捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女 作:ローリング・ビートル
それでは今回もよろしくお願いします。
「子供の扱い、慣れてるんだな」
「はい?」
やっと謎の赤面が治まったのか、こちらのいう事に反応して、可愛らしく小首を傾げる。それだけでマイナスイオンたっぷりの一陣の風が吹き抜け、暑さが吹っ飛んだ。ちなみにこの技を使えるのは3人しかいない。言うまでも無いが、戸塚・花陽・小町の天使3姉妹だ。属性はそれぞれ……
「す、すいません……ぼーっとしちゃって……」
説明はまた今度にしよう。
「いや、子供の扱いが慣れてると思っただけだ」
「ああ、たまに近所の子供の遊び相手になってますから」
「子供好きそうだもんな」
「は、はい!実は将来……保育士になりたくて……」
あっさり想像できる。ジャージにエプロン姿の花陽を思い浮かべると頬が緩んできた。
「どうかしましたか?」
気づかれないように口元を隠し、話題を変える。
「花陽はいい母親になりそうだと思っただけだ」
「ぴゃっ!」
花陽がびくっとして、また顔が赤くなる。振り出しに戻るマスを踏んだようだ。
「そ、そんな、わわわ、私なんてまだまだ……」
「いやいや、今なる必要ないから!」
「で、でもこ、こ、子供が、欲しいって!」
「そ、そ、そんなこと言ってないにょ!」
どんな難聴系キャラだよ!話に尾ひれが付くどころの間違いじゃねえぞ!ただ俺が噛んでいるせいで俺が悪いみたいだ。
「あ、あの、私、八幡さんの事は、き、き、嫌いじゃないですし、むしろ、何というか、あ、あれなんですけど!」
そうかー、あれなのかー。いや、何なんだ。嫌われてないから良しとしとけって事か。そうなのか。そうだよな。
そしてはっと気づく。
思ったより注目を浴びていた。
まあ、不思議ではない。人ごみの中で大きな声がするので見てみたら、美少女と目の腐ったぼっちが子供がああだこうだいってるのだ。いや、俺に疚しい事は何もないけど。
「まだ高校生くらいじゃない?」
「何であんなぼっちがあんな美少女と……!」
「ゴミぃちゃんのヘタレ、鈍感、ハチマン!」
「男なら覚悟決めるにゃー!!」
ヒソヒソ話が聞こえてくる。おい2番目の奴、何で俺がぼっちだって知ってんだよ。それにどっかから聞き覚えのある声が…………
「いるわけないか」
とりあえずここを離れよう。ぼっちは注目を浴び慣れていないから、そろそろ体が拒否反応を起こす。トラウマの復活と共に…………。
わたわたとしている花陽を促し、人ごみを抜け出した。
2人が去った後…………
「中々進展しないにゃ~」
「落ち着いて、凛ちゃん。あれでもゴミぃちゃんにしてはよくやってるから!」
「ねえ、今の花陽ちゃんじゃなかった?」
「そうでしたか?よく見えなかったので…………」
「むぅ、今のは我が永遠のライバル、八幡!……ではないな。八幡が女を連れて歩くなど……」
案外、世の中狭いものである。
ラブライブ!サンシャインはやく続きが見たい!
読んでくれた方々、ありがとうございます!