捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
気がつけば、明後日にはラブライブ!サンシャイン第6話ですね!
それでは今回もよろしくお願いします。
「…………」
「…………」
気まずい沈黙。
小町と星空が意気投合して出かけたが、こちらは何とも言えない空気になった。花陽はチラチラとこっちを窺っている。
これは一般男子ならまず間違いなく恋しちゃうレベル。俺も中学時代なら告白して振られただろう。振られちゃうのか。そうなのか。
だが、今の俺は非モテ三原則に忠実に生きている。まず間違いは起きない。
1.(希望を)持たない。
まずは自ら希望を絶っておこう。
「あー、悪いな。せっかく小町に会いに来たのに……」
そう、ここで俺自身はおまけだという事を認識してしまえばいい。そうすれば勘違いも……
「いえ、その……先輩に会えたから嬉しいです……」
くっ!
2.(心の隙を)作らない。
そうだ。心を強く保ち、何者も入ってこれなくすれば……
「先輩?」
気がつけば、花陽が俺の顔を下から覗き込むように見ていた。
「もしかして具合でも悪いんですか?」
いつものくりくりした目に不安の色をのせて聞いてくる。しかも角度の問題で、白い胸元が見えている。半分は服のせいだ。大事な事なのでもう一度言おう。半分は服のせいだ。
雪ノ下とは比べるまでもない。由比ヶ浜ぐらいか……。平塚先生ほどではないな。…………バカ!ハチマンの変態!
花陽はそんな俺のゲスい思考回路など気にもせずに心配そうにしている。それにしてもほっぺた柔らかそうだなー。赤ちゃんみたいなぷっくりした感じではないが、何かよく伸びそうだ。…………違う違う違う違う違う!!「だ、大丈夫だ」
「そうですか……」
隣に座り直す花陽からは甘い香りが絶え間なく漂っている。
おのれ……
3.(甘い雰囲気を)持ち込ませない。
まあ色々あった(?)が、要はそういう空気にならなければいいだけだ。そしてその方法はいくらでもある。例えば笑いだ。バラエティ番組でも見て、2人して大笑いすればいい。
「テレビでも見るか」
「は、はい……」
2人して姿勢を正し、画面を注視する。
『俺、やっぱりお前の事が……』
『私も……』
男女が抱き合っている。……ソファーで。
その安っぽいドラマのワンシーンに固まってしまう。
「…………」
花陽は頬が少し赤く、視線は画面にロックオンされている。
「あれ、ここじゃないな……」
適当な事を呟いて、チャンネルを変える。ここはニュース番組でお堅い雰囲気を……
『さあ、ここで明るい話題です。先日、婚約を発表した俳優の○○さんと歌手の○○さん結婚披露宴が……』
豪華なドレスに身を包んだ女性の話を中心に結婚披露宴の話題が語られる。
「…………」
「…………」
居心地は悪くないが、穏やかとも違う気分だ。花陽もさっきから口数が少ないし……。
「何か飲み物取ってくる」
このままでは意識してしまう。手後れか。
「あ、私も手伝います!」
花陽が立ち上がろうとしたが、その声に驚いた俺が、足をもつれさせて、よりによって花陽の方へ倒れ込んでしまう!
「っ!」
「きゃっ!」
花陽を潰さないように、何とか両手をついたが、目の焦点を正面に合わせると、花陽の顔があった。
「しゅ、しゅまん……」
「い、いえ……」
噛んでしまったが、全く気にならなかった。顔がそれほど近い訳ではないが、床ドンのような姿勢でソファーで見つめ合っている事実はまだ上手く飲み込めていない。
花陽の瞳が僅かに潤み、胸がその規則正しい呼吸に合わせて上下している。手はその上で組まれていた。
動きたいのに動けない。でもこんなのは…………
「先輩……」
花陽が目を閉じる。桜色の唇と華奢な肩が震えていた。
俺は…………
ガンッ!
「「!」」
静寂を破る物音に飛び上がる。花陽も体を起こしていた。
音のした方へ目をやる。
「「アハハ……」」
庭で気まずそうに笑っているのは、さっき仲良く外出した小町と星空だった。
読んでくれた方々、ありがとうございます!