捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
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ラブライブ!サンシャイン第7話来たーーーーーーーーーーーー!!
それでは今回もよろしくお願いします。
「あなた達って付き合ってるの?」
綺羅ツバサはアイドルの話もそこそこに、いきなりぶっ込んできた。まるでこれまでの話は前置きと言わんばかりの勢いで。恋愛沙汰に興味津々な辺りは女子高生と言ったところか。先程までのオーラは鳴りを潜めていた。
だが事実を告げなければならない。
「いや、そういうんじゃないですけど……」
何故事実なのに、こんなに言いづらいのだろう、と思いながら、花陽を横目で見る。少しだけその表情に陰りが見えたのは、きっと俺の気のせいだろう。
「まあ、あれですよ。花陽はスクールアイドルな訳だし……」
「あら、スクールアイドルは恋愛禁止ではないわよ」
綺羅ツバサは目を細め、挑発的な声音になる。
花陽は「あぅ……うぅ……」と慌てふためいている。そ、そんなリアクションされたら、こっちが対応に困るじゃん……。
かくなる上は……
「綺羅さんは彼氏いるんですか?」
俺の108の特技の一つ話題そらし。だがこの特技はかなり錆び付いているかもしれない。なぜなら、普段話題をそらす必要が出てくるほど人と話さないからな。小町に対しては常に誠実だし。
ここで綺羅ツバサは意外な反応を見せた。
「え?え?わ、私!?ば、ばかねぇ!!そ、そんな事……」
先程までの余裕はどこへやら、顔が紅くなり、目は泳ぎ、噛みまくってる。あ、やべ。地雷踏んじゃった。平塚先生のわかりやすい地雷と違い、巧妙に地下に隠されている地雷なので、見つからなかったかー…………。
花陽はそんな綺羅ツバサを見つめながらキョトンとしていた。まあ、PVからは想像もつかん姿を見せられてるからな。
「ほ、ほら、私……ずっと女子だけの学校だったし?まだそういうのいらないし?ていうか興味ないし?」
「「…………」」
やばい。こりゃ完全に平塚先生タイプの人間だ。花陽も気まずそうに笑ってるじゃん。
後で教えてあげよう。
教師になるのだけはやめておいた方がいい、と。
「今日は付き合ってくれてありがとう。それと…………変なところを見せてごめんなさい」
校門前で綺羅ツバサは俺達を見送りに来ていた。この後、A-RISEのミーティングがあるらしい。ちなみにこの人が立ち直るまで1時間くらいかかったのは内緒だ。あ、言っちゃった。だって何の為に連れて行かれたのかよくわからなかったし……。
「小泉さん。ラブライブ、楽しみにしてるわ。お互い全力を尽くしましょう」
綺羅ツバサは一瞬でスクールアイドルの顔に戻った。真っ直ぐな視線は花陽の目を捕らえていた。
「は、はい!わ、私……まだ未熟だけど……ま、負けません!」
花陽も何とか言葉を紡ぐ。憧れのアイドルから正式なライバル宣言を受けたのだ。きっと俺には想像もつかない気持ちになっているだろう。
「比企谷君」
「ひ、ひゃい」
呼ばれる事を想像していなかったので噛んでしまう。
「頑張ってね」
そう言いながらウインクをしてくる。『何を?』と言う前に、綺羅ツバサは手を振り、颯爽と校舎へと歩き出した。
「花陽……」
「?」
その背中合わせを見ながら、俺は花陽に疑問をぶつける。
「ラブライブって何だっけ?」
「…………」
この後、花陽からアイドルショップで熱いアイドルトークを聞かされる羽目になった。
いつにも増して時間がはやく経ち、空は茜色が混じり始めている。俺は花陽をマンションまで送っていた。一番星が姿を見せている。
「すいません。送ってもらっちゃって」
「気にすんな。こんな時間に1人で帰したら、小町から何を言われるかわからん」
「先輩、小町ちゃん大好きですもんね」
「千葉の兄妹なんてそんなもんだろ」
「あはは……」
八幡的にポイント高いセリフに花陽が苦笑していると、マンションの前に辿り着いた。
「着いたな」
「着きましたね……」
「…………」
「…………」
何故か歩くのをやめた花陽に戸惑いながら、気づかないふりをして、俺は駅へと歩き出した。
「じゃあ、俺そろそろ行くわ」
「あ、あのっ!」
右手をひんやりとしたものに包まれる。振り返ると、花陽が両手で俺の右手を包み込んでいた。
「ど、どうした?」
「あの……」
花陽は俯いたまま、話し出す。
「私……何だか、最近、よくわからなくて……」
「あ、ああ……」
「先輩とメールしたり、電話したり、こうやって会って話してる時、すごく楽しいんですけど、少し寂しくて……」
沈黙で続きを促す。
「先輩って、小町ちゃんがいるから、年下の私は妹みたいに思ってるのかなって。それはそれで嬉しいんですけど、何か違うなって…………」
「…………えーと、何かすまん」
訳もわからずに謝る。馴れ馴れしかったという事なのだろうか、と脳が判断する。だがそれは何かから逃げようとしているようだった。
「いえ、先輩が悪いとかじゃないんです……………………ただ、私……」
花陽は俺の手を握る力を強めた。
「妹じゃ、ただの後輩じゃ…………嫌だなって…………だから………だから……」
顔を上げた花陽はこれまでにない色をした微笑みを俺に向けた。
「改めて…………よろしくお願いします。…………八幡さん」
「あ、ああよろしく」
俺の返事を聞いた花陽は、ゆっくり手を離し、ぺこりと頭を下げ、俺に礼を告げると、マンションへ入っていった。
胸がどくんと高鳴る。
「花陽……」
頭から離れないその姿の名を口にして、俺は駅へと歩き出した。
右手だけやけに熱かった。
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