串灘咲耶が行方不明になり、神樹の森に向かったと考えたあなたたちは夜の島を走ります。
時刻は8時になろうとしており、いくら夏といっても太陽は沈み、すっかり暗闇に包まれています。島ということで街灯も少なく、相変わらず厚い雲に覆われているため月明かりもなくいつにも増して暗いです。
「全員でライトを点けて走っているから大丈夫だろう」
そうですね。探索者の皆さんはスマフォで、武彦は大型のライトを、叉木は何も持っていませんが道は覚えているので問題なく神樹の森に向かっています。島を走り抜け、わずか5分足らずで花宮神社に辿り着くことができました。花宮神社の奥……神樹の森と叉木の家に向かう道は心なしか、今まで走ってきたところよりもさらに暗く感じます。
あと少しで神樹の森に着く……というところで、あなたたちは前方に緑色に光る人型を見つけます。暗がりのためしっかり確認することはできませんでしたが、確信することでしょう。あの人型は間違いなく串灘咲耶であると。
しかし様子がおかしいです。おそらく真っ先に声をあげた武彦に反応せずゆっくり、ゆっくりと神樹の森に歩を進めています。近づくにつれ、彼女の髪の毛が茶髪から銀髪に変わりつつあることにあなたたちは気が付くでしょうが、いったいどういうことでしょうか。
こちらは走って追いかけていて、向こうはゆっくりと歩いているのにもかかわらず一向に追いつくことができません。距離感覚がおかしいのでしょうか。さっきまで彼女がいたと思われる場所に辿り着いた時には、彼女はすでに神樹の森の中。神樹の森の前に着いた時にはもう彼女の姿は見えなくなってしまっていました。
それからもうひとつ。また白夜の胸ポケットが光っています。例の御守りが光を発しているのです。
「……とりあえず冷静になろうか。そうだな、まず叉木さんには大型ライトを持ってきてもらおう」
「松明は?」
「火なんて危なっかしいもん使えるか。スマフォで充分だろ」
「同感ね。それから咲夜、もう大丈夫だから変身してちょうだい」
「かしこまりました。……はい、変身完了です。ついでに武器の豊穣神の蔦も装備します」
では少しの間叉木の小屋の前で待機していますと、数分経って叉木が小屋から出てきました。森に紛れるための服を着て猟銃を背負い、大型ライトを2つ。そして4人分の蛇取り棒を持ってきます。
「大型ライトは嬢ちゃんたちが使うといい。男にはこの蛇取り棒を渡そう。蛇も出るからないよりかはマシだ。使い方を説明する。十六夜さんには……いらんだろう」
白夜とタカトシの両名は叉木からレクチャーを受け技能《蛇取り》を40ポイント差し上げましょう。それを使って成功すれば追い払うことができます。叉木の《蛇取り》は自動成功、武彦は80パーセントで成功です。
また万が一毒蛇に噛まれた場合はすぐに叉木に話しかけてください。彼は応急手当て用の薬を持っていますので、言えば適切な処置をしてくれます。ただし噛まれた場合、初回限定として0/1D3の《SAN》チェックが待っています。不定の狂気にも充分注意するように徹底してください。
ところでこちらが勝手に役割分担させちゃいましたが、大丈夫ですか? リアルを想定した配分なのですが。異議のある方はいますか?
「「「「「「異議なし」」」」」」
ありがとうございます。それでは……参りましょうか、夜の神樹の森に。
さて、ここからスタートして生命の木を目指すわけなのですが……当然、簡単に辿り着かせはしません。特殊ルールに則り、辿り着くかどうかの判定をこちらが下します。
特殊ルールの説明をします。
ここから夜の神樹の森の探索をするわけなんですが、逐一《ナビゲート》で判定をしていただきます。ただし、夜の森の探索ということで、皆さんには-50パーセントの修正を受けてもらいます……というのがもとのシナリオなのですが、ちょっと修正値が大きすぎるので今回は-30パーセントで行かせていただきます。
よってシノと咲夜の両名が判定に参加することができます。NPCでは叉木が判定に参加します。叉木の《ナビゲート》の成功確率は60パーセントで固定です。
今回は全員が照明器具を持っているためPCに限り+10パーセントの修正を、また、シノは神樹の森に来た際《ナビゲート》で成功しているのでさらに+15パーセントの修正を許可します。
先へ進むには《ナビゲート》で成功していただく必要がありますが、それはすべて非公開ロールとしてGMが処理します。叉木は確定で判定に参加します。叉木に一任するもよし、みんなで議論するもよしです。時間制限はありませんのでご安心ください。
判定の結果は非公開ロールなのでお教えしません、『あっち』と『こっち』、さらに3人で判定し特殊判定が出た際には『そっち』を追加して、どの方向に進むべきだと思ったかだけをお伝えします。
《目星》《聞き耳》の判定を認めます。《ナビゲート》判定後に希望があるならダイスロールしていただいて構いません。成功した場合は情報を与えます。失敗した場合は何もわかりません。クリティカルもファンブルも何もありません。
ただし《目星》判定は暗闇につき-20パーセントの修正をかけます。
※ここからは読者様のみに説明します。実際のセッションでPLには説明していません。
生命の木に辿り着けるかどうかですが、《ナビゲート》判定を3回クリアし、正しい道を進まなければいけません。何回失敗しても構いません。
……しかし、このセッションでは十六夜咲夜が神様モードになっているので、難易度を上げて倍の6回成功しなければ辿り着かせないようにしています。
また、向かう先の道で発生するイベントがありますが、これも難易度を上げています。本家では40パーセントで何も起こらないのですが、このセッションではどの目が出ても絶対にトラブルが起こるように設計しています。
GMはここでレミリアの正気度や体力を削ってキャラロストさせようとしています。レミリアをキャラロストさせてしまえば、咲夜も自動的にキャラロスト(バッドエンドに直行)するので、それを狙っています。殺意高いですね。
まぁ、巨大な力にはそれなりのリスクがあるということです。……と、いうのは建前で、本当は咲夜の力に安心しているであろうPLたちに緊張感を与えるためにGMが厳しめに調整をしているだけです。
皆さんは変に難易度を上げたり、使い勝手のいい神話生物をPCに加えたりはしないでくださいね。説明終わり。
以上です。まぁ、実際にやってみた方が理解するのも早いと思いますので、さっそくやっていきましょう。
あなたたちは夜の神樹の森に足を踏み入れました。しばらく道なりに歩きます。
……さぁ、最初の判定に行きましょう。聞いておきますがふたりは《ナビゲート》に参加しますか? シノは53パーセント、咲夜は45パーセントなんですが。
「参加しよう。50以上なら大丈夫だ」
「私も参加します」
了解しました。では以降ふたりもずっと判定に参加していただきます。さて……(コロコロ)(コロコロ)……ふむ。
それでは判定に行きます。読者の方にはダイス結果を公開します。
シノ 《ナビゲート》53 → 07 成功
咲夜 《ナビゲート》45 → 07 成功
叉木 《ナビゲート》60 → 30 成功
それでは最初の判定では『あっち』だと思いました。3人の意見が一致しての決定です。自信をもって進むことができるでしょう。あなたたちは『あっち』の方向に進みます。
それでは皆さん、《目星》による強制判定の時間です。-10パーセントでお願いします。
白夜 《目星》52 → 14 成功
シノ 《目星》53 → 93 失敗
タカトシ《目星》42 → 38 成功
アリア 《目星》40 → 83 失敗
レミリア《目星》15 → 75 失敗
咲夜 《目星》35 → 82 失敗
誰かひとりでも成功していたらオーケーな判定なので大丈夫です。成功者の皆さんは自分たちの足元に何かが迫ってきていることに気が付きました。……蛇です。
「うおっと、《蛇取り》で判定するぜ」
「オレもします」
この判定は武彦も参加します。誰かひとりでも成功すると、成功者の皆さんの蛇は全部撃退できます。
白夜 《蛇取り》40 → 24 成功
タカトシ《蛇取り》40 → 69 失敗
武彦 《蛇取り》80 → 07 成功
それでは叉木、白夜、武彦によって皆さんに迫っていた蛇たちを撃退することができました。
「ちょっと落ち着け兄ちゃん。慣れちまえば大したもんじゃねえよ」
「ごめんなさい」
(コロコロ)(コロコロ)……さぁ、2回目の《ナビゲート》判定です。
シノ 《ナビゲート》53 → 58 失敗
咲夜 《ナビゲート》45 → 32 成功
叉木 《ナビゲート》60 → 95 ファンブル
おおっと、今度はばらけました。シノは『あっち』、咲夜は『こっち』、叉木は『そっち』に進むべきだと思っています。
「これ誰かやらかしていないか?」
「クリティカルじゃないと思うな。クリティカルだったら正解ルート確定な気がするし」
「じゃあ……ファンブったやつがいるなこれ。慎重に行動した方がいい」
「こんな時こそ《目星》《聞き耳》でしょう。《聞き耳》の方がいいんじゃないかしら? 《目星》で得られる情報なんてたかが知れているでしょ?」
「おまえが《目星》取ってないだけだろうが。……まぁいい。《聞き耳》しよう」
「私もやるわ」
「私もやります。というか、取っている人は全員やった方がいいのでは?」
「ふむ。じゃあ私も振ろうか。ダイスを振るのは好きだ」
「オレも振りますね」
「私もー」
「……全員《聞き耳》は取っていたんだな」
あ、この判定なんですけど、それぞれ判定してもらいますよ? 『あっち』『こっち』『そっち』で。
「それは面倒ね。6人いるんだし、分けて判定しない?」
「だな。平均して公平に分けよう」
『あっち』
白夜 《聞き耳》63 → 64 失敗
アリア 《聞き耳》50 → 18 成功
『こっち』
シノ 《聞き耳》55 → 15 成功
タカトシ《聞き耳》52 → 36 成功
『そっち』
レミリア《聞き耳》63 → 76 失敗
咲夜 《聞き耳》45 → 67 失敗
「……私たち相変わらずダイスの出目大きいわね」
「元気出しましょう、お嬢様」
えっと、判定結果なのですが。全員、何も聞こえません。
「え? 何にも聞こえないんですか?」
「それなら『そっち』には行かない方がいいわね。私と咲夜が大切な何かを聞き逃している可能性があるから」
「それなら『あっち』か『こっち』のどちらかですね」
「『目星』でも判定しておく?」
「いや、これ以上判定しても混乱するだけだろう。《ナビゲート》が高い方を当てにした方がいいんじゃないか?」
「それじゃあシノちゃんの『あっち』かしら?」
「そうね。それが妥当でしょう。『あっち』に行きましょう」
『あっち』に向かっていいですね? わかりました。それではあなたたちは迷ったのち『あっち』の方向に歩を進めます。全員、《目星》で判定お願いします。ちなみにこの《目星》判定ですが、《ナビゲート》判定の後に必ず起こる強制イベントですので、あんまり身構えなくていいですよ。
「いや、身構えなくて大丈夫な要素がないんだが」
「むしろ不安になってきたんですが」
白夜 《目星》52 → 52 成功
シノ 《目星》53 → 33 成功
タカトシ《目星》42 → 15 成功
アリア 《目星》40 → 53 失敗
レミリア《目星》15 → 50 失敗
咲夜 《目星》35 → 95 ファンブル
咲夜のファンブルは見逃します。というか、この判定ではファンブルもクリティカルもないものとします。
成功者の皆さんは今進んでいる道の脇に何かが転がっているのを見つけてしまいます。
視線を落として見てみると、それは人の手でした。しわくちゃで、冷たそうな灰色に変色していた人の手。そのまま視線を動かしていき、その手の主が何かを無意識に確認してしまうあなたたち。それがなんなのかわかっている、そしてそれは見てはダメだ、無視した方がいいとわかっていても、不思議なことにあなたたちはそれを確認してしまいます。
ソレは、親しい間柄ではないとはいえ見知った顔でした。……そう、あなたたちと一緒に島にやってきて行方不明になったツアー客のひとり。夕方に発見した死体同様、生気を吸い取られたかのように痩せ細り、開ききった瞳孔を晒していました。《SAN》チェックのお時間です。1/1D6です。
白夜 《SAN》47 → 24 成功
シノ 《SAN》41 → 35 成功
タカトシ《SAN》42 → 08 成功
誰も心を痛めずですか。薄情ですね。
「ほっとけ。夕方に見たから耐性が付いたんだろうさ」
「嫌な耐性ね。というかさ、この死体発見イベントなんだけど、最高あと4回よね?」
そうですね。あと見つかっていないのは4人ですので、起こるとしてもあと4回です。あと正気度喪失の数値は変わりませんのであしからず。
「はいはい」
「あれ、津田くんどうしたの? シノちゃんも。顔色悪いよ」
「なんでもないですよ。ちょっと大きめの蛇を見ただけですよ。ねえ天草先輩」
「あ、ああ、そうだぞアリア」
「そう?」
「変に教えて《SAN》チェックさせるわけにはいかねえからな。それが正解だと思うぜ」
そうですね。失敗した人は特に死体に気づくことなくスルーします。誰か発狂したりしたら気づいてしまうかもしれませんけどね。
「武彦さんと叉木さんの判定はしないんですか?」
してほしいならしますが、いいんですか? 大の大人ふたりが発狂したりしても。叉木に至っては猟銃持っているんですが?
「やめておきましょう。GMの心遣いに甘えましょう」
「そうですね。そうしましょう」
わかっていただけて嬉しいです。さてさて(コロコロ)(コロコロ)……3回目の判定のお時間ですよ。
シノ 《ナビゲート》53 → 31 成功
咲夜 《ナビゲート》45 → 86 失敗
叉木 《ナビゲート》60 → 07 成功
シノと叉木が『こっち』、咲夜は『あっち』に進むべきだと思いました。
「この場合は多数決でいいでしょう。私は2人に従います。他の人はなにかありますか?」
「私は大丈夫よ」
「俺もそれでいいと思う。外れても恨みっこなしだ」
「オレも文句ありません」
わかりました。では咲夜は自分が間違っているかもしれないと身を引き、『こっち』の方向に歩いていきます。《目星》判定のお時間です。
白夜 《目星》52 → 87 失敗
シノ 《目星》53 → 67 失敗
タカトシ《目星》42 → 28 成功
アリア 《目星》40 → 18 成功
レミリア《目星》15 → 78 失敗
咲夜 《目星》35 → 19 成功
では成功者の皆さんは行方不明になっていたBグループのツアー客の変死体を発見してしまいます。咲夜は免除しましてタカトシとアリア、1/1D6の《SAN》チェックです。
タカトシ《SAN》41 → 07 成功
アリア 《SAN》36 → 20 成功
また成功ですか。もうちょっと騒いでもいいんですよ?
「ダイスの女神様に好かれているんですよ。……あれは、また……」
「あれって……っ! み、見なかったことにしましょう……」
「私は特に心は揺るぎません」
それでは(コロコロ)(コロコロ)……4回目の判定に入ります。
シノ 《ナビゲート》53 → 38 成功
咲夜 《ナビゲート》45 → 50 失敗
叉木 《ナビゲート》60 → 79 失敗
シノは『あっち』、咲夜と叉木が『こっち』に進むべきだと思いました。
「私が引こう。『こっち』に進もう」
わかりました。では皆さんは『こっち』の方向に歩いていきます。続きまして《目星》判定です。
白夜 《目星》52 → 88 失敗
シノ 《目星》53 → 11 成功
タカトシ《目星》42 → 57 失敗
アリア 《目星》40 → 04 成功
レミリア《目星》15 → 71 失敗
咲夜 《目星》35 → 15 成功
では成功者の皆さんは自分たちの足元に近づいてくる細い影を見つけます。……蛇です。毒蛇が数匹あなたたちに牙を剥いて迫ってきます。
「「津田(くん)、蛇!!」」
「えっ!? 蛇ですか!?」
「見つけたので私も蔦を使って応戦します。ただしお嬢様に向かってくる蛇を優先して迎撃します」
咲夜は自動成功ですので男性陣の《蛇取り》判定が失敗したとしても、レミリアにはノーダメージとします。それでは男性陣《蛇取り》で判定どうぞ。
白夜 《蛇取り》40 → 11 成功
タカトシ《蛇取り》40 → 20 成功
武彦 《蛇取り》80 → 03 クリティカル
「こうっ、ですかね」
「そうそうそんな感じだ」
頼りになりますね。気持ち低めの数値なんですが。武彦に至っては無駄にあらぶっていますし、多分サクヤヒメを助けようと躍起になっていそうですね。
(コロコロ)(コロコロ)さぁ、5回目の判定の時間です。
「ねぇ、まだ着かないの?」
まだ着きませんよ。難易度を最高レベルに調整していますから、簡単には辿り着かせません。ちなみに難易度ノーマルでもまだ辿り着いていません。
「マジか、結構険しい道のりだなぁ」
シノ 《ナビゲート》53 → 81 失敗
咲夜 《ナビゲート》45 → 55 失敗
叉木 《ナビゲート》60 → 42 成功
シノと咲夜が『あっち』、叉木が『こっち』に進むべきだと思いました。
「多数決か経験者の意見に従うかだな」
叉木は反対されても特に気分は害しません。自分も間違うことはあるので、柔軟にあなたたちの意見を受け入れてくれるでしょう。
「……どうする? 個人的には叉木さんに従いたいんだが」
「ふむ……では私も引きましょう。叉木さんの方が《ナビゲート》の補正が高いですし」
わかりました。ではここは叉木の言うことが正しいと信じて『こっち』へ向かいます。(コロコロ)……さぁさ、《目星》の強制判定の時間ですよ。
「? 1D6を挟んだ? 新しいイベントか?」
白夜 《目星》52 → 22 成功
シノ 《目星》53 → 76 失敗
タカトシ《目星》42 → 13 成功
アリア 《目星》40 → 81 失敗
レミリア《目星》15 → 65 失敗
咲夜 《目星》35 → 24 成功
チッ、一発で気が付きましたか。
それでは成功者の皆さんは一瞬ですが、前方で何かが虹色に光ったことに気が付きます。そして白夜、あなたはそれに反応して咄嗟にその場から離れます。するとさっきまで白夜が歩いていた場所には、虹色に光る何かが蠢いているではありませんか。
「うおっと、奇襲かよ! あっぶねえな!」
「ついに向こうが直接手を出してきたわね」
白夜の反応とその生物が放つ輝きにより皆さんはソレを直視してしまうでしょう。
ソレは固体なのか、液体なのか、はたまた気体なのか、どれにも該当しそうでどれにも当てはまらない矛盾に満ちていました。掴めば捕まえられそうですが、捕まえた瞬間にするりと指と指の間から滲み出てしてしまいそうな、有体の表現で表すとするなら「ふわり」としたなにか。
虹色に光っていると思ったあなたたちですが、よく見るとその色合いはあなたたちの知るどの色とも合致しない。撹拌していない淡色の塗料たちをごちゃ混ぜにしてそのまま宙に浮かせた、という表現が適切であるかも怪しい、常識では理解しえない取り合わせの色をソレは放っている。
しかしひとつ、わかってしまうことがある。それはソレが生物であるということ。
だけどあなたたちは知らない。定まった形がなく、明確な実体があるのかすらもわからず、見たことのない様々な色を発している生物など。
どこか別の星からやってきた、地球のすべてを冒涜するような色彩を放つなにか……。名付けるとするなら、あなたたちは全員共通してこう名付けるであろう――『宇宙からの色』と。
『宇宙からの色』は光る。その輝きは、極上の獲物を見つけた野生の肉食獣のごとく獰猛な笑みのように思えた。
――To be continued…