捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
それでは今回もよろしくお願いします!
花陽が思いきり抱きついてきた。
いつもの場所にすっぽり収まる小さな温もりに、喜びが込み上げてくる。つい最近会ったばかりなのに、すごく久しぶりに会ったみたいだ。
甘い香りを撒き散らしながら、彼女は笑顔を向けてくる。
「来てくれてたんですね」
「あ、ああ、まあな」
くりくりした子犬のような瞳が甘えるように見つめてくる。何度見てもこの目には参ってしまう。今なら何でも言うことを聞いてしまいそうだ。
髪をな、親指で涙を拭ってやる。
「……泣くなっての」
「だって……嬉しくて……」
親指で優しく目元を拭う。
その雫をとおして、花陽の気持ちがわかる気がした。
あとはお互いに、自然と唇が重なっていく。
「…………」
「…………ん」
2、3秒で唇を離し、花陽の目を見ると、もういつもの笑顔に戻っていた。
「おお……」
「ハ、ハレンチな……」
「わぁ~♪」
「私達がいるの忘れてない?」
「あ、あ、あんた達……!」
「比企谷君、花陽……希、今夜は飲むわよ」
「いや、ウチら未成年やから。それに、明日は朝から練習やから」
「かよちん、よかったにゃ~!!」
「お、お兄ちゃん!大胆すぎ!」
「あらら、若いっていいわねぇ」
「…………」
気がつけば、知らない人達からも囲まれて、拍手されていた。何を言っているかはよくわからないが、とりあえず祝福してくれているらしい。
「…………!」
「~~~~♪」
「粋な演出しやがってぼっちのくせに!……仲良くやれよ!」
おや、なんか久しぶりに出てきやがったぞ。まあ、今日のところは許しておいてやろう。
「よ~し、今日の晩御飯は二人のおごりやって~♪」
「の、希ちゃん!」
さりげなくとんでもない事言い出すな、この人。
「まさか八幡さんとアメリカでこうして一緒にいられるなんて……夢みたいです」
「まあ、確かにな」
二人してベッドに寝転がり、頬を撫でたり、髪を梳いたりしている。
食後にホテルに戻った俺達は、花陽と星空の部屋でくつろいでいた。星空が気を利かせて二人きりにしてくれた。本当にありがたい。日本に帰ったら、戸塚との甘い場面をセッティングしてあげたいくらい。まあ、俺が何かしなくても大丈夫そうだけど。
考えながら、花陽の柔らかい頬をつまんだり、つついたりしてみる。おお、結構伸びる。
「ふぁふぃふぁんふぁん」
「どした?」
手を離す。
「……………………い」
「?」
顔を寄せ、耳を近づける。
花陽は顔を紅く染め、目を潤ませながら言った。
「もっとキス……してください。それと……抱きしめて欲しいです」
「…………」
やばい。
可愛すぎる。
体が火照るのを感じながら、花陽を引き寄せる。いつまでもこの温もりを包んで、やわらかな感触に包まれていたい。
この時、一つの考えが閃いた。
読んでくれた方々、ありがとうございます!