捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
ラブライブ!サンシャイン盛り上がって来ましたね!
それでは今回もよろしくお願いします。
「あわわ…………」
ど、どうしよう!言っちゃった、言っちゃった!
布団の中に潜り込み、ついさっきの出来事を思い返す。
八幡さん…………。
たどたどしくその名を口にしてから、あの人の……八幡さんの反応を碌に見ることもせずに、あの場から去ってしまった。
変な子だと…………思われているだろうなぁ。
でも言わずにはいられなかった。
あの瞬間、私の心も体も何かに支配されていた。
その何かの名前を私はわからない。
いつもは見て見ぬふりするのに、知らず知らずの内に手を伸ばしてしまっていた。
「あぅぅ……」
せめてあと1分でもあの場にいればよかった。八幡さんの反応を見ずにいたから、余計に気になってしまう。
あぁ~、私のばか!
いつかのようにベッドの上を転がりまわる。
「八幡さん…………私…………どうすれば…………」
「八幡君に聞けばいいんじゃない?」
「ぴゃあっ!」
気がつけば、いつかのようにお母さんがドアを開けてこちらを見ていた。
しかもさり気なく、何でもない事のように、呼び方が比企谷君から八幡君に変わっていた。
私は物凄く緊張したんだけどなぁ…………。
目が覚める。
とはいっても、さっきまで目を閉じてただけで、眠りが訪れる事はなかった。
昨日、家に帰ってからも、ずっとこんな感じだ。小町の呼びかけにも「おう」とか「ああ」しか返せていない。お陰で貯まっていたポイントがヘソクリ分まで差し引かれたくらいだ。
『八幡さん』
まだ確かな響きがこだまする。
両親の声以外でそう呼ぶのは戸塚くらいだったので、違和感がある。え?材木座?……………………チッ!
右手を見てみる。昨日のひんやりとした花陽の手の感触が残っている。あの互いの温度が溶け合う瞬間をもう一度…………なんて、つい想像してしまう。
「お兄ちゃん」
気がつけば、小町がドアを開けてこちらを見ていた。
「お兄ちゃん…………さっきから何で『八幡さん』って自分の名前連呼してんの?さすがにそのナルシストっぷりは気持ち悪い通り越して…………怖いよ」
「…………」
朝から可愛い妹に、謂われのない罵倒をされる辺り、日常の方は通常運行のようだ。
だが、しばらくの間、俺と花陽はメールや電話のやりとりをするだけだった。花陽はラブライブの予選に向けて、仲間と猛練習に励んでいたし、俺は俺で、奉仕部の活動があった。川何とかさんの予備校の学費問題や、由比ヶ浜との1件等がある。材木座の件はまあいいや。
とりあえず、時間が経つにつれ、花陽から八幡さんと呼ばれるのも慣れていったし、μ,sは知名度を上げ、何度かクラスの誰かがその名を口にするのを聞いた。
そして7月になり、俺達は夏を迎える。
夏突入!
読んでくれたの、ありがとうございます!