捻くれた少年と恥ずかしがり屋の少女   作:ローリング・ビートル

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ハイファイ・ローファイ

 2学期が始まり、ラブライブを目指す私達は、まだまだ暑さが残る空の下、今日もしっかりと練習に励んでいる。

 5分の休憩時間に入り、水分補給をしていると、絵里ちゃんが優しい笑みと共に、こっちにやってきた。

 

「花陽、最近またダンスが上手くなったわね」

「そ、そうかな。えへへ」

 

 絵里ちゃんから褒められて、頬が熱くなるのを感じる。家でもじっくりストレッチしたり、凛ちゃんと一緒にランニングをしたり、何度も映像を見直して練習した効果が出てきたのかな。

 

「そうやなぁ~、凛ちゃんのようなキレと違って、何かこう……女の色気というか」

「そ、そんなハレンチな!」

「花陽ちゃん!セクシャルハラスメントだよ!」

「セクシーダイナマイトじゃないかな……あはは」

 

 ど、どうしよう……ちょっと話が変わってきている気がします。

 

「アンタ達、何言ってんのよ。セクシーなら3年生がいるじゃないの」

「絵里ちゃんと希ちゃんにゃ!」

「何で私だけ外されてんのよ!」

「い、痛い!痛いにゃ~!」

 

 凛ちゃんがにこちゃんにほっぺをつねられている。あぁ、痛そう……。

 

「何やってんだか……」

 

 私の肩に手を置きながら、真姫ちゃんが溜息をつく。

 今の心情を察してくれているかのような気遣いが伝わってきた。

 八幡さんは今頃文化祭の準備かな。

 面倒そうにしていたけれど、根は真面目なあの人は、何だかんだ言いながらもやるんだろうな、と思う。

 

「でも、確かにそうですね。内面から出てくる艶やかさというか……」

 

 知らない内に皆の視線が私に集中していた。

 

「ま、まさか……花陽、か、か、彼氏でもできた?」

 

 絵里ちゃんが自分から言い出して照れてる。可愛い。でも、迫ってくるのは怖い……。

 

「な、何言ってんのよ!私達はアイドルよ!?か、彼氏なんて……」

「花陽……ハレンチです!」

「花陽ちゃん、本当なの!?」

「教えて欲しいなぁ」

「え?え?えっと……その……」

 

 ずずずいっとみんなが迫ってくる。

 

「ダ、ダ、ダレカタスケテェ~!」

 

 *******

 

「もう、皆ひどいにゃ~!」

「そうよ、花陽が逃げちゃったじゃない」

「ご、ごめん……」

「私とした事が……」

「もうっ、かよちんと比企谷先輩はまだ付き合ってないにゃ!」

「え?凛…………今、何て?」

「はっ!いや、かよちんをいじめるなんて、にこちゃんはヒキガエルみたいな先輩にゃ~!」

「なぁんですって~!!」

「い、痛い、痛いにゃ~!」

「ふぅ……何やってんのよ、凛」

「そうやなぁ~」

「……希、あなた、もしかして何か知ってるの?」

「そりゃ、あんなに堂々とアキバでデートしてたらバレるよ」

「あの二人……」

「まあ、悪い事やないんやし、かよちん自身の口からいい報告が聞けたら1番なんやけど……」

「あの二人はまだ付き合いそうもないわよ。お互いに好きなくせに、どうしようもないくらい奥手だもの」

「ふふっ、確かにどちらもぎこちなさが可愛かったよ♪あ~、ウチも会ってみたいな~。かよちんの愛しの彼氏に♪」

「まあ、程々にね。私もこの前初めて知ったんだけど、あの子、割とヤキモチ妬きだから」

 

 その後、花陽はアルパカ小屋でアルパカと話しているところを皆に見つかりました。


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