社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ   作:スパークリング

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Part.5

 さて、入浴を終えたあなた達。多分最初に出てくるのは男性陣だと思いますので2人がどこまで情報を共有したのかを確認します。

 

「オレからは特に何も。あんまり関わっていませんからね」

 

「俺が喋っただけだな。串灘咲耶が訪ねてきたことは言ってないが、俺が昔この島に来たことがあることや、昼間のレミリアの異変のこととかは話した。御守りのこととかもな。あ、それからこの島で観光客の謎の失踪事件が起こっていることも話したな」

 

 結構色々喋りましたね。まぁいいでしょう。ではあなたたちが待つこと10分、女性陣が出てきました。そちらはどんなことをお話に?

 

「世間話や芸能活動が主だけど、この島に関しても色々とね。失踪事件や島の伝説に関する話をしたわ。串灘咲耶と白夜さんに関しては特に何も話していないわ」

 

 なるほど、では合流したところでシーンを続けます。役員共たちの情報共有は自室で適当に住まておいてください。

 さて、あなたたちがお風呂から上がって自室で帰る途中、Bグループの6人組とすれ違います。なにやら話しているようですね。歩いていく先には民宿の玄関。どこかに出かけようとしているようです。

 

「……とりあえず《聞き耳》してみるぜ? 仕事柄こういうのに敏感なんだ」

 

 白夜《聞き耳》63 → 06 成功

 

 では白夜は彼らの会話の中から、神樹の森、肝試しというワードを耳に入れました。どうやら肝試しに向おうとしているみたいです。

 

「そいつはいけねえな。おい、おまえらちょっと待てって呼び止める」

 

「ん? どうしたの白夜さん? とりあえず立ち止まるわ」

 

「「「「同じく」」」」

 

「ちょっとな。それよりおまえら、なにしようとした?」

 

 白夜が訪ねますと、Bグループの面々はめんどくさそうな顔をしつつ答えます。

 

「なにって、別になにも」

 

「確かに聞こえていたぜ? 正直に言え、おまえらこれから肝試しに行くつもりだろ? しかも神樹の森に」

 

 それを聞いて誤魔化しきるのは無理と判断したのか、舌打ちしつつ返します。

 

「ちっ、そうだよ。何か悪いか?」

 

「何か悪いかってねぇ、あなた達串灘さんの話を聞いていなかったのかしら? 夜の神樹の森には入っちゃいけないって言っていたでしょう? 私も割り込むわ」

 

「大人2人に任せて静観するとします」

 

「私も黙っていよう」

 

「私もー」

 

「お嬢様に危害が及ばぬように警戒しつつ待機します」

 

 レミリアが割り込んできますと、更に面倒そうな顔をしつつ返事をします。レミリアにも白夜にもいい感情を持っていないからでしょう。

 

「だから?」

 

「だからってなぁ、この島のルールを破るなってんだ。それに知ってるか? 夜の神樹の森に行った奴は行方不明になるってよ。日常茶飯事らしいから警察も動いてくれないって話だ。行かない方が身のためだぜ?」

 

「それに森には神様がいらっしゃるわ。変に刺激して怒らせちゃあダメよ?」

 

「は? なんだそりゃ。神様とか行方不明とか、噂かなんかだろ?」

 

「聞く耳持ってないわよ、どうする? こうなったらもうダイス振ったほうが良さそうだけど。ちなみに私は説得系に一切振ってないから」

 

「マジか。じゃあ俺が振るか。《説得》だ。素行が悪い奴らとはいえ、危険なところにはいかしゃあしねえよ」

 

 白夜《説得》72 → 32 成功

 

 白夜は彼らに尤もなことを言ってのけますが、それでも聞く耳を持とうとはしません。

 

「は? 振るだけ無駄かよ」

 

「《心理学》振っていい? 《精神分析》でもいいわ」

 

 振るまでもなく正常であることがわかるでしょう。ただ聞く気がないだけです。

 

「ああこれもうダメね」

 

「はっ、話はそれだけかとおっさん、おばさん。俺たちは行くぜ。じゃあな」

 

 と言いながら彼らはそそくさと旅館から出て行ってしまいました。

 

「おばさんって……私まだ31よ? 最近の若い子たちにとって三十路を過ぎたらおばさんなのかしら?」

 

「俺も36だし、そうなんじゃねえか?」

 

「そんなことはないですって」

 

「はい。まだ若いですよおふたりとも」

 

「そうかしら? じゃあもう少しお転婆してても大丈夫かしら?」

 

「御自重くださいませ、お嬢様」

 

「もう、咲夜ったらわかっているわよ。にしても行っちゃったわねぇ、大丈夫かしら? 占っておく?」

 

 やめてくださいおねがいします。

 

「じゃあしょうがないわねぇ。無事に帰ってくることを祈りましょうか」

 

 えっと、念のためにお聞きしますが、夜の神樹の森に行きたい人はいますか? 別に行っても構いませんよ?

 

「いや行かないわよ。言いつけは守るわ」

 

「お嬢様が行くと言ったら《説得》でもなんでもして止めていました。行かないです」

 

「んー、正直あいつらのことが心配だから行きたいんだが……こんな真っ暗な中行ったところで迷子になるのがオチだし、俺も行かないでいい」

 

「私たちも行かないぞ。そうだな?」

 

「危ないから行かないよ。ちょっと興味はあったけどね。青か――」

 

「言わせませんよ。ええ、行かないですよ」

 

 そうですか。それでは旅行1日目を終了……する前にですね。えー、レミリアさん、1D100をお願いします。

 

「え? (コロコロ)……25よ」

 

 25ですか。では深夜12時。寝ていたあなたは目を覚まします。上体を起こして布団から出て、ふらふらと部屋の扉に手をかけた途端、意識がはっきりします。きっと自分がどこかに行こうとしていたことに不思議に思っていることでしょう。

 

「……あら? どうして私咲夜も連れずに出かけようとしていたのかしら。……まぁ、いいか。寝るわ。ふああ……。と言いつつ布団に戻るわ。ついでに咲夜はいる?」

 

 隣に敷かれた布団に寝ています。静かな寝息が聞こえてくるでしょう。

 改めましてこれにて1日目が終了です。レミリアさんは《MP》を戻しておいてください。

 

 レミリア《MP》07 → 11

 

 ではシナリオ2日目に突入します。おはようございます。ごはんの時間ですから食堂に全員集合です。おや? なんか人数が少ないですね。半分ほど。具体的にはBグループの皆さんが座る席だけまるまる空席です。不思議ですね。

 

「ああ、やっぱ死んだか」

 

「いやまだ迷子になっているだけかもしれませんし」

 

「とりあえず心配だけしておこうか。ひょっこり帰ってくるかもしれないしね?」

 

 そんなあなたたちと同じように、串灘親子も心配そうにBグループの机を見つめていました。結局食事中、Bグループの人が帰ってくることはありませんでした。ちなみに今日出されたフルーツの盛り合わせはとっても美味しいものでした。これぞ秘境の果実って感じのものです。

 

「あーらら勿体ない」

 

 さて、食事が終わって午前9時。ここからAグループは各自自由行動となります。個々に回るのもよし、グループを作って回るのもよし、全員で回るもよしです。

 

「どうする? 俺はどう行動してもいいが」

 

「GM、行動回数に制限とかありますか?」

 

 ありません。探索場所は、花宮神社、郷土資料館、稲田酒造、叉木の家の4ヵ所です。1日で全て行くことができますが、叉木の家に行った場合そこで自由行動を終了します。神樹の森を探索したい場合は叉木の家に向かってください。一応昼間なら叉木のガイドがなくとも探索できますが、後でしこたま怒られます。注意事項として、夕方5時以降に叉木の家に訪れても、危険だからという理由で神樹の森に入ることはできません。

 行動制限は設けませんが、時間制限は設けさせていただきます。行動次第で各地点での探索時間が変動しますので、時間を意識して探索して頂かないと満足に調べものをすることができませんのでご注意ください。

 

「……どうする? 個々に分かれて時間決めて叉木さんの家に集合、とかがいいかしら?」

 

「団体行動でもはぐれないでしっかり固まって行動していればロスはないと思いますよ」

 

「津田の言うとおりだ。ここであったもなにかの縁、よろしければAグループ全員で回っていきませんか?」

 

「うーん……まぁ、いいわね。せっかくだしみんなで回りましょう?」

 

「お嬢様の意のままに」

 

「反論はないな。いいぜ、みんなで行こう」

 

 全員で行動するのですね。了解しました。

 えー、あなたたちが民宿から出て行こうとしたとき、私服姿の串灘咲耶がやってきました。

 

「あ、あの、すみません。よろしければ、ガイドをさせていただけませんか?」

 

 と聞いてきます。

 

「え……? 嬉しいですけどどうして? と聞きます」

 

「昨日のお詫びです。その、気が済まなくって、自分勝手なのは承知ですがどうか、ガイドをさせていただけないでしょうか?」

 

 ちなみに彼女が同行する場合、探索時間に補正を掛けます。彼女は優秀なガイドを熟すため、意図してゆっくり見回らない限りは早く観光を済ますことができます。

 

「連れて行こう」

 

「連れて行きましょう」

 

「連れて行くしかないな!」

 

「是非お願いします。よろしくお願いします」

 

「はっ、はい。私こそよろしくお願いします。それでどこから参りましょうか。ご希望はございますか?」

 

「GM、彼女にガイドを一任した場合は全部の場所を回ることは出来る?」

 

 できます。

 

「よし、ならこう頼もうかしら。串灘さん、私たちは遅くても3時には叉木さんのお家に向かいたいのよね。そうなるようにできるだけ全ての場所に案内してもらえないかしら?」

 

「3時までにですか? ええ、それなら大丈夫そうです」

 

「じゃあその予定で案内してもらえるかしら。ああいけないわ、私ひとりで決めちゃって。みんなもそれで大丈夫かしら?」

 

「「「「大丈夫(だ、です)」」」」

 

「では案内させていただきます。どうぞ、ついて来て下さい」

 

 串灘咲耶はそう言うと、あなたたちを島の観光地に近い順から導いていきます。

 あなたたちが最初に訪れたのは郷土資料館です。

 

「ここは郷土資料館です。この島の歴史や伝説についての書物が展示、そしてその内容を翻訳したものの掲載がされています。一応私は内容をすべて頭に入っているので簡単な解説でしたらできますが、さらに堀下げたい方は展示物をご覧になってください」

 

 と、串灘咲耶は断りを入れてきます。さて質問タイムを設けます。1人につき1回だけ、彼女にこの島の歴史や伝説、またはそれに関連する出来事に対して質問をすることができます。話せる範囲のことでしたら彼女は答えてくれます。

 

「トップバッターを貰いますね。この島にはどんな伝説や歴史があるんですか?」

 

「上手いわ津田」

 

「これで訊けることや調べることがある程度把握できますね。お見事です」

 

「メジャーなものではミツクビ様や生命の木の精霊伝説ですが、八岐大蛇に関する伝説もこの島にはあるんですよ。この島の歴史はかなり長いですが、なんと言っても一番の出来事は太古の大災害でしょう」

 

「じゃあ次は私ね。まぁ、八岐大蛇伝説というとあの有名な八岐大蛇伝説ですか?」

 

「そうです。たった一振りで山を薙ぐ強靭な8つの尾、その怒りの咆哮は河川が氾濫し大水害を引き起こすと言われる8つの頭を持つ伝説の怪物、八岐大蛇。ちなみにミツクビ様は八岐大蛇の落とし子と言われています」

 

 ちなみに八岐大蛇伝説に関して詳しく調べる場合はその前に知識ロールを行い、成功した場合は調べるまでもなく知っていることにします。というか皆さんリアル知識である程度ご存じだと思いますからダイス振らなくてもいいですけどね。

 

「次は俺が行くぜ。んじゃあそのミツクビ様について簡単に教えてくれないかい?」

 

「ミツクビ様は神樹の森の最深部にある洞窟にいらっしゃると言われておりますこの島の荒神様です。八岐大蛇には劣りますが、人間を一呑みできるほどの顎に、一振りで巨木を薙ぎ倒せる尾を持っています。ミツクビ様は夜行性の神様であり、夜の神樹の森を徘徊します。ですから夜の神樹の森には絶対に立ち入ってはいけないと言われています。また、この神様は無類の酒好きであり、特にお神酒を愛し、月に一度、お神酒が入った樽3つを奉納しています。お神酒の元のお酒を作っていますのが昨日私の不手際の際に提供しました、稲田酒造です。今日これから向かう予定ですし、安価なものでも充分美味しい日本酒もございますので、お土産にお勧めですよ。他に何か質問はありますでしょうか?」

 

「掘り下げさせていただきます。そのミツクビ様とやらは実在するのですか?」

 

「俄かには信じられませんが実在すると言われています。誰も姿を見たことがないので私は半信半疑ですが、この島で多発する失踪事件のみならず、ミツクビ様に捧げられたお神酒も次の日には綺麗になくなること、さらに神樹の森に生息する生き物たちの大きさなどから、そのような生物がいてもおかしくはないと思います」

 

「私が質問するわ。伝説も興味深いけど歴史の方も気になるわ。太古の大災害って、いったいこの島に何があったのかしら?」

 

「時期は明確ではないのですが、実はこの島は過去一度破滅した島なんです。とある日のこと、島の中央に聳える巨木、現在の生命の木が自然のものとは思えないような冒涜的な輝きを纏う異変が起こります。森が枯れ、土壌は荒れ、大樹自身すら枯れ果てた後、冒涜的な光は天へ昇り、その姿を消したといいます」

 

「誰か所持品にガイガーカウンター持ち込んでいないかしら?」

 

 そんなものを持ち込んでいるPLはいませんね。ちゃんと所持品チェックはしていますよ。

 

「あるぞ。電卓と間違えてガイガーカウンター持ってきてしまったんだ」

 

 天草さんはどうしてそんなものを購入したんですか? 大学じゃあ使わないですよね? というか間違えて持ち込みなんて認めませんよ? そもそもの話、市民レミリアはどうしてガイガーカウンターが有効だって知っているのですか? そんな情報はあなたのクリアランスに開示されていないはずなのですがね?

 

「冗談よウルトラバイオレット様。へぇ、そんなことが起った島なのね」

 

「最後は私だな。生命の木の精霊について教えてください」

 

「お父さんから聞いた話ですととても美しい女性の姿をしていたとか。でも精霊の姿は生命の木の意志が善であるか邪なものかによってその姿が変わると言われています」

 

 以上です。

 

「まぁその情報なら共有済みだし、多分それ以上は掴めないだろうからいいか」

 

 さて、質問を終えたあなたたちは一通り郷土資料館内を見て回りました。なにか詳しく調べたいこととかありますか? ロールプレイングか、調べたい内容に対して《図書館》、または私を納得するような他の技能を用いて判定することで調べることができます。ただし成功しても失敗しても時間は経過しますし、同じ人が複数の調べ物をする場合はさらに時間がかかります。

 

「どうする? なにか調べたい物とかあるか?」

 

「正直彼女の解説だけで充分だよね」

 

「まぁ強いて言うなら太古の大災害についてかしら? まぁ深く掘り下げたところであんまり意味はなさそうだし、調べなくてもいいと思うわ。あの神話生物が絡んでいるってわかっただけでも充分でしょ」

 

「じゃあもう移動しましょうか? 時間も圧していますし」

 

「そうですね。次に行きましょう」

 

「というわけでGM、私たちは移動するぞ」

 

 わかりました。では郷土資料館から出立したあなたたちが次に向かったのは、島の中心街から少し離れたところにあるこじんまりしたとある商店。

 外からでもわかるくらいに店内に陳列している大量の酒瓶と、堂々と掲げられた看板があることから、ここがこの島のお土産スポットである稲田酒造だということがわかるでしょう。

 

「ここがこの島唯一の酒屋、稲田酒造です。作られているのは日本酒ですが、それ以外のお酒も取り寄せられて――」

 

「おおっ! 咲耶ちゃんじゃないかい! ほら来なよ爺さん!」

 

「本当かい婆さんや! おー、咲耶ちゃん!」

 

 串灘咲耶の解説中に割って入った元気過ぎるほどに大きな声の主たちは酒屋の中から出てきました。70代後半の男性と女性です。男性は足が少し長く、女性の方は腕が少し長いように感じられます。

 

「紹介します。こちらは稲田昌三さんと奥さんのハツさん。この稲田酒造の店主さんです。島の人たちからは足長ジジイと手長ババアと呼び親しまれているんですよ」

 

「咲耶ちゃんからはそう呼ばれたことはないけどねぇ!」

 

「つまり儂たちは咲耶ちゃんに嫌われているってこった! 困った困った!」

 

「い、いえっ、そんなことはっ!」

 

「冗談さね咲耶ちゃん。相変わらず可愛いのう」

 

 みたいな感じで串灘咲耶を猫可愛がりしています。

 

「元気過ぎるなこの老夫婦」

 

「して、そちらさんたちはお客さんかい?」

 

「はい。今回のツアーに参加していただいた方たちです。今日は私がガイドを務めているんです」

 

「ほう……おまえさんたちいい感じに若いのう!……よし、おまえさんたち、この儂と勝負じゃ!」

 

「え? 勝負?」

 

「うむ。ここからあそこにある木まで丁度50メートル、往復100メートルじゃ! 儂よりも先にここに戻って来たやつにはそれはもうすんごい酒を馳走してやるわい! かの蛇王、八岐大蛇さえも酔わせた至高の美酒じゃ!」

 

 がっはっはと笑いながら足長ジジイは提案してきます。

 

「それはありがたいが……いいのかい? いくら元気っつっても無理しちゃいけないぜ爺さん」

 

「大丈夫じゃい! 儂はまだまだ元気が有り余っておりし、なによりおまえさんたちのように健康的で若いやつを見るとどうしても勝負したくなるんじゃ!」

 

「若いって……俺は36だぜ?」

 

「50超えてなきゃ若いもんじゃろ! どうじゃ? 受けるか?」

 

 さて皆さんどうしますか?

 

「勝負の方法を教えてちょうだい」

 

 足長ジジイと《STR》+《DEX》の対抗ロールを行ってもらいます。

 

「お爺さんの数値を教えてください」

 

 《STR》14の《DEX》13です。

 

「めちゃくちゃ元気ね。とりあえず私は勝負しましょうか。お酒は好きよ」

 

「私も参加します。伝説の怪物を酔わしたお酒……気になります」

 

「……私はどうやっても勝てんが参加するだけしよう」

 

「オレは参加します」

 

「私も」

 

「んじゃあ俺も参加すっかな。おっさんも頑張っちゃうぜ」

 

「うむ、全員勝負に挑んでくれるようじゃな! 若いやつはそうでないとな! じゃあ婆さん!」

 

「はいよ! 位置について、よーい……ドン!」

 

 白夜  《STR》+《DEX》対抗 30 → 01 クリティカル

 シノ  《STR》+《DEX》対抗 自動失敗

 タカトシ《STR》+《DEX》対抗 30 → 02 クリティカル

 アリア 《STR》+《DEX》対抗 25 → 07 成功

 レミリア《STR》+《DEX》対抗 55 → 39 成功

 咲夜  《STR》+《DEX》対抗 85 → 83 成功

 

 うっそでしょちょっと!?

 

「自動失敗の私以外全員成功か……」

 

「がんばったよー」

 

「なんの問題もないわ」

 

「一番高いはずの私がギリギリですか……なんでしょう、この敗北感は」

 

「野郎どもの本気を見せつけてやったぜ」

 

「なんとか面子は立てられましたね」

 

 さて、そんなあなたたちの素晴らしい走りっぷりに足長ジジイも楽し気です。気分良く笑いながら話しかけてきます。

 

「やるなあおまえさんたち! 気が変わったわい! おまえさんたち全員に振舞ってやろう! ひとりだけ仲間外れなんて酷いことはせんし、嬢ちゃんも最後まで走り切ったしな! 御褒美ってもんじゃ! 待っとれ!」

 

 そう言って足長ジジイは手長ババアを連れて店の中に行ってしまいました。そして5分くらい経過したのち、御猪口が6つ乗ったお盆を持って戻ってきました。

 

「これが秘蔵の酒、純米大吟醸・稲田彦じゃ! さぁ、ご賞味あれ!」

 

「それじゃあ頂くとするわ。勝利の後の一杯……素敵だと思わないかしら? 咲夜」

 

「その通りでございます。では私も一杯」

 

「いただくぜ」

 

「オレもいただきます」

 

「いただきます」

 

「寛大なあなたに感謝します。いただきます」

 

 ではあなたたち全員、お酒を同時に口にしました。

 まず咲夜。あなたはこのお酒を呑むと、今まで飲んできた日本酒がただの水であるかのような感覚に陥るでしょう。

 まるで果実酒であるかのような仄かな甘い香り、辛口ながらも口の中いっぱいに包み、コーティングしていくかのようなまろやかな呑み心地、そして、最後に残るのは良質な米の甘い味。アルコールが齎す多幸感と身体の奥の奥から漲ってくるような不思議な力。

 そして気が付く。この酒は原酒ではなく、水によって何倍にも稀釈されたものであると。もしこれをストレートで呑んだものなら一体どうなってしまうのかと、人ならざる身であるあなたは戦慄しつつもこの酒を造った稲田酒造の老夫婦を尊敬することでしょう。

 

「……素晴らしいお酒です。八岐大蛇を泥酔させる秘蔵の美酒と謳うだけのことはあります」

 

 この咲夜の反応に串灘咲耶のみならず稲田夫婦も驚いていますが、咲夜はそれに今は気が付きません。酒を口にしたレミリアたちは幸せそうな顔をしながら目を閉じ、ばたりと倒れ込んでしまったのですから。

 

「おっと、お嬢様は私が支えます。どうして倒れたのかは……普通に酔ってしまったからでしょうか?」

 

 はい。普通の人間である彼らにとって、稀釈されているとはいえこの美酒の強さには敵いません。(コロコロ)……そうですね。2時間は目を覚ますことはないでしょう。

 

「寝てしまったようですね。どこか、寝つけられるところはございますか?」

 

「店の中に布団を用意してあるからそこに寝かしてあげよう」

 

「ああなるほど。ですから少し時間がかかっていたんですね」

 

「うむ。まぁ、あの酒を呑んだらこうなるのは普通じゃからの! あっはっは!」

 

「ところであんた、よく普通にしていられるねぇ。本当に人間かい? もしかして女神様だったりしないかい?」

 

「そんなオカルトありえませんよ。とりあえずお嬢様を抱えてお布団のあるところまで連れて行きます」

 

「あの、私も手伝いましょうか?」

 

「大丈夫ですよ、鍛えていますから。他の人達も私が運びます。案内は皆さんが目覚めてからまたお願いします」

 

「は、はい。ごめんなさい、ありがとうございます」

 

「というわけで皆さんを布団に運んで起きるのを待ちます。適当に雑談をしつつお土産を物色するとしましょう」

 

 はーい。では2時間後まで時間を進めましょう。

 

 

 

 

     ――To be continued…

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