捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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「せんぱ~い、先輩に最近、あり得ない噂を耳にしたんですけど~、え!?本当に!?スクールアイドルの花陽ちゃんと!?…………お、おめでとうございま~す…………」
 一色いろは

  それでは今回もよろしくお願いします。


涙がキラリ☆

 

 8月8日。

 皆さんご存知(?)比企谷八幡の誕生日である。

 ぼっちとして生を受け、ぼっちとして生きる孤高の男がこの世に生まれついた日である。

 まあ、あれだ。誕生日なんてのは17回目ともなると、新鮮味がないのは勿論、何なら自分自身も忘れているくらいだ。平塚先生ぐらいになると、嫌悪感すら覚えるのだから恐ろしい。

 とにかく、誕生日だからといって何か特別な事をする必要などない。当たり前の日常を当たり前のように享受できる喜びさえあればいい。気持ち次第で毎日が記念日。……なんか素晴らしい名言が出てきた気がする。

 気持ちのいい目覚めを迎え、ベッドからのろのろと起き上がる。机の上に誕生日の特別手当ての一万円が置かれているので、回収する。ちなみにこれにはケーキ代も含まれる。

 朝9時か。もう少し寝ててもよかったかもしれん。

 水を飲んで、もう一眠りしようかと、リビングのドアを開ける。

「お兄ちゃん、おはよう!」

「は、八幡さん、おはようございます!朝早くからお邪魔してます!」

「先輩、遅いにゃ~!」

「ああ、おはよう。俺もう一眠りするわ」

 手早く水を飲み、リビングを出て、自分の部屋へ戻る。ったく、朝から元気いいな。小町も星空も……花陽も。…………あれ?

 駆け足でリビングまで戻る。

「……お前ら、どうしたの?」

「「「お誕生日おめでとう!!!!」」」

 大声に頭が一気に覚醒する。

 お、おお…………。

「お、お兄ちゃん?」

「な、泣いてるにゃ……」

「は、八幡さん……どうかしました?」

「ね、寝汗だ……」

 あれ?おかしいな……。眼球から汗が出るとか。さすがセブンティーン。体が不思議なアップグレードされてる。

「……ありがとな。じゃあ、おやすみ」

「いや、おかしいから。何で今日の主役が真っ先にフェードアウトしようとしてんの?バカなの?死ぬの?」

「小町ちゃん…………乱暴よ…………」

 朝からエッジの効いた暴言ありがとな。本当に目覚めたわ。

「先輩!寝てたらもったいないにゃ!」

「ほ、ほら!いい天気ですよ!」

「お前らはのび太君の名言を知らんのか」

 寝るのが楽しいとか、ぼっちの才能ありすぎだろ。

 花陽は苦笑いしている。

「戸塚さんも来るから元気出して!」

「俺は何をすればいい飾り付けか料理か買い出しか」

「いや、変わり身早すぎ」

「…………むぅ」

 あれ?何か涼しいな。クーラー効きすぎじゃね。

「え?と、戸塚先輩も来るにゃ?」

 …………え?×3

「と・に・か・く!準備は小町と凛ちゃんに任せて!お兄ちゃんは花陽ちゃんとどっか行ってて!」

「ああ…………え?」

「小町ちゃん?」

「いや、皆で協力すれば……」

「ゴミぃちゃんのバカ、ボケナス、ハチマン!はやく行くの!」

 こうして、炎天下に花陽と共に放り出されてしまった。 






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