だし、文武両道だし。あとやっぱりかわいいんですよね。旅行の前とか楽しみで眠れないところとか」

 

「へぇ、そうなの?」

 

「はい。高校生のときからなにも変わっていなくて。今日も待ち合わせ場所で合流した時なんて目をくわっとさせていましたから」

 

「あらあら」

 

「オレがそれを指摘したら拗ねちゃって。オレが旅行に誘ったことが嬉しかったんだって。その時は思わずドキッとしちゃいましたよ。あはは」

 

「前言撤回ね。彼女の恋、多分あと一歩で成就するわ。必要なのは彼女の勇気だけね。ふっと笑って青春ねぇって津田さんに返すわ」

 

「たく、甘酸っぱい話だ。40手前の独身のおっさんが聞くような話じゃねえぜ。というか……ああ、懐かしいな。そういえばこの神社だっけか? 俺が銀髪の女に出会って帰されたのって」

 

 そうです。えっと、シーン進めますね?

 あなた達がそんな話をしながら武彦についていきますと、やがて神社の境内へと歩を進めていきます。そしてそこには1人の男が仁王立ちしていました。熊のようにずんぐりとした大男です。

 

「Aグループの皆さん、紹介します。彼は私の古くからの友人で、神樹の森の唯一の案内人の叉木義春さんです」

 

「叉木だ、よろしく」

 

 と手短に挨拶をします。

 

「とこのような口下手で寡黙な男ですが、神樹の森のことは誰よりもわかる頼りになる男です。叉木さん、注意事項を皆さんに説明してください」

 

「絶対に俺の後ろについてくること、それから森は毒蛇が湧くから充分に気をつけること。以上だ」

 

「らしいです。皆さんの方から叉木さんになにか質問したいことはありませんか?」

 

 質問は1人につき1回までとさせていただきます。

 

「じゃあ私からいいかしら?」

 

「はい、スカーレットさん」

 

「ファーストネームで結構よ。叉木さんもね。レミリア・スカーレットよ、よろしく。それで質問なんだけどね、神樹の森の果物ってあるじゃない? それは食べることは出来るの?」

 

「今の時期で採れるものもあるが森で食べるのは厳禁だ。『くしなだ』で出されるデザートがこの森で採れた果物を使っているから、それで我慢してくれ」

 

「わかったわ」

 

「俺からも1つ。変な質問になっちまうが、30年前もこういう形式で神樹の森に入っていたのかい?」

 

「本当に変なことを聞くお客さんだ。いや、この形式をとり始めたのは10年前からだ。迷子になったり失踪しちまったり、後は森を勝手に荒らされたりと色々な苦情と要望があって、こういう形式でのツアー案内となっている。観光客は減ったが、変な事件も少なくなったし、神樹の森が荒らされなくてすむしで、島民としては嬉しいことだよ」

 

「そうかい、ありがとう」

 

「他に訊きたいことは?」

 

「蛇が出たときの対処方法を知りたいです」

 

「蛇が出たら俺が対処する。大きな声で呼んでくれればいい」

 

 と言いながら叉木は蛇取り棒をあなたたちに見せます。蛇取り棒は通常1メートルほどの細長い棒なのですが、叉木が取り出したのは1.5メートルほどの長さ、人の腕ほどに太い、通常よりもはるかに大きいものでした。

 

「随分と大きい蛇取り棒ですね。どうしてそんなに大きいんですか?」

 

「単純明快だ。この森の蛇は大きい。俺が見た中で一番の大物は2.5メーターくらいのやつだったな。流石にあれを対処するのは面倒だった」

 

 と真面目な顔で言います。嘘は言っていないようで、本当にそれくらいの大物が出るかもしれませんね。

 

「まぁ……でもどうしてそんなに大きくなったんですか?」

 

「詳しくは知らん。が、この森に棲んでいる生物は大抵全部そんなもんだ。おまえたちが今まで見てきた生物の常識が通じんかもしれん。今までもそれを見て腰を抜かしてきたお客さんを何人も見てきた。一々驚かないで、この森の生物はこういうものなんだという気持ちで流してくれると助かる」

 

「では最後に私から。叉木さんは生命の木の精霊とやらを見たことはございますか?」

 

「俺か? いんや俺は見たことはない。きっといるとしたらお姉さんみたいなとびっきりの美女なんだろうな。……そういや武彦。おまえはガキの頃に見たことがあったんだっけか?」

 

「ええ、私はあります。と言っても会ったのは幼い頃でもうどんな姿だったのか思い出せませんがね」

 

「《心理学》を振ります。彼の娘が私と同じ存在である以上、その言葉を疑わずにはいられません」

 

「あ、じゃあ私も振っておくわ。咲夜と情報を共有しているし、良いわね?」

 

「俺も判定させてもらうぜ。串灘咲耶との約束の為でもあるが、俺自身も昔精霊に会っているんだ。何か掴めるかもしれない」

 

 了解です。3人に《心理学》を許可します。ただし結果は公開しません。

 

 白夜  《心理学》62 → ??

 レミリア《心理学》66 → ??

 咲夜  《心理学》63 → ??

 

 おっと、これはちょっと意外な結果ですね。えー、3人にはそれぞれ別の情報が与えられます。

 まず白夜。あなたは武彦の仕草から、彼は精霊関連で何かを隠していると感じました。

 次にレミリア。あなたは武彦の娘である串灘咲耶の正体を知っているので武彦の言葉に引っかかりは覚えましたが、嘘は吐いていないなと感じました。

 最後に咲夜。あなたは自分と同じ存在を娘にしている武彦の言葉は嘘だと確信することでしょう。木の精霊の正体が串灘咲耶である以上、彼はなにか事情を知っていると感じました。

 

「これは……多分私は失敗したわね。で、白夜が成功、咲夜がクリティカルって感じかしら?」

 

「わからないですよ? 人間に変身したシュブ=ニグラスの思考能力は人間と同じ程度になりますし、ファンブルの可能性もあります」

 

「まぁ、いいか。とりあえず話のとっかかりは見つけられたし、タイミングを見計らって問いただしてみようか」

 

 ではシーンを進めます。

 質問の時間が終わり、いよいよあなたたちはガイドの叉木を先頭に神樹の森の中に入っていきます。

 

「あ、ちょっと待ってくれ。《ナビゲート》で判定してもいいか? 念のためにここからの道を覚えておく」

 

 お、なるほど。いいでしょう。《ナビゲート》成功で、次に1人でこの森に入った時に更に補正を加えることを許可します。

 

「私も判定していいですか?」

 

 どうぞ。

 

 シノ 《ナビゲート》58 → 06 成功

 咲夜 《ナビゲート》65 → 88 失敗

 

「よし」

 

「うーむ。今回の私のダイスは腐り気味ですね」

 

「ロールプレイヤーはダイスが腐る。七不思議のひとつだよな」

 

「ロールプレイでカバーするからいいのよ」

 

 じゃあ今度こそシーンを進めさせていただきますね。

 神樹の森の空気は済みきっていて、木漏れ日が心地よく、急な坂や大きな石なども落ちていないのでとても歩きやすいです。夏だというのに蚊のような害虫は飛んでおらず、草もそれほど生い茂っていないので、あなた達は気分よく森の中を散策できることでしょう。色とりどりの様々な果物がなっており、どれも大きく実っていることからすぐにでも手に取って食べたい衝動に駆られるでしょうがどうか自重してください。ガイドさんとの約束です。

 さて、森の中を歩きながらあちこちを見ていたであろう皆さん、《目星》で判定してください。

 

 白夜  《目星》62 → 91 失敗

 シノ  《目星》63 → 95 ファンブル

 タカトシ《目星》52 → 21 成功

 アリア 《目星》50 → 46 成功

 レミリア《目星》25 → 56 失敗

 咲夜  《目星》45 → 96 ファンブル

 

「げ、62あって失敗すんのかよ……って俺よりヤバいのが2人もいる」

 

 ファンブルですかぁ。じゃあシノと咲夜は森を見ながら歩いていると突然、目と鼻の先に蜘蛛が糸に吊らされながら落ちてきます。

 それは今まであなたたちが見てきた蜘蛛とは比較にならないほど大きいです。体長15センチはあります。その8つある目と目が合ってしまうことでしょう。《SAN》チェックです。1D3/1D6でどうぞ。

 

「でっかいな!?」

 

 15センチの蜘蛛が突然目の前に現れたんですよ? 気絶したとしても不思議ではないでしょう。ですから一時的発狂は1番の気絶or金切り声、2番のパニック状態、5番のあまりの恐怖ゆえの硬直からお好きなものを選んでどうぞ。あ、咲夜はやらないでいいですよ。ただびっくりしてなにかリアクションは取っていただきますが。

 

 シノ 《SAN》45 → 86 失敗

 

「(コロコロ)……1。うわぁっ!って声を上げて津田に抱きつく」

 

「私は硬直します」

 

「わっ、どうしたんですか天草先輩」

 

「どうしたのシノちゃん」

 

「あ、あれ……あれって指を震えさせながらさす」

 

「じゃあその方を……あ、やっぱオレは見ないで――」

 

 却下。シノがそういうリアクションをするならタカトシもアリアも指差す先を見てしまうでしょう。今もまだいる、巨大な蜘蛛を。《SAN》チェックです。1/1D3でいいですよ。シノの場合と状況が違いますからね。

 

 タカトシ《SAN》45 → 41 成功

 アリア 《SAN》45 → 71 失敗

 

「(コロコロ)……2。きゃあっ!?って私も津田くんに抱きつくよ」

 

「うおおっ!?……凄く大きいですね」

 

「……そのリアクションはどっちに対してのだ?」

 

「あ、もう調子戻ったんですね。それからその質問は黙秘します」

 

「どっちも反応していたのね。咲夜? どうしたの固まっちゃって」

 

「いえ、なんでもございませんよ。なんとなく気になったほうを見ていただけですから」

 

「ふーん」

 

「はぁ……で、成功したオレと七条先輩は何か見つけたんですか?」

 

 ああ、そういえばそうですね。タカトシとアリアはクワガタムシやカブトムシ、アゲハチョウなどのベタな生物を見つけることができましたが、そのすべての生物のサイズが桁違いに大きいことに気が付くでしょう。

 

「具体的にどれだけ大きいかわかりますか?」

 

 体長20センチはあるんじゃないでしょうか。遠目から見ても普通に見つかるほど大きいです。

 

「そんなに大きいんですか。じゃあ気を取り直して、見てください皆さん。あのカブトムシ、凄いですよって声をかけます」

 

「ふぅ……本当、凄く大きいね。津田くんのカブトムシもあれくらいあるのかな?」

 

「風情に欠くリアクションはノーセンキューです」

 

「まったく、叫んだり下ネタ飛ばしたり賑やかね。と呆れながら津田さんが言った方向を見るわ。あら本当ね。あんな大きなカブトムシは初めて見たわ」

 

「俺も見ておくぜ。おー、すげえなありゃ。いくらで売れるんだか」

 

「……言っておくが勝手にここの生物を捕獲することは許さんぞ」

 

「わかってるって叉木さん。ちょっと疑問に思っただけだよ。にしてもあんなデカさのカブトムシが生息している森だ。大物の蛇が出るのも頷けるな」

 

 という感じでハプニングが起こりつつも森の中を進み、あなた達は無事に生命の木まで辿り着きました。

 根は物語に出てくる巨人の脚のごとく大地を踏み締め、その頂が天を衝くかと錯覚するほどに生命の木は巨大です。鬱蒼と茂った深緑の傘に日光が遮られ、生命の木の周囲は薄暗くひんやりとした空気が漂っています。

 生命の木の根元からこんこんと澄み切った泉が湧き出していて、沢となって流れていくその様は、まるで夏の天の川のような美しさに満ちているでしょう。

 さて、きっと生命の木を見ているであろう探索者の皆さん、《目星》判定のお時間です。

 

「またか」

 

 白夜  《目星》62 → 00 ファンブル

 シノ  《目星》63 → 46 成功

 タカトシ《目星》52 → 87 失敗

 アリア 《目星》50 → 85 失敗

 レミリア《目星》25 → 99 ファンブル

 咲夜  《目星》45 → 57 失敗

 

「うわ、次はこっちにファンブルが来た」

 

「あらら」

 

 ファンブルですか……特に何もないんですよねぇ。うーん。じゃあこれでいいです。

 レミリアと白夜は生命の木の陰に隠れてよく見えなかった霊泉を見つけることができました。光が届かず薄暗いので様子をうかがうことは出来ません。あなた達はその霊泉に興味を持ちます。あとで見に行ってくださいね。

 

「怖いわね。明らかにトラップですもの。まぁ仕方ないわね」

 

「私が成功したな。なにか見つけたのか?」

 

 そうです。シノは生命の木の幹の所に何か剣のようなものが刺さっているのに気が付きました。詳細はわかりません。また、《跳躍》で届くような高さにありません。頭上数メートルのところに刺さっているため、手に取るには木に登る技能である《登攀》に成功するか、私が納得する方法を提示してもらう必要があります。ただし今はガイドの叉木が目を光らせていますので、とてもじゃないですが木に登るなんてことは出来ないでしょう。

 

「そうか……とりあえずこの情報はみんなに渡そう。まずは津田とアリアにだ。おい、あれはなんだ? なんか刺さっているぞ。と少し大きな声を出して指をさす」

 

「近くにいたオレは反応してその方を見る」

 

「私も見るよ。……あ、本当だ。何か刺さっているね。叉木さん、あれはなんですか?」

 

「あれは別天羽々斬っていう剣だ。詳しくは明日にでも神社に行って調べてくれ。俺はあんまり詳しく知らないんだよ」

 

「へぇ、そうなんですか。じゃあ調べてみましょう。という感じで興味津々に声を上げながら眺める。これで失敗した人も見つけられるでしょう」

 

「よし、じゃあ今度こそ注意深く見てみるぜ」

 

「私も見るわ」

 

「私も見ます」

 

 全員見ましたか。では白夜と咲夜にそれぞれ別の情報を与えます。

 まず白夜から。白夜は高いところに刺さっている別天羽々斬を見て、この光景を見たことがあると思うことでしょう。

 次に咲夜。確信するでしょう。この生命の木こそ、自分と同じ神の分霊が依り代であることを。そして、あの突き刺さっている剣のおかげで清められ浄化されているということを。しかしどういうわけか、浄化されているとはいえ強大な力を持つはずの生命の木の力が弱まっているということに気が付くでしょう。原因は不明です。

 

「なるほど。いい情報ですね」

 

「いい情報どころじゃねえよ、まんまネタバレじゃないか。まぁ知らない体でロールプレイするけどよ」

 

 いや、正直皆さんクトゥルフに慣れていますし、大体は予想付くでしょう? さてさて、ではさっきファンブルを出してしまった白夜とレミリアのシーンに行きますよ。えっと、咲夜はちょっと介入しないでいただけると嬉しいです。

 

「じゃあ介入しません。空気は読みますよ」

 

 ありがとうございます。では白夜とレミリアは生命の木のすぐ近くにある霊泉が気になって勝手にそこに行きます。霊泉に近づくのは普通にオーケーですので叉木は止めません。咲夜は自分の分霊の依り代である生命の木を観察して守るべきお嬢様が近くにいないことに気が付きませんでした。

 

「とりあえず霊泉を見るわ。ダイスを振らない程度に何があるか教えて頂戴」

 

 綺麗な霊泉で特に不審な点は見つかりません。……ですがですねぇ。

 さぁ、おふたりとも。《目星》の強制判定です。

 

「おまえ本当に強制判定好きだなぁ」

 

「今回は成功したほうがいいのかしら。失敗したほうがいいのかしら。怖いわねぇ」

 

 白夜  《目星》62 → 07 成功

 レミリア《目星》25 → 48 失敗

 

 まぁこうなりますよね、予想できていました。では成功した白夜から。

 霊泉を覗き込んだ白夜は泉の底でなにかがキラキラ光ったような感じがしました。しかし改めてよく見てもその光ったものの正体がつかめず気のせいだと思うことでしょう。

 

「ふぅ、今回は成功していいパターンだったか」

 

 そうですね。そして失敗したレミリアはちょっとマズいですね。

 失敗したレミリア、あなた《INT》はいくつでしたっけ?

 

「え? 15よ。頭は良い方だわ」

 

「発狂街道まっしぐらだな」

 

「このタイミングでのステータス確認ってことは……もしかして、対抗ロール? 《INT》で?」

 

 はい。えっとですねぇ(コロコロ)……あ、すみませんレミリアさん。自動失敗となります。えーっとですねぇ(コロコロ コロコロ)……わお。レミリアさん、あなたの《MP》及び《SAN》に4点のダメージです。

 

「えっ、ちょっ!?」

 

 レミリア《MP》11 → 07

 レミリア《SAN》55 → 51

 

 さらにレミリアさん、《MP》×5で1D100を振ってください。

 

 レミリア《MP》7×5 → 80 失敗

 

 あらら失敗ですか。ではレミリアさんはこの泉の神秘さに取りつかれ、ここから離れたいと思えなくなってしまいます。もうずっと、この泉を眺めて穏やかな感傷に浸っていたいと考えてしまうことでしょう。

 

「せ、精神攻撃よ! 精神攻撃を受けているわっ!? これ凄いマズいんじゃない!?」

 

 マズいですねぇ。しかもレミリアには自覚症状がありません。本当にただなんとなく、しかし頑なにここから動きたくないと思ってしまうことでしょう。と、その時。

 白夜、なぜかあなたの内ポケットが発光しています。小さなものですが、明らかに自然なものではありません。

 

「!? なんだ! 俺は内ポケットにある物を取り出してみる!」

 

 それはあなたがずっと持っていた古びた御守りでした。御守りは今でも断続的に淡く発光し続けています。

 さらに咲夜、このタイミングで守るべきお嬢様が近くにおらず、霊泉を食い入るように、前のめりに覗き込んでいるレミリアを見つけることができるでしょう。

 

「はっ! お嬢様!? 小走りしながらお嬢様の所に向かいます。お嬢様、危ないですよ。行きましょう」

 

「え? あ、ああうん。もうちょっと。もうちょっとでいいからここに居たいわ。って咲夜に目もくれずに泉を眺め続けるわ」

 

「えぇ……ではあと少しだけですよ」

 

「うん、少しだけ。少しだけ……」

 

 それでは3分ほど時間を進めます。もう少しだけというレミリアお嬢様ですが、一向にそこから動く気配を見せません。やがてガイドの叉木が移動を開始すると割と大きな声で言い出しますが、それでもレミリアは動こうとしません。

 

「お嬢様、時間です。行きましょう」

 

「もう少し、もう少しだけでいいのよ。もう少しここにいさせて」

 

「……これはもうまともな状態じゃありませんね。《精神分析》は持っていませんし……霊泉に対して《目星》で判定したいです」

 

 成功しようが失敗しようが結果は変わりません。何も見つけられないでしょう。《クトゥルフ神話》技能も無効です。

 

「困りました。大っぴらに魔術なんて使えませんし。……そういえば夢幻様はどこにいますか?」

 

「俺も動いてないぜ。今も発光している御守りを手に見つめているだろうな。それからせめて白夜様にしてくれ。夢幻様は嫌だ」

 

「では白夜様で。ふっとそこにいた白夜様の方を見て彼が持っている御守りが発光していることに気付きます。《クトゥルフ神話》技能でよろしいですか?」

 

 自動成功とします。

 白夜が持っている御守りから感じる力は咲夜、あなたの持つ神の力と近い力を感じます。属性は加護であり、神話生物による精神的な攻撃から持ち主を守る効力があるようです。

 

「失礼します白夜様と短く断りを入れて白夜様のお守りを奪い取ります」

 

「あっ! お、おいっ!? あんた!」

 

「すぐにお返しします! と言って御守りをお嬢様の身体に触れさせます!」

 

 ではそこでレミリアは正気を取り戻します。ハッとして、霊泉を眺めていたときの間だけ記憶が飛んでいることでしょう。

 

「……あ、あれ? 私なにをしていたんだっけ? 咲夜? どうしたの?」

 

「いえ、なんでもありませんよ。白夜様、ありがとうございました」

 

「ったくいきなりひったくりやがって。って愚痴りながら御守りを受け取る」

 

 御守りはもう発光していません。

 

「……なぁあんた。血相変えてお嬢様にこの御守りを触れさせていたけど……なにか知ってんのか? というかこのお守りが光るなんて今日が初めてだ。中に入ってるのは金属みたいなもんだからそんなギミックはない。なんで光ったのか、もしかしてあんたは知ってんじゃないか? 前にあんたとどこかであったような感覚も俺にはある。知っているなら答えてくれ」

 

「さぁ? お嬢様の様子がおかしかったのでどうしようと追い詰められまして。そこでその不思議な御守りを見つけたので、なにか効果があるのかと思ったので拝借しただけですよ。私はなんにも」

 

「こいつさらっと躱してきやがる。本当にレミリアの中のやつに似てきたな」

 

「にしても、どうしてその御守りは光っていたんですか? そもそもその御守りはどちらで?」

 

「さぁな。ガキの頃からずっと持ってたもんだし詳しくは知らない。ただまぁ、凄く大切なもんだってことだけはわかってんだ。ったく、それをかっさらうもんだから焦ったぜ」

 

 ではこのタイミングで叉木があなた達のもとにやってきます。

 

「あんたらなにやってんだ。もう行かねえと日が暮れる。いくらこの森のことを知り尽くしている俺でも日が暮れちまったら正直厳しい。早く行くぞ」

 

「ああ、すまねえな。俺は行くぜ」

 

「心配かけたわね、何が起こったのかはわからないけどもう大丈夫よ」

 

「とりあえず大丈夫なようですね。ほっと胸を撫で下ろして合流します」

 

「オレたち役員共組はほぼ完全に脇役になっちゃってますね」

 

「ガヤとして盛り上げていけばいいさ。それに向こうは今ダイスがあまり仕事していない。いざって時にフォローを入れてあげればシナリオもスムーズに進むだろう」

 

「そうだね。私たちはいわば浣◯プレイのガラス製注射器のようなものだね!」

 

「うむ!」

 

「うむじゃないっすよ」

 

 さてさて、これで森の散策シーンを終了します。

 あなたたちは叉木の後をついていき、一通り神樹の森を散策してから民宿『くしなだ』に戻りました。

 

 

 

 

     ――To be continued…

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