捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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  すいません!加筆修正しようとしたら、全部変えてしまいました!

  それでは今回もよろしくお願いします!


スカーレット ♯2

『もしもし、八幡さん』

『……おう』

『今、電話大丈夫ですか?』

『ああ、大丈夫だ』

『あの……実は、今日……』

 花陽は、ゆっくりと噛み締めるように、今日あった出来事を話してくれた。そのゆったりとしたテンポは不思議な心地良さがあり、容易に情景が浮かんできて、一つ一つのものが強く深く胸を打った。

『そうか。3月までか……』

『はい……』

 花陽の話によると、μ'sは3月の3年生の卒業を以て活動を終えるそうだ。

 メンバー全員で今後のμ'sの在り方、在るべき姿を模索した時、ここで終わりにするという決断に至ったそうだ。

 俺はμ'sの事に関しては部外者だが、それでも思うところはある。4月からμ'sの新しい曲が聞けないとなると、やはり寂しい。ここ最近ジョギング中にずっと聞いてたのもあるだろう。

『ラブライブ……全国優勝できるといいな』

『……はい!私、頑張ります!』

 今月末のラブライブ全国大会に向けて、必死に練習している花陽の忙しさやプレッシャーは、俺の想像を遥かに超えるものだろう。

 何の足しにもならないとわかっていながら、それでも言葉を選び出した。

『あんま、無理すんなよ』

『ふふっ、ありがとうございます。八幡さん優しいですね』

『俺はいつも優しいんだよ』

『そうですね。本当に』

『わりーな。こういう時に気が利いた事が言えなくて』

『八幡さん、こういう時は愛してるでいいんですよ♪』

『……小町か』

『さあ、どうでしょう?』

『……愛してる』

『わ、わわ、私も……愛してます』

『…………』

『…………』

 つい流れで言ってしまったが、大事な事に気づく。

『そういや、愛してるっていうのは初めてだな……』

『そうですね……素敵な響きです』

『今のでよかったのか?』

『そういう事を聞くと、雰囲気が壊れるじゃないですか』

『す、すまん……なんつーか、照れくさくて……』

『会ってる時はもっと大胆な事するのに……』

 それは、いつぞやのアレやアレの事でしょうか?アレはですね、気持ちが高ぶりすぎたといいますか……。俺も健全な男子である以上、花陽がどんな可愛い服を着てようとも、その服の下の事しか気にならない事があるんですよ。

『ご、ごめんなさい。変な事言いました……』

『いや、いい。それよか、もう遅いから寝た方がいいぞ。朝練あるんだろ?』

『あ、はい。それじゃあ八幡さん、おやすみなさい』

『おう、お休み』

 ……やっぱり花陽のために何かしてやりたい。

 このまま、しばらく思考の海に沈んでいくのかと思ったが、カレンダーが目に入った瞬間、いい考えが閃いた。

 

 翌日の放課後。

「あれ、比企谷」

「ヒッキーだ!」

「どうかしたのかしら?」

「……頼みがある」





  読んでくれた方々、ありがとうございます!

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